ファイアーエムブレム覚醒 ~虹が生み出した物語~   作:ユイリー

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23章:運命か、絆か




今回はルフレ視点のみでお送りします。


29.5.10 捜索場所を訂正(ファインとセレナが空から→周囲を)


第40話

 

 

 

~ルフレSIDE~

 

 

祭壇の中へと私たちは進んでいく。

 

「いよいよだな、ルフレ…」

 

「…クロムさん、一つだけ頼みがあります」

 

「頼み? なんだ? 今更逃げたいなんて言うなよ」

 

「はい。…私一人がどこかに隠れれば、クロムさんを殺さずに済むかとも思いましたが…

ファウダーに逆らえない限り、結局はどこにいても狙われ、操られるだけです。

だから、逃げません。クロムさんと一緒に戦います」

 

「それで良い」

 

「ですが、ファウダーとの戦いで…もし私が支配に負けた時は…

その時は、クロムさんの剣で私を止めてください」

 

「馬鹿なことを言うな」

 

「…クロムさんだから頼むんです。

私はファウダーには負けません。みんなのためにも…

だから、あなたもみんなのために行動すると約束してください」

 

「……わかった。だが、いいか。絶対に負けるな!」

 

「はい」

 

 

私たちは約束して、奥へと進む。

 

「ファウダー!」

 

「…来たか、だが、もはや止めることはできん。

竜の祭壇と炎の紋章…この力で、私はギムレー様を復活させる」

 

「ギムレー…ルキナが恐れていた悪魔を…」

 

「あの小娘のいた世界に起きは破滅は、ここでもまた繰り返される。

これより行う儀は、貴様らの神ナーガの【覚醒の儀】と対をなすもの…

我らが偉大なる神ギムレー様の【覚醒の儀】だ…!

ギムレー様は竜として蘇る。その器となる肉体から…」

 

「器…?」

 

「お前のとこだ、ルフレ」

 

「なんですって!?」

 

「我が子にして、ギムレー様の血を継ぎし者。

お前の中にはギムレー様の血と魂が眠っている…

お前を目覚めさせ、ギムレー様として蘇らせるのだ」

 

「私が…私自身が……ギムレー……!?」

 

後ろについてきている仲間が、ルキナの息を飲む音が聞こえた。

 

「教団は代々…ギムレー様の器となる人間を創ることを目指してきた…

だが、器となるには、血脈と…個人の素質が必要になる。

私の祖父も父も器には足らず…私自身も至らなかった…

だがお前はついに…!その器として完成したのだ…!

だというのに…お前の母親は、生んだお前に情が湧いたらしい。

教団を裏切り、赤子のお前ともう一人を抱いて行方をくらませた。

その後のお前がどこでどう育ったかは知らぬが…運命とは決して抗えぬもの。

お前はこうして我が前にいる…ギムレー様の器となるために」

 

「ルフレが…世界を滅ぼす竜…

だが! そうはさせない。ここでお前を倒し、止めてみせる!」

 

「クク、確かにエメリナ暗殺の時は私はお前たちによって倒された。

だが今、竜の祭壇の力を得た私には、あの時とは違うのだよ」

 

「俺たちも、あの時と同じじゃない。そうだろう、ルフレ」

 

クロムさんがこちらをみる。

あの夢は…ルキナの未来は…もう、1人…?

 

「ルフレ!!お前はもう、血に縛られて惑うような弱い人間じゃないはすだろう!

お前が誰の血を引いていようが俺たちには関係ない!

俺たちはお前を信じている! お前も、自分を信じろ!」

 

「クロムさん…」

 

「くだらん。弱い者同士の馴れ合いなど惨めなものはない。

群れればなんでもできると思う過信が、お前たちの愚かなところだ」

 

「黙ってください…」

 

「なに…?」

 

「信じるものがあるから私は今ここにいるんです。

信じてくれる仲間がいるから、こうして立ち向かっていけるんです」

 

思い浮かべるのは祭壇に入る前のみんな。

マークさんたちは私たちのためにあそこに残った。

それは、私たちを信じてくれているから。

 

「そんなものがなんの足しになる?それで私に勝てるとでもいうつもりか?」

 

「勝ちます…!この命を賭けて、必ずあなたを倒してみせます!」

 

「くっくっく…。脆い命が寄り集まって、なにはどのことができようか。

良いぞ、やってみるがいい!

