パラレル日本国召喚   作:火焔

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登場人物
●日本
田中:外務大臣政務官
阿野:日本国首相

●クワ・トイネ公国
カナタ :クワ・トイネ公国君主(エルフ)
ハンキ :中央第1騎士団団長(ドワーフ)
リンスイ:外務卿(人間)
ハスド :ハンキの弟。バニル領領主で爵位は侯爵(ドワーフ)
マイラ :マイハーク市の筆頭外交官(ウサ耳獣人)

●クイラ王国
シーラ :経済都市イアンの外交官(ドワーフ)
テヘンラ:クイラ国王(狼系獣人)



07. クワ・トイネ使節団 ―帰国―

 2019年2月某日(中央暦1639年2月某日)

 

 振り返ってみればあっという間だった。まるで夢の世界の様であったとクワ・トイネ使節団は思う。

 既に日本国という文明国と接触を持っているということは、多くの人が知っている。

 彼らは日本がいかに素晴らしいかを、どのように説明すれば分かってくれるか大いに悩んでいる。

 

 

 

「ハンキ将軍。日本は如何(いかが)でしたか?」

 

 執務室でカナタがハンキに尋ねる。

 

「はい。文明国と非文明国との差がどれ程なのかは実感しました。

 万が一にでも戦えば、ロデニウス大陸が容易く滅ぶでしょう。」

 

「な!? 流石にそれは盛りすぎではないかね?」

 

 同席する外務卿のリンスイがハンキの言葉に噛み付く。

 クワ・トイネだけでなく、クイラ、ロウリア全てを相手取って完勝するなんて常識ではありえないからだ。

 

「私の目を、使節団の目を疑うのか?リンスイ卿。貴公の部下も使節団にいたはずだが?」

 

 ハンキがリンスイをじろりと睨むと、リンスイはたじろぐ。

 

「リンスイ卿。ハンキ将軍の言葉は真でしょう。コンパウンドボウ?でしたか?

 ハンキ将軍が譲り受けたあの弓の威力を見ただけでもそれは明白です。

 敵の射程外から攻撃できるのは、それだけ大きな優位性を持ちます。」

 

 カナタは先日見せて貰ったコンパウンドボウの威力を思い出す。

 国中に溢れる食べ物の代わりにあれを貰えるなんて、世の中は何が起きるか分からないモノだと思う。

 

「そうですな。それに日本の鉄道と呼ばれる鉄の蛇を主要都市に作ってくれれば、モノの流通も大いに捗る事でしょう。」

 

 ハンキは田中からディーゼル機関車という、電車の前身の列車をクワ・トイネに引くといっていた。

 電車では電気という力が必要だそうで、クワ・トイネでは設置できないからだといっていた、

 路線幅も日本と同じ物を使ってくれるらしい。本当は広いほうが輸送には適しているのだが新規開発している時間もないというのが現状らしい。

 

「それと陛下。以前奏上させて頂いた件はどうなっておりますかな?」

 

「軍事演習の件ですね。構いませんよ。文明国が付いているとロウリアに牽制も出来ますし。それに私も見てみたいという気持ちもありますしね。」

 

 カナタは柔和に笑う。美しい陛下が優しく微笑むと部屋の空気が穏やかなものになる。

 女性ならばそれだけで恋に落ちてしまうほどに。

 

「だが、場所は確保できているのかの? 将軍の弟君が治めるバニル領で行うとの事じゃったが?」

 

 リンスイも軍事演習には賛成だ。

 文明国の軍が国内に駐留するという事は、実質文明国の保護を受けていると同等だ。

 ロウリアとの外交に苦心するリンスイにとっても、とても強い外交カードになる。

 

「既に弟からは了承を受けています。バニル市の東50km程の沿岸部の無人地帯を用意しました。」

 

 ハンキ将軍はバニル家の長男であり、ハンキ・バニルという。

 嫡男なので本来であればハンキが領を継ぐのだが、ハンキは将軍の才に長けており弟は統治の才に溢れていた。

 そのためハンキは中央へ行き将軍となり中央との繋がりを構築する。

 弟のハスド・バニルはバニル領を盛り立てる。とバニル家の為に継承権を弟に譲ったのだ。

 

 ハスドはハンキから軍事演習の件を快くよく引き受けた。

 ハスドは未開拓地域を日本に貸し出して、文明国の力で開発して貰う。

 そして北の要所としての地位を築くという思惑を持っていた。

 

 バニル領は北の中央に位置するため、北東のマイハーク市と北西のズイーダ市の中継地点でしかなく、北の侯爵領では不遇であった。

 そのため、今回の件は兄ハンキがバニル領の為に持ってきてくれたのだと確信していた。

 

「ありがとうございます。それではリンスイ、日本国との調整をお願いします。」

 

「はっ!畏まりました、陛下。」

 

 こうして、公国内軍事演習は歩みを進めていく。

 

 

 

◆◆ マイハーク市 ◆◆

 

「なぁ、マイラそれ本当なのかい?」

 

 クイラ王国北西にある経済都市イアンの外交官シーラはマイラに尋ねる。

 ドワーフらしい長身で筋骨隆々なシーラと獣人族のマイラが並ぶと大人と子供のようだ。

 

「ホントよ。せっかく友好的な文明国とのパイプを作ってあげたのに疑うの?」

 

「いやぁ、疑ってはいないけどさぁ……。そこまで想像できない話をされるとなぁ……」

 

 シーラとマイラは互いの両親の時代から20年近くの付き合いだ。

 それにマイハークとイアンは両国の交易拠点になっているので、二人は頻繁に会っている。

 

 クイラ王国からは武装や傭兵、金属製品を輸入している

 そして、クワ・トイネ公国からは食料や船、ヤギなどの育て易い家畜を輸出している。

 クワ・トイネには碌な鉱山がなく、クイラにはまともな草原地帯がない。

 そのため、互いに協力して国を運営している。

 

「まぁ、私もあの素晴らしさを見てるから言えるんだけどね。

 そうだ!今度バニル領で日本国の軍事演習があるの。私と一緒に行く?」

 

 本来誰でもいけるわけではないが、マイラは日本から招待状を貰っているので軍事演習を見る事ができる。

 同行者については招待者の裁量で許可されているので、シーラを誘う事ができる。

 クイラ王国の国王テヘンラにもカナタ公爵を通じて招待状が届いているので、クイラ王国の人間が参加する事も問題はない。

 

「いいのかい?じゃあアタシも同行させて貰うよ!マイラをそこまで魅了させた力を見せて貰おうかな!」

 

「驚くわよ~。流石日本!って言うことになると思うわ。」

 

「ははっ!そりゃ楽しみだね!」

 

 マイラは豪快に笑うシーラを見ながら思い出す。

 東京査察で起きた日のことを――――

 




●バニル市
特産は特になく、マイハーク市とズイーダ市中継地点

●ズイーダ市
北西の非文明国との交易拠点。
食料やクイラ製品の輸出と各国から様々なものを輸入している。

●人物詳細
シーラ
種族:ドワーフ
年齢:28歳
身長:196cm
顔 :浅黒くしっかりとした顔立ち
髪 :固めの赤い髪を後ろでまとめている
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