(完結)ルート2027(初代デジモンアドベンチャー)   作:アズマケイ

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第133話

デーモンとの最終決戦にむけて、タイチたちがデーモン城に向かってから数日が経過した。

 

「緊急事態発生、緊急事態発生、敵襲です」

 

ホーリーエンジェル城にもともと存在していたワクチン種しか入ることができない結界が破壊された。

 

デーモン軍が大挙して押し寄せてきている。

 

ジュンが用意していたデジヴァイス由来の結界が行く手を阻んでいた。

 

今、フォルダ大陸全体にホーリーエンジェモンの軍が分散しており、手薄になった本拠地を叩く作戦を決行したらしい。

 

「結界が間に合ってよかったわ。まあ、いつまでもつかはまた別問題なんだけど」

 

はるか彼方の空が黒い。それがウィルス種の軍勢であると理解するのは早かった。レイは不安そうにモニターを見ている。

 

「どれくらい持ちそうだ?」

 

ホーリーエンジェモン軍の総司令官であるレオモンが聞いてくる。

 

「どれくらいの強度が保てるかしらね......。あれだけの軍勢相手したことないからわかんないわ。究極体の数にもよるわね。一応、数に応じて強度を増すシステムだし、私が来たデジタルワールドの暗黒勢力の諸悪の根源を完全に封印した実績はあるから、大丈夫だとは思うのよ。なにごともなければね」

 

「何事も」

 

「デーモンが作った人工デジモンが誰かにハッキングされたり、不穏な動きがあったからね......。この城のセキュリティシステムはすでに突破されたんだもの。トロイの木馬じみた工作がすでにされたみたいね」

 

「つまり、城の中に裏切り者がいると考えればいいんだな」

 

「そうね」

 

「そ、そんな......大丈夫なんですか?」

 

「今、その不届き者を探しているのよ。この結界について知っているのはここにいるみんな、タイチくんたち、あとホーリーエンジェモンだけなわけだしね。驚いているデジモンを探しましょう」

 

ジュンたちは目を皿にしてたくさんの監視カメラを見つめた。真正面から武力で制圧された訳ではなく、内側から解除されて侵入を許したのだ。内通者がいるのは確定である。

 

「デーモンの干渉ではなさそうですね、私と同じエネルギーは感知できませんでした」

 

ベルフェモンの言葉にレオモンたちは息を吐いた。とりあえず最悪の事態は避けられたらしい。

 

「ウィルスじゃない、か。ならワクチン種かデータ種ね。ワクチン種しか通れない結界だったわけだけど、裏切るなら洗脳あたりかしら。ワクチン種をどうこうするならやっぱりデータ種......あったわ、この反応ね」

 

ジュンは監視カメラを起動した。

 

「この城にデータ種の究極体はいないはずよ」

 

「あ、あれ、人間?それも女の子......!?」

 

レイが驚いている。

 

「そうね、あたし達と同じテイマーみたいだわ。デーモンが召喚したネオの手下なのかもしれないわね。デーモン、七大魔王を復活させるためにわざと善人のテイマーを召喚して光を過剰にして闇を増幅させる工作をしていたから、洗脳してる可能性が大だわ」

 

「本来ならタイチのように我々の味方になるはずのテイマーということか......」

 

「そんな......そんなことって......」

 

「女の子だけどデジモンを究極体まで育てあげられるってことは相当優秀なテイマーよ」

 

少女が連れているのはロゼモンだ。

 

「やっぱりデータ種の究極体ね。ロゼモンか......なるほど、洗脳されたわけね」

 

「綺麗なデジモン......」

 

ジュンはレイもわかるようにディーターミナルを起動した。

 

 

ロゼモン

クラス 究極体

タイプ 妖精型

属性 データ

 

草花の女王と呼ばれる薔薇の様な姿をした妖精型デジモン。美しい大人の女性の姿をしており、常に美しくあることを願っている。性格は多少、自意識過剰なところもあるが、その実力は他の究極体とも引けを取らないほどである。

 

また、胸元には愛と美のシンボルが刻まれた宝玉「ティファレト」を身につけている。このティファレトを持つものは、永遠の美しさと強さを約束されると言われている。必殺技は電気を帯びた棘の鞭でどんなに狂暴なデジモンでも手なずけてしまう『ソーンウィップ』。この技を受けたものは、身も心もロゼモンの虜になってしまうと言われている。また、鞭の切っ先で敵を仕留める『ローゼスレイピア』。そして、ロゼモンの究極にして禁断の誘惑『フォービドゥンテンプテイション』を受けたデジモンは、無数のバラの花に包まれて美しくデータ破壊される。

 

「こんなに綺麗なのにデジモンなんだ」

 

「人型のデジモンもいるしね、ホーリーエンジェモンみたいな」

 

「なるほど」

 

「このロゼモン、普通のロゼモンじゃないわ。まさか超究極体のデジゲノムがロゼモンに注入されたのかしら」

 

ジュンの言葉を肯定するようにデータが更新される。

 

 

ロゼモンの鮮烈なまでの美しさが引き出され、万物全ての赤色が色あせて見えてしまうほど真紅に染まった姿は、見る者に圧倒的な劣等感さえ与えてしまう。ロゼモンの逆鱗に触れた時に見られる花弁の雫“アフロディーティア” は、ロゼモンの愛の涙と言われ、これを見たデジモンは、傷つくことを知りながらも、自らロゼモンの棘の鞭に抱かれダメージを負ってしまうという必殺技『ローゼンブラッド』で最終的に消滅してしまう。

 

「これはなかなかの強敵ね。しかもデータ種か......ワクチン種と相性が悪いわね」

 

「私の出番でしょうか、ジュン?」

 

「そうね、いくわよ」

 

「わかりました」

 

ディーターミナルから声がする。

 

「ジュンさん、気をつけて」

 

「ええ、頑張るわ。これ以上踏み込まれたら困るもの。レイちゃんはここで監視カメラをみていて。なにかあったらメールしてね」

 

「はいッ!」

 

「相手は究極体だ、ほかのやつらには軍勢の相手にまわす。あと成熟期以下は地下に避難させる。やることは多そうだ、いくぞジュン」

 

「ええ、急ぎましょうか」

 

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