(完結)ルート2027(初代デジモンアドベンチャー)   作:アズマケイ

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第159話

「デーモンズシャウトッ!!」

 

耳をつんざくような畏怖の咆哮があたりに響き渡り、ピエモンが石化していく。

 

「やめろおおおおぉぉぉ───────ッ!!」

 

断末魔が響き渡る。ガーゴモンは容赦なく完全に石化したピエモンをはるか上空から地上に向かって投げつけた。がしゃあん、と地面に叩きつけられ、粉微塵になった。

 

その瞬間、ノイズが走る。奇妙な浮遊感がガーゴモンとジュンを襲う。

 

「......また、ね」

 

「またですねえ」

 

気づけば五体満足のピエモンがいて、ガーゴモンに向かって巨大な4本の剣を転送させようとしているところだった。はじめは違和感しかなかったがもう慣れてしまったガーゴモンは、何度倒しても復活するピエモンをあらゆる方法で倒そうとしたが、倒した瞬間に倒す前に戻されてしまう。ジュンも疲労を隠しきれていないガーゴモンが心配だが、結界の中から動けない以上、どうしようもなかった。

 

おそらく、ミレニアモンとの戦いの前哨戦であるアポカリモンが復活するたび、ダークマスターズも復活する因果が原因だと思われた。

 

いくらピエモンを石像にして異世界のデジタルワールドに転送してもアポカリモンという供給元を断たなければ戦いは永遠に終わらないのだ。

 

ジュンはセントラルマウンテンの頂上になってしまっているムゲンマウンテンに先に行かせた太一達の戦いをはるか後方のはじまりの町で見守ることしかできないでいる。

 

そして50回ほど繰り返しが行われた頃だろうか。

 

ピエモンが苦しみ始めたかと思うと、一気にその姿が霧散する。巻き戻しは起こらず、ようやくガーゴモンの戦いはおわりを告げた。

 

どうやら太一達がアポカリモンの背後にいるミレニアモンを倒したことで、アポカリモンとダークマスターズの戦いが終わったらしい。

 

息を吐いたジュンは結界を解こうとしたがガーゴモンに止められる。その理由をすぐにジュンは察するのだ。隠れ蓑を失った非進化の概念が姿を表したのである。

 

本来実体化するはずのない概念がデジタルワールドというデータを実体化する不思議な世界において実体化する。世界は突如として宇宙空間に突入した。

 

あたりはまるで宇宙のように広い広い空間だった。遠くでは星々がきらめくのに、あたりは銀河系も何もない。ただ浮遊しているわけではなく、しっかりと足がついているのは平面の空間が存在しているからだろう。視認できないが謎のパネルが設置されているような感覚である。こつこつと冷たい音がする。音がする時点で宇宙ではない。息ができる時点で宇宙ではきっと無い。ジュンは油断することなくぐるりとあたりを見渡した。

 

張り詰めた緊張感の中、ガーゴモンが太一達を発見、なんとか合流することができた。リョウの手には卵がある。なんとセイバードラモンがリョウのパートナーデジモンになるために、敵でありながらパートナーデジモンでもある矛盾をはらんだミレニアモンとジョグレスすることに成功したのだという。

 

あとはこのデジタマを元の時代に持ち帰るだけだと彼らを焦らせるように、時間だけが過ぎていった。

 

それは不自然なほどの赤だった。名前は分からない。ただ真っ赤な花が咲いている。気づけば存在を視認できない足下にただひたすら広がる謎のプレート、つまり足下あたりは真っ赤な花で覆われており、ジュンたちはそのただ中に居た。香りはない。ただ目に焼き付いている。

 

きっと普通の花ではないのだ。それだけはわかる。ジュンたちは思うのだ。ここにはたしかに何か居ると。そして途方もない時間、彼らは歩いた。そしてその果てで、不気味な椅子をみつけた。その異様さに気圧されてしまうが、太一は進もうとした。ジュンの脳裏に光がちらつく。反射的にジュンは太一を引き留めた。

 

その刹那、突然の閃光と轟音がとどろく。反射的にジュンたちは目をかばった。強烈なまぶた裏の残像が消え去る頃、ようやく視界が回復した太一たちがみたのは、だれもいない玉座に座る何者かだった。

 

ジュンたちは身の毛がよだつのだ。ここでようやく玉座に座る真っ黒な正体不明の存在の足下に転がる光の砕け散った破片の山に気づいたから。槍で貫かれたり、剣で切られたり、獣の牙でかみちぎられたり、それはまさしくスプラッタホラーも真っ青な虐殺の現場だった。はたからみれば赤い花のそばできらめく謎の光のかけらたちなのに、意味を知ってしまうと恐ろしい。

 

 

ジュンたちよりずっと小さな躯のくせに、たいして強くなさそうに見えるのに、この異様な重圧感はなんだろう。見た目通りの存在ではないことは確かである。たった手の一振りで足下にかろうじてあった一瞬でその光のかけらを葬り去った。そして、もったいぶるような動きで、ゆっくりと動作をして、椅子に座るなにかは視線を投げた。

 

静寂が訪れた。なにものかがゆっくりと立ち上がる。小さいなにかは大きくなり玉座が粉砕される。それはやがて世界を飲み込み、宇宙空間と合一する。

 

だれもしらない戦いが幕を開けた。

 

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