(完結)ルート2027(初代デジモンアドベンチャー)   作:アズマケイ

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第131話

ジュンはタイチたちに連れられてホーリーエンジェル城に案内された。

 

「はじめまして、ホーリーエンジェモン。私はジュン。本宮ジュンよ。タイチ君から話は聞いているかもしれないけれど、平行世界のデジタルワールドを救うために召喚されたことがあるテイマーでもあり、選ばれし子供という特殊な関係をもつ人間でもあるわ」

 

「ようこそ、ジュン。タイチから話は聞いていたよ。心配していたんだ、よくぞ無事だったね。ところでパートナーは七大魔王のベルフェモンだそうだが、見当たらないな。まさかホーリーエンジェル城の結界から入れないから待機しているのかい?」

 

「私になにか御用ですか?」

 

ジュンはノートパソコンを広げた。

 

「ここにデジファームっていうデジモンを育成するためのプログラムが組まれているの。基本的にベルフェモンはここで待機してもらっているわ」

 

「なるほど......君はテイマーでもあり、プログラマーでもあるのか。デーモンが誘拐するはずだ。私が君をタイチに案内してもらったのは他でもない。デーモンがなにをたくらんでいるのか、聞かせて欲しいからなんだ。この世界を手にして現実世界を侵略するだけでなく、もっと大きなことをデーモンはしようとしている気がしてならないから」

 

ジュンはうなずいた。

 

「どこまで本心かはわからないけれど、私が聞いた話で良ければデーモンの目的について話すわね」

 

ジュンはまず七大魔王について話を始めた。

 

「デーモンは生まれた瞬間から定義づけられている七大魔王という存在そのものを憎悪しているの。セキュリティシステムの権限を奪っても、平行世界のデジタルワールドに干渉しても、これを根底から覆すことは出来なかった。だから気づいてしまったようなの。この世界のあり方を根本から破壊しなきゃむりだって。だから、おそらくデーモンはデジタルワールドの根幹にあたるサーバをさがしているんだわ。それが現実世界なのか、はるか過去のデジタルワールドのサーバなのか、わからなかった。私のきたデジタルワールドは、過去のデジタルワールドのサーバにアクセスする権限がのこっていたから、本格的に侵略するために拉致したのかもしれないわ。ネオ君は現実世界を侵略することに共感しているようだから、まだ方法までは模索中みたいなの」

 

「なんかスケールがとんでもない話になってきたな......」

 

「無理もないわ、今、私たちはまさに最終決戦に臨む直前だったから」

 

「!」

 

「それはどういうことだい?」

 

ジュンは話し始めるのだ。

 

原始のデジタルワールドにおいて、《進化の概念》と《非進化の概念》が争い、代理戦争が繰り広げられたこと。その戦いに貢献した5人のテイマーのこと。そのひとりがジュンの友達で、その友達のパートナーデジモンが特殊な生まれのせいでデジタルワールドに受け入れてもらえず絶望のあまり何度も世界を滅ぼそうとしていて、《非進化の概念》に操られていること。それを救うための戦いのさなかにジュンはデーモンに拉致された。

 

「《非進化の概念》は死んだデジモンたちの感情といったデータを実体化させては私たちの前に立ち塞がってきたの。闇でもない、光でもない、自分を神と自称するデジモンの皮をかぶったなにかと決着をつけるには、いつか過去のデジタルワールドにいかなきゃいけなくなる。セキュリティシステムの人と話をしたことがあったから、たぶんデーモンはそれを狙っているんだわ」

 

「原始のデジタルワールドか......デーモンが君の世界のデジタルワールドに干渉できるということは、こちらと始まりの世界は同じだったんだろうね。なるほど......つまり、デジモンは現実世界のサーバにデジタルワールドのサーバがないとわかったら、原始のデジタルワールドにいって歴史を改変してしまうかもしれない。そういうことだね」

 

「《非進化の概念》は《進化の概念》を前提に発展してきたすべての世界を否定したがってるから、あなたたちもただではすまないわ」

 

「消滅......いや、ちがうな。ある日突然消えるってこともありそうだ。今のデジタルワールドを否定するということは、存在そのものを認めないだろう。消滅は免れても、今とは根本的にちがうなにかになってしまう可能性が高いということだね」

 

ジュンはうなずいた。

 

「えーっと......つまり?よくわかんないんだけど、デーモンは生まれたときから弱いって決めつけられてるのがムカつくから、決めつけられる前の姿に戻りたがってるってことか?」

 

「ええ、そうよ、タイチ君。七大魔王ってあまりに力が強すぎるから、生まれたときから勝手にデータを分割されて平行世界のデジタルワールドにおくられちゃうから、何百分、いや何万分の一くらいの力しかないのよ。それを壊すには七大魔王って設定が生まれるまえにいって、七大魔王って設定を書き換えるしかないってデーモンは考えているの」

 

「うへえっ、ただでさえ強いのに全盛期の力じゃないってなんだよそれ」

 

「この世界ではどうかしらないけれど、私のきたデジタルワールドでは七大魔王は《非進化の概念》が実体化するために寄生していた死んだデジモンたちの感情や想いのうちウィルス種のデジモンたちのデジゲノムが凝縮したものだったわ。それを受け入れるために7つに分割して生まれたデジタマから誕生するのが七大魔王と呼ばれることになる。だからデーモンはそれをもとにすべての七大魔王の力を吸収して、まずはウィルス種最強のデジモンとしてあるべき姿に戻ろうとしているはずだわ」

 

「えっ、でもそれって今のベルフェモンがいちばん近いんじゃ?」

 

「そうね、タイチ君のいうとおり、デーモン以外の七大魔王のデータを結果的とはいえ取り込んでしまっているベルフェモンがいちばん近いわ。だからこそ狙われる可能性が高いし、そうなったらこの世界は終わるし、そのまま原始のデジタルワールドに飛ばれたら完全に詰む」

 

「ひええ......恐ろしい話だなあ」

 

「現実に起こってる話だもんな、うへえ。俺が知らないうちにとんでもないことになっちゃったんだな。でも、そのかわり、ジュンがいるんだ。ベルフェモンだっている。なにも知らされないままだったらやられる一方だっただろうけど、情報戦だけならフェアになったぜ。作戦さえ立てればどうとでもなるって。な?」

 

ゼロマルとふたりでデーモンたちと戦い、勝利を収めてきたタイチの言葉は誰よりも説得力があった。

 

「ジュンたちまで敵に回られてたら完全に詰んでたんだ。よかったじゃないか、まだチャンスはあるんだぜ?」

 

「そうね、あたし達も助けてもらった恩は必ず返すわ。出来うる限りの協力はさせてもらうからよろしくね」

 

ジュンの言葉にホーリーエンジェモンはうなずいた。

 

「君がプログラマーだというなら話ははやい。さっそくなんだが、古代の大戦で使われたこの古城のセキュリティシステムについてわからないことがあるんだ。教えてもらえないだろうか」

 

「わかったわ、案内して」

 

ジュンたちはホーリーエンジェモンにつれられて、この城の地下に足を踏み入れたのだった。

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