(完結)ルート2027(初代デジモンアドベンチャー)   作:アズマケイ

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第128話

「スキャン率をあげるぞ」

 

「ネオ様、俺におまかせを」

 

「カオスドラモンか......」

 

ネオはしばし考える。クロノモンとベルフェモンのデータが欲しい。それさえあればデジヴァイス01の機能で数値化されたステータスがわかるし、それをもとに作戦をたてることが可能となる。クロノモンとベルフェモンのデータのスキャン率をあげるには、防御力などはともかく、攻撃力のスキャン率をあげるには攻撃を受ける必要がある。

 

「リリスモンの防御力は低すぎる......だがお前にクロノモンやベルフェモンの攻撃をうけきる防御力はないだろう」

 

「そ......それは......ですが!」

 

「だが急務だな......」

 

ネオは両手のデジヴァイス01をみた。相手が完全体ならジョグレスと解除を繰り返して長期戦に持ち込めばワンチャンあるが、相手は究極体、しかも超究極体のデジゲノムをぶちこんだ正真正銘の化け物だ。超究極体を投入するのは最後の手段としても、やはりある程度のデータは欲しい。

 

「ネオ様!」

 

「なんだ」

 

「ならば、ならば俺にも超究極体のデジゲノムを投入してください!上手くいけば更なる強化が望めますし、倒したデータを取り込んで再構築し、自己強化が出来るならクロノモンたちのデータが確実に持ち帰ることができます!」

 

「本気か?」

 

「はい!ネオ様の役に立つことが出来ない今、足でまといにしかならないのは嫌だ。そんなのただのスクラップにすぎない。盾にすらなれないなら、せめて盾になれるくらいの力が欲しい。自我を乗っ取られるとしてもそれは俺が弱かったからに過ぎない」

 

ネオは笑った。

 

「あの時のグレイモンの時から随分と成長したじゃないか。いいだろう、自分から望んでジョグレスし、今のカオスドラモンになったお前なら超究極体のデジゲノムを投入しても使い物になるかもしれないな。やってやる」

 

「ありがとうございます!」

 

どこまでも献身的なカオスドラモンである。このまま超究極体の育成にネオが集中し始めたら、目を向けてもらうことすらできなくなる。超究極体の餌にするか、それともその存在を完全に忘れさられてしまうか。いずれにしても弱いからという理由で削除され、このデジタルワールドに流れ着き、数奇な運命の名のもとにふたたびテイマーに巡り会うことができたカオスドラモンにはどちらも我慢ならないのだった。

 

「クロノモンやベルフェモンとの戦闘を見込んで他の機械型デジモンの翼のデータも転送してやる。そこまで啖呵を切るんだ。せいぜい俺の役にたてるようなデジモンに進化するがいい」

 

デーモンの洗脳下におかれているネオにその献身はとどかないが、ネオはそのやる気を見込んでデジヴァイス01を起動した。そこに搭載されている支援アプリに超究極体のデジゲノムと機械型デジモンの翼のデータをいれ、カオスドラモンに転送した。

 

カオスドラモンは雄叫びをあげる。自ら構成データを分解し、新たなる力を獲得し、再構築する。デジタマが超究極体のデジゲノムに侵食されていくが、ネオのところで育成と転生を繰り返し、さらにこの世界で自己強化と進化と転生を繰り返してきたカオスドラモンはその脅威を逆に取り込み、自らの力にしたのだった。

 

失敗すれば即座に超究極体の餌にするつもりだったネオは、どうやらカオスドラモンが新たなる領域に足を踏み入れたことを知る。電子端末にあるデジモン図鑑というアプリが勝手に起動し、カオスドラモンのデータが更新されたと表示してきたのだ。

 

そこにはこう書かれていた。

 

同じく究極体のカオスドラモンと比べ、数倍のパワーと火力を発揮しているが、破壊的かつ自立的で扱い難く、使用者を選ぶ。“レッドデジゾイド”の重量でスピードを犠牲にした分、右腕の『カオスクラッシャー』で敵を捕らえて装甲をこじ開け、同腕部に格納された有機体系ミサイルを敵内部に直接撃ち込む『スーパージェノサイドアタック』を身に付けている。“レッドデジゾイド”のボディだからこそこの自爆的な恐ろしいゼロ距離射撃も可能である。

 

究極体の機械型デジモンの翼の設置も上手くいったようで、嬉しそうにカオスドラモンは咆哮した。

 

「これが超究極体の力......ッ!気を抜けば自我を乗っ取られてしまいそうだ!だが、その誘惑にさえうち勝てば、俺はどこまでも強くなれるッ!」

 

「まさか耐えきるとはな......見直したぞ、カオスドラモン。たしかにステータスに大幅な補正が入ったな。これなら耐えきれるか。いいな、カオスドラモン。お前の目的はクロノモンたちのデータをスキャンして持ち帰ることだ。履き違えるなよ、まだクロノモンもベルフェモンも倒してはいけない。あいつらはいずれデーモン......いや、超究極体の糧になるんだからな。殺すなよ」

 

「ネオ様......!」

 

カオスドラモンは感動したのか何度もうなずいた。

 

「俺がデーモンに協力するのは、この世界を滅ぼし、いずれ現実世界にも侵攻するという話に乗ったからに過ぎない。それができた暁にはこの世界の管理者権限をデーモンから奪い取り、この世界を掌握する。そして世界を変える。そのためにはひとりでも多くの手駒が必要だ。超究極体のデジゲノムに耐えきれるデジモンはそう多くはない。お前はその期待に応えて見せた。かつてのスクラップとは思えない戦果だ。誇れ、カオスドラモン。お前はこの俺に認められたんだからな」

 

「はいッ......!はい、もちろんです、ネオ様!」

 

「今回はスキャン率を高めるのが目的だ、助けに行くわけじゃない。ベルフェモンはジュンを助けるためにクロノモンを倒しに行くわけだからな。クロノモンを掌握すれば逆らわないはずだ。履き違えるなよ、カオスドラモン。クロノモンを捕縛するのは、最短かつ最低限の戦力でクロノモンとベルフェモンを手中におさめるためだ」

 

「わかりました」

 

「リリスモンもここまで頭が回るデジモンなら楽なんだがな......。やはり超究極体のデジゲノムをぶち込んだら自我が育たないのか。それとも生まれたときから究極体だから精神が幼いままデジゲノムの悪影響を受けたせいなのか。どのみち事細かに指示しないと使い物にならない。ジュンを助けに行くと言わないということを聞かないんだ。余計なことはいうなよ」

 

「わかりました」

 

カオスドラモンはうなずいた。そして、自分の戦力として頭数に入れて貰えたことで、ようやくこの世界にやってきたネオがなにか目的があるからデーモンの味方をしているのだと知って歓喜した。期待に応えたからそれ相応の待遇でもって迎えられたのだ。

 

デーモンに洗脳されていると思われるネオの真意がどこまで歪められているのか心配だったが、どうやらネオ自身に精神干渉を受けているという自覚はないらしい。今のネオはストイックに強さを求め続けるかつてのネオそのものだったからだ。ゆえにこの会話もおそらくはデーモンに筒抜けだろうことは火を見るより明らかだった。

 

ネオが自分を取り戻すためにも、自分に出来ることを模索しながら、今度こそ最後までネオのデジモンでいることをカオスドラモンは強く誓ったのだった。

 

そして、先導するリリスモンの指さす先にクロノモンがいることを知ったカオスドラモンは気合いを入れるのだ。

 

そこにいたのは、ネオのもつ電子端末がアラームを発するほど異常値をたたきだす超究極体がいたのである。

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