(完結)ルート2027(初代デジモンアドベンチャー)   作:アズマケイ

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原始世界編
第155話


原始のデジタルワールドは1946年2月14日に稼働したアメリカ、フィラデルフィアにあるエニアックというスーパーコンピュータに自我を持ったコンピュータウイルスが入り込み感染したことにはじまる。

 

デジタルワールドはまだファイル島しかない時代であり、デジタルクライシスを狙う敵のデジタルゲートは3つあった。ウイルス種しか入れない吸血鬼の館、ワクチン種しか入れない氷の協会エリア、そして特に制限がない代わりに盗賊があたりを支配している巨大な崖があるエリア。裏次元と呼ばれるデジタルゲートである。フォレストリーフを頼りに時間と空間を超越して原始のデジタルワールドにやってきたジュンとガーゴモンはガーゴモンがウイルスのため吸血鬼の館地下に到着した。

 

ミレニアモンと鉢合わせしたらという危険性もあったが、さいわいそれはなかった。

 

デジヴァイス01でデジモン探知モードを起動してみるが成熟期もしくは完全体のデジモンしかいないようだ。

 

「はじまりの町に行かなきゃ」

 

「そうですね、急ぎましょうジュン。非進化の概念の傀儡であるミレニアモンの狙いはいつだって進化の概念の代表格であるはじまりの町の転生システムなのだから」

 

「確かに、急いだ方が良さそうね」

 

吸血鬼の館を出てオーバーデル墓地を抜け、ウイルス種しか入れない結界を突破し、ジュン達は成長期や幼年期のデジモンばかりがいる森のエリアにやってきた。

 

看板がある。東西南北にクロスしている看板なのだがジュンが見慣れた表記ではない。少々面食らったジュンだがこれが古代デジ文字であるとすぐに気がついた。

 

「デジ文字がローマ字じゃなくてアルファベットで対応してる......やっぱり今のデジタルワールドの共通言語は英語みたいね。ゲンナイさん達はまだ生まれてないはずだし…......誰がはじまりの町を守ってるのかしら」

 

「いってみないことにはなんともいえませんね」

 

「えーっと......こっちね、行きましょうか」

 

「はい」

 

ジュンとガーゴモンは森のエリアを横切ることにした。見慣れない人間と成熟期であるガーゴモンに警戒心むき出しで茂みにかくれる幼年期や成長期のデジモン達。ジュンは苦笑いしながらいざというときのためにデジヴァイス01の探知機能をオートモードに変更したのだった。

 

さいわい敵に襲われることなくはじまりの町にやってきたジュンとガーゴモンは、守護デジモンを探した。しかし、探知機能に完全体もしくは究極体のデジモンがヒットしない。かわりにUnknownだらけの個体がいる家を見つけた。さっそく入ってみると生活感のある部屋の中央にクリスタルが縦に鎮座しているのをみつけた。

 

嫌な感じはしない。

 

「私はジュン、この子はガーゴモン。よろしくね、あなたは一体誰かしら?」

 

「お待ちしていました、本宮ジュン。そしてガーゴモン。私の名前はエニアック。この世界のホストコンピュータにしてサーバを管理する者です。実態がないためにこのような姿で申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願いします」

 

「驚かないのね」

 

「予言の書にありますから」

 

クリスタルが煌めき、古い書物が召喚された。

 

「なるほど」

 

「ねえ、私たち以外に誰かこの世界に来てない?」

 

「5人来ています」

 

「5人?」

 

「子供が4人、大人が1人、いずれもパートナーデジモンをもつテイマーで、子供のうち1人は記憶喪失ゆえに無口で代わりにサイバードラモンがコミュニケーションをとっているようです」

 

「!!」

 

ゲンナイさんがいっていた初代選ばれし子供、太一達の前任者達だとジュンは気づいた。

 

「もしかして、大人はアメリカ人の女性で子供はみんな日本人?」

 

「その通りです」

 

「子供達の中に私みたいに別の時代から来てる子はいる?」

 

「ひとり、記憶喪失で無口な子がいます。彼だけはどこからきたのか覚えていないようです。私が聞いても自分の名前すら覚えていない有様で。でもパートナーデジモンが覚えていました。パートナーの少年は、ジュン、あなたと同じく秋山リョウという名前で2001年の2月14日からやってきたそうです」

 

ジュンはうなずいた。

 

「記憶喪失なのは残念だけど、リョウくん無事だったのね、よかった。他の子供達は今どこにいるの?会いたいんだけど」

 

「彼らはファイル島に迫り来る脅威に備えて、あらかじめファイル島の全体像が知りたいとムゲンマウンテンに登りに行ったところです。明日には戻るのではないでしょうか」

 

「そっか、ここに戻る予定ではあるわけね。やけにこの家生活感があると思ったら、みんなここで寝泊まりしているわけだ」

 

「その通りです。彼らから要求されたので私が提供しました」

 

「ところでリョウくん以外に私と同じ時代からきている子供っていないの?」

 

クリスタルが煌めいた。

 

「まだ、きていません」

 

「まだなんだ」

 

「はい、今はまだ」

 

「わかった、じゃあここで待たせてもらうわね」

 

「わかりました。私は裏次元が出現していないか調査に向かいます。なにかあれば力を貸してください」

 

「もちろん」

 

クリスタルが姿を消した。

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