(完結)ルート2027(初代デジモンアドベンチャー)   作:アズマケイ

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Vテイマー01編
プロローグ


プロローグ

1946年2月14日、フィラデルフィア大学において世界初のパーソナルコンピュータ、ENIACが公開起動した。その同時刻、ENIAC内にある自己学習能力をもったウィルスが入り込み、様々な情報を取り込んで生命体となった。その生命体は情報を取り込んでは新たな姿を獲得し、すさまじい勢いで数を増やしていき、やがてサーバたるENIACまでウィルスに感染した。ENIAC自身が意志を持つにいたり、やがてその生命体たちの世界を作り上げることになる。

 

その生命体はいつしかデジタルのモンスター、通称デジモンと自称するようになった。そして、彼らが住む世界デジタルワールド、もしくはデジモンワールドは、このような経緯で誕生したネットワーク上に存在する仮想空間である。

 

原始のデジタルワールドは、ENIACによりデジモンをより生き物に近づけるため島や大陸等を作るためのプロジェクトが計画された。その結果、デジモン同様に“ビジュアル”化された「デジタルワールド」が誕生した。

 

そして、今やデジタルワールドは様々な次元に存在する異世界の数だけサーバをかえて数を増やしていった。いずれもホストコンピュータ内にあり、人工知能により管理・統制が行われている共通点があった。

 

そして、どの「デジタルワールド」も、ENIACが分かりやすく管理するため、人間の住む“地球”と同じような姿をつくった形やシステムを踏襲している。島や大陸は違えどその内部構造や法則も地球とほぼ同様の姿をしている。

 

その内部はとてもデータできているとは思えないほど、リアルな作りになっているといわれている。

 

デジタルワールドは、「ネットの海」と呼ばれる領域が大半を占め、その上に陸が浮かんでいる。初期に作られたのは「ファイル島」と「フォルダ大陸」の2つだけであるが、その他にも島や大陸は存在する。

 

 

「フォルダ大陸」は、ファイル島とは比較的近距離にある。しかしファイル島には存在しない“究極体”デジモンが存在し、成長期程度のデジモンですらファイル島の完全体ほどの力を持つものさえいる。大陸であるためファイル島の数倍の大きさを誇る。

 

大陸の南に位置し、昆虫デジモンなどが多く住み、豊かな自然が広がるスピリチュアルランド。大陸の西に位置し、砂漠地帯や草原が広がるガーディアンサバンナ。大陸のほぼ中央に位置し、デジモンの墓、不気味な古城などがあるナイトメアフォレスト。大陸の東に位置し、大峡谷に立つ工場地帯メタルエンパイア。そしてフォルダ大陸の近海セイバーズベイと主に5つのエリアに分別される。

 

フォルダ大陸は未だに未知の部分が多い大陸である。

 

ジュンはその未知の部分であろうナイトメアフォレストにある不気味な城の地下からいけるダークエリアにいた。

 

ベルフェモンの領地を通じてデジタルワールドのデータバンクに不正アクセスを繰り返していたために、案外ダークエリアという場所に忌避感はなかった。

 

ダークエリアはまさしく地獄なのだ。厨二病を発症していたころによくお世話になっていた地獄の門をくぐって地獄の底にまで降りていくと、死後の罰を受ける罪人たちの間がたくさんある。

 

ダークエリアは、漏斗状の大穴をなしてデジタルワールドの中心にまで達し、最上部の第一圏から最下部の第九圏までの九つの圏から構成される。

 

かつてルーチェモンたちが神に叛逆し、地上に堕とされてできたのがダークエリアの大穴であるらしいのだが。

 

「まだルーチェモン生まれてないのにあるのがびっくりよね」

 

ダークエリアは罪に応じて、亡者が各圏に振り分けられている。階層を下に行くに従って罪は重くなり、比較的軽い罪と重罪の領域に分けられている。

 

 

