パラレル日本国召喚   作:火焔

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【登場人物】
●リーム王国
バンクス:国王
キルタナ:宰相。有能だけど癖がある

●用語
グリーンジャケット:クワ・トイネ王国軍銃士隊
レッドジャケット :クイラ王国軍銃士隊
ブルージャケット :ロウリア王国軍銃士隊


29. クワ・トイネ王国とリーム王国

 

 ◆◆◆◆ バカル王国とリーム王国の国境線付近 日本軍拠点 ◆◆◆◆

 

 外部からの侵入を守る防衛拠点は、何重にも構築された鉄条網、そして塹壕を設けた簡単なものではあった。

 

 クワ・トイネ王国の誇る銃士隊。通称グリーンジャケット隊の一個中隊がこの拠点の防衛に当たる。

 他の同様の拠点には、グリーンジャケット隊の同僚、レッドジャケットの中隊、ブルージャケットの中隊がそれぞれ人に当たっている。

 そして、彼らの後方には日本軍の歩兵・機甲混成小隊が控え、敵の察知と同時に援軍が各中隊へと派兵される。

 

 日本軍の小隊は機関銃、迫撃砲から果ては73式中型トラック、87式自走高射機関砲、10式戦車までオールマイティな装備が整えられている。

 さらには空軍の警戒機『E-767 早期警戒管制機』が定期的に敵軍の存在を索敵するため、中世レベルの相手には十分すぎる防備が整えられていた。

 

 

 

「日本の作る拠点っていうから、もっと凄いのを期待していたんだけどな……大丈夫かな? この拠点で」

 

 グリーンジャケット隊の隊員は、同僚に不安を溢す。

 彼は日本ならば短時間で驚くほど強力で強靭な防衛施設を構築すると思っていたからだ。

 

「たった1~2時間で作ったんだ。これでも凄い方じゃないか?

 流石に対空までは無理だった見たいだけど。」

 

「どこが凄いのか俺にはわかんねぇよ。ただ土掘って、鉄の柵を何重にも敷いただけだろ?」

 

 この拠点の建設時間に対する効果が分かる者と、分からない者で議論が発生する。

 

「じゃあ、お前はこの拠点を如何攻める?

 もちろん、俺達やジャケット隊がいるのが想定な。」

 

「そりゃ、騎兵隊で突破口を……。」

 

「どうやって?」

 

「ど、どうって……、あの鉄条網ってどうやって越えるんだ?

 1.5mも高さがあると、1つ目は何とか越えられても2つ目は助走距離が足りないし……」

 

「しかも俺達のマスケット銃は打ちたい放題だ。

 これだけ細い鉄条網ならそうそう跳弾しないだろ。」

 

「歩兵なら、剣や槍で切るのは無理そうだし……鉄の盾を踏み台にして……」

 

「全部の鉄条網をか? しかも俺達はそんな悠長にしてる奴らを許すのか?」

 

「いや、寧ろ狙い目だな――――見た目以上に頑強な施設だったんだな。」

 

 防御面に不安視していた彼らは一安心し、空を見上げて防衛の任に戻る。

 その空には、竜騎兵《ドラグーン》が空を羽ばたいていた。

 背中に最新型のマスケット銃、パーカッションロック式かつ後装式のライフルド・マスケット銃を背負った真の竜騎兵のその姿がそこにあった。

 彼等は真の竜騎兵のその姿を披露していた。

 

 

 

 彼らは見つける。北の大地に一個大隊に相当する人の影を――――

 

 

 

 ◆◆◆◆ リーム王国 王都ヒキルガ 王城 ◆◆◆◆

 

 ――――すこし時は遡る

 

 ここはパーパルディア皇国の北東に位置する第3文明圏の文明国家。

 国力はパーパルディア皇国、パンドーラ大魔法公国に次ぐ文明圏内第3位で、

 南には決して勝つ事のできないパーパルディア皇国、北には勝ちきる事のできない無駄に軍事力のある文明圏外国家であるマオ王国。

 両方に挟まれて此処暫くは領土拡大には至っていない。

 そのため軍需産業に力を入れており、軍事力は列強第5位のレイフォルに次ぐと自負している。

 

