パラレル日本国召喚   作:火焔

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【登場人物】
●パーパルディア皇国
レミール :皇女、外務局監査室所属。アッシュブロンドで長い縦ロールの美人。尚、爆乳。



31. レミールの決断

 ◆◆◆◆ パーパルディア皇国 皇都エストシラント? ◆◆◆◆

 

(ハァッ…… ハァッ!! やめろ! 追って来ないでくれ!!)

 

 レミールは必死で逃げる。

 背後からは何人もの男たちがレミールを追いかけてくる。

 

(あの時は貧弱だったのに……! どうして!?)

 

 そこそこの船に乗っているくせに弱腰の腰抜けだった日本人が、

 今では獣すら素手で引き裂きそうな程、凶暴になってレミールを追いかけている。

 

 レミールは必死で駆けるが――――

 

(やっ! やめろッ!!! 離せ!!)

 

 男達の方が足は速く、腕を掴まれて男達のほうへ引っ張られてしまう。

 非力なレミールは振りほどく事もできずに……

 

(嫌だっ!! 離してっ!!!!)

 

 男達はレミールを囲んで衣服をビリビリと破き捨る。

 そして裸に剥かれ、組み伏せられたレミールは――――

 

(いやぁぁぁあああああ――――!!!!!)

 

 

 

 

 

 

「ハァッ!! ハァ! ハァ……はぁ……」

 

 余りの恐怖にレミールは飛び起きる。

 そして自分の身体に触れて、無事な自分にあれが夢だったと実感する。

 

 

 ◆◆◆◆ 皇城 レミールの寝室 ◆◆◆◆

 

(喉がカラカラだ……)

 

 レミールはベッド付近の水差しに手を伸ばし、グラスで水を飲み落ち着きを取り戻す。

 尋常では無い寝汗に、黒い薄手のネグリジェは大量の汗を吸って、体にピッタリと張り付き身体のラインを強調してしまっている。

 そしてレミールは、水分がそれだけではない事にも気が付いてしまう。

 

(くっ……またか……)

 

 レミールは自分の股間の付け根部分に生暖かい水気を感じた――――

 そう、レミールはこの歳になって今日『も』おねしょをしてしまったのだ……。

 

 日本国が本格的な攻勢に出て海軍が壊滅した日から、日本人に追いかけられる夢を見るようになってしまった。

 最初は恐くて、夜に漏らしてしまった。

 だが成れとは恐いもので、数日後にはそこまでの粗相をしなくなっていた。

 

 しかし、日本がパーパルディア皇国の陸地を切り取り出してから

 夢の中の日本人の人数が増え始め、凶暴な様相になっていき、徐々レミールに追いついてくるようになった。

 

 そして、数日後には腕をつかまれるようになり、その数日後には腕を振りほどけなくなるほど強くつかまれるようになり、その次は周りを囲まれて逃げ場を失い、その次は衣服をビリビリに破り捨てられ裸に剥かれ、その次は男たちに組み伏せられ、

 

 

 

 そして最後まで――――

 

 

 

 そんな風に徐々に追い詰められてしまえば、粗相をしてしまうのも仕方が無い。

 

(今日は複数の男たちに……更に酷かった……)

 

 レミールは頭を振って夢の内容を頭から追い出す。

 レミールは毎日夢の中で少しずつ進んでいく事態の所為で不眠症になりかけていた。

 だが、精神は毎日疲弊していくため、寝たくなくても意識が飛んでしまう。

 

(どうすればいいんだ…………)

 

 恐怖で鼓動が張り裂けそうなほどに大きく早く脈打つ。

 レミールは、びっしょりと濡れた自分の様相など気にしていられるほど冷静ではいられなかった。

 

 

 

「レミール様」

 

 部屋の外からレミールを呼ぶ声が聞こえる。

 外では侍女達が気を使って自分の名を呼ぶだけに留めてくれる。

 侍女達は最近の自分を知っているため、何かあったかなど聞こうとしないていてくれる。

 

「構わない、気付けをしてくれ」

 

「失礼します。」

 

 こんな精神状態でも、18才にもなったのにおねしょをしてしまったの現場を見られるのは恥ずかしく、レミールの顔は羞恥で赤く染まる。

 侍女達は何も気がついてない様に振舞ってくれて、寝汗と粗相で濡れてしまい身体にピッタリと張り付いたネグリジェを脱がし、一級品のタオルで身体を清め、新たなショーツなどの下着を穿かせてくれる。

