(完結)ルート2027(初代デジモンアドベンチャー)   作:アズマケイ

135 / 160
第135話

カプセルポットに放り込まれたロゼモンは治療されつつ、構成データから超究極体のデジゲノムを摘出する作業が行われていた。その隣には豪徳寺マリの姿があった。どちらのモニターにも治療に必要な時間が表示されているが、あまりにも長く、本人の意思と気力によって短くなったり長くなったりしていて、予断を許さない状況が続いている。

 

「人間もやるのは初めてだが、大丈夫そうだね。どうやらロゼモンが殺されそうになったときに正気が戻ったから、デジゲノムの侵食が抑えられたようだ」

 

ホーリーエンジェモンの言葉にレオモンは戦慄するのだ。

 

「ということは、やはりこの娘も本来は我が軍の救世主だった可能性が?」

 

「そうだね、光と闇なら光側に属するべきテイマーとデジモンだったようだ。それを洗脳して配下にし、それによって世界のバランスはくずれて元に戻そうと闇が増幅され、デーモンたちの強化に繋がる。なんてことだ」

 

「その闇の代表格であるベルフェモンとジュンがこちら側にきてくれてよかったというべきか」

 

「本当にそうだ。この世界には闇の力に対抗するワクチンや光の力はあっても、体内の構成データから完璧に除去するプログラムまではない。ましてや闇も光も取り込んで肥大化する超究極体のような力に対するものなんて。ジュンが提供してくれたサンプルデータがあるから使い物になっているレベルだ」

 

「それだけデーモンは本気ってことですね......」

 

「ホーリーエンジェモン様、レオモン様!伝令です!」

 

ニ体の前に飛び込んできたのはぐったりしているイガモンを医務室に運び込もうとして抵抗され、困り切っているデジモンたちだった。

 

「君はイガモン!」

 

「たしかタイチたちの伝令だったな、どうした。タイチたちになにかあったのか?」

 

イガモンは周りのデジモンたちの静止を振り切って二体にかけよるというのだ。

 

「タイチ殿とゼロマル殿、エイリアスのシグマを名乗るテイマーと交戦中でござる!ほかにも敵はいるようで到着にはまだ時間ががかるとのこと!」

 

「やはり仕掛けてきたか......」

 

「どんなデジモンだった?場合によっては援軍を送れるかもしれない」

 

「そ、それが......彩羽ネオのようにデジヴァイスをふたつもっていて、完全体のヴァンデモンと究極体のピエモンがジョグレスしたでござる」

 

それは聞いたことすらないパターンだった。二体は耳を疑ったが、イガモンは目の前でジョグレスするのをみていた。これ以上ない証拠である。シグマがジュンのような優秀なプログラマーであり、自分に有利な閉鎖空間を作りあげタイチたちもろとも閉じ込められてしまっている。そのおかげでイガモンは引き返すことができたのだが、タイチたちの安否はバトルが終わらないと分からない。

 

「ううむ......それでは下手に援軍を出せないな」

 

「厄介な......」

 

「ジュンたちにはこの包囲を維持するための牽制役をお願いしているから、今回のようにまた捕虜にすることも難しい」

 

どうしたものかとホーリーエンジェモンたちは頭を抱えたのだった。

 

 

 

「ジュンさん、ジュンさん、大変です!また結界が......」

 

レイから通信が入り、ジュンはあわててモニター部屋に戻ってきた。

 

「どうしたの?レイちゃん」

 

「それが、見てください!あれ!」

 

レイの指さす先にはホーリーエンジェル城を囲うデジヴァイス由来の暗黒勢力を通さない結界を破壊しようとするデジモンの姿があった。

 

「な、なにあれ......黒いオメガモン?」

 

ジュンは釘付けになった。

 

それは前世においてデジタルワールドのセキュリティシステムの最高位、ロイヤルナイツの一体であり。

 

ジュンたちのデジタルワールドにおいて選ばれし子供たちの代名詞にして最高戦力であるオメガモン、そのものだったのだ。

 

全身が真っ黒なオメガモンである。ジュンはディーターミナルを起動して、解析をこころみた。

 

レベル 究極体

タイプ 聖騎士型

属性 ワクチン

 

「えっ、超究極体のデジゲノムぶちこまれたからウィルス種に変質したんじゃないの!?」

 

ウイルスバスターであるウォーグレイモン・メタルガルルモンが、善を望む人々の強い意志によって融合し誕生した“ロイヤルナイツ”の一員である聖騎士型デジモン。2体の特性を併せもつデジモンで、どんな状況下でも、その能力をいかんなく発揮することのできるマルチタイプの戦士である。近年判明されてきた、姿を黒く変えてしまう分泌物“ブラックデジトロン”が、何らかの形で混入し一時的に黒い姿となったとされ、その間はパワーが増加されている。ウォーグレイモンの形をした左腕には盾と剣が、そしてメタルガルルモンの形をした右腕には大砲やミサイルが装備されている。背中のマントは、敵の攻撃を避ける時や、飛行するときに背中から自動的に装着される。必殺技は、メタルガルルモンの形をした大砲から打ち出される絶対零度の冷気弾で敵を凍結させる『ガルルキャノン』。また、左腕には無敵の剣『グレイソード』が装備されている。

 

「......まだ侵食が初期状態ってこと?じゃあ、はやくこちら側にひきこんで、マリちゃんたちみたいにデーモンの洗脳解いて超究極体のデジゲノム摘出しないと手遅れになるじゃない!」

 

「いきましょうか、ジュン」

 

「ええ、そうね。急ぎましょう」

 

「待ってください、ジュンさん!」

 

「え、どうしたの、レイちゃん」

 

「あのオメガモンはしらないけどあのオメガモンに指示してる人、知ってます!」

 

「なっ!?まさか、ネオ君の知り合いかなにか?」

 

「は、はい、あの人、お兄ちゃんの親友なんです!」

 

ジュンは目を丸くした。

 

 

藤本 秀人(ふじもと ヒデト)、レイがいうには現実世界ではネオやレイの友達であり、3人は仲の良い友人であったが、レイの事故をきっかけにその関係が壊れたらしい。ネオが行方不明になってからレイはヒデトにも相談して、一緒に探していたという。

 

「ホントに友達なのね......ネオ君の親友ならオメガモンを育て上げられるだけの実力があるってことか......」

 

「でも、どうして......?お兄ちゃんだけじゃなくて、どうしてヒデトさんまで......」

 

「それがデーモンの恐ろしさね......マリちゃんとロゼモンはやっぱりデーモンの洗脳を受けていたし、ロゼモンは超究極体のデジゲノムまでぶちこまれていたもの。オメガモンすら洗脳して配下におくなんて、ほんとに恐ろしいことするわ......」

 

「そんな......」

 

「ジュン、このままではワクチン種のデジモンは取り返しがつかない事になります。急ぎましょう」

 

「そうね、オメガモンが本格的にウィルスに堕ちたらどうなるかわかったもんじゃないわ。レイちゃん、あとのことよろしくね!ヒデトくんとオメガモンのこと、もしここに軍幹部のデジモンが来たら教えてあげてね」

 

「は、はいっ!わかりました!ジュンさん、ベルフェモン、頑張ってください!」

 

「タイチ君が来てくれるまでどれだけ持つかわからないけど、やるしかないわね」

 

「そうですね、やるべきことはやりましょう。それこそが私たちに課せられた使命なのですから」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。