(完結)ルート2027(初代デジモンアドベンチャー) 作:アズマケイ
「そーだそーだ、成熟期になればいいんだろ?ならデジヴァイスの光をオレにあててくれよ!レオモンが究極体になれるのはそのおかげらしいじゃん!」
「はあ?」
「えっ、そうなの?」
「そういう話は聞いた事あるけど今も出来るかはわからないわね、ゲンナイさんに聞かないと」
「えー、なんだよケチ!」
「誰がケチだ誰が!来賓に暴言吐くやつがあるか!お前は大人しく訓練してろ!」
モノドラモンはクワガーモンに首根っこ掴まれてどこかにいってしまう。ジュンたちはスティングモンがまつ会場に向かったのだった。
「モノドラモンねえ」
ジュンはこっそりディーターミナルのデジモン図鑑を開いてみた。
モノドラモンはワクチン種で両手にはこうもりのような翼がついているが、飛べることができない小竜型のデジモンらしい。
ワクチン種でありながら、性格はかなり乱暴というよりも凶暴に近く、ケンカ好きなデジモンといった感じだ。デジタルワールドでも、たいがいのケンカの中心にはこのモノドラモンがいるくらいで、あのオーガモンですら、モノドラモンのしつこさには辟易しているそうだ。
また、後ろに伸びたツノは弱点と言われているが真相のほどは確かではない。得意技はかんだ部分のデータを断片化させ、敵は噛まれた場所によっては機能不全に陥ってしまう『クラックバイト』。必殺技の『ビートナックル』は、ものすごい勢いで突撃し、強力なツメでぶんなぐるという単純明快な大技。
「なるほどね」
「けんかっぱやいのかあ」
「デジヴァイスの光にあてるだけならいいんじゃないの?」
「さあな、あれはホメオスタシスの管轄だろ?進化したいって理由で使わせてもらえるのか?」
「うーん......どうだろ?」
「みたところ普通のデジモンみたいだしねえ」
「やる気はあるんだし、ほっといても進化しちゃいそうな勢いだったな、さっきのやつ。僕は嫌いじゃないなー」
賢たちが通されたのは立派な闘技場である。所狭しとイスが並べられている。両サイドには大きな入り口があり、控え室から会場に向かう入場口となっているようだ。観客の目の前を通るときのパフォーマンスも大事なようで、実況席と思われる独立した空間以外はすべて戦うものたちの為に用意された世界である。
「おっきいねえ」
「ほんとだなー、すげーテント」
「ファイル島全体から参加者が訪れるってのは本当らしいな」
気をよくしたらしいクワガーモンが特別にステージにあがっていいといってくれた。イスを出してこないと上れない。ロープを飛び越えられなくてくぐり抜け、たくさんのデジモンたちが戦ったのだろう、ぼろぼろの床の上に立つ。ずっと奥には歴代の優勝者たちの写真と名前が並んでいる。
「あ、レオモンだ」
「オーガモンもいるね」
「こいつらはライバルだからな、いつもいつも派手に暴れてくれるから盛り上がるんだ」
「へー、そうなんだ」
「すごいねえ」
「ね」
「帰ってくるのか?旅にでてるらしいじゃないか」
「さあ?」
はしっこから順番にみていく。知らないデジモンばかりだ。最近の方になるにつれて、今まで賢たちが会っていたデジモンの姿が見え始める。きっと数年以内のチャンピオンたちなのだ。レオモンもオーガモンも常連なのか何度も写真が並んでいる。
「あ」
「どうした、賢」
「あれ、デビモンじゃない?」
「え?あ、ほんとだ。デビモンだ」
「デビモンもここによく来てたのか?」
「いんや、あいつはたまにしかこねーな」
「そうなんだ」
「つよい?」
「そりゃここで優勝するくらいは強いさ。選ばれし子供達よりは弱いけどな」
「そりゃそうだけどさ、天使に悪魔は勝てないだろー」
「事実なんだからしかたねーだろ」
雑談しているとスティングモンがやってきた。主催ということで忙しくしているようである。
「久しぶり、みんな。1年ぶりにやっと大会を開くんだ。ゆっくりしていってね」
「スティングモン、久しぶり!元気だった?」
「うん、元気だよ。賢はどうだい?」
「元気だよ!」
ゲンナイさんの隠れ家で時々顔をあわせてはいたのだが、スティングモンはビートランドのことが忙しくてここのところ賢とあえていなかったのだ。ようやくゆっくり会話ができると賢は喜んでいる。ジュンたちは顔を見合わせて笑った。
「スティングモン、モノドラモンのこと知ってるか?」
「モノドラモン?うん、知ってるよ。最近ビートランドにきた成長期のデジモンだよね。世代間の強さは10体分あると言われているから、せめて経験を積んでから成熟期の部門には出て欲しいといってあるんだけど聞いてくれないんだよ」
「ふーん、そっか」
「遼さん?」
「実はさー、モノドラモンが気になっちゃって。まだ大会まで時間あるみたいだし、様子見てきていい?」
「お前な、みんなで集まろうっていいだしたのはお前だろ」
「まーまー堅いこと言わずにさ!な、な、ちょっとだけ!」
「あはは、まあいいんじゃない?いきましょうか」
治は呆れたように肩を竦めた。
「ここから出るには進化するしかないんだよ!」
「つまり、特訓するしかないんだな!なら付き合ってやるよ、モノドラモン」
「そうそうってそうじゃなくて、デジヴァイスの光でさあ!」
「やってるやってる」
「モノドラモン、いいこと教えてやる。選ばれし子供達のパートナーが強いのは短期間に進化と退化を繰り返して普通のデジモンみたいに転生しなくてもいいからだ。レオモンは元々下地があったから強くなったが、お前は成長期になったばかりだ。成熟期にいきなりなるより、訓練して経験積んでから進化した方が強くなるぞ」
「大冒険で早急に強さを求められて強くなるより訓練施設あるんだから利用しない手はないわよ、モノドラモン」
「えー、そうなのか?」
「そうそう、そういうことだよ」
「それにね、スティングモンは僕と離れちゃうと弱くなっちゃうんだよ。モノドラモン頑張ったらいつでも強いままでいられるよ?」
選ばれし子供達の言葉は説得力があったようでふーむとモノドラモンは考え始める。そして遼をみた。
「決めた!」
「え?」
「君、名前は?」
「えっ、遼だけど。秋山遼」
「決めた。今決めた。そういうことなら、遼、パートナーいないみたいだしオレが相棒になってやるよ!だからさ、ちゃんと面倒みてくれよ!」
「えっ、ちょっ、はい!?なにいってるんだよ、モノドラモン!」
「だって選ばれし子供なら強くなる方法くらいわかるだろ?」
「あ、それいいわね。遼くん、テイマーの才能があるってゲンナイさんいってたし」
「テイマー?」
「デジモンを育てる才能がある人のことよ」
「へー!そりゃいいや!」
「ちょっ、ジュンさん!それをいうなら治くんもだろ!?」
「僕は賢とスティングモンの手伝いがあるからな、あとは頼んだ」
「めんどくさいからって逃げないでくれよ、治くん!」
「遼さん、大会楽しみにしてますね!」
「って言ってる傍から賢までー!」
待ってくれよ、と追いかけようとした遼だが、モノドラモンが服を掴んで離してくれない。あとは頑張ってね、とジュンはその場をあとにしたのだった。