ファイアーエムブレム覚醒 ~虹が生み出した物語~   作:ユイリー

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25章:神殺しの法


「今こそ、決断の時」




第43話

 

 

~ルフレSIDE~

 

 

私たちはギムレーを追って【始まりの山】まで来た。

 

「ここが、【始まりの山】か」

 

「やはり、ギムレーはここにいます…

ですが、忘れないでください、【覚醒の儀】を行いし者。

私とあなたの力でも…ギムレーを滅ぼすことはできません」

 

「時間を稼ぐだけ…ということですね」

 

「そうです。ギムレーの血を継ぎし者」

 

「わかるのですか?」

 

「はい、あなたからは私たちと同じ力を感じます」

 

「ギムレーは倒す。だが、倒せても滅ぼせないのでは宿怨を子孫に押し付けることになる。

それではこれまでと変わらない…」

 

「方法は…あるかもしれません」

 

「なにか策が浮かんだのか?」

 

浮かんだ、というよりも虹の降る山での話を聞いた時にすでに浮かんでいたものだ。

 

「ギムレーは私と同じ存在なんです。

だから、私がギムレーを倒せば、それはギムレーが自分自身で命を絶つのと同じことです…」

 

「本当なのか?」

 

「…可能性はあるかもしれません。

ですが…あなたはすでにもう一人のあなた…ギムレーの心が流れ込んでいます。

人と竜の心は混ざり合い、もはや分かつことはできません…

あなたがギムレーを殺せば…あなたもまた死ぬことになるでしょう」

 

「死ぬ…」

 

「…あなたが生き残る可能性も皆無ではありません…

あなたはこの世界で多くの人々と出会い、絆を育んできました。

もし彼らを思う人の心がギムレー…竜の心に勝てれば…

あなたは、この世界に留まることができるかもしれません。

ですがその可能性はごくわずか…人の身で叶うことではないでしょう。

おそらく…あなたはこの世界から消えることになります…」

 

浮かんだ時からそのことはわかっていた。

だけど……

 

「ルフレが消える…?

なら駄目だ。ほかの方法を考えよう」

 

「…クロムさん?ですがそれではいつまでもエメリナ様の理想の世界は実現しません…」

 

「だからお前が犠牲になるっていうのか?

お前は俺たちの仲間だ。これからもずっと。

だから、自分が犠牲になってみんなを救おうなんて思わないでくれ。

いいな、ルフレ?」

 

「…わかりました。すみません、クロムさん」

 

「俺とお前は互いの半身だ。決して離れはしない」

 

「そこまでです。【覚醒の儀】を行いし者。

…ギムレーがこちらに気が付きました」

 

「お父様、敵襲です!敵の軍勢が攻めてきます!すでに前方でセレナさん達が戦闘しております!」

 

「ああ、わかった。行くぞ。ルフレ!」

 

「はい!」

 

前方で戦っているとなると…杖が足りなくなるかもしれない。

 

「クロムさん、私一度輸送隊のところに行って必要なものをもってきます」

 

「ああ、わかった」

 

 

 

 

「はい、これだろ」

 

輸送隊のところに来ると――マークさんがいた。

いや、2年前までは確かに輸送隊も努めてはいたのだが…。

今は違う人がやっているはずだ。

マークさんがぼすんと私に渡してきたのはリザーブの杖やリカバーの杖、マジックシールドの杖…

それよりも。

 

「あの、」

 

「うん?」

 

「マークさんじゃなくて、イーリスさん…ですか?」

 

「ああ、そう。よくわかったな」

 

「なんというか…イーリスさんだけ違う気がするんです。他の方と」

 

「言っておくが、ティアモやホーク、セレナやファインはマークや他の人格との差もすぐ気が付くからな?」

 

「うっ……そ、それよりもマークさんからはしばらく寝てるって…」

 

「まぁその予定だったんだが、あんたとクロムの会話が聞こえてな」

 

会話?もしかして…

 

「ギムレーを倒す話…ですか?」

 

「ああ、そうだ。クロムの考えも間違ってはないんだ。姉を失い、さらにお前も失うなど考えたくはないんだろう。

だが…俺の考えは違う。お前の考えも、どうかはわからんが」

 

「……もし、イーリスさんが…私の立場だったら…自ら犠牲になるんですか?」

 