全身全霊を賭けて挑み、果てない絶望の闇に散れぃ!!」

 

 

途端に私とクロムさんを残して紫の障壁がみんなと切り離す。

そして違うところからギムレー教団の兵が出てくる。

 

 

「俺たち最後の戦いだ!」

 

クロムさんの声が響く。

 

「大丈夫だ、ルフレ。この絆は…運命なんかよりもずっと強い。

お前が共にいてくれる限り……負けはしない。

行くぞ、ルフレ!ここで必ず奴を倒す!」

 

「クク…その暗闇の障壁がある限り…他の者が壁を超えることはできず、空間を移動する杖も使えぬ…

お前たち二人はここで私に敗れる運命なのだ」

 

少々不安だが、あちらにルキナとレインを任せておくしかない。

 

「ギムレーという神となるのだ。ルフレよ。

万一、ここで私を倒したとしても、もはやお前に居場所はあるまい。

私の血を嫌うナーガ側の人間からはもちろんのこと…ギムレー側の人間からも恨まれることになる。

そんなつまらぬ人間と交わって生きずともお前には神となる道が用意されているのだぞ」

 

「神…そんなものに興味はありません。

あなたの言うつまらない人間たちと共に生きたい…それが私の望みです。

――覚悟はいいですか!」

 

私はトロンを放ち、クロムさんが援護に入る。

 

「クク…これも…また…運命……」

 

ファウダーは倒れた。

クロムさんが安堵の顔を浮かべ、後ろにいた私をみる。

しかし……

 

「貴様らごときがぁぁぁぁぁ!!」

 

ファウダーが最後の一撃。

私はとっさにクロムさんを庇う。

どさりと倒れる。

攻撃を受け、全身が痛いはずなのに――なぜ痛みは感じないのだろう?

クロムさんが駆け寄り私を起こす。

 

「大丈夫か?奴は倒したんだ、俺たちが勝ったんだ」

 

見るとファウダーは消えており、周囲にあった紫の障壁も消えている。

戦いは終わっていた。

 

「お前のおかげだ。今までずっとお前がそばにいてくれたから」

 

だが、だんだんと視界が悪くなる。

血が昇っているのだろうか。

 

「どうした?おい、しっかり――」

 

ズブッっと鈍い音がした。

クロムさんの腹に、雷魔法で貫かれた跡があった。

ゆっくりと自分の手を見ると、そこには確かに雷魔法を使った跡が。

一体何が起きたというのか。

ふとクロムさんのほうをみる。

クロムさんは苦しい顔だが、それでも私に憎しみの顔など見せなかった。

 

「おまえの……せいじゃ……ない……おまえだけでも……にげ、ろ……」

 

「あ………」

 

クロムさんはどさりと倒れる。

私が……

 

『ふふふふふふふ、ふははははははっ!!』

 

耳障りな声がした。

消えたはずのファウダーがいた。

 

「そ、そんな…お父…様…お父様ぁーっ!」

 

「五つの宝玉を得た我が魔力は無限…ルフレが抗うことなど決してできぬ…

ククク…これでわかったか。仲間? 絆? そんなもの、何の力にもならぬわ!」

 

「そんな…そんなことって…世界を救いたい、みんなを救いたい、そう思ってきたのに…

私は結局…何もできなかった…誰も救えなかった…」

 

「姉さん…」

 

レインがルキナを見て呟いた。

その時だった。

 

「――大丈夫だ、ルキナ」

 

「え?」

 

ここにはありえない人物の声がした。

 

「運命なんざ死人の言い訳だ。俺たちを決めるのは運命じゃねえ。俺たち自身の、あがきだ。

生きる、ってのは――こういうことだんだぜ!」

 

「バジーリオさん!!」

 

バジーリオさん、そして後ろからフラヴィアさん、そしてアンナさんとホークさんが来た。

 

「ど、どうして…どうしてあなたが…!?」

 

「くだばったと思ったか?まあ、俺もそう思ったがな…

だが、皮一枚つながった。ルキナ、お前のおかげでだ」

 

「私が…?」

 

「おう、俺はヴァルハルトから逃げたのさ。奴が呆れるくらいみっともなくな。

マークが兵を追い払ったおかげで――一昼夜の後に血と泥の中で目が覚めた。

お前が言わなきゃ俺はかっこよくヴァルハルトに挑んで――死んでいただろうな」

 

「バジーリオさん…」

 

「だから何なのだ? ザコが。お前はどの道ここで死ぬ。大局には何の影響もない」

 

「俺一人の命なら、そうだろうよ。だが、ルフレ、マークの策が加われば、どうだ?」

 

「何?」

 

「ルフレは前から知っていたのさ。お前が企んでいることをな。

昔、奇妙な夢を見たらしい。クロムと二人で、お前と戦う夢を…」

 

「……!」

 

「そこには、五つの宝玉があった。

神竜の巫女から受け取った宝玉を見て、ルフレから聞いていたマークは同じものだときづいた。

だったら…わざわざ本物の宝玉をもってペレジアに行くわけねえよな。

偽の宝玉をつくり、すり替えておきゃいい」

 