 一部、誤魔化したいところではあるが、皇女ともなれば自分で着替える事はない。

 身なりを整えるのは侍女の役目であるからだ。

 

 そして、マリンブルーのドレスを身に纏い装飾品でその身を飾る。

 

「ありがとう。ご苦労だった。」

 

 

 

 

「ごちそうさま。すまないが、少し外出してくる。」

 

 レミールは朝食を終えた後、皇城を逃げるように後にする。

 そして、人気の無い裏路地へと――――

 

 レミールは海軍壊滅の後、皇城に居辛くなってしまった。

 真実はレミールを責める者は誰も居らず、レミールの被害妄想ではあるのだが致し方ないといえよう。

 

 そして、レミールは皇国民の目からも逃げる。

 大切な臣民を失ってしまった故に国民に顔向けが出来ないでいる。

 

 その結果、僅かな侍女を連れて裏路地に逃げ込むようになってしまった。

 裏路地といいながらも危険が無いのは、皇都エストシラントの治安が非常に良いからだろう。

 

 レミールは今日も薄暗い日陰の道を歩く。

 まるで自分に相応しい場所ではないかとさえ感じてしまう。

 今日までは――――

 

 

「失礼、貴女はもしかしてレミール皇女殿下では?」

 

 背後から男の声に呼び止められる。

 臣民に呼び止められたと思ったレミールは臣民に心配をかけぬよう優しい笑顔で振り返った――――

 

 だが、その表情は『ピシリ』と音を立てて固まった。

 

 

「な、何故……。こ、こんなところに…………」

 

 

 

 ◆◆◆◆ とある場所 ◆◆◆◆

 

 ――――少しときは遡る

 

「マジやるんスか……?」

 

「降りるなら構わない。俺は自分の心に従うと決めたんだ。」

 

「俺は社長に付いていきますよ!俺の人生はこのためにあった。そう思ってます。」

 

「俺も付いてくって決めたッスけど……此処からどうします?」

 

 3人の日本人男性はどうやってか分からないが、パーパルディア皇国までやってきた。

 彼らはとある撮影事務所の社長と俳優とカメラマンだった。

 彼らはとある絵を取るために命がけでパーパルディア皇国まで来たのだ。

 

 やろうとしている事は非常に馬鹿なこと。

 だが、三人のバカはそれに命をかける覚悟を持っていた。

 

 『三人寄らば文殊の知恵』

 『女三人寄れば姦しい』

 

 三人集まれば一人よりも大きなことができる。

 そして、バカが三人集まるととんでもない事が起きてしまう。

 

 

 

「近くの村で馬車と御者を雇えれば……あるいは。」

 

「パーパルディア皇国民は愛国者が多いそうですし……」

 

「そこはな、偉大なるパーパルディア皇国の皇都エストシラントを一目でもいいからこの目で見たいとか、上手い事取り繕うんだよ。

 ヨイショするのは得意だろ?」

 

 日本人はしょうゆ顔なので異世界の顔と雰囲気が異なる。

 そのまま入国は出来るはずはない。だが、諦めるつもりは微塵にも無い。

 

 

 

 

「意外と上手くいったっスね」

 

「俺らみたいな変なヤツ、皇国にもいるんだな。」

 

「普通に金でなんとかなるなんて……俺、頑張ったんだけどなぁ……」

 

 ロデニウス硬貨が思った以上に力を発揮してくれて、皇都に荷を運ぶ馬車の木箱の中に隠れさせてもらえた。

 物資が不安定なんだってよ。まぁ、戦時中だから仕方ないんだろうな。

 

 その原因は日本軍なのだが、彼らはそのことを知る由もない。

 皇都に侵入できるチャンスになったラッキーな事態という事くらいしか思ってない。

 

 御者になってくれたパーパルディア皇国民は、

 先の海戦で息子を全員失ってしまい、愛国心が厭戦感情で揺らいでしまっていた。

 だから、妻と娘たちを養っていく金が必要だった。

 

 

 

 皇都に着いた3人+1人(御者)は裏路地へと移動する。

 表を歩く事なんてできない事は分かっていた。

 そして、ここまで来ても目的達成の望みは万が一以下である事も理解していた。

 だが、それは歩みを止める理由にはならない。

 何故なら彼らはバカだからだ。

 

 そんな彼らに奇跡が起こる。

 まさかとは思うが、日本人が殺害された事件で見たときの姿を、後姿を忘れる事は一度も無かった。

 

