ファイアーエムブレム覚醒 ~虹が生み出した物語~   作:ユイリー

43 / 48

24章:聖王継承

裏24章:聖王継承・裏



「それでも俺たちは前へと進む。どんなに困難であろうと」





第42話

 

 

~ルフレSIDE~

 

 

私たちは聖王継承のため、虹の降る山へ来た。

 

「わあ、きれい……」

 

「この山には神竜ナーガの力が満ちていると伝えられています。

だから、こんなに美しいのかもしれませんね」

 

山の景色をみたリズさんにルキナは答えた。

確かに空には虹がかかり綺麗だった。

しかし…

 

「…だが、奥からは異なる気配を感じる。これは…」

 

「みなさん、戦闘準備を。

…ギムレーが呼び出したしもべがまもなくここへ来ます…」

 

読み通りに、中腹に来るとその先には屍兵が現れた。

 

「屍兵が、こんなところにまで…!」

 

「復活したギムレーの力か…突破する!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

屍兵をすべて倒し、頂上にある祭壇へと訪れた。

中は綺麗で清潔な雰囲気だった。

だが、どことなく竜の祭壇に似ている。

あちらもこちらも〝竜”だからだろうか。

 

「ここが祭壇のようだな。

では、行ってくる。皆はここで待っててくれ」

 

「危険…なんだよね?」

 

「信じましょう、お父様を」

 

みんなが、クロムさんの後ろ姿を見る。

 

「神竜ナーガよ……我、資格を示す者。その火に焼かれ、汝の子となるを望む者なり。

我が声に耳を傾け、我が祈りに応えたまえ…」

 

五つの宝玉が埋まった炎の台座――炎の紋章が輝く。

するとどこかチキさんの面影がある女性が現れた。

そしてクロムさんの言葉通りにその身に浴びる。

 

「う…っ」

 

「お父様!!」

 

「だい、じょうぶだ…」

 

「【覚醒の儀】を行いし者よ…

我が炎に洗われた心に残った願いは、ギムレーを倒す力を欲す――

我が炎にも焼き尽くされぬ強きその想い、確かに私に届きました」

 

「俺に、ナーガの力を授けてくれるのか?」

 

「力は授けましょう。しかし――私は、神ではありません」

 

「え…?でも、あなたは神竜ナーガ様では…」

 

「人の子が名付けた名前では、そうでありましょう。

しかし、私は万能ではなく、万物の創造主でもありません。

それはあのギムレーも同じ。あれは、私と同じ存在。

私には、あれを滅ぼす力はありません」

 

「しかし、力を授けると…」

 

「力は授けましょう。私の加護を受けたあなたは…我が牙…ファルシオンの真なる力を引き出すことができます。

その剣があれば、私と同じ力を使うことができましょう」

 

「あなたと同じ力を使えても、ギムレーは倒せないのか?」

 

「えぇ…でも、時間を奪うことはできます。

あなたたちの遠い祖先が、あの者から千年の時を奪ったように。

ただしそれも、あなたたち自身が自らの力でギムレーの力を奪い最後に私の力を用いることで蘇生を阻止できるというだけのこと」

 

「ギムレーを完全に倒すことはできないんですか?」

 

「私の力では、できません。

いえ、より正しく言うならば、私には方法がわからないのです。

ただ、もし滅びが迎えることがあるとしたら…それは…自分自身の手によるものでしょう」

 

「つまり、自殺ということですか?」

 

「ええ。ですが、ギムレーが自ら命を絶つことはありません。

ギムレーは今、力をたくわえています…この世界を滅ぼすために。

もう、あまり猶予はありません…」

 

「ギムレーは今どこに?」

 

「あなたたちが【始まりの山】と呼ぶ、西の海にそびえる山の火口…

そこに、ギムレーはいます…」

 

 

自殺…。

自分自身…。

ナーガ様の話を聞いて私は思いついてしまったのだ。

だが…。

 

 

 

 

 

 

*  *  *

 

 

 

 

 

それは、山を下りる途中だった。

【始まりの山】に行く前に王都にいる仲間と合流するためだ。

 

「?」

 

マークさんの剣が、呼んだ。

連れて行ってほしい、と呼んで持ったままここへ来たのだがここにきて全く反応がなかったのだ。

それは下る途中の外れ道。

入ってしまえば迷うだろう。

しかし…剣はそこへ行ってほしいかのように反応を示す。

………前方にいるクロムさんと話すルキナとレイン。

 

「ごめんなさい…」

 

どうしても、行かなければいけない気がした。

なぜかはわからない。

ただ、無くした記憶が呼んでいた気がした。

 

 

 

 

 

 

辿りついた場所は、一つの家だった。

何もない、山の中にある家。

その家の中に、1人の気配があるだけだ。

こんなところに住んでいるのだろうか?