 だが最近海軍が壊滅し、再建に苦心している国家でもある。

 

 

「先日起きた、強大な爆裂魔法に付いて何かつかめた事はあるか?」

 

 国王バンクスは、王都諸侯の一人で宰相のキルタナに問いかける。

 

「第1陣の調査隊は帰還を終えており、陛下にご報告を申し上げるのみとなっております。」

 

 じゃあ何故さっさと報告しないのかとバンクスは思うが、キルタナはこういう奴だ。

 いちいち苛立っていても精神衛生上よくない。

 

「ハァ……そうか。では、報告せよ。」

 

 

「はっ! それでは――――」

 

 キルタナは爆裂魔法を確認してすぐに、竜騎士と騎兵の偵察部隊を国境に派兵した。

 空と地上。竜騎士はその速度がウリではあるが、その代わり身を隠す術が無く察知されたら逃げることしか出来ない。

 しかし、騎兵は散開し森の中に身を隠すことで飛竜より確実に任をこなせる。

 もっとも適任は歩兵ではあるが情報を得る速度の関係上、今回は見送った。

 

「まず、竜騎士部隊、騎兵部隊ともに全騎無事に帰還を果たしております。」

 

「日本、またはパーパルディアからは攻撃を受けなかったと?」

 

「……そうなります。破壊されていたのがパーパルディア軍軍事施設、そして大地に紛れるような服装と自走する鉄の塊という見たことのない存在から、攻撃者は日本国と想定されます。」

 

「自走する鉄の塊? ムーにそんな様な器械? そういうモノがなかったか?」

 

「機械です、陛下。

 それと質問は報告の後にしてくれませんか? いちいち報告を止められると先に進みません。」

 

「…………」

「…………」

 

 バンクスとキルタナの間に微妙な空気が流れる。

 キルタナは優秀だが同時に気難しいやつでもある。

 

(ハァ…………。まぁ優秀ではあるが、こういうのが玉に傷だな。)

 

「……わかった。続けよ」

 

「はっ。日本国らしき存在は、防衛施設らしき施設を建設した後、さらに西へ進軍をしていきました。

 以上です。」

 

「…………」

「…………」

 

「……そうか……報告ご苦労。」

 

(後、一言だったではないか……)

 

 

 

 バンクスは、ハァ……と溜息をついてキルタナを見る

 キルタナに至っては平静で仕事を終えた感が漂っていた。

 

 

(こいつのお陰で軍船は壊滅したが、海兵は5割ほどの損失で済んだ。

 パーパルディアの異変にいち早く察知し、人員の半分は犯罪者や奴隷などで誤魔化した。

 パンドーラや他の参加国は、素直に従って10割全滅との報告もある。)

 

 

「日本国はこちらに進軍する気配は感じられたか?」

 

「いえ、報告の限りこちらには全く見向きもしませんでした。

 ただ、こちらの存在には気が付いていたような感覚があるという者もいました。

 さすがにパーパルディア皇国を相手取って二方面に戦線は持ちたくないのでしょう。

 当然ですが。」

 

「うむむ。パーパルディア皇国に勝る力を持つか……。

 我が国の立ち位置も考えなければならんな。」

 

 このまま座して待てば、パーパルディア皇国が勝利したときに何故援軍をよこさなかったと賠償金や奴隷を請求される可能性が高い。

 だからといって援軍を送れば、日本が勝利したとき次の矛先は我々だ。

 パーパルディアを降すのであれば、我が国に勝ち目はない……。

 

 

「キルタナ。どんな行動を取るのが最適だと考える?

