(完結)ルート2027(初代デジモンアドベンチャー)   作:アズマケイ

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第101話

「いかん、アポカリモンが本性をあらわしおった!はやく逃げるんじゃ、選ばれし子供たちよ!このままでは精神と肉体を分離されて精神だけ取り込まれてしまう!やつはこの世界に存在するすべての物体を消滅させる気じゃ!」

 

ゲンナイさんの悲鳴にも似た叫びがこだまする。そしてデジタルゲートが開かれた。なんでも北の空から広がり始めた暗雲から硫酸に似た物質を含んだ雨がふりはじめているというのだ。デジタルワールドのなにもかもをとかし、レジスタンスたちのデジコアやデータチップといったものが内側からさらに生まれようとしている世界の亀裂に飲み込んでいるというのだ。生命のほとんどが死に絶える。死骸もほとんど残らない。そんな地獄絵図になりつつあるのだという。

 

「でも、姉ちゃんが!姉ちゃんが!お姉ちゃんがっ!ムーン=ミレニアモンに!」

 

「ジュンさんを助ける為にも今は逃げなきゃダメだよ、大輔くん!」

 

賢が大輔の腕を掴む。

 

「でも!でもっ!おれ、おれ、またお姉ちゃんのこと助けられないなんて嫌だ!ムーン=ミレニアモン倒さないとお姉ちゃんがっ!!」

 

「気持ちはわかるけどはやく!」

 

「やだ、やだ、お姉ちゃん!」

 

「大輔さん!」

 

「お姉ちゃん!!」

 

大輔の悲痛な叫びが響いたとき、大輔のディーターミナルがまばゆい光を放った。それは黄金のデジメンタルと融合していたマグナモンの姿を変えていく。黄金のデジメンタルが大輔のもつ特異な能力と呼応して突然変異を起こしたのだ。それは刻まれていた紋章をそのままにデジメンタルを構築しているデータと大輔のお姉ちゃんを助けたいという気持ち、ムーン=ミレニアモンを倒さなければならないという決意が引き起こした。

 

「これは……デジメンタルが紋章になったじゃと!?」

 

それはブイモンのヴァリアブル機能に設定されていた究極体の進化経路を無理やりねじまげた。光に包まれたマグナモンがヴァリアブル機能によりアーマー進化を一度リセットし、通常進化という形で究極体という新たなる進化経路を開拓する。

 

そこにいたのは誰も見たことがないデジタルモンスターだった。白いマントがゆらめいている。黄金色の意匠が美しい漆黒の鎧に身を固めたそのデジモンは、マントが一瞬にして変化した背中の翼を広げて飛翔する。そしてムーン=ミレニアモンの前に立ちふさがった。

 

上空に巨大な魔方陣が展開される。

 

「デジタライズ・オブ・ソウル!」

 

異次元の彼方より伝説と謳われるデジタルモンスターが降臨する。

 

「あいつ!」

 

「VRデジモンでいたやつだ!」

 

「でも黒くない!」

 

「もしかして、あれがオリジナルのデジモンなの!?」

 

「……ブイモン……」

 

大輔の呼びかけに赤い目が細められる。黒い鎧のデジモンも異次元から召喚されたデジモンも大輔をみてうなずいた。

 

黒いデジモンが謎の光を放ちながら両手から魔法陣を形成し、ムーン=ミレニアモンの攻撃を完全に防ぎきる。まるでムーン=ミレニアモンの攻撃が初めからわかっているかのように身をかわし、異次元からきたデジモンに結界をはる。そして魔法陣がムーン=ミレニアモンを包み込んだ。

 

大輔たちはなにがおきたのか全くわからなかった。気づいたらムーン=ミレニアモンが分離してミレニアモンが2体上空に浮かんでいるのが見えたのだ。

 

「えっ、えっ、なにをしたの!?」

 

「まさか強制的にジョグレスを解除したのか!そんな馬鹿な!信じられん!」

 

そして正体不明のデジモンが白い翼をはためかせて、ミレニアモンたち目掛けて突撃する。

 

「あれはまさかオメガブレード!?」

 

「でもオメガモンのより大きいですよ!?」

 

「なにあれ!」

 

「すごい……」

 

そこにはオメガモンの愛刀であるはずの聖剣オメガブレードが振りかざされる姿があった。デジモン文字のアルファベットで『initialize』(初期化)と刻まれている聖剣“オメガブレード”。

 

それがミレニアモンたちを一刀両断する。2体のキメラモンと1体のムゲンドラモンに強制分離させられ、さらにそれぞれのパーツが解体され、断末魔を残して虚空に消えた。だがあと一体、ムゲンドラモンだけは一気に原型をなくして溶けていく。どうやらこちらが本体だったようで、ダークマスターズのムゲンドラモンがジョグレス先だったようだ。

