パラレル日本国召喚   作:火焔

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【登場人物】
●日本
林田:陸軍伍長

●アルタラス王国
ルミエス:元・第1王女


タイトルから分かる通り、気分のいい話ではないです。
最後の30行くらいですかね? まともなのは。



20. 地獄の日々(ルミエス)

◆◆ アルタラス王国 アテノール城 とある部屋 ◆◆

 

 林田はルミエスが軟禁されているとされている部屋の扉の前に立つ。

 だが扉の前には兵士や侍女はおろか、人影すらない。

 

 王族の部屋にノックするなんて間違っているだろうとは思いつつも、勝手に入るわけにも行かないので、とりあえずノックをしてみる事にした。

 すると予想を裏切り、中から返事が返ってきた。

 

「確認など必要ありません。お好きお入り下さい。」

 

 林田は呆気に取られてしまうが、部屋の主がそういうなら……

 それがこの国における作法なのかもしれないと部屋の中に入る。

 

 ルミエスとしては、どうせ何していようとパーパルディアの人間は勝手に入ってくるのだから如何でもよかったのだ。

 

 

 

「日本国陸軍所属、林田伍長。失礼します。」

 

 

 

 部屋の中は甘い香でも焚いているのか、少し淫靡な雰囲気がした。

 天蓋のあるベッドには、長い黒髪の美女が透けるような薄手のベビードール身に纏い……いや、透けていて色々見えてしまっている。

 

「す、すみません! お着替え中でいらっしゃいましたか!?」

 

 林田は慌てて後ろを向きルミエスから視線を外すが、

 

「構いません。私にはこの衣装しかありません。」

 

「し、しかし……」

 

「構いませんよ。視線には慣れています」

 

 ルミエスからは気にした様子が全く感じられなかった。

 

(王族ともなれば着替えすら御付の者が行うらしいし、不躾な視線を送らないように気をつけよう。)

 

「失礼します。」

 

 林田はルミエスに向き直り、出来るだけ顔だけを見るように視線を集中する。

 あのままでは何も進まないと、仕方ないと心に言い聞かせる。

 

 

 

「今日は一段と不思議な様相なのですね。

 本日はどの様なプレイを為さるのですか?」

 

 ルミエスはさも当然な顔でおかしなことを口にしだす。

 

「え? 今日はお話を伺いに……?」

 

(もしかして、俺をパーパルディアの人間と勘違いしている?)

 

「えと私は――――」

 

 林田は自分の所属する日本国がパーパルディア皇国の駐留軍を撃破した事を伝えた。

 

 

 

「そうでしたか。それはありがとうございます。」

 

 まるで他人事のように、ルミエスは林田に礼を述べる。

 ルミエスにとっては、パーパルディアより強大な支配者がアルタラスを制圧しただけという認識だった。

 林田は温度差を感じつつも、自分の任を果たす事とした。

 

「本日は色々お聞きしたい事がございまして……。もちろん、答えたくない事は答えなくても構いません。」

 

「分かりました。何でもお答えします。」

 

「そ、そうですか……では、お聞きし辛い事なのですが、パーパルディア皇国はどの様にアルタラス王国を支配なされていたのでしょうか……?」

 

「私達を……ですか?」

 

「は、はい……。」

 

 やっぱり答え辛いよなと林田は思う。

 

 

 

「そうですね。彼らが祖国を制圧した日から――――」

 

 事も無げに、ルミエスは語りだす。

 その淡々とした事に林田は何ともいえない気味の悪さを感じた。

 

 

「まず、私たちに服従を強いるために何をすると思いますか?」

 

「……すみません、想像が付きません。」

 

 林田が答えに窮し、素直に分からないと答えると。

 ルミエスは淡々と事実を述べる。

 

「調教という名の拷問が始まるんですよ。」

 

「拷問……ですか……」

 

 林田の背中に嫌な汗が流れる――――

 

 

 

「はい。火の魔法で身体をね……焼くんですよ。」

 

(ひ、火あぶり……!?)