「もちろん」

 

その返事は、意思が宿っており力があった。

覚悟が決まったかのように。

 

「俺は、たぶん誰よりも死に関しては無頓着なのかもしれない。

なぜなら、異界に行って、精神的とはいえ何度も死んでいる。

だからなのかな、自分が死んで誰かが助かったり世界が助かったりとかでもいいんだ。

そこに、確かに自分が生きた証があるだろうから。

旅した事に、悔いはない。その分、俺は強くなれたと思う。

あれがなきゃ、今頃俺はお前と同じ感想だろうよ」

 

そしてイーリスさんはじゃあなと言った。

目の前で?と思ったら、

 

「あれ、ルフレ?」

 

先ほどと違う話し方。

 

「ああ、また彼出てきて僕らに制限かけたのか」

 

「マークさん?」

 

「ごめん、今どうなっているの?」

 

「前方で敵の軍勢が襲ってきてます。そのため杖を取りに」

 

「なるほど。わかった。行こう」

 

 

 

 

 

 

 

~マークSIDE~

 

 

 

「……ああ、そうだ。ルフレ」

 

「はい?」

 

「君はクロムと共に先にギムレーのもとへ行ってくれ」

 

「マークさん?」

 

前線に来てみて僕はルフレに行った。

 

「どうやらギムレーのしもべ…教団たちはここに集結しているみたいだ。

ここで足止めくらっていくわけには行かないだろう?」

 

「しかし…それでは…」

 

「大丈夫だよ、ここは僕らに任せて。クロム!」

 

「! マーク?」

 

「ここは僕らに任せて君たちはギムレーの元へ!」

 

ここに残る人はもう決めてある。

 

「しかし…」

 

「きみたちそろって同じ言葉いうんだね。大丈夫だって。えーと…

おーい、ホーク~ロンクーとガイアたちの一家もつれて来てくれる?」

 

大きな声で呼ぶ。

ホークだったら聞こえるだろう。

実際、五分と立たずにホークは連れてくる。

 

「父上、足止めですか?」

 

「そう。わかってるね」

 

「それはこれだけいれば」

 

呼んだのはもちろん、ティアモ、セレナ、ファイン、ホークの我が家と、

ロンクー、セルジュ、ジェロームの一家、

そしてガイアとソルラの一家とソレイユだ。

これだけでも杖を使えるのは僕とホーク、ファイン、ソルラの4人と申し訳程度のティアモだ。

対してクロムについていく杖使いはリズ、マリアベル、ブレディ、ミリエル、ロラン、リベラ、フィレイン、シンシアの8人だ。

…リザーブの杖とか持たせたし…

 

「マーク」

 

「後で行くから。だから君は前を向いてよ」

 

「……わかった」

 

クロムに背を向けて僕は指示を出していく。

クロムは残りのみんなを連れて先へと進んでいく。

見えなくなったあたりで、

 

「おい」

 

ガイアが言った。

 

「本当にいいのかよ」

 

「それが彼女の望みならば。心配だったら君が守ればいいんでしょ?…いや、守るんだろう?」

 

「当然だ」

 

「どういうことなの?」

 

「もう一人、杖使いがいる」

 

疑問を出すセルジュにロンクーが代わりに伝えた。

既に輸送隊の中に紛れていたんだけれどね。

 

「…クロムたちは行ったようですね」

 

澄んだ声。

その声を知らないのは子どもたちとセルジュのみ。

その人物を知らないのは誰もいない。

会ったことがない、が付くだけの。

 

「いいんですか、エメリナ様。ここはあなたが苦手とする戦場ですよ」

 

「それを承知でここにいます。今はただ、クロムの活躍が見たいのです」

 

その人物を――エメリナ様を見て知らない人は驚愕した。

 

「え、エメリナ様!?」

 

もちろん、一番に反応したのは天馬騎士団にいたティアモだった。

 

「ごめんなさいね、ティアモ…。私が生きているとなるとクロムの重荷になると思ったのです…

実際、あの時――マークさんたちに助けてもらえなければ私は死んでいたでしょう」

 

「えへへ、母様と一緒にいられるのはうれしいです」

 

