(完結)ルート2027(初代デジモンアドベンチャー)   作:アズマケイ

102 / 160
第102話

賢たちは離脱する寸前にVRアポカリの1部になるはずのミレニアモンの残滓がVRアポカリを取り込むのを見た。強大ななにかだったはずなのにだ。所詮ミレニアモンが生み出したコピーだからかもしれない。その報告ついでにいうのだ。

 

「平行世界の僕がいってたんです。ミレニアモンは遼さんのパートナーデジモンだって」

 

賢の言葉の意味が一瞬誰もわからなかった。ミレニアモンが?遼の?なんだって?パートナー?デジモン?ミレニアモンが?あのミレニアモンが?

 

「もしかして何度も復活して攻めてくるのは一緒にいられないから絶望して?」

 

「私に生まれた瞬間から死ねといっているも同然ではないか。生存本能が私の原動力だ」

 

みんな一斉に治をみた。

 

「命の選別をするとは、貴様は神か?仏か?なにを思い上がった勘違いしているのだ」

 

「兄さん?」

 

「当たってるかもしれないぞ、賢。ミレニアモンは確かにこういってたからな」

 

「ミレニアモンが僕の......」

 

「なんだよなんだよ、じゃあなんでデジタルワールド滅ぼそうとしてんだよ」

 

ストライクドラモンが治に聞く。

 

「ちがう……」

 

「遼?」

 

「違うんだ、ストライクドラモン。ミレニアモンは生まれた瞬間からデジタルワールドに拒絶されるレベルの強大な力があるんだ。ダークマスターズだったデジモンとキメラモンの融合体だから……」

 

「なんだってミレニアモンだけ遼のパートナーなのにんなことになっちまったんだ?」

 

「しらないよ!」

 

「落ちつかんか」

 

ゲンナイさんは息を吐いた。

 

「お前さんたちに話すにはまだ早いと思っておったんじゃが、話さなければならないな。進化を否定する概念の正体について。それは人間の進化を否定する概念じゃ」

 

「?」

 

「パートナーデジモンという存在はデジモンとは違う生体をしておる。パートナーたる所以はそこにある。デジタルワールドという異世界にいるもうひとりの自分、それがパートナーデジモンの正体じゃ。人間の進化は物理世界においては限界を迎え、精神世界における進化を選んだ。其の結果生まれたのがパートナーデジモンたちじゃ。離れ離れになったら弱くなるのは当然じゃ、2人で1人なのじゃから」

 

「待ってよ、それってアポカリモンがいってる神様がどうとかっていう話と一緒じゃないか!」

 

「そこまではわからん」

 

「でも!」

 

「もしそれが正しいのだとして、物理世界を捨て精神世界に生きるということは、デジタルワールドに移住することになるんじゃぞ?あるいはパートナーデジモンと強制的に融合することかもしれん。それは独立した人間とパートナーデジモンの緩やかな繋がりを真っ向から否定するものじゃ。だいたいどうあるべきかなどというものは、他者から上から目線で強制されるべきものではない。ワシらは人間と共生する道を選ぼうとしておる。真っ向から対立する概念じゃ、受け入られるわけがなかろう」

 

ゲンナイさんはいうのだ。

 

「アポカリモンの向こう側にいる声の主こそがおそらくはアポカリモンの封印を解いた張本人じゃ、ミレニアモンを操っておるのもまた」

 

みんな、息を呑む。

 

「ダークマスターズももとはアポカリモンから生まれた存在じゃ。もしかしたら遼のパートナーは古代デジタルワールド期にチョコモンのように巻き込まれて死んだデジモンなのかもしれん。たまたまダークマスターズとして形を取り戻すことができたから意識が浮上したのかもしれん」

 

「だから、死にたくないって?」

 

「パートナーデジモンの概念は今のデジタルワールドの人間の進化を肯定する概念の根幹となっておる。過去現在未来全てに適応されておるのじゃ。だからこそ古代種のパートナーデジモンが生まれる。先に生まれたのにパートナーデジモンになれる」

 

大輔たちは自分のパートナーをみた。

 

「じゃあ、ミレニアモンは」

 

「おそらくミレニアモンがいう最初の世界ではダークマスターズにキメラモンたちがおったんじゃ。そやつらが転生して遼のパートナーとなるはずだった。ただ、なんらかの事情で出会うことができなかった」

 

「……アポカリモンの封印がとけないとか」

 

「解析が進まないか、封印すべきとデジタルワールドが判断したか」

 

「そんな。じゃあ、あいつ、受け入れてくれる世界をずっと探してるのかよ」

 

重苦しい沈黙がおりた。

 

「ミレニアモンは遼と同一の存在なんだろ。じゃあ、生きてる限りミレニアモンもまた存在し続けるんだ」

 

「治くん」

 

「ゲンナイさんのいうことは当たってる。ミレニアモンの思念の1部が流れ込んできてる。気を強く持たないとミレニアモンに意識を乗っ取られてしまいそうだ。すごいな、パートナーデジモンと選ばれし子供の絆ってのは。本人達すらどうにも出来ないくらいに振り回されてる」

 

「……」

 

「助けたいって思ってるんだろ、遼」

 