 

 林田は咄嗟にルミエスの身体を見てしまう。

 だが、彼女の身体は絹のように滑らかな肌だった。

 

 林田が困惑していると――――

 

 

「火傷の痕が見当たりませんよね? 彼らは焼いた痕に治癒の魔法で治すんですよ。

 軍事国家ですから、兵士を癒すために治癒の魔法が発展したのでしょうね……。

 治した後、如何すると思います?

 

 また同じ場所を焼くんですよ。

 

 どれだけ痛いか、恐いか、苦しいか、分かっているから……

 焼いては治して、直しては焦がして……

 

 

 痛みから逃れようと泣き叫んでどれだけ暴れようとも『魔封じの首輪』を付けられた女と『筋力強化』の魔法で自己強化した男達

 抑えつけられたら逃げられるわけありません。

 

 そんなことをされたら、拷問に耐性の無い者なんて一日持つはず無いですよね?

 

 とっくに心は折れているのに、それが一週間続くんです。

 その日やその時の気分で、手だったり、お腹だったり、胸だったり、足だったり、顔だったり、股間だったり……

 

 

 やだやだ……って懇願しても必ず一週間続くんです。それが決まりだそうで……。

 一週間が経った頃、それは一先ず終わるのですが、そのときに言うんです。

 

 もう少し根性があれば、氷風呂に沈めて雷魔法を流してやれたのに、残念だなって。

 もう一週間頑張らない? って楽しそうに言うんです。

 

 実際にやられた貴族の()もいるみたいで……。命は落とさなかったみたいです。

 何処までなら大丈夫かって熟知しているんでしょうね。」

 

 

 林田は衝撃の余り言葉を失ってしまう。

 拷問を続けるために治すだなんて……、地球じゃ考えられない事だった。

 

 

「そんな事ばかりじゃ憔悴しちゃいますよね?

 私も始めはそうでした。でも、今の私は健康そうに見えますよね?」

 

 突然話を振られた林田は、見た目「は」とても普通そうなルミエスを見て

 

「は、はい。」

 

「そうです。母胎なのだから憔悴する事は許さないというんですよ。

 自分達がそうしたのに、おかしな話ですよね?

 

 でもそうしないと、また拷問の日々が再開するんです。

 恐怖が心の奥にまで刻み付けられているんです。私も必死です。食事が通らない喉に回復魔法をかけて……必死に。

 あぁ、この段階ですと「回復魔法」だけは使えるように首輪を調整してくれるんです。

 

 

 そうして栄養をしっかり摂るんです。

 食事は栄養のある物が十分以上な量を与えられますので。

 

 ふふっ、それじゃあ太っちゃうのではって顔ですね。

 運動は……わかりますよね? 毎日彼らのやりたい放題ですから。1年もすれば、行為のあとにお腹空いたなんて思えちゃうんです。」

 

 

 

「あ、そうそう。行為で思い出しましたけど、最初は拷問の前に無理やり犯されるんです。

 

 肉親の前で。

 

 最初にヤって置かないと大人しくなっちゃうからって。あんな拷問を味わえば大人しくもなりますよね……。

 これが始まりですかね。」

 

 

(は、はじまり……?? この地獄で……??)

 

 

 林田は何も言葉に出来ない。

 掛けられる言葉などあるはずも無い。

 どれほどの地獄か1%も分かってあげられないのだから。

 

 林田が固まっている間に、ルミエスは再度口を開く。

 

 

 

「それから身体を好きにされる日々が続くんですよ。

 でもそれだけじゃないんです。妊娠しないと、努力が足りないって、また炙られて、電気を流されて、刃物で肉を切られるんです。

 もちろん治せる位のダメージに抑えて……

 

 私が性的に興奮しないと、子供が出来難いっていうんです。だから努力しろって。

 (こわ)くて(おそ)ろしくて仕方ないから、心に自分は興奮しているんだって思い込ませるんです。きっと心が恐怖を興奮って間違わせてるんです。

 

 そうして望まない相手の子を成すんです。

 そのときね、おかしなことが起きちゃうんです。

 

 

 何ででしょう? 安心しちゃうんです。

 

 

 きっと、拷問されなくなるからだと思うんですが……

 母胎の安全の為にって拷問が一切なくなるんです。

 

 5人も子を産む頃には、心が間違えちゃうんです。

 

 

 子を成すことが安心する事だって……

 

 

 変ですよね?

