(完結)ルート2027(初代デジモンアドベンチャー)   作:アズマケイ

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最終話?

シグマたちや相方のデジモンたちはデジヴァイスを正常化してウイルスバスター機能を付与するだけでデジモンたちの中にあった超究極体の因子は抑制され、停止した。完全に除去するためのワクチンプログラムを開発するためにしばらくデジタルワールドに滞在することになり、みんなで手分けして難民キャンプの手伝いやホーリーエンジェル城や各地の復興活動のボランティアに尽力することになった。

 

その中に彩羽兄妹の姿はなかった。デーモン総司令官として顔が広がりすぎたこともあるのだが、デーモンによる干渉がシグマたちには比べ物にならないくらいの深度に及んでいたようで、その反動かネオが目を覚さないのだ。レイはずっとネオの看病をしている。現実世界に帰ったら、お世話になるのは自分だからとまた動かなくなる運命の足を見ながら笑っている。

 

難民キャンプに設置されている救護室に設置されているカプセルポットの中で、ネオはデーモンから植え付けられていたダークウイルスを除去したり、デジヴァイスの正常化をしたりと連日予断を許さない状況が続いていた。

 

そんな最中、ジュンはホーリーエンジェモンに呼び出されていた。

 

「ジュン、きみにこれを」

 

ホーリーエンジェモンから渡されたのは、タイチたちのもつデジヴァイスによく似た腕時計型のデジタル端末だった。

 

「タイチのデジヴァイスに転送するときのログからサルベージして再現してみたんだが、完全とはいかなさそうだったから、こちらの世界のデジヴァイスをベースに再構築させてもらったよ」

 

「ありがとう、ホーリーエンジェモン」

 

「気にしないでくれ。きみはきみの帰るべき世界のデジタルワールドを救う最終決戦が控えているんだろう?さすがにウイルスバスター機能やパーソナル保護のプログラムを失うのはいただけないからね。私たちの世界を救うためにきみの大切なデジヴァイスを使ってしまったんだ、代用品にすらならないだろうが、なにもないよりはマシなはずだ」

 

「ちなみにどんな機能があるの?」

 

「タイチのデジヴァイスと同じアプリは入っているよ。あとはデジモンや物体のスキャン能力を持つ。メールなんかもできる。ジョグレス(JOGRES)とパーティション(PARTITION)(分裂)機能。あとはきみのデジヴァイスにあったパートナー達を進化させたり、闇の力を浄化したり、仲間の居場所を探知したり、結界を張ったりといった機能もいれてはおいた。一応、確認してくれるかい?」

 

「すごいわね、ディーターミナルいらなくなっちゃったわ」

 

「でもデジモンアナライザーを参照にしているからこそだ、ひとつで全部できるとは過信しないでほしい」

 

「了解、ありがとう」

 

「どうだい、きみのパートナーは生まれそうかな?」

 

「うーん、まだまだ産まれそうにないわね。前はその日のうちに生まれたんだけど」

 

「一度デジゲノムにまで分解されてしまったからね......損傷が大きいんだろう」

 

「やっぱりそうよね......」

 

「ゆっくりしていくといいよ。はじまりの世界が同じなら、私の権限できみの世界を探してたデジタルゲートを繋げてあげよう。デーモンにできたんだ、私にできない道理はないからね」

 

「すごい自信ね」

 

「事実さ。光と闇は常に対極にある。片方がつよくなれば、片方はよりつよくなる。そうやってこの世界は成り立っているんだ。座標の特定に時間はかかるがそれまで待っていてくれるかい」

 

「それしかないしね、お願い」

 

「うん、任せてくれ」

 

ジュンはホーリーエンジェモンにつられて笑ったのだった。

 

「ねえ、タイチくんより先にネオくんたちは召喚されてるわけじゃない?デジヴァイスがタイチくんと同じなのは、デーモンが別のデジタルワールドから奪ったのかしら」

 

「いや、それは違う。先に光に傾いたからデーモンに人間を呼ぶ権限が認可されたんだ。ゆえにあれはデーモンの権限によるものだよ」 

 

「そうなんだ」

 

「きみのパートナーは七大魔王と全く同じ性質にもかかわらず、テイマーとしてセキュリティ側の人間がいる。側から見ればもともといる闇の存在がきみの存在で増幅したとしかいいようがない。世界は光がなにかしらの問題を起こしたと誤認したわけだ」

 

「ああ、うん、なるほど」

 

「そこにネオたちが召喚され、闇の力を強めたがいよいよバランスがとれなくなった。だが闇の力も封じたはずの超究極体の因子を手に入れて不穏な動きをしているし、均衡を保つどころか世界を破壊し始めた。さらにゲートの権限まで奪ったとなれば、もはや自浄作用は見込めないだろう。そこでようやく私に権限が認可されたんだ。光でもなく闇でもない私の出番というわけだね」

 

「そっか、なら古代種に進化させたタイチくんとゼロマルはこれ以上ない適役だったわけね」

 

「そういうことだね」

 

「ほんとデーモンのマッチポンプがひどいわ」

 

「まったくだ」

 

「......」

 

「......」

 

「ねえ、アタシが来たから光に傾いたって話だけど、アタシ、デーモンに拉致されてきたのよ?その時点でゲートの権限ないとおかしくない?認可されたのアタシが来た後なの?」

 

「......そのはずなんだが」

 

「まってまってまってこわいこわいこわい!!デーモンなんでゲートあける権限もって生まれてきてるのよ!!ねえ、ネオくんはほんとに大丈夫なの?ゲート開けようとしたことあるのよね!?」

 

「数値的にはもう危機は脱したし、いつ目覚めてもいいはずなんだが......。念のため、もういちどみんなを検査しようか」

 

「お願い、ほんとお願い。安全が約束されるまでみんな帰れないわ!!帰しちゃだめよ、大変なことになる!!」

 

ジュンは悲鳴にも似た声をあげていた。

 

「アタシの世界だと、ネオくんみたいな子がいたのよ!本人は目が覚めたとき何にも覚えてなかったし、暗黒由来の力は残ったけど自分の精神の安定やデジヴァイスのおかげで抑制できてたの!安全なデジヴァイスが途中からハッキングされたせいだから、その程度で済んだの!でもネオくんは違う!初めからデジヴァイス自体がデーモンが用意したものなら、ネオくんを守るものはなにひとつ初めからなかったってことじゃない!」

 

「ジュン、わかった。よくわかったからおちついてくれ!」

 

それが前世からくる記憶だとしても我慢することができないほどジュンは狼狽していた。ネオがデーモンに召喚された瞬間から支配下にあることはわかっていたのに、ベルフェモンを人質にとられていたせいでなにもできなかった罪悪感が一気に吹き出してきた結果だった。

 

どうしようもなかったとはいえ、超究極体の因子を見つけ出し、七大魔王を復活させたり、デーモン軍の支援をしてきたのは事実だ。自由な身の上になった今、麻痺していた感覚が正常化し、考えないようにしていたことが一気に吹き出したのかもしれない。

 

泣き出してしまったジュンを宥めながら、とりあえずホーリーエンジェモンはタイチたちに再検査のメールを出すことにする。

 

デーモンに拉致されてから4年経過するというのに、まだ元の世界に帰ることができそうにないこともまたジュンを追い詰めているのはたしかだった。

 

ジュンの背中をさすりながら、どうしたものかとホーリーエンジェモンは息を吐いたのだった。

 

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