(完結)ルート2027(初代デジモンアドベンチャー)   作:アズマケイ

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第142話

◼️

想像以上にデーモンによるネオの洗脳は深刻なのだとタイチは思い知らされていた。デーモンがオグドモンに取り込まれ、敵の数だけは減ったが完全体として復活してしまった。だがそれはある意味待ちわびた好機でもあった。

 

タイチはデーモンさえ死ねばデーモンの洗脳は解けると思っていた。カオスドラモンをアルカディモンの餌にしないで戦わせている時点でアルカディモンに対する異様な執着と盲信が少しではあるが緩んでいると踏んだからだ。今までのネオだったらアルカディモンの次なる進化に必要なデータが収集できたとしても敵対する相手はすべてアルカディモンに喰わせていたからだ。皆殺しにしてきた。

 

データを喰らうことで学習するならカオスドラモンは格好のエサのはずなのだ。カオスドラモンはかつてネオに戦力外通告されてゲームで削除されたにもかかわらず流れ着いたこの世界で巡り会ってからずっとついてきている個体だと本人から聞いたことがあった。それを最終決戦まで連れてきているということは、少なからず情が湧いているということだ。

 

だから、いけると思っていたのだが、甘かった。干渉者たるデーモンが死んだはずなのに、ネオは戦闘を続行する意思を見せていた。なんら変わらないデーモン軍の総司令官だった。

 

ロゼモンとオメガモンズワルトはオグドモンと戦っているマスティモンに合流してくれており、今ここにいるのはタイチとネオ、アルカディモンとゼロマル。事実上の一騎打ちだった。ネオと決着をつけたいのはヒデトだろうに、その気持ちを押し殺してまで情報提供して、オグドモンの足止めをしてくれている。その気持ちをひしひしと感じていたというのに。

 

一抹の希望が潰えた。やはりぶつかるしかないらしい。

 

「ドットマトリクスの発射口が胸のあたりにあるってシグマからメールがあったよ、ゼロ」

 

「ほんと?すごい情報じゃないか!」

 

「僕たちができるのはここまでだ、頑張れってさ」

 

「そうか、胸のところが......」

 

「ゼロ、絶対勝とうな」

 

「うん」

 

「いや、きっと勝ってみせる」

 

タイチの覚悟を聞いたネオは嘲笑している。

 

「ふん、忌まわしいバグめ。だが貴様らの参戦などほんの誤差にすぎん。今度は一瞬で消してやる。この程度の誤差ではオレのロジックは壊れないと教えてやれ、アルカディモン!」

 

「へんっ、なんだってんだ。ならそのロジックごとぶっ壊してやるよ!このわからずや!!」

 

エアロブイドラモンとして戦い抜いてきたゼロマルのスピードはアルカディモンをゆうに超えており、序盤はアルカディモンの防戦一方だった。だがネオは不敵な笑みを浮かべている。アルカディモンは進化の権化だ。ダメージすら発生するデータを食い尽くし成長しつづける果てのない化け物、次第に学習していけばいずれ逆転するときがくる。

 

「あいかわらずスピードだよりのワンパターンだが、いつまで逃げるつもりだ、タイチ?」

 

「焦らなくてもドットマトリクスはうたせてやるよ」

 

「これでどうだい?止まってやったんだからちゃんと当てろよな」

 

アルカディモンは急に空中で静止したゼロマルにさすがに距離をとってたちどまる。

 

「な、なんだと?」

 

ネオも予想外の行動すぎて動揺する。

 

「ふざけやがって、そんなにドットマトリクスの餌食になりたいのか!」

 

「狙えるモンなら狙ってみろよ!」

 

「ドットマトリクスを攻略してやるっていってるんだよ」

 

不敵に笑うタイチと挑発するゼロマルに激怒したネオはドットマトリクスを乱射した。音もなく、感覚もなく、不可視の必殺技が放たれた。

 

「へへっ、ドットマトリクスやぶれたり!」

 

「っ、よけただと!?」

 