 望まない相手、というか父親が誰なのか、心当たりが多すぎて分からないのに」

 

 

 

 ルミエスは自分のことを他人事のようにつらつらと話す。

 きっとそれが自分の心を護っているのだと。林田は理解した。

 

 

 

「これで最後ですかね?

 産まれた子達は、パーパルディア皇国が引き取るんです。

 属領支配のための教育を施すために。

 

 時々手紙が届くんです。

 書いている風景を魔写で撮影して。

 偽造ではないと証明するために。

 

 魔写を見ると分かるんですよ。自分の子だって。

 手紙の内容は、アルタラスの奴隷を効率的に生産する勉強のテストで100点とったって。

 嬉しそうに書いてあるんです。

 自分の国の国民なのに、わかってないんです。あの子達は自分が何をしてるかって。

 

 

 こんなの見せられちゃったら……もうダメですよね。

 アルタラスも私も終わるんだなって分かっちゃうんです。

 

 

 王族の、貴族の娘達は皆こんな感じだって、パーパルディアの人から聞いてます。

 自分の子が国を終わらせる事実を突きつけられるんです。

 

 

 男系の王族、貴族ですか?

 お父様達は国民の怒りの捌け口に私刑に遭うんです。

 亡くなった時の魔写を見せられた記憶はあるんですが……

 

 

 これでもね、国民に比べればマシなんです。

 国民は――――」

 

 

「もういいです!!!! 大丈夫です!!!!」

 

 

 もうこれ以上彼女に話させてはいけない。

 どこか夢遊病の様に話すルミエスの肩を掴む。

 

 

「あら? 興奮しちゃいましたか? 私はいいですよ? 新たな御主人様」

 

 

 ルミエスは左手の親指と人差し指で輪を作り、右手の人差し指を左手の輪の中に突っ込む。

 

 

「大丈夫です!! 貴方はもう大丈夫なんです!!

 私が! 日本が! 貴方を、貴方達を必ず護り抜きます!!」

 

 

 何て言えばいいのか分からない。救うなんておこがましい。

 それでも、絶対にこれ以上酷い目には遭わせない。

 

 

 

 それだけは誓える。

 

 

 

「勝てるのですか? パーパルディアに? 列強ですよ?」

 

「勝てます。既に海軍は壊滅させています。

 でなければ、ここまで来れないでしょう?」

 

 

 

「ホントに勝ってくれるんですか?」

 

「はい! パーパルディア本国はここから攻撃できます!」

 

 

 

 ルミエスの顔が泣き顔に歪んでいく。

 

 

「アルタラス王国を゛……! 救って゛く゛れ゛ます゛か……!?」

 

 

「日本の魂にかけて救うと誓います!!」

 

 

「うわぁぁぁぁぁあああああ――――――――!!!!!!!!」

 

 ルミエスは林田の胸にしがみ付き、堰を切ったように泣き喚いた。

 

 

 

「辛かった!! 痛かった!! 苦しかった!!! 悲しかった!!! 恐かった!! 恥ずかしかった!! 嫌だった!!! 気持ち悪かった!! 壊れそうだった!! 狂いそうだった!!」

 

 

 

 

 

 

 

「助けて――――欲しかった――――」

 

 

 

 

 

 

 

 




最後はもっと語彙が――――欲しかった――――

こういうの好き嫌い分かれそうですよね。
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