ファイアーエムブレム覚醒 ~虹が生み出した物語~ 作:ユイリー
16章:神竜の巫女
「僕は気づいてしまった。だからこそ…この策は協力者以外誰にも知らされるわけにはいかない。」
僕が考えた策は、絶対に失敗にはさせない。させたくないんだ。
~マークSIDE~
僕たちイーリス同盟軍はようやくミラの大樹に到着することができた。
「近くで見ると圧倒されちゃうね…」
「てっぺんが見えねぇな。」
リズの言葉には賛成するし、バジーリオ様の言うとおり葉が邪魔して上は見えずらい。
「あの木の上に神殿があるのですね?」
「うむ。木の内部に造られた階段で上へのぼることができる。
しかし、階段へ続く橋はヴァルム帝国によって封鎖されている。」
「ならば、正面突破あるのみだ。」
うん、クロムならそういうと思っていたよ。
さて、敵将は…髭が立派な重歩兵だなあ。
「父上、どうかされましたか?」
「えっ?」
ホークに声をかけられて僕は首をかしげた。
「なにか悩み事があったのではないかと思いまして。」
「うーん……顔に出ていたかなぁ…。」
「出ていませんでしたが…気が付いたので…。」
うん、鋭い。
「…いずれ、話すよ。いまは…まだ、かな。」
見張りの件もあるし、うかつにばれたらね。
敵をだますにはまず味方からっていう言葉もあるし。
そんなかんやでどうやら敵は全部倒した…といっても敵将は撤退した…ようだ。
これからクロムたちは神竜の巫女にあうだろう。
が、僕は…。
~ルフレSIDE~
「これがイーリス同盟軍…。なんという強さだ…。」
敵を片付け終わった後、サイリさんは驚いていた。
「サイリ。神殿へ案内してくれ。」
「あ、あぁ、こっちだ。」
みんなで行こうとして、
「クロム。」
マークさんが呼び止めた。
「どうした、マーク。」
「神殿に行くのもいいけれど、僕は周囲を偵察に行ってくるよ。
それと、あんまり多くても大変だから人数は絞って、このあたりの見張りを交代でやったほうがいいと思うよ。」
「そうか、わかった。」
マークさんの提案で神殿に行くのは、
クロムさん、私、リズさん、フレデリクさん、サイリさん、バジーリオ様、フラヴィア様、ルキナに決まり、
マークさん、ホークさん、ティアモさん、スミアさんが偵察に、
残りは周囲の見張りとなった。
「も、もう何段のぼってきたの…?」
「こんなところに…神竜の巫女様が?」
「巫女様!巫女様!!」
サイリさんが神竜の巫女様を探すとひとりの女性を発見する。
「巫女様…ご無事でしたか…!なによりでございます。」
「あなたが…神竜の巫女チキ様…」
「あなた……マルス?」
チキという神竜の巫女様はルキナのほうを見てそう呟いた。
「え?いえ、私はルキナです。
マルスと名乗っていたことはありますが…その頃の私をご存じなのですか?」
「…いいえ、知らないわ。ただ…わたしの知っている人によく似てたから。
でも、そんなはずないわ。わたし、長く眠りすぎたのね…」
「…チキ様…」
「あなたたち親子は聖王の血を継いでいるのね。
【炎の紋章】はまだ持っているの?」
「【炎の紋章】…?」
「あなたたち一族がかつては受け継いでいたけど…」
「……そうか!【炎の台座】のことか!それならば、ここに。」
「ああ…良かった。ちゃんと受け継がれていたのね。
でも【宝玉】は一つ…【白炎】しかはめ込まれていないみたい。」
たしかに炎の台座には白い玉しかありませんでした…。
「【宝玉】?」
「【白炎】、【黒炎】…【緋炎】、【蒼炎】、【碧炎】…
ナーガの力を宿す聖なる宝玉のこと。
五つの宝玉がすべて台座に収まることで、【覚醒の儀】を行えるようになるの。」
「初代イーリス聖王様が、神竜ナーガより力を授かった、という伝説のものですか?」
「ええ、そう。
初代聖王は炎の紋章の力を用いてギムレーを倒した。
でも、それは人を超えた力。だから宝玉は取り外された…
ほら、ここにもそのうちの一つ、【蒼炎】があるわ。」
「我が故郷にもひとつ…【碧炎】の宝玉が伝えられていたのだが、
ヴァルハルトの手先が持ち去ってしまった。」
「【白炎】、【蒼炎】、【碧炎】…
あとのふたつのありかはわかっているのですか?」
「さあ…ずっと昔――
志が分かれた者たちが新たな国を築いたというけれど…」
「そのときできた国のひとつがフェリア連合王国ってわけだ。」
「えぇっ!!じゃあもしかしてフェリアに宝玉があるの!?」
「そうなのかい?」
「なんだお前、知らなかったのか?」
「知るわけないだろ。」
「まぁそうか。
【緋炎】の宝玉は西の王にだけ受け継がれてたもんだしな。
もっとも今じゃそれも失われちまって…どこにあるかもわからねえが。」
今までの話、マークさんにも話したほうがよさそうですね。
「聖王の血を受け継ぐあなたに、お願いがあるの。
