(完結)ルート2027(初代デジモンアドベンチャー) 作:アズマケイ
「お前がヤガミタイチか?」
「誰だ」
「オレは七大魔王の1人、ベルゼブモンだ」
「なっ?!」
ホーリーエンジェル軍がざわめいた。デーモン城に潜入するために必要な5つのタグを集め、エアロブイドラモンに進化したゼロマルに乗り、いざゆかんとしていたタイチの前に究極体が現れたからだ。しかもデーモンが復活を目論む七大魔王の一体だというのだから警戒して当然である。
「さがしたぞ」
「なんのつもりだ、お前!」
ゼロマルは威嚇するがベルゼブモンは気にもしない。
「お前たち、デスモンを破ったそうだな」
「ああ、そうだよ」
「そうだぜ。デーモンから警告か?受けてたつ!」
「お前らの腕を見込んで頼みがある」
「頼みい?」
「正確には頼みを聞いてやってくれないか。こいつらの故郷が奪われて大変なことになってやがる」
ベルゼブモンが目配せする先には、たくさんのデジモンたちがひしめきあっている難民たちの姿があった。ホーリーエンジェル城からはるか遠くのエリアである。まさかこんな場所があるとは知らなかったらしく、ホーリーエンジェル軍はあわてて支援や救護に向かう。
「ベルゼブモン、お前、一体......」
「たしかにオレはデーモンの生贄にされるために生まれてきたが、やすやすとその通りにするつもりは無い。ジュンにこの世界について教えてもらったらなおさらだ。だからなにか手段はないかと探して旅をしてきた。そしたらこいつらの故郷が七大魔王の1人、バルバモンに蹂躙されているところだったんだ」
「バルバモン?」
「ああ。デーモンに命じられてるみたいだが、好き勝手やってやがった。気に入らないから無理やり働かされてたこいつらを助けてここまで逃げてきたのさ」
ジュンの受け売りだがとベルゼブモンは教えてくれた。バルバモンは七大魔王の一体で強欲を司る究極体のデジモンだ。デジタマのころに超究極体のデジゲノムをぶち込まれたことですさまじい力を得ている。
長い顎鬚を生やし、宝珠を咥えた髑髏の魔杖「デスルアー」を持つ、老いた魔術師のような姿をしたデジモンらしい。
本来は悪魔の巣窟であるダークエリアの中心部に存在し、堕天使型デジモン達を使って悪の限りを尽くす。
ネットワーク内に存在する、あらゆる財宝に執着し、物欲の為なら手段を問わず、例え一欠片の財宝であっても、手に入れる為にデジモンを殺す、強欲で残忍なデジモン。
七大魔王屈指の狡猾な策略家でもあり、同じ魔王型の究極体ですら造作も無く操る事が出来る。
超究極体のデジゲノムのえいきなのか、魔杖「デスルアー」を右腕と融合させて魔力を直結し、より巧みな技を操れる。右腕で抉り取った敵のデジコアを宝石へと変える事ができ、強いデジモンである程に宝石が輝く為、戦う価値が有るかどうかを品定めする。 右手から顕現させる“強欲の冠”の輝きは、強さの証であり、自慢のコレクションである。
「このデジモンたちは一体.......」
「こいつらはコアドラモンたちだ。ディアマンテ、お前らの世界でいうダイヤモンドを主食にしてる珍しいデジモンだ。ダイヤモンドの色で進化先が変わるらしい」
ベルゼブモンは紹介してくれた。1番多いのがドラコモン。すべてのドラモンタイプのデジモンの「祖」であるといわれている古の純血竜型デジモン。小柄な体躯からは想像できないほどの身体能力を持ち、力・俊敏性ともに成長期デジモンの中でもトップクラスである。性格は非常に獰猛であるが、ドラコモンが認めた相手のみ従順な一面を見せることがある。翼を持っているが、発育が不十分であるため飛ぶことはできない。また、大きな特徴として「光るモノ」を収集したがる性質を持っており、特に宝石や金属類には異常な執着があり、気に入ったものは食べて摂取してしまう。必殺技は、高温の吐息を相手に吹きかける『ベビーブレス』と全身を回転させシッポで打撃を与える『テイルスマッシュ』。ドラコモンの全身を覆う鱗のうち一枚は「逆鱗」といわれるウロコがある。ここに触れてしまうとドラコモンは怒りのあまり意識を失い、頭部の角を激しく発光させた後に口から放つビーム弾『ジ・シュルネン』を無差別に放ってしまう。
コアドラモンは青色と緑色がある。
ドラモンの名を冠するデジモンにはデジコアに必ず竜因子のデータを有しており、その竜因子データの割合が高ければ高いほど体の形状が竜型になっていく。