さっきまで剣の反応は、しかし何も反応しなくなっていた。

私が家に近づくと、中の人は私の存在に気が付いたようで警戒の気配がした。

それでも動かないのは…。

私は扉にノックした。

とんとん。

 

「すみません、どなたかいらっしゃいますか?」

 

静かに、ただ待っていた。

長く感じたがどれほど待っていたかはわからない。

ただ、

 

「扉は開いている」

 

声がしたから失礼しますと扉を開けてみると――

 

「――――?」

 

振りむいたその人は、マークさんだった。

 

「マーク、さん?」

 

「…ああ、あんたか。よくここ見つけれたな」

 

「えっと、その…この剣――アルカンシェルが…え?」

 

マークさんを見れば――彼の手にも持っていた。

ただし、虹色に輝く剣を。

 

「って、マークさんがここにいるはずない、です。だって彼はイーリス王都に…」

 

「ああ、やっぱりそこにあったのな、身体」

 

「えっ?」

 

「見てわかんないか?今、俺――精神状態なんだよ」

 

「あ―――」

 

確かにみて見れば彼の体はうっすらしている。

 

「屍兵に強制的に転移したからその影響じゃねえかと思っているんだが」

 

「えーと…マークさん…ですよね?」

 

「ん?まぁそう名乗っているな」

 

「でも口調とかほかの方と違いますし…」

 

「ああ、あんたらの前にでてくるのは初めてだからな。俺たちからすれば最初の人格、あんたらにすれば最後の人格。そういえばいいか?」

 

そういえば…又聞きとはいえ、マークさんの他に5にんいて、最後の一人はおとなしくしているとの話だった。

 

「それじゃあ…あなたはなんていうのですか?」

 

「俺?〝イーリス”だけど?」

 

「えっ?」

 

「でも普通にイーリスっていう名前があるだろ?だから名乗るの嫌だったんだよ。紛らわしいから」

 

あれ、その名前……つい最近聞いた気がする。

 

「まあいいや。とりあえずイーリスに戻るか。おまえがここにいるって事は、クロムたちもいるってことだろ?」

 

「あ、はい。…途中で抜け出してしまいましたが…まずは王都に向かっている途中ですので…」

 

「途中で抜け出していいのか、それ…」

 

「だって、この剣が―――え」

 

急にアルカンシェルが輝いた。

私が持つ実体を剣と、マークさん――イーリスさんが持つ霊体である剣が。

あたりに光が満ちて――私は気を失った。

 

 

 

 

 

 

~マーク(イーリス)SIDE~

 

 

 

 

アルカンシェルが輝いた。

これを俺は知っている。

なぜなら、この剣は実際の力を封じているからだ。

だが、ここでこんな輝くのは、封じていた力が解除されたということだろう。

目が覚める――いや、どちらにせよ、〝ここ”はまだ暗闇のなか。

 

――あ、起きた?

 

この声に聞き覚えがある。

案内人か。

 

――そう、ま、僕もここにいるのは偶然だけどね。

 

ふーん、あっそう。

で、俺はいまどこにいるんだ?

また異界に飛ばされるのかい?

 

――いや、そうじゃないから。

――君に、これを。

 

アルカンシェルか。

 

――そう、真の力を解放しておいたから。

――すこしはギムレー戦に役立つんじゃないかな。

 

はいはい。この剣が便利だって知ってますよー。

俺は受け取った剣を手に見る。

見た感じは今までとは変わらない。

だけど持ち主だからこそわかる、その剣の力を。

まぁ、家にあった代々ある剣だし、そういうものあるんだろう。

 

――目覚めればそこは君のイーリスでの部屋。

――君を待つ彼女たちも、〝彼ら”も待っているよ。

 

はいはい。

主人格がいなきゃ、本体は動かんね。

あ、あいつは?

