パラレル日本国召喚 作:火焔
●日本
林田:陸軍少尉
●カース王国
リリエラ・カース:カース王国女王(18才)
◆◆ カース王国 奴隷生産工場 ◆◆
「はぁ……次はこの施設と労働者施設か……。こっちも王家と同じなんだろうな……」
気が重くなるが、辛そうだったアルタラス王国よりかは幾分かはマシだろうか
(まだマシなんて思えるなんて、俺も毒されてしまったかな……)
奴隷を延々と産み続けるだけの施設。
恐ろしい施設だが、やはり施設の中はアルタラス王国より雰囲気が明るい。
ただ――――
もの凄い大○交パーティーが行われている事を除いて……
(これはまた凄いな……。言葉で表現できない何ともいえない感じだ。
しかも全員が物凄く美形なのが余計に……。)
500年かけて美形の遺伝子が選別された結果なのだろう。
パーリーピーポーも唖然としそうな場所なのに、どうしても目が惹き付けられてしまう。
リリエラ陛下も非常に美人だったが、それを上回る美男美女達ばかりだ。
男性達は羨む気すら失せるほど美男子で、女性達も見てはいけないのにどうしても目が離せない。
一種の芸術性すら感じてしまうが故に、言葉にならない感情が湧き上がるのだろう。
(一応、伺うと話は伝わっている筈なのだが……)
呆然と突っ立っていると、ちゃんと衣服を着た男女がこちらへ向かってきた。
「あなたが、ニホン?という所から来た人ですか?」
「あ、ハイ。私は日本国陸軍の林田少尉です。」
思ったより普通に受け答える事ができた自分にビックリした。
やはり
「よかった。私たちが林田様のお相手をさせて頂きます。」
一組の男女は15,6才くらいの赤い華やかなドレスを纏った少女と、30代前半くらいの黒いロングコートを纏った男性だった。
彼らも例に漏れず美形で、気取った服装にもかかわらず非常に似合っていた。
談話スペースがあるということなので、俺達はこの会場を後にした。
「ここでのお話をいくつか聞きたいのですが、その前に――――申し訳ありませんがあなた方のお名前を教えて頂けませんか?」
彼らに魅入ってしまっていたので、つい名前を聞きそびれてしまった。
「名前とは一体何でしょうか? 知ってる? 4725。」
「いや、俺も知らないな。管理者ってヤツかな?」
二人は本当に名前という概念が分からないようで首を傾げていた。
(な、名前が分からない……? そ、そんなことがあるのか?)
「えっと……。名前というのは、自分が持つ固有名称といった所でしょうか。
貴女はそちらの彼の事を何て呼びますか?」
「4725といいますね。なるほど!識別番号のことですか。でしたら私は9268といいます。」
「俺は4725だ。よろしく頼む。」
自分を9268という女性は納得がいったかの様に胸元で手をパチンと叩く。
そして4725と名乗る男性も納得して頷いていた。
(パーパルディア皇国は、彼らから名前まで奪い去ったのか――――ん?)
彼らの首元にネックレスと思わしき鉄製のアクセサリーに何か書いてある事に気が付く。
よく見るとそこには『006-0135-04725』『006-0135-09268』という番号が書かれていた。
カース王国は6番目に占領された国だったはず。
そしてリリエラ陛下に拝見させて頂いたこの施設の番号は0135、そして最後の5ケタが……。
それは名前ではないと言いたかったが、名前という概念を誰もが納得出来るように説明も出来ない。
それだけ当たり前のものだと思っていたからだ。
止む終えないので、現状は女性の事を9268さん、男性の事を4725さんと呼ぶしかない。
「あ、ありがとうございます。それでは――――」
彼らから聞く話はアルタラス王国と同様で衣食住、三大欲求を満たした生活だった。
違う点は2つあって、1つ目は最初の恐怖を叩き込むという事が無かったため、アルタラスにあった暗さが無かったのだろう。
もう1つは、産まれた子供を他の施設に送るところまではアルタラスでも聞いたが、若い次世代の子を施設に受け入れていることだ。
その子達は、ここに居る人たちで此処での暮らし方を教えて、身体が成熟した日に直に子供を産めるように『トレーニング』をするそうだ……。
もう1つ衝撃だったのは、4725さんと9268さんで……なんていうか……わかるだろ?