青いコアドラモンの竜因子データ割合は100%となっており、まさしく純血の竜型デジモンである。体表が青いコアドラモンは、標高の非常に高い山岳地域だけで採掘される「ブルーディアマンテ」と呼ばれる希少な宝石を多量に摂取したドラコモンが進化した姿といわれており、険しい山々で生き延びるための発達した翼で高速な飛行を行うことが出来る。必殺技は、青色に輝く灼熱のブレスを放つ『ブルーフレアブレス』と強靭な尻尾を使って相手に痛恨の打撃を与える『ストライクボマー』。『ブルーフレアブレス』はデジモンの体表を覆うテクスチャーデータを分解する効果があり、このブレスを受けたデジモンはむき出しとなったデジコアへの攻撃を許すことになるだろう。ドラコモン同様に「逆鱗」といわれるウロコを持っており、ここに触れてしまうと怒りのあまり意識を失い、頭部の角を激しく発光させた後に口から放つ拡散レーザービーム『ジ・シュルネン-Ⅱ』を無差別に放ってしまう。
緑色のコアドラモンは樹齢100年を超えた木々が茂る森林地帯で採掘される「グリーンマカライト」と呼ばれる希少な宝石を多量に摂取したドラコモンが進化した姿といわれている。このタイプのコアドラモンは飛翔することは得意としていないが脚力が非常に発達しており、その体躯からは想像できないほどの速度で走ることが可能である。必殺技は、緑色に輝く灼熱のブレスを放つ『グリーンフレアブレス』と強靭な尻尾を使って相手に痛恨の打撃を与える『ストライクボマー』。『グリーンフレアブレス』は浸透性が非常に高く、体表のテクスチャーデータをくぐりぬけ、直接デジコアへダメージを与えてしまう効果がある。ドラコモン同様に「逆鱗」といわれるウロコを持っており、ここに触れてしまうと怒りのあまり意識を失い、頭部の角を激しく発光させた後に口から放つ拡散レーザービーム『ジ・シュルネン-Ⅱ』を無差別に放ってしまう。
そして、それぞれが違う完全体に進化するらしい。
「完全体はバルバモンに殺されちまったが、こいつらだけが生き残ったんだ」
そこには青色と緑色の完全体のデジモンがいた。
「オレはグラウンドラモン。地竜型でウィルスの完全体デジモンだ」
まず挨拶したのは背中に大きな腕を持つ地竜型デジモンだ。本人いわく、背中の腕は翼が変化したものであり、効率よく地面を掘ることが可能である。普段は地中深くに彫ったトンネルに潜んでおり、滅多なことでは地表に出てくることはない。また、グランドラモンは希少なファンロン鉱の鉱脈に好んで生息する傾向があり、体を覆う鱗にファンロン鉱の成分を含んでいるとのこと。
「私は完全体の天竜型デジモンでワクチンです」
続いて頭を下げたのは大きく発達した翼を持ち、自由自在に空を飛ぶことの出来そうな天竜型デジモンだ。本人によると翼の鱗は重力を遮断することが出来るため、羽ばたくことなく飛翔することが可能。地面に降りることはまれであり、生きている時間のほとんどを空中で過ごす。飛行速度はマッハ20を超える。
「私たちの住む場所は貴重な鉱物の産出地らしく、研究のためにバルバモンが軍を引連れて乗っ取られてしまったんです」
「おかげでオレ達は腹ぺこなんだ。ディアマンテしか食えねえってのに、がらくたばかり食わせて働かせやがって」
「ベルゼブモンが助けてくれなかったら今頃私達は死んでいたでしょう」
2体の話を聞いて、タイチとゼロマルはベルゼブモンの話を聞くことにしたようだ。
「ファンロン鉱?今、ファンロン鉱といいましたか?なんてことだ、ファンロン鉱を取り込めるのはファンロンモンだけだと聞いていたのに!」
「おいおい、オレは鱗が限界だぜ?全身ファンロン鉱のバケモンと一緒にしないでくれよ」
驚いたのはホーリーエンジェモンだった。振り返ったタイチたちに彼は説明してくれた。
デジタルワールドにはクロンデジゾイドと呼ばれる架空の金属があり、非常に硬く様々な色が存在する。
純度の高いものは「レッドデジゾイト」と呼ばれるレアメタルに、純度の低いものは「ブルーデジゾイト」と呼ばれる特に希少なレアメタルへと変わる。前者は硬度に優れ、後者は軽いため機動性に優れ、用途によって使い分ける事が可能であり、クロンデジゾイドは純度が高い方が優れているとは限らない。
この金属から作られるクロンデジゾイトメタルと呼ばれる合金は、正式名称Chrondigizoit Hybrid Organism合金(クロンデジゾイト ハイブリッド オーガニズム合金)略して「CHO-(ちょー)合金」といい、クロンデジゾイドの硬さと生物の持つしなやかさを併せ持った超金属で、生物と一体化し、生体金属と化すこともできる。このため武器や防具の材料となるほか、サイボーグ型やマシーン型デジモンの部品にも利用される。
そのクロンデジゾイトメタルの基礎となった鉱石で、絶対硬度を誇る仮想鉱石。それがファンロン鉱である。ファンロン鉱はファンロン鉱でしか傷をつけることが出来ず、他の鉱石やメタルと比べる術が無い為、硬度を測定することは不可能である。この超硬度をもつ反面比重が極端に高く、武器や防具などには適していない。希少性も高く、地中深くにしか発見されない。また、ファンロン鉱と生物とが一体化するには、神話の時代よりはるか遠い年月を要すると言われている。