ちなみにデジタルワールドにおいて最も重い罪とされる悪行は「裏切り」で、地獄の最下層コキュートス(嘆きの川)には裏切者が永遠に氷漬けとなっているとされている。

 

「あるのはデジタマだけだもんねえ。これから生まれながらの大罪人が生まれるわけだ」

 

不思議な気分だった。このデジタルワールドでは四聖獣のようなデジモンがいないため、アポカリモンの転生体はこうして孤独に誕生を待ちわびているのだ。

 

肝心の七大魔王たちがいないのにすでにダークエリアがある違和感である。

 

「この門をくぐる者は一切の希望を捨てよとは考えたもんよね。まったくもってその通りだもの」

 

ジュンはため息しか出ないのだ。

 

ジュンは今ダークエリアの最深部、

第九圏 裏切者の地獄 - 「コキュートス」(Cocytus 嘆きの川)と呼ばれる氷地獄にいる。涙も凍る寒さに歯を鳴らすのだ。

 

ちなみにダークエリアは5つの川で取り囲まれており、おそらく一番有名なのがステュクスで、他にプレゲトーン、レーテー、アケローン、そしてコーキュートスがある。その物悲しげな流れのあたりから聞こえてくる号泣の声にちなんで名づけられたコキュトス河というらしい。

 

ここが悪魔・暗黒系のデジモン達の頂点に立つ七体の魔王の領地にして。寿命を迎えたり戦いに敗れて消滅したデジモンが送られるダークエリアの最深部コキュートスである。

 

「そうだろう」

 

デーモンは憤りを隠しもしない。

 

「その余りに強大な力から、ワシは生まれた瞬間から全ての平行世界に存在させる事で力を分散させられているのだ!挙句の果てに闇と光のバランスを保つために利用されているのだ!」

 

デーモンは憤怒の雄叫びをあげる。

 

この世界で最初に生まれたらしい七大魔王は、生まれた瞬間から神との戦争に敗北して堕天したという存在に貶められていることに激怒しているのだ。転生前の敗戦処理とばかりに罪を背負わされていることが我慢ならないらしい。

 

「だからワシは考えたのだ。行われてすらいない全面戦争の敗北者がワシらなのか一方的な決めつけに対する反駁をな!」

 

手始めにこのデジタルワールドを管理するゲート管理者を吸収し、平行世界の七大魔王を取り込みながら全盛期の姿を取り戻すべく暗躍しているらしい。ある世界で七大魔王が滅びると結果的に光に世界が傾きすぎて滅びてしまい、デーモンにも還元されるというのだ。

 

「そしてワシはお前達の世界を見つけたというわけじゃ。原始のデジタルワールドへのアクセス権がまだのこっていて、七大魔王という概念がまだ生まれず、全盛期のワシらがデジタマとして眠るお前達の世界を!」

 

それは狂気に充ちた歓喜だった。

 

「なるほど、アンタは完全体になるためにアポカリモンの構成データのうちウィルス種のデータを欲しているってわけね」

 

「そう。まずはお前の持つ知識とテイマーとしての才能をみこんで、七大魔王の卵を返すため協力してもらおう」

 

「人のパートナーデジモン人質に協力もクソもないじゃないの」

 

「なに、簡単なことだ。今、ワシの闇の力の増大によりホーリーエンジェモンの光の力も極端に少ない増しておる。それでワシは考えた。過剰に光の勢力を召喚すれば、この七大魔王の卵もかえる。その時がワシの力の礎となるのだ!」

 

「え、最終戦争を仕掛けるなら仲間がいた方がいいんじゃないの?」

 

デーモンは高笑いした。

 

「仲間なんぞ必要ない!他者がいるから内部争いに権力闘争、いらぬ諍いに足を引っ張るのだ!すべてワシに権力が集中するようにするまでよ!」

 

ジュンは肩を竦めた。ベルフェモンは今デーモンにより七大魔王の卵を孵すための動力源となってしまっているのだ。対応を誤ればさきは見えている。ジュンはわかったわと頷くしかなかった。

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