「失礼、貴女はもしかしてレミール皇女殿下では?」

 

 

 

 

 ◆◆◆◆ 皇都エストシラント 裏路地 ◆◆◆◆

 

「あぁ……、もう此処まで……」

 

 レミールは日本人が皇都にまで入り込んでいること、そして悪夢のフラッシュバックで腰を抜かしてしまう。

 

「あ、すみません。驚かせるつもりは無かったんですが……」

 

 このやけに物腰の低い態度、間違い無い日本人だとレミールは確証する。

 それは恐怖が心に宿るのと同義でもあった……

 

 ショワァァァ――――

 

 静かな裏路地に水分の排泄される音が聞こえる。

 言わずもがな、レミールが漏らしてしまった。

 悪夢の光景と似てしまっているのだ。仕方が無い。

 

 そして日本人の3名も視線で気付いてない振りをしようとアイコンタクトとった。

 

「急に失礼します、わたくしはこのようなもので御座います。」

 

 撮影事務所の社長はレミールにこちらの世界の文字で書かれた名刺を差し出す。

 レミールの侍女がそれを受け取り、異常が無いことを確認してからレミールに渡される。

 

 

「馬鹿杉えーぶい事務所??」

 

 

 そう、こいつら3人はレミールでAVを撮影したいがために、命をかけて敵国のど真ん中までやってきたのだ。

 それほどまでに3人はレミールに魅入ってしまった。

 

 成功する可能性は限りなく0。

 成功しても敵国の皇族だ、彼らは日本で捕まり死刑になる可能性も十分にある。

 だが、彼らはそれでも構わないと覚悟を決めたバカ達だった。

 自分達はレミールを映像作品にするために生まれてきて此処に集った。

 本気でそう信じているのだ。

 

「はい。私たちは少し特殊な動画を撮影し、世界にその素晴らしさを広め、後世に遺す使命を背負っています」

 

「お前たちは私を捕えに着たのでは無いのか?」

 

「いえ、皇女殿下御自ら足で動いていただく必要があります。

 無理やりではいけないのです。」

 

 

 レミールは日本人たちの行動を理解できないでいる。

 そもそも一度も理解した事がないのだ。分かるはずもない。

 

 

「はっきりと言え。私に何をさせたい。」

 

「公共の場ではっきりと申し上げる事は難しいのですが……」

 

 社長が内容を説明するとレミールの顔が怒りと羞恥で真っ赤に染まっていく。

 

「それを私にしろと……?」

 

 ここで馬鹿杉社長は嘘を付く。

 

「はい。レミール皇女殿下が自らの意思で引き受けてくだされば、ルディアス皇帝陛下の身とパーパルディア皇国民の安全は保障されます。」

 

 実際レミールが拒否しようが、日本国は殲滅する気はないので保障されるのだがそのことをレミールは知る由もない。

 

(私が……それだけの屈辱を……? だが、これが事実ならば……陛下の身の安全の対価に釣り合う…………臣民の身の安全の対価に釣り合う…………

 それに……)

 

 

 3人の日本人の後ろに隠れるように、臣民が一人いることにレミールは気が付いていた。

 自分は臣民に売られたのだと……。

 

 

 

 レミールはきっと今までで一番考えただろう。

 だが、自身の頭脳がそこまで良い訳ではない事も知っている。

 ならば、心に従うまで。

 

「わかった。陛下と臣民の安全を……必ず守ってくれ。」

 

「はい。ただ、パーパルディア皇国民の全ての命までは保障しかねます。

 この戦いで少しばかり命を落とす事もあるかもしれません。」

 

「それはわかっている。」

 

 

 レミールと同行していた数名の侍女を連れて、社長達は皇都エストシラントを後にする。

 レミールも侍女も普通に皇都の外に出る事は出来ないため、木箱の中だ。

 

 

(まるで身売りをしている女の様だ……これが私の最期か……。陛下、汚名を返上する機会を今此処で……!)

 

 

 この決断が後に重大な影響を与える事になるとは、この世界で誰一人として知る者はいない。

 

 

 

 

 




AV女優……日本のようにそういうものがあって市民権を得ているのであればまだしも
そんな概念すらないレミールにとって、どういう印象を受けたのでしょうね。
それはどんな影響を世界に与えるのでしょうか?

追伸:
いつも誤字報告有難う御座います。
ほぼ毎回どこかにあるなんてなぁ……
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