「くだらんな。何を馬鹿なことを…

クロムとルフレ…その仲間どもの動向は常に見張らせていた。

偽の宝玉を用意し、すり替える? そんな真似ができた者などいない」

 

「俺はどうだ?」

 

「私もいるわよ」

 

「!」

 

アンナさんも口をはさんだ。

 

「死んだと思ってた俺がどこで何をしてたか、お前はちゃんと見張っていたか?」

 

「私にもたくさんの姉妹がいるわよ? 同じ顔でね。全員見張れたかしら?」

 

「まさか…貴様…!?ありえぬ…こんな…馬鹿なことが…」

 

「お前は、運命は変わらないと信じてた。だからルフレに負けたのさ。

五つの宝玉があったから、ルフレを支配できた…つってたな。

なら、その宝玉が偽物だったら、どうなるんだ?」

 

「馬鹿な…ことを…運命は変わるはずがない。クロムは死んだ。その運命は決して――」

 

そのタイミングで、私は完全に背後からファウダーにトロンを当てた。

それと同時にクロムさんも立ち上がる。

 

「がぁっ…!」

 

「お父様っ!」

 

「…ルフレが俺を救ってくれた。魔法を弱めてくれたんだ、放つ寸前に」

 

私は黙ってファウダーを睨む。

 

「馬鹿な…馬鹿な…馬鹿な…!ありえぬ…ありえぬ…ルフレ!ルフレめぇ!」

 

「行けるか、相棒?」

 

「はい、いつでも。未来は変わる。今、ここから…」

 

「俺たちが変える!」

 

ファウダーは祭壇の別の場所にワープする。

 

「クロム! ルフレ! 指示を出しな、俺たちも戦うぜ!」

 

「ああ。あの野郎を今度こそぶちのめすよ!」

 

「ホークさん、マークさんたちは…」

 

「外で屍兵の大軍と戦っております。心配するのでしたら…」

 

「わかっています。ファウダーを倒しましょう!」

 

皆のもとへ戻れば、ルキナとレインがファウダーと対峙していた。

 

「覚悟!!」

 

「貴様さえ…貴様さえいなければこんなことにはならなかったのだ!

破滅と絶望…お前がよく知る未来に変えてやったものを!」

 

「忘れない…忘れられるわけがない。だからこそ、私はここであなたを倒す!

もう誰にも、あんな思いをさせはしない!

行きますよ!!」

 

「援護します!」

 

二人でファウダーを倒す。

 

「運命…が………破ら……れる……」

 

ルキナがとどめを刺した。

 

「なぜだ……なぜこれほどの力が…おの…れ…ルフレ…」

 

今度こそ、ファウダーは死んだ。

倒したのだ。

 

「終わった……か…ルフレ。運命は、変わった!

今度こそ俺たちが勝ったんだ!」

 

皆が喜ぶ中――

 

「確かに…運命は変わった」

 

突然私たちの後ろに、現れた。

ファウダーが王位に即位して新たなギムレー教団の最高司祭が現れたのだ。

 

「あなたは…!」

 

「もとの歴史では、ここでお前はクロムを殺していた…

いや、正確にはクロムを殺したのは…この俺、だけどな」

 

「どういうことだ!? 貴様、一体…?」

 

「言っただろう。俺はルフレ。

元の歴史でクロムを殺し、ギムレーとして蘇った者…

そしてマルスを名乗る小娘を追って、この世界にやって来た者だ」

 

「元の歴史の…私自身…!?」

 

「そう、俺はお前であり、お前は俺だ。

俺たちは異なる世界の同じ人物というわけだ。たとえ性別が違うだろとな。

何度か、夢を見ただろう?お前が体験したはずがない夢を。

あれは俺の記憶。共にギムレーの器である二つの心が…

互いに混ざり合い、感応し合ったものだ…」

 

「あの夢は…あなたの心…」

 

「もっとも…最初に二つの心が混じり合った時…

ギムレーたる俺の心が流れ込むことに耐えられず、お前は記憶を失ったようだがな…

そうだ。あの瞬間、俺はこの世界にやってきたわけだ」

 

何も言えなかった。

あの時に…。

 

「あのルキナとかいう小娘が歴史を変えてしまうと…この俺…ギムレーの復活自体がなかったことになってしまう。

だから俺はこの世界に渡り、色んな手を打ってきた。

ファウダーに力を与えたり、起こるべき未来を教えたり、な。

あとはお前がもとの歴史通り、ギムレーとなって蘇れば…俺がお前と一体化し、さらなる力を手にできたものを」

 

「一体化…?」

 

「ああ。だがお前はギムレーを拒んだ。お前と俺は同じだというのにな。

まったく、絆とやらが、こんなことを起こすとはな。

まあいい。では竜の祭壇の力は…俺が取り込ませてもらうとするか」

 