 

――彼女もいるよ。

――まあ彼女は彼女で大変だろうけれど…まぁがんばってね。

 

はいはい。

それじゃあな、案内人。

 

――頑張ってねー。

 

案内人は手を振る。

俺がそれに答えることはない。

だって、案内人はそれ以上でもそれ以下でもないからだ。

 

 

 

 

 

*  *  *

 

 

 

目が覚めれば案内人が言った通りにイーリス王都にある俺の部屋だった。

正確に言えば〝マーク”の部屋だがな。

部屋の中には誰にもいない……が、外が騒がしいからクロムたちが戻ってきたのだろう。

起き上がって外を見れば――ああ、あいつがクロムに謝っている。

こちらに来るのもあとわずかだろう。

 

(も、もう…し、心配したんだからな!)

 

(そうだぞ!俺なんかダジャレ考える暇すらなかったんだからな!)

 

(はー、ティアモもセレナもファインも泣いてたからどうすればいいのかわかんなかったっつーの!)

 

(謝りたいですけれど…あなたがいないと僕らは言葉ですら伝える事が出来ないんですよ)

 

「グレイ、レウス、ヴェルデ、スカラート。そんなの、俺は知ってるさ。今回の事は俺に関しては何も知らない状態だったんだからな?」

 

(そりゃ、君は寝てたもんね。だから誤差が起きたんじゃないの?)

 

最後に声をかけてきたのはマークだ。

 

「なぁ、マーク。お前のしたいことはできたか?」

 

(……できたよ。ルフレがクロムを殺し、ギムレーとして復活する――そのことは阻止できた)

 

「けど、ギムレーは復活してるよな?」

 

(未来から来たルフレがね。男だったけれど、それって世界がたくさんあればあるほど起きる現象でしょ?性別がちがうのって)

 

(まぁそうだよな)

 

「……そうか。じゃあ俺は出番がくるまで引っ込んでるから対処は任せたぞ、マーク」

 

すっと意識すりゃ簡単だ。

なにせ俺は主人格。

こいつらは俺であって、でも俺はこいつらじゃないってところが変だよな。

 

「ちょっ…」

 

(敵を騙すなら味方から。それはお前らも入ってるから。なぁに、あの案内人が言ってたようにお前たちの存在は無駄にはならんさ)

 

そうして俺は再び眠る。

――ギムレーと戦うその時まで。

 

 

 

 

 

~マークSIDE~

 

 

 

完全に彼の沈黙を認識して、はぁとため息つく。

完全に彼のペースだと、思った。

なにせ彼は主人格。

こちらへ渡る情報ですら制限できてしまうのだ。

ただ、一つだけ情報を置いて行った。

机に乗っている虹色に輝く剣――

 

『虹剣アルカンシェル』――

 

本来の力を取り戻した。

それだけだ。

全くひどいよね。

まあいいか、仕方ないし。

みんなに心配かけてしまったし、早く合流しよう。

 

 

 

 

皆と合流して泣くティアモを抱きしめたよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルフレ「ところでマークさんの最後の人格の彼って――」

 

マーク「なんでもその時まで寝てるって寝ちゃったんだよね」

 

ルフレ「そう…ですか…」

 

マーク「?」

 

ルフレ「(彼の話が間違いでなければ――イーリスさんって昔、英雄王マルスの時代にいたあの人で、

     今現在セレナさんが使っている『蒼剣アルカンシェル』の本来の持ち主…?)」

 

 

 

 




〇新情報

・イーリス
『新・紋章の謎』の世界で旅した人格で、主人格。
真実の泉で一度出てきたが、しばらくは寝ていたようだ。
屍兵達の強制的転移で精神だけ【虹の降る山】にある生家へ偶然にも訪れた。
セレナが持つ『蒼剣アルカンシェル』の本来の持ち主。
『新・紋章の謎』の世界で死亡する前に知り合いの天馬騎士に渡したそうだ。

「なんか、俺って天馬騎士と縁があるのか?」

とは彼の疑問点らしい。


・『虹剣アルカンシェル』
剣E 威力18 命中100 必殺20 射程1~2 耐久なし
マーク専用。七色に輝く剣。遠距離には衝撃波を放つ。(暁のラグネル、エタルドのようなの)
本来の力が発揮したもの。見た目は変わらないらしい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。