(完結)ルート2027(初代デジモンアドベンチャー) 作:アズマケイ
太一、ヤマトはオメガモンと同行。光、タケルはオメガブレードの強化とディアボロモンに相性がいい。光子郎は全面的なサポート。この時点で8人のうち5人がとられている。
空、丈、ミミたちは遼と共に大輔たちが開拓したエリアを中心にデジタルゲートを繋いだ。レジスタンスたちを避難させたり、情報交換したりする。こちらのサポートは治が行っていた。そこにVRブラックウォーグレイが現れた。
それは漆黒の竜戦士として恐れられる、ウィルス種のウォーグレイモンだった。ウィルスバスターズのウォーグレイモンとは信条も主義も全て正反対であるが、彼なりの“正義”のために存在している。
卑怯や卑劣なことを嫌い、同じウィルス種でも低俗なデジモンは仲間だとは思っていない。どういった経緯でウィルス化してしまったのかは謎で、背中に装備している“ブレイブシールド”には勇気の紋章が刻まれていない。
必殺技はウォーグレイモンと同じ『ガイアフォース』だが、この世に存在する“負の念”を一点に集中させて放つ『暗黒のガイアフォース』である。
驚く空たちにワイズモンがレジスタンスの一員だと教えてくれた。
「オレはほかの世界でダークタワーから生まれたデジモンだった。今こうしてそのデータから生み出されたが、オレはミレニアモンが気に食わない。だから脱走してレジスタンスに協力しているのだ」
どうやら自分なりの美学や譲れないところがあるらしい。
「ふうん、そうなんだ。ところでVRってなんなの?」
遼の質問にVRウォーグレイは答える。
「ミレニアモンが願望を叶えるために今まで渡り歩いてきた世界で強かったデジモンたちを模して作り出した偽物だ。おそらくオリジナルではないが、あたかもそこにいるという意味でミレニアモンは呼んでいる」
「でもデジモンはデジモンだよな?」
「オレのように暗黒勢力のデータであるダークタワーから生まれたデジモンはデジタルゲートを危機に陥れる。だから討伐対象になるのだ」
「えー、でもこうやってミレニアモンと戦ってるんだから、平和になったら受け入れてもらえるんじゃ?」
VRウォーグレイは首を振った。
「お前はミレニアモンと戦ったことがあるそうだな」
「うん」
「ならわかるだろう。この世界に平和が訪れるということは、ミレニアモンにより好き勝手に改変された歴史は正常に戻り、なかったことになるということだ。オレはミレニアモンがこの世界を古代デジタルワールド期にまで戻してから歴史を改変する過程で生み出さなければ生まれない存在だ。平行世界を融合しようとしているのだ、お前たちの冒険のように世界を保存する訳にもいくまい」
「でもそれじゃあ、お前......」
「オレが脱走するときにミレニアモンがいったことだ。間違いないだろう。だがオレはそれでいいと決意したからここにいる。たとえ世界の平和と同時に存在が消えてしまうとしてもだ」
VRウォーグレイのもとになったブラックウォーグレイモンは、たくさんのダークタワーにヒトゲノムが融合して生まれた過程でなぜか心を持ってしまい、苦悩したらしい。自分の存在意義や生まれた意味がわからずデジタルワールドの要石を壊しまくり、危機を招いていく過程で選ばれし子供達とも打ち解ける兆しがあった矢先に非業の死を遂げたというのだ。
「そっか·····」
「オレはあくまでもデータとして知っているだけで同じ存在ではない。釈然としないものを感じていたときに内偵をしていたワイズモンと出会い、この世界ではどうやらオレは四聖獣たちの管理のもと転生する日を待ちながらデジタマとなっていると聞かされた。そういう世界もあるのだと。ならば壊す訳にはいかないだろう。平行世界とはいえオレを受けいれてくれようと頑張る世界があるならば、それをオレは壊すことなど出来はしない」
遼はしばしの沈黙のあと、口を開くのだ。
「VRウォーグレイもダークタワーから生まれたのか?」
「そうではないが、ミレニアモンによってこの世界の深淵に封印されていたアポカリモンのデータをサルベージしてつくられたのだ。暗黒勢力のデータからつくられたのだから、本質は同じだろう」
「そっか......じゃあ、どの世界にも似たようなことで悩むデジモンもいるんだな」
「どういうことだ?」
「僕、会ったことあるんだ。僕達の世界にミレニアモンが攻めてきて、改変された世界の手下のひとりにボルトモンってやつがいた。メタルエンパイアに作られて、身勝手な理由で封印されてたらしくてさ。目覚めたら復讐する相手がいないから悩んでそこをミレニアモンにつけ込まれて。話が出来そうなやつだったんだよ、仲良くなれそうだったんだ」
「死んだのか」
「うん......僕達に味方して裏切りそうだからってミレニアモンの部下に殺されたんだ。その部下を倒したら、生きたいって2体の究極体が融合してこの世界にもミレニアモンが生まれてしまった。ある意味、僕達のせいなんだよ、この世界がこんなことになってるの」
VRウォーグレイは呆れたように笑うのだ。
「オレの生まれは悲劇に満ちているが悲観しなければならない理由はないし、同情されるのは不愉快だからやめろ」
「あ、ご、ごめん。つい......」
「まあ、お前の気持ちもわからなくはないが」
「え」
「お前のようなやつがいるから、ボルトモンというやつもミレニアモンを倒せば自分も死ぬとわかっていながら耳を傾けようとしたのだろう」
「......そう思う?」
「オレはボルトモンではないし、そいつの本心はわからんがオレならそうすると思っただけだ」
「そっか......ありがとう」
「礼をいうのはオレの方だ。この世界において究極体という概念はミレニアモンしかもたない。あまりにも絶望的な状況だった。たんなる消耗戦から形成を逆転し、大陸の半分もの奪還に成功したのはお前たちのおかげだからな」
「へへ、がんばろうぜVRウォーグレイ。それでさ、太一くんのウォーグレイモンと会ったらいいよ。あいつ、マイペースだけどいいこと言うんだ。本質をつくっていうかすごいやつなんだ」
「そうか。それは楽しみだ」
「僕も!」
遼は笑った。
「りょう!りょう、りょーう!どこに行ったのかと思ったらこんな所にいたのか!相棒のオレをさしおいてなにしてんだよ、浮気者!」
「なにが浮気者だよ、ストライクドラモン!お前はパートナーデジモンじゃないだろ!」
「まだ遼のところにパートナーデジモンが現れないんだから、それまではオレがパートナーだ。よって問題なーし」
「もし現れたらどうするんだよ」
「どうするってそりゃ、大切なことを決めるのはいつだってバトルだ!」
「なにいってんだよ、この脳筋!パートナーデジモンはそんなんじゃないって言ってるだろ、何度も!」
「でもジュンのファスコモンやウォレスのテリアモン、チョコモンみたいなこともあるんだ。全くないとは言わせないぜ」
「そりゃーそうだけどさ、うーん」
「はっ、まさか遼!お前最初に冒険したとき太一のアグモンがパートナーだったから、そいつがパートナーがいいっていうんじゃないだろうな!?」
「はあ!?なにいってんだよ、ストライクドラモン!意味わかんないこと言うなってば」
「あいにくオレはそういうのは面倒だからごめんだ」
「VRウォーグレイも乗らないでくれよ、なんか僕が振られたみたいな空気になる!」
「やったー!残念だったな、遼!やっぱお前のパートナーはオレだよ」
「ああもうやっぱりこの流れ......!」
遼は頭を抱えるのだった。