ギムレーは手を掲げ、力を集めようとする。

 

「なんですって…!?」

 

「時を超えた際に竜の力を半ば失っていたが…ここで再び我は蘇る…ギムレーとして――!」

 

ギムレーから力が出てくる。

 

「みんな、逃げろ!建物から脱出するぞ!」

 

クロムさんの言葉で全員が外へと出る。

外に出れば空は禍々しい空気になっていた。

そしてその禍々しい光が竜の祭壇から漏れ、天を突く。

 

「!ああっ!」

 

そして私たちは見た。

祭壇の上空を飛行する、巨大な竜を。

 

「これが…ギムレー…」

 

「未来は…変わらないの…?」

 

圧倒的な大きさに、私たちは黙ってしまった。

 

「復活…してしまった…

邪竜ギムレー……私たちの未来を絶望に包んだ悪魔…」

 

「…伝承では、とてつもなく巨大で恐ろしい怪物だと書かれていましたが…

今、目の前にしてわかりました……あの竜は…そんな生易しいものではない…

まともに向き合って…勝てる相手だとは思えません」

 

「炎の紋章があれば…ナーガの力を得て奴に対抗することもできるはずだ」

 

「でも【炎の台座】はファウダーが持っていたから…」

 

「そうか…竜の祭壇の中に…」

 

「あの…炎の台座はここにありますよ」

 

ホークさんがクロムさんに炎の台座を渡す。

 

「お前、いつの間に…」

 

「みなさんがギムレーと話しているときです」

 

「すみません、ホークさん。自分の失敗は自分で取り返さないといけないのに…」

 

「いや、それでも助かった。

…ギムレーが追ってくる前に儀式を終わらせよう」

 

「代々の聖王様は【虹の降る山】の中腹で行なっておられました」

 

「いや、俺たちが行くのは虹の降る山の頂上だ」

 

「…申し訳ありません、そうでしたね。

クロム様が受けられるのは【覚醒の儀】…

であれば、虹の降る山の頂上にある祭壇へと行かないと」

 

「そういうことだ。

俺たちにはまだ、できることがある。たぶんそれを、希望と呼ぶんだろう。

まだ、未来は絶望に包まれてはいない。それを信じて――前へ進もう」

 

 

 

 

 

「ところで父上たちはどこにいらっしゃるのでしょうか」

 

「あっ!」

 

周囲を見渡せばここは祭壇前だというのに誰もいない…。

ここで屍兵と戦っているはずだが…。

 

「あ、クロムさぁぁぁん!」

 

こちらに向かってくるのはノワール、他にも未来の子どもたちがやってくる。

 

「どうかしたんですか!?」

 

「聞いてください!僕たち屍兵と戦ってクロムさんたちの帰りを待っていたんですけれど…」

 

「屍兵が急に止まったかと思えば母様と父様がたを巻き込んでどこかへ行ってしまったんです」

 

「今、ジェロームとグリーンさん、パリンさんとルクスさんが空から、

ルフェーラさんとシャンブレー、ファインとセレナが周囲を捜索しています」

 

アズール、ロランが答えた。

 

「もしかして…マークさんも?」

 

「はい。あの方でしたらひっこり出てきそうですが…」

 

「まだ帰ってきていない、か…」

 

「伝令ー!」

 

遠くからひぃぃぃぃと悲鳴が聞こえながらやってくる。

それは獣化したシャンブレーに乗るルフェーラだった。

そしてー―

 

「さすがにきついわね…」

 

ボロボロのセルジュだった。

 

「セルジュ!?なぜそんなに…」

 

「それはこれから話すわ」

 

ホークさんが手当している中、セルジュさんは話す。

 

「私たちは屍兵と戦っているうちに巻き込まれてどこかへ飛ばされたのだけれど…それはとある洋館だったの。

とっさの転移で驚いているうちに武器を取り上げられてしまって…

そこに私以外の女性も捕まっているはずよ」

 

「わかった、ルフェーラ、シャンブレー、案内できるか?」

 

「もちろんよ」

 

「セルジュは休んでおいてくれ。行くぞ!」

 

こうして私たちは虹の降る山に行く前に仲間の救出へと向かった…。

 

 

 

 

 

 







現在行方不明者

マーク、リヒト、カラム、ソール、ロンクー、ヘンリー、ガイア
ティアモ、サーリャ、ベルベット、ミリエル、オリヴィエ


考えたら捻くれた発想がでたのでやっぱり分断です。

覚醒の話でするとあと3話で終わりますが…、
途中ではぐれた仲間の合流がありますので4話。
あとは…途中で何か入れば。


それでは。

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