「そりゃ、そりゃそうだよ、あたりまえだろ!こんな話聞かされたらさ!でもどうしろって言うんだよ、あいつ倒さないとジュンさんたちもデジタルワールドも助けられないんだぞ!!いきなり言われても困る!」

 

「ならそれごとムーン=ミレニアモンにぶつけてこいよ」

 

「えっ」

 

「いつもの遼ならごちゃごちゃ考えるより先にやってるはずだ。違うか?」

 

「……ちがわない」

 

「ならいってこいよ、お前にはパートナーデジモン候補が既にいるんだと発破をかけてやれ。そしたら少しはミレニアモンの本音が聞こえるかもしれない」

 

「治くん……」

 

「そうだよ、そうだよ、遼さん!もしミレニアモンが遼さんのパートナーデジモンになれたらきっとこんなこともうやめてくれるはずだ!」

 

「賢……」

 

「遼にあうために何度も死んでは復活を繰り返し、そのたびにミレニアモンが強化されるならばその動機をとめてやればいい。たしかに一理あるわい」

 

「ミレニアモンがミレニアモンじゃなくなれば、世界の改変は元に戻るんだ。だから、デジタルワールドイリアスもミレニアモンが侵攻してくる前の姿を取り戻すと思うよ。僕達この目で見たんだから」

 

ワームモンの言葉にワイズモンたちの瞳に光が宿る。

 

「それはほんとうか?」

 

「ああ、それは保証しよう。ワシらの世界も去年の大晦日にデジタルワールドイリアスのような状況に陥った。そして、遼たちが世界を救ってくれたんじゃ」

 

ワイズモンたちはそういうことなら協力させてくれと申し出た。

 

「そういうことならオレたちも混ぜてくれよ」

 

「待たせたな、みんな」

 

「太一くん!ヤマトくん!」

 

「ディアボロモンたちのデータ、みんな回収できたよ!」

 

「アーマゲモンっていうデジモンになっちゃったけど、ホーリードラモンとセラフィモンがね、聖なる力を全部渡したらオメガモンが新しくなったの!それでね、それでね!」

 

光とタケルが容量いっぱいに詰め込まれたクラモンのデータチップの山をもってきた。オメガモンにより初期化された結果、元に戻った膨大な数のクラモンたちはエージェントや他の国の選ばれし子供たちが必死にネットワークを通じて支援してくれた結果、回収出来たらしい。

 

「正直取りこぼしが怖いが後始末はほかのエージェントたちに任せてきてもらったんじゃ」

 

ゲンナイさんは早速太一たちに今に至るまでの事情を説明するのだ。

 

「もしかしたらディアボロモンもVRデジモンだったのかもな」

 

「そういやなんで復活したのかまでは考えてなかったもんな。あの時初期化したデータはゲンナイさんたちが回収したはずだし。ってことは初めっから罠かよ、ちくしょー!」

 

「オメガモンの力を使われるとジョグレスを強制解除出来るからな……」

 

「なんかいっつもこうだな、ミレニアモンのやつ!平行世界のオレたちと戦ったことがあるからなんだろうけど1回くらいちゃんと戦えっての!」

 

「太一くん、ヤマトくん」

 

「うん?」

 

「なんだ?」

 

「その最初の1回目のちゃんとした戦いになるかもしれない。これから一緒に戦ってくれないか?」

 

遼の言葉に太一とヤマトは目を合わせ、そして頷いたのだった。

 

「やられっぱなしは癪だもんな」

 

「ミレニアモンを元に戻す方法はよくわからないけど、やるしかないよな。本音さえ聞ければなんとかなるかもしれない」

 

うむ、とゲンナイさんはうなずいた。

 

「今、デジタルワールドは2つに分割され、片方はミレニアモンの手に落ちておる。もう片方の世界をミレニアモンが侵食してくるのは時間の問題じゃ。2000年問題の社会不安を背景に力が強くなっておるミレニアモンのことじゃ、おそらく今年の大晦日に動きがあるはず。それに備えよう。みんな、疲れておるじゃろう。今日は一回帰りなさい。戦いは始まったばかりなのじゃから」

 

Xデーはあと6日。みんな緊張した面持ちでうなずいた。

 

「治の治療にはデジタルワールドにいてもらった方がいいんじゃが、デーモンが襲撃してくる可能性がある以上現実世界で待機してもらった方がいいじゃろう」

 

「わかりました」

 

「そこでじゃ。デジタルワールドの時間を司っておるそこのコクワモンも連れて帰ってもらえんか」

 

「えっ」

 

「正気ですか、ゲンナイ爺」

 

「正気じゃとも。お前さんまで敵の手におちたらクロックモンになって時間まで操られてしまう。そうなれば完全に詰みじゃ。じゃから、治の暗黒の球体の侵食を抑える空間を部屋にはらせてもらう。そこを居住スペースにしてもらおう」

 

「わかりました。よろしくな、コクワモン」

 

「私は人間には馴れ合わない性分だが異常事態だから仕方ない。世話になるぞ一乗寺治」

 

「ああ」

 

コクワモンはうなずいた。

 

「姉ちゃん……」

 

行方不明になってしまった姉が心配でたまらない大輔は今にも泣きそうな顔でチコモンを抱きしめたのだった。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。