クロンデジゾイトメタルはこれらの欠点を解消しており、優れた希少メタルであると言える。
「ファンロン鉱からクロンデジゾイドメタルまで採れるなんて.......そんな場所があるのか」
「バルバモンが乗っとったのってまさかそのせいかよ?軍隊をでかくするために?」
タイチの言葉に誰もが息を飲んだ。
「当たりだ。ついでに外貨を稼ぐ気だぜ」
ベルゼブモンはいうのだ。
タイチたちの住む世界には紛争ダイヤモンドという言葉がある。現実世界において内戦地域で産出されるダイヤモンドをはじめとした宝石類のうち、紛争当事者の資金源となっているものを指し、血塗られたダイヤモンド 、汚れたダイヤモンド 、戦争ダイヤモンドとも呼ばれる。
ダイヤモンドなどの宝石は、国際市場で高値で取引される。産出国にとっては貴重な外貨獲得資源となるが、その産出国が内戦など紛争地域だと、その国は輸出したダイヤモンドなど宝石類で得た外貨を武器の購入に充てるため、内戦が長期化および深刻化することになる。とくに反政府組織はこれら鉱物資源による外貨獲得とそれによる武器購入を広く行っている。その際には罪のない人々を採掘に苦役させることから人道上も大きな問題がある。
これら内戦の早期終結を実現するには内戦当事国の外貨獲得手段を奪うのが有力な手立てであり、国際社会はそれに取り組むべきだとされる。内戦当事国に外貨が流れ込まないようにするために、内戦国から産出するダイヤモンドなどを「紛争ダイヤモンド」と定義し、関係業界はそれらを取引の対象外にすることが求められている。
デジタルワールドにおいては、ディアマンテという名前で知られている宝石だが、その扱いはまさしく同じだった。
かつてディアマンテは無色透明の物が最高級品だという認識で、色がある物の中でも特にイエローに関しては最も価値の低い物という認識が一般の方にもあったが、近年ではイエローの人気にともない、ブルーやレッドも今まで以上に注目されるようになった。
近年では一般的なディアマンテに比べて、レッドやブルーの方がより高価だと言われている。
価値が高いとされる理由の一つには、ほとんど採掘されないほど希少性が高いことがあげられる。万が一幸運にも採掘されたとしても一般の店頭など市場に出回ることはなく、一目見られただけでも幸運なほど採掘されないとてもめずらしい物なのだ。
同じブルーでも未処理で、かつきれいに発色している物はより貴重であり、一般にはなかなか手が出ないほど高価な物と言われている。
もともと無色透明のダイヤモンドがなぜ青く発色するのか。それはダイヤモンドが結晶化する際に入り込む不純物によってレッドやイエローに輝くが、ブルーの場合、結晶化する際にホウ素が混ざることで青く変色することが成分解析の結果判明している。
しかし、ディアマンテが結晶化するほどの地中奥深くには、ほとんどホウ素が存在しないことから、完成した結晶が青くなるのは、まさしく神様の気まぐれだと言われるほどに珍しい偶然なのだ。
ちなみに結晶化するほどの地中奥深くに、なぜホウ素が存在していたのかについては、今現在でも謎だ。
こういった背景から、ディアマンテの中でも発掘される絶対数の少ないブルーの価値は長い時を経ても下がることがない。
近年発見されたブルーの鉱山で発見された原石は、今までに類を見ないビビッドブルーとして注目されている。ブルーはその貴重な存在から驚くほどの高額な値が付くのだ。
きれいな八面結晶のダイヤモンドは結晶格子が整って光を素直に跳ね返し、ダイヤモンドの中をとおって出てくる光もキラキラと美しく輝く。これは宝石の品質は原石で決まる!と言われる所以でもある。
高品質な原石を産出する鉱山から供給された原石の中でもそうした正八面結晶の原石は10%程度しかなく非常に希少だ。
その貴重な鉱山がバルバモンの手中にあるというのだ。どれだけやばいかわかるというものである。
「わかったぜ、バルバモンからみんなの故郷を取り戻してやるよ!な、ゼロ!」
「そうだね、僕達だけじゃない。みんなでやればきっと勝てる!」
ベルゼブモンは笑った。
「言ってくれると思ったぜ。さすがにデスモン共を率いるバルバモンに俺たちだけじゃキツいと思ってたんでな」
「えっ」
「今なんて?」
「だから言ったじゃねえか、バルバモンは他の魔王型デジモンを操ることが出来る魔術師だってよ。さすがにテイマーに育てられたデスモンには劣るだろうが究極体がゴロゴロいる軍隊だ。じゃなきゃ声掛けるわけねえだろう」
タイチとゼロマルは息を飲んだのだった。