 

黒いデジモンと正体不明のデジモンがオメガブレードでトドメをさそうとするが、逃げられてしまった。

 

そして。

 

召喚魔法のリミットを迎えたのだろう。オメガブレードの持ち主は光の向こうに消え、黒いデジモンは一気に退化していく。大輔はあわててチコモンを抱きしめた。

 

「だいしけ......だいしけ、ごめん。あいつ倒しきれなかった......ジュンが、ジュンが......」

 

チコモンの言葉に大輔たちは血の気がひくのだ。

 

「あいつ、殺されそうになるたびに進化して免れてるよ、だいしけ。普通の方法じゃ倒せない」

 

「そんな、じゃあ、姉ちゃんは?」

 

「わかんない......わかんないけど、あいつ倒さないと......!」

 

「姉ちゃん......」

 

「大輔くん、1回戻ろう。ジュンさんとベルフェモンを助ける為にも、僕達はまだやられる訳には行かないんだ」

 

今にも泣きそうな顔をしている大輔を賢が手を引く。京たちはあわててデジタルゲートをくぐって離脱したのだった。

 

 

 

 

 

 

ミレニアモンにより次々に亜空間に転送されたグラップレオモンたちはジュンとベルフェモンをみたという。

 

「だがあいつが現れた」

 

「見たことがないデジモンだったわ」

 

「きっと究極体だ。満身創痍の我々が叶う相手ではなかった」

 

「ごめんなさい、あなたのお姉ちゃんだったのね」

 

そのデジモンはミレニアモンの作った亜空間にデジタルゲートをつくり、侵入してきたのだという。

 

「デーモンと名乗っていたわ」

 

「やつは自分でデジタルゲートを構築できるみたいだったぜ」

 

「VRデジモンとは違って本物のデジモンだったわ。ミレニアモンに連れてこられたわけでも、復活させられたわけでもないみたい」

 

その言葉に反応したのはゲンナイさんだった。ジュンから未来のデジタルワールドについて話を聞いた時に有名どころの勢力について話を聞いていたのである。

 

「まさか、パラレルワールドのデジモンがアポカリモンの力、暗黒の力を狙って現れたのか!」

 

誰もが息を飲んだ。ジュンとベルフェモンが狙われた理由がピンポイントでわかってしまう。

 

「いかん、治を現実世界に戻してデジタルワールドから隔離せねばならん!また狙われてしまうかもしれん!アポカリモンが打ち込んだのはおそらくワシを蝕んでおる暗黒の球体と同種のものじゃ!」

 

その一言で選ばれし子供たちはパートナーデジモンと共にデジタルワールドから強制離脱することになってしまった。アポカリモンの侵食はデジタルワールドイリアスを飲み込まんと拡大し続け、こちらの世界のデジタルワールドにまで影響を及ぼしつつあるが、建て直しが必要だったのだ。

 

ゲンナイさんは語り出す。パラレルワールドには七大魔王という多くの悪魔型デジモンや堕天使型デジモンを率いる恐ろしい魔王型デジモンたちがいると。

 

その中でもデーモンは元々はデビモン等と同じく天使型デジモンであり、その中でも特にレベルの高い存在であった。しかし、デジタルワールドの善の存在(恐らくはデジタルワールドを構築した人間)に対して、反逆あるいは猛威を振るったためダークエリア(消去されたデータの墓場)へとデリートされてしまった。彼等は、いつの日かデジタルワールドを征服し、善の存在への復讐を誓っている。また、その反逆戦争のために力を蓄えているらしい。

 

「アポカリモンによる影響でデジタルワールドにはウィルス種が激減しておるんじゃ。そのせいで光と闇のバランスが崩れ、非常に不安定な状況が続いておる。だからこそジュンのパートナーであるベルフェモンには、アポカリモンから解析されたウィルス種データの7分の1を取り込んだ状態で守護デジモンをしてもらっておった。そのおかげでここまで復興が進んできたんじゃが、今また著しく光に世界が傾いておる」

 

ゲンナイさんはためいきをついた。

 

「パラレルワールドでは、七大魔王は力を弱体化させるために平行世界に同じやつが存在しておるらしい。ワシらの世界は七大魔王などの勢力がまだ生まれておらん。全盛期のころの七大魔王のデジタマがあるわけじゃ。それをすべて捕食するつもりなのかもしれん」

 

「待ってくれよ、ゲンナイさん!じゃあ、姉ちゃんは?ベルフェモンは!?」

 

「ジュンはベルフェモンのパートナーじゃ、引き離したらベルフェモンが弱体化することをデーモンはしっておるらしい。でなければ連れ去るとは思えん」

 

「そんな」

 

大輔は崩れ落ちた。

 

 

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