「さすがはネオ。なにがおきたか、おまえにはわかってるよな、ネオ?アルカディモンのエネルギー現象がドットマトリクスをよけたたしかな証拠さ」

 

ネオは舌打ちをした。

 

ドットマトリクスは分解する対象物と同じだけのエネルギーをつかい、分解したそれをとりこむことでプラスマイナスゼロにする必殺技だ。だからドットマトリクスをから打ちさせれば、なにもない空間というデータだけ取り込むことになり、その出力がでかいだけ空間というデータを分解することになり、みずからエネルギーを浪費することにつながる。これがシグマたちからもたらされたついさっきの情報からタイチが導き出した攻略法だった。

 

「あれを避けるか、バグのくせに」

 

タイチはにやりとわらう。見えないドットマトリクスの発射の瞬間がわからなければよけられない。それができるのはアルカディモンがドットマトリクスをうったあとにアルカディモンがエネルギーを消費するゲージの減少を見てから避けるしかないのだ。

 

理論上はアルカディモンのエネルギー量が合図になるがそれが太一のデジヴァイスに表示されるのはほんの一瞬だ。しかもドットマトリクスはすでに発動しているとなれば。

 

「どこまでもふざけやがって!!そんなことができるものか!ただのマグレに決まっている!ドットマトリクスがよけられるはずがない!」

 

「まぐれなんかじゃないぞ!」

 

「二回だ」

 

「な、なに......!?」

 

「二回避けたぞ!!」

 

ゼロマルの渾身の一撃がアルカディモンに炸裂した。

 

「ふざけてるのはそっちだ、ネオの馬鹿野郎!デジモンのバトルはテイマーの腕で決まるんだ。負けたらそれはテイマーのせいだ。やってみなければわからないってオレに教えてくれたのはお前だろーがあ!!」

 

タイチは叫ぶ。

 

「第一回デジモンバトル大会でコロモンで出場して決勝戦で完全体相手に勝ったのお前じゃないか!オレみてたんだからな!あれをみたから、感動したから、オレはお前に憧れたんだよ!はっきりいうけどな、あのときのお前の方が強かったぞ!!」

 

そして笑うのだ。ドットマトリクスを避けるのはゼロマルとタイチの反応速度とコンビネーションのたまものだった。極められたコンビネーションは時としてすさまじい結果に到達するのだ。

 

「だからいうけどな、今のおまえならオレ勝てるよ、絶対な!!」

 

タイチは宣言した。

 

「ネオ様を馬鹿にする奴は許さん」

 

それに待ったをかけたのは、もう一体の敵だった。ゼロマルの右足をカオスドラモンのカオスクラッシャーが貫通した。

 

「ゼロ!」

 

「ネオ様はあのときからはるかに強くなっている。オレはネオ様の実力についていけなかっただけのこと!なにもしらぬお前にどうこういわれる筋合いはないのだ!」

 

カオスクラッシャーがゼロマルを地上に引きずり下ろした。

 

「当ててみろといったのは貴様だ、かわさず受けるのが筋だろう」

 

「ぐうう!」

 

さすがのゼロマルも重量でスピードを犠牲にした分、パワーと火力に特化したカオスドラモンの捕縛から逃れることができない。

 

「今です、ネオ様!」

 

「なに考えてんだよ!お前までまきこまれるぞ!」

 

「ネオ様の悲願が叶うならこれくらい安いものだ。すでに死んだ命、役に立てるなら嬉しいことはない!」

 

「カオスドラモンお前......っ!」

 

「ネオ、ここまでしてくれるカオスドラモンになにか思うことはねーのかよ、お前!!」

 

たまらずタイチは叫ぶがネオには届かない。無常にもゼロマルたち目掛けてドットマトリクスが発動した。

 

「やめろー!!」

 

タイチの叫びがこだました。そのとき、ドットマトリクスが直撃するその刹那、鮮やかな閃光がアルカディモンたちの視界を奪った。その光はそれは誰でもないゼロマルから溢れ出る光だった。タイチはあわててデジヴァイスをみる。そこにはこうかかれていた。

 

evolutionと。

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