この【蒼炎】の宝玉を持って行って。これで宝玉は二つになるわ。
五つの宝玉で、初代聖王のように【覚醒の儀】を行って…
世界の破滅から守って欲しいの。」
「破滅…?」
「…蘇ろうとしているわ。
破滅と絶望の竜…ギムレーが…」
「……!」
ルキナの顔が強張る。
「蘇るというのは、いつなんだ?それに、一体どこで…」
「いつ、どこで、かはわからないわ。なぜ、かもわからない。
でも、感じるの。復活の時は近づいている…
だから、あなたに託すの。聖王を継ぐあなたに。」
「わかった、感謝する。」
チキ様から【蒼炎】の宝玉を受け取ったクロムさんは【炎の台座】にはめ込む。
「ありがとうございます。」
「あ…あなた…」
「え?」
「…あなたからは力を感じる。私たちと同じ力…」
「同じ…力…?」
「ふぅ…ごめんなさい。ひさしぶりに起きたら疲れちゃった。」
「大丈夫ですか?」
「ええ…
今の私に戦う力はないわ。だから、あなたたちに頼るしかない。
守ってあげて。みんなが穏やかに暮らせる世界を…」
~マークSIDE~
さて、偵察してきた結果をクロムたちに話し、僕はルフレから神竜の巫女との話を聞いた。
【炎の紋章】…僕が予想していたことと同じ…
残りの【黒炎】はもしかしたらペレジアにあるかもしれない。
しかも高確率…いや、100%、ファウダーが持っているだろう。
ん…まてよ…
『五つの宝玉がすべて台座に収まることで、【覚醒の儀】を行えるようになるの。』
『…蘇ろうとしているわ。破滅と絶望の竜…ギムレーが…』
「っ………!!」
僕は慌てて持ち物に入れていたメモを取り出す。
〔祭壇のような場所で、邪魔が入らないかのように闇色の障壁がある。
その場所のどこかには5色の玉がついた盾があった。
ルフレはクロムとともに先ほど戦った暗殺者の指揮官に似た邪術師と戦ったが、
倒したと思ったら不意打ち攻撃をされ、クロムを庇ったルフレが倒れた…が、
なぜか視界が赤にそまり気が付いた時にはルフレはクロムを殺していた。〕
気づいてしまった。
祭壇のような場所…闇色の障壁…そして…5色の玉がついた盾。
覚醒の、儀……
「うぐ……」
思わず吐きそうで左手で口を塞ぐ。
「も…し…か…し…て…」
ギムレーは… から…覚醒の を得て るのではないか…?
だから…… が…クロムを、 す。
がクロムを す。 がクロムを す。 がクロムを す。 がクロムを す。 がクロムを す。 がクロムを す。
違う!そうじゃない…!
「させない…クロムを殺させない…。」
ぐっと拳を作る。
ならば、対策は早めにやらなくてはいけない。
あいつの思い通りにはさせない。
「あら、マークじゃないの。買い物かしら。」
「アンナ、この一覧にあるもの頼めないかな。」
その行動が、自分の身が犠牲になろうとも。
~ルフレSIDE~
マークさんに神竜の巫女様との話を伝え、そして各方面の様子を聞いた後、私たちは集まって今後の進路について決めていた。
「さて、巫女様の御声により、各地方から援軍が続々と集結しつつある。
このまま解放軍が大きくなれば、ヴァルハルト打倒も夢物語ではなかろう。」
「そうか。」
「でも、そうなると…敵も黙ってはいないでしょうね…」
「…左様。ヴァルハルトが動き出した。全軍を集結し、我らを叩き潰しの来る。
解放軍が大きくなるよりも早く…」
「現在の配置は?」
「ヴァルム帝国軍の主力は三つの軍に分かれ、
それぞれが大陸の北方、南方、中央を押さえている。
北方には…皇帝ヴァルハルト。今の我らに勝ち目はない。
南方には…我が兄レンハ。ヴァルハルトと互角の戦い手だ。」
「…………」
「…難しい顔をしているね。あんたでもお手上げってことかい?」
「この中の一つでも落とすことができれば、帝国軍を崩せるかもしれませんが…」
「となれば、三つ目の中央か。」
「街道の中心地…シュヴァイン要塞。ここは、我々の位置からも近い。
ヴァルハルトやレンハが攻め来るまでいくらか猶矛もあろう。
即席の軍で挑んで唯一勝ち目があるとすればそこだろう。
では、解放軍の大部分で帝都と南部をけん制し、
ヴァルハルトとレンハを足止めしておいてもらうとしよう。
その上でクロム殿率いる精鋭部隊は、シュヴァイン要塞へと向かう。
……ほかの方々は異論ないだろうか?」
「言うまでもない。」
「だね。」
「ふ…この苦境においても、誰もが光を宿している…
お互いを信じ合う絆が、あなた方の強さか…」
決まったところでそれぞれ説明し、私たちはシュヴァイン要塞へ向かうことになった。
マークの位置だからこそわかった内情。
マークにはみんなに明かしていないものがありますからね。
一応物語の後半~ED後で判明します。
では今回はここまで。
一言感想くださればなによりです。