 我がリーム王国は現状、危険な立ち位置にいると余は判断するが?」

 

(まぁ、こういうときにキルタナに頼るから態度を是正しろと言い難いのだが……)

 

「はい。国境線に一個大隊を送るべきです。」

 

「その心は?」

 

「まず、何もしないのは最も悪手。自国の国境内であれば、日本にも文句を言う権利はありません。

 何せ、彼らが国境線付近を戦場にしたのです。我が国に危険が無い事を確認できるまで兵を置く事に文句を言えるでしょうか?

 

 日本が優勢であれば何もせず終戦を待てば良く、パーパルディアが優勢となれば軍事行動を起こせば良いだけです。補給線を切る任に従事したといえば間違いではありません。」

 

「日本国が文句を言わない保障はあるのか? パーパルディア皇国は国境線に軍を置くことを一切許していないのだぞ?」

 

「例の和平交渉時はご覧になりましたか?」

 

「ああ……」

 

(お前も一緒に見ていただろう……)

 

「国のトップがああいう姿勢なのです。そして軍もそれに従っているようです。

 よほどのことが無ければパーパルディアのような傲慢な事は言わないでしょう。」

 

「では、軍の編成は任せる。よきに計らえ。」

 

「はっ!」

 

 

 

 

「……して、キルタナ。お前は日本とパーパルディア、どちらが勝つと予測する?」

 

 キルタナは少し考えた後――――

 

「正直わかりません。日本には不確定要素が多すぎます。

 ですが、第3文明圏の海軍全てを相手取って勝利する力、パーパルディア皇国の領土を切り取る力、

 結果だけ見る限り日本が勝つ可能性が高い――――かもしれない。といったところです。」

 

「その言い分では日本が勝つ様に聞こえるが?」

 

「今は、といった所でしょうか。

 総力戦となったとき、その力が何時まで続くか。そこが問題です。

 

 今は情報が欲しいところです。

 派兵する軍団にも危険の無い範囲で出来るだけ日本国と接触させて見せます。」

 

「うむ。頼むぞ。」

 

 

 

 

 ◆◆◆◆ バカル王国とリーム王国の国境線付近 日本軍拠点 ◆◆◆◆

 

 北から現れた軍団はリーム王国の一個大隊だった。

 

「北からリームの軍が来た。日本に報告してくれ!!」

 

 空を飛ぶ竜騎士から駐屯所に報告が飛ぶ。

 

「日本国、応答願います。

 こちら36駐屯所。こちら36駐屯所。

 北方に軍影あり。規模、一個大隊。」

 

 無線通信を通じて日本国の小隊の駐屯地へと報告を送る。

 

「こちら13駐屯所、こちらでも確認した。現在そちらに小隊を派兵している。

 防衛に徹してくれると助かる。」

 

 日本側も10分前に上空を通過した『E-767 早期警戒管制機』のお陰で事前に察知する事ができた。

 このタイミングならば地上部隊の接近までに36駐屯所にたどり着く事は可能。

 だが、空戦は……

 

 

 

 

「こちら、クワ・トイネ王国グリーンジャケット中隊である!!

 貴公の所属をお教え願いたい!!!」

 

 竜騎兵隊の隊長がリーム王国国境線ギリギリを飛び、大声を張り上げる。

 それに対し、リーム王国は――――

 

 

 虹色の旗。交渉を求める旗が揚げられた。

 

 

 ただ――――

 日本じゃないのか……?

 クワ・トイネって滅びたはずじゃ……?

 

 リーム王国軍は出鼻を挫かれたようだった。

 そんな中でも、命令どおり交渉の旗を揚げることが出来たのは錬度の高いことを証明するのに十分だった。

 

 




●リーム王国
人口1000万人。
政治形態は絶対君主制になったばかり。
人種は人間種をメインにドワーフ、獣人も生活する。
(6:2:2くらい)
主な産業は軍需産業で文明圏外に輸出している。
その所為でマオ王国が力をつけている一面もあるが……。
他の1次産業も国内で補えるだけの土地を持つ。

パーパルディア皇国からは、贅沢品や奴隷を輸入している。
魔法技術はパンドーラに大きく水をあけられているが
軍事技術はパンドーラを上回る。
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