思い起こすと例の会場でも、同世代だったり、異なる世代だったり様々だった気がする。
「――――これで聞きたい事は以上になります。最後に――――
ここの暮らしを続けたいですか?」
「「はい。」」
即答だった。
◆◆ カース王国 労働者施設 ◆◆
俺はもう何があっても驚かない。
先ほどの施設はそう思わせるだけのインパクトがあった。
多分ここも恐怖で支配せずに、その生活を当たり前にさせているんだろう。
子供の頃から洗脳教育すれば出来てしまうのだろう。
労働者施設に着いたのは昼前で彼らは農作業に従事していた。
ただ、アルタラスと違うのは農場が小分けにした区画で仕切られてはおらず、大きな区画1つで1~2種類の作物が育てられ、別の大きな区画ではまた違う作物が1~2種類育てられていた。
そして畑の半分を占めていたのは綿花畑だった。
(アルタラスと違って互いを競わせては無いのかもしれない。)
そう思ったのは、小規模なプランテーション農場では複数のグループが同じ畑で作業していたからだ。
汗水垂らして働く姿は好ましささえ感じる。ただ、1グループ男3女1という比率であるため、そこは変わらないらしい。
日も高くなり、彼らは昼食と休憩時間に入った様だ。
「キミ、すまないが、今日こちらに伺うと連絡を入れたものだが、そういう話を知ってそうな人を知らないか?」
昼食を終えて立ち上がった男女のグループに声をかけると――――
「ん? 貴方が新しい管理者様か? 話は聞いているよ。食器片付けてくるから、部屋で話そう。皆もそれでいいよな?」
20代の若い獣人男性は一緒に居た同世代の男女にそう声をかけると、彼らは頷いて承諾してくれた。
彼らの視線を視線を向けると――――
やはり『006-4389-07539』などのアクセサリ……いや、チョーカーが着けられていた。
4人組の彼らに案内されて部屋に向かう途中。
やはりそういう行為が行われている声がそこかしこで聞こえてくる。
アルタラスと違い、辛そうな声が無いのは不幸中の幸いだろうか。
「ここが俺達の部屋だ。」
そう案内されて中に入ると――――
――――真っ最中でした――――
7539さん達は何も無いかのように平然と部屋に入り、ベッドに腰掛ける。
「そんなところに突っ立って如何したんです? どっちのベッドに座ってもいいですよ。」
「い、いや……どうしたもこうしたも……。お隣は致しているだろう? 別の部屋の方が……いいんじゃないか?」
「変なこと気にする管理者様ですね。休憩時間もあることですし、そっちに座りますか?」
「いや……そっちでお願いします。」
ベッドは2つしかないのだ。
真っ最中のベッドに座れるわけ無い。
(あぁ……もう驚かないと思ったけど、やっぱり想像を簡単に超えてくるなぁ……)
意識を出来る限り話を聞くことに努めて話を聞くことにした。
「まぁ、よく働いて、よく食べて、よく休んで、楽しい事して、また明日って感じですかね。」
大分集中できなかったが、やはり恐怖を取り除く代わりに洗脳を施す感じだった。
それ以外は概ねアルタラスで聞いた話しと同じで、争いがない分平和といった所だろうか。
もう1組の彼らも女性含めて楽しそうにしているのがその証拠なのだろう。
「気になりますか? 混ざっていきます? 7532、そっち誰か代われる?」
「あぁ、いいぞ。7531、いいよな?」
「いいわよ。管理者様、お越し下さい。」
俺を置いて話が進んでいくが――――
「いえ、私は仕事中ですので。そういうわけには行きません。」
「そりゃしかたない。仕事中は仕事に集中しなきゃな。」
(そこは真面目なんだ…………)
「それじゃ、管理者様また今度な。」
そういって7532と呼ばれたドワーフの男性はベッドに戻っていった。
(よし、わかった。彼らは性に開放的で、性に寛容な文化を持つ人々なんだ。)
経緯は如何あれ、そうなったと考えれば受け入れるのは難しくはない。
日本列島が地球に存在した頃、日本の植民地だった国などでは日本とは異なる様々な文化があったといわれている。
日本の統治方針は国益に不利益をもたらさないのであれば、文化の強制はしなかった。
今のように独立国となった後でも軍の関係で海外へ行くことは多く、様々な価値観を持つ人と交流する機会もあった。
土地が違えば文化も違うのは当たり前という認識が日本にはある。
(意外とアルタラス王国よりカース王国の方が日本は受け入れやすいかもしれないな)
地球にもヌーディストビーチとかありますしね。
それとは段違いですがね
これでカース王国も終了です。
次回からパーパルディア戦にもどります。