エメリナ様が同行すると決めたのは、ソルラとの再会だからともいう。

僕が目覚めた後、ガイアから直接伝わったのだ。

エメリナ様が同行すると。

ただ、戦いは苦手なのは変わらないのでせめて癒しを――杖だけはと。

 

「……エメリナ様…あたしは……あなたが生きてくださってうれしいです…」

 

泣いているティアモを撫でてから僕はとある一点を見る。

 

「お出ましだね」

 

剣を持って相手を見る。

 

「まさか、生きていたとはね」

 

「やあインバース、生きてたんだ。でも、あんたもここまでだ」

 

「援護する」

 

ガイアが援護に入ってくれた。

 

「悪いけれど、これも先に進むためなんでね!!」

 

「食らいな!」

 

一気に僕はガイアの援護のもと、インバースを倒す。

 

「きゃあ、父様かっこいいです!」

 

「ソルラ様、ガイア殿の活躍を見たいのは理解しましたので前を見てください」

 

「大丈夫よ、ソレイユが守ってくれるんでしょ?」

 

「………」

 

おお、ついに言っちゃうのか。

だれになんと言われようが、黙っていたのに。

ほら、皆が唖然としているよ。

 

「さて、インバースも倒したし…ある程度は片付いたね」

 

わいわい言いながら、ちゃんとホークたジェロームは仕事してました。

戦力にならなかったのは泣いてたティアモだけだけど、まあ許す。そうなるだろうとわかってたし。

 

「…ねぇ、あたしたちはクロムさんたちが戻ってくるまでここで待機?」

 

「だろうな…さきほどナーガの力で転移していったようだ。俺たちでは難しいだろう」

 

ギムレーを見てセレナとジェロームはそういった。

確かに行く方法はない。

ワープの杖があるし僕一人だったらいけるだろう。

しかし他の人を連れて行くのは難しい。

しかし…策はある。

 

「おや、ファイン。どうかしたのかい?」

 

「あ…父さん。いえ、ただ…胸騒ぎがして…」

 

ふい、とファインは視線をそらした。

おそらく僕に関する記憶だけなくてどう接すればいいのかわからないのだろう。

こちらからガンガン言ってもあれだし…基本は受け体制だ。

 

「胸騒ぎ、ね…。まあ気を留めておくよ。みんな、ちょっと集まって」

 

疑問を持つみんなを集めて僕は『虹剣アルカンシェル』を取り出す。

もし、間違ってなければ――

 

「覚悟はしといて。――虹剣アルカンシェルよ――」

 

この剣は、

 

「クロムたちのもとへ」

 

剣が輝いた。

 

「転移するよ!」

 

転移の力もあるのだ。

 

 

 

~ルフレSIDE~

 

 

 

 

 

マークさんたちが残り、私たちは先へと進む。

邪竜ギムレーへと。

 

「きゃあっ! な、なに!?」

 

「この声は…!」

 

ギムレーの、竜の声が聞こえリズさんとルキナがあたりを見たわした。

 

「……邪竜…ギムレー……!」

 

「大丈夫だ、俺たちならやれる!」

 

「ですが、これはまるで…山と戦うようなものです。

いったいどこを攻撃すれば…?」

 

「ギムレーの頭部…首の後ろ…そこならば…ですが今は…そこを守る存在があるようです。

私の力で…頭部の近くまでは転移させることができます。そこから先は、あなたたち次第です」

 

「…わかった。行くぞ!

あいつを倒し、今度こそ運命を変える!!」

 

最後の戦いが、始まる…。

 

 

 

 

 

 





次回がゲームの終章です。
が、物語はまだ続きます。


ところでルフレの女の時と男の時でセリフが若干違うんですよね。
例題としては、途中のルフレがギムレーと同一だの言葉。

〇女の場合

「なにか策が浮かんだのか?」

「ギムレーは私と同じ存在なんです。
だから、私がギムレーを倒せば、それはギムレーが自分自身で命を絶つのと同じことです…」

「本当なのか?」


に対して、

〇男の場合

「なにか策が浮かんだのか?」

「あいつが言ってた…ギムレーは僕と同じ存在なんだ。
だから、僕がギムレーを倒せば、それはギムレーが自分自身で命を絶つのと同じことだ…」

「本当なのか?」


と〝あいつが言ってた…”が追加されておりました。
この差はなんでしょうかねぇ…




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