(完結)ルート2027(初代デジモンアドベンチャー)   作:アズマケイ

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第152話

「ついたわよ、気をつけてね」

 

ジュンの言葉にコータとユージ、そしてパートナーデジモンの究極体であるオウリュウモン、ドルゴラモンは改めて気を引き締める。そして息を呑むのだ。

 

重々しいぎいいいという音と共に最後のデジタルゲートが開かれる。それは某国の軍事衛星のセキュリティシステムの最深部が目の前に広がっているも同然にもかかわらずなにも見えない。

真っ黒な霧が立ち込めていたからである。

 

「さあて、敵はどこにいるのやら」

 

パソコンの画面越しにジュンは時計型のデジヴァイスの通称01を濃霧立ち込める世界に向ける。鮮やかな光が空間を切り裂いた。ここにくる前にコータとユージのデジヴァイスには01からコピペしたセキュリティシステムの結界プログラムがダウンロード済みだ。なにかが弾けた音がして、世界が丸ごと揺れる。光が霧を祓っていく。

 

コータ達は鳥肌がたった。無数のネガーモン達がゲートポイント全体に巣食っていて、真っ暗だとわかったからだ。足の踏み場もないほどであり、ぼたぼた堕ちてくるネガーモンを結界が弾くためにべちゃっとした嫌な音を立てて視界がまた暗くなっていたのである。気持ち悪すぎて鳥肌がたつ。

 

「新手のデジモンね、究極体みたいよ」

 

ジュンはデジモン図鑑を読み上げる。

 

アバドモン

世代 究極体

種族 不明

タイプ 不明

 

ネットワークに溢れる負のデータを、極限以上に吸収して巨大に進化した謎のデジモン。その存在目的は善悪を超越し、全てを無に帰することにある。中心の大口や数多い触手の口でデジモンやデジタルワールド自体にも齧りつき、齧った後には空白のブランクデータを残すのみである。アバドモンの誕生はデジタルワールド全ての危機であることは間違いなく、別次元のデジタルワールドをいくつか消滅したのではとも推測されている。

 

必殺技は、触手全ての目から発する呪われし光線『ゲーズイレイザー』、触手で捉え中央の口で丸飲みする『ガーライトネス』、さらに口から白き光線を放つ『ホワイトライナー』と、どの技も受けた瞬間消去されてしまう。

 

「先輩からもらった結界データがなかったら即死じゃないか!」

 

「こえー......ドルゴラモン達にも展開しててよかったな、ユージ」

 

「まったくだ」

 

「アバドモンはあくまで隠れ蓑で本命はミレニアモンと軍事衛星に融合しちゃってるベムモン......スナッチモンが本命だからね。気をつけて」

 

「まじかよ、三連戦か」

 

「それはなかなか骨が折れそうだな」

 

ジュンはアバドモンについて詳しく解説する。

 

そもそもアバドモンはネガーモン含む自分たちはデジタルワールドを構成する負の摂理(死、破壊、衰退、滅び等の)のタスクを司り繰り返す為の、言わばデジタルワールドの自滅因子と言える存在であった。

 

あくまでも次の生のタスク(復興、再生、誕生などの)に繋げるための行いであり、元来善でも悪でもない存在である。

 

次なる滅びの要因として人間社会の膨大に広がったネットワークに目を付け、人間の止め処なく溢れる負のエネルギーを養分として、次なる災いを齎すための力に利用することを選んだ。

 

しかし、ミレニアモンから提示された人間のネットワークに満ちた負のエネルギーは、ネガーモンの想定を遥かに超えて濃厚かつ膨大で、そしてネガーモンにとって美味なものだった

 

途切れることなく溢れる負のエネルギーを喰らい、成長・肥大化し、また飢えて喰らう。ネガーモンの本能と食欲はやがてシステムの枠を超えて暴走、肥大化していき、自身のプログラムすら上書きされ、あらゆるデータを見境なく喰らう本能のみの存在に成り果ててしまい、

世界の全てを喰らい尽くし、やがては自分すら喰らい、完全なる虚無へともたらす最悪の破滅へと進化を遂げてしまったというわけだ。

 

「ミレニアモンは死んだデジモンの残留思念を糧に生まれた非進化の概念であるアポカリモンの忘形見だもの。アバドモンに付け入る隙はいくらでもあったし、隠れ蓑とするには相性がよかったでしょうね」

 

「つまり、アポカリモンの残滓だもんな、ミレニアモンて」

 

「じゃあアポカリモンのせいってことか?」

 

ジュンは首を振った。ガーゴモンが皮肉めいた笑みを浮かべる。

 

「そもそもミレニアモン自体アポカリモンを作り上げた非進化の概念の隠れ蓑にすぎませんのでね。それは間違っていますよ。そもそも非進化の概念がどこまで死んだデジモン達の想いを転生させずに好き勝手にこねくり回し、デジモンにしているのが真実だ。宇宙の果てから来たともいわれるが、どこからきた存在なのか、元思念体であるワタクシですらわかりませんね。ただただ進化の概念を受け入れたこの青い星の全ての生命体と相容れないということだけが真実だ」

 

黒い霧が晴れていく。無数のネガーモン達がひとつの球体となり、漆黒の風がコータ達の髪を揺らす。それは巨大なデジタマとなり内側から食い破りあらわれたアバドモンによって消えてなくなった。

 

「くるわよ!」

 

ジュンの声に従い、コータ達はパートナーに指示を飛ばした。

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