(完結)ルート2027(初代デジモンアドベンチャー) 作:アズマケイ
ジュンはベルフェモン:レイジモードに乗ってホーリーエンジェル城の上空に現れた。
そして、響き渡る咆哮が世界全体を震撼させる。その刹那、デーモン軍の陣形は大きく崩れた。空を覆い尽くさんばかりにひしめいていた完全体以下のデジモンたちが一瞬にして即死したのだ。残されたのは究極体以上のデジモンたち、いわば幹部クラスだけである。すべてはベルフェモンの糧になってしまった。
ホーリーエンジェル城から歓声があがった。
そこに現れたのは真っ黒なオメガモン、そしてテイマーであるヒデトである。
「こいつはオメガモンズワルト、ベルフェモンじゃ止められない。俺たちはあの時を取り戻すんだ。そのためならなんだってする。君に恨みはないけれどレイたちは返してもらう!!」
「君がなにをかかえているのかはしらないけれど、どこまで本心なのかしら。デーモンに組した時点でその意思がどこまで自分の意思なのかわからないじゃない。信用できないわ」
「信用してもらおうなんて思ってないさ、はじめから。君が譲れないものがあるように、俺にも譲れないものがあるんだから」
「そう......ならやるべきことはひとつね」
「そうだな。オメガモンズワルト、いくぞ。俺達の悲願のために」
「ああ」
「オメガモンズワルト......ズワルト......黒いのにワクチン種だから黒って意味かしらね。なんの言葉かは知らないけど」
「闘ってみればすぐにわかりますよ、ジュン」
「それもそうね。いきましょうか」
「ええ」
ジュンはデジヴァイスにコマンドを入力し、暗黒勢力の力を跳ね返す結界を展開する。さらにベルフェモンにスーツェーモンから託された裏コードを付与する。これで暗黒勢力由来の力をピンポイントで潰し、正常化させるためのウィルスバスター機能を開花させるのだ。
「ウィルス種に堕ちていれば撃破だけなら楽なのですがね......そこまでいくと取り返しがつかなくなる。単純に相性が悪い上にダメージが通らない。実に厄介ですよ、まったく」
ベルフェモンは悪態をつきながら迫り来るオメガモンズワルトに応戦した。
ガルルキャノンとグレイソードは歴戦の勇士にも匹敵する熟練度とテイマーの気迫、オメガモンズワルト自身の鬼気迫る覚悟によりすさまじいダメージとなる。結界により軽減されたとはいえ、こちらの防御を無視して貫通してくるのだ。なんとかうけきったベルフェモンは反撃とばかりに咆哮してオメガモンズワルトに追尾機能がある光線を発射した。オメガモンズワルトに被弾し、その分の破損したデータがベルフェモンに還元されていく。
オメガモンズワルトを光が覆っていく。どうやら回復能力も備えているようだ。
「べ、ベルフェモン、どうしたの?」
いきなり、ベルフェモンの周りに赤い不気味なオーラがまとわりつきはじめたではないか。ジュンはあわててディーターミナルによる解析を試みる。
「オメガモンにあるまじき効果ですねえ、呪いのたぐいでしょうか」
「60%の確率で2回行動すると強制的に戦闘不能にする効果を付与......!?なにそれ......!」
それは、赤いオーラが体にまとわりつき、行動するたびにロスト状態という状態異常が進行し、一定回数行動すると、HPの残量にかかわらず戦闘不能となるというとんでもない呪いだった。
そのロスト状態が進行する行動とは、メインスキル、サブスキル、通常攻撃、反撃、追撃、ようするに回復以外のすべての選択が対象となるようだ。
「しかもダメージリミットまであるし......これじゃあ倒しきれないッ!」
オメガモンズワルトは、敵からのダメージを半減以下にまでに抑える能力まで持っているようだ。しかも一定時間まで継続する上に2回まで発動できるという。
「しかもオメガモンズワルトはオメガモンのようにクリティカルによる高火力のデジモンのようです」
「ロスト発生を待てる高耐久のくせに高火力とか頭おかしいんじゃないのそれ?!ああもう、どうすりゃいいのよ!!」
そんなジュンの焦りはどうやらヒデトには伝わっていないようだ。
「ベルフェモン......なかなか手強いな」
ヒデトの言葉にオメガモンズワルトはうなずいた。
ワクチン種とウィルス種の相性があるとはいえ、防御力を無視して貫通攻撃を行う。さらにウィルスバスターに開花しているためにオメガモンズワルトとなることで暗黒属性に侵食されつつあるオメガモンズワルトは完全に有利ではいられないのだ。それなりに安定したダメージがあたえられる。なによりもベルフェモンはヒデトが初めて見るレベルで鍛え上げられたデジモンだ。どれだけ進化と退化を繰り返し、熾烈な戦いを勝利してきたか手を取るようにわかる。クリティカル補正こそないが、ベルフェモンはかなりの高ステータスだ。さらにジュンが冷静にオメガモンズワルトの弱点を解析して指示を飛ばしてくる。互いに究極体である以上多少の相性の悪さなどテイマーの補助を前にすれば誤差の範囲でしかないのだ。
ジュンはオメガモンズワルトのバフ回数を消費させたり、バフターン減少で打ち消してスキルの順番を意識すなどして、ベルフェモンの高火力を見せつけてくる。
「こんな形でなければ楽しいバトルが出来そうな相手なんだがな......残念だ」