ファイアーエムブレム覚醒 ~虹が生み出した物語~ 作:ユイリー
「俺は――俺たちはもう覚悟を決めたから。
だから――あんたたちは前へ、未来を見てくれ。
それが俺たちの願いだ」
間章22:目覚めの時
「お前が行く場所はここじゃない。
さぁ、戻りな。お前が帰る場所へ」
~ルフレSIDE~
「ニ…クキ…セイオウ…ノ…コ…ナーガノ…コ…ヲ…ホロボセ…」
「行くぞルフレ!」
「はい。これが、最後の戦いです…」
私たちはナーガ様の力をかり、ギムレーの背に転移する。
そこには私の姿をしたままのギムレーがいた。
だが――転移の力でしもべである教団の者を呼び寄せたかと思えば――
私たちの足元から強烈な闇の槍のような魔法が襲い掛かる。
その攻撃で私たちは――ほんの僅かばかりの体力を残して大きなダメージを受けてしまった。
「ぐ……っ!? なんだこれは……!」
「じょ、冗談じゃねえ。まるで天災だ…人にどうこうできる力じゃねえ…!」
「こんな……結末ということでしょうか……?私たちは……やるだけ……無駄だった……のか?」
「変えられないの……?未来は……闇……なの?お……と、う……様……」
死んではないものの、圧倒的な力にみなあきらめの兆しが見えた。
だめだ、それでは……やはり、封印よりも…。
「おしまいだな、もう一人の俺。
お前が信じた絆、仲間……脆く、儚いだけものだ。
俺に刃向かっても結果は同じ事だ。未来は破滅と絶望しかない」
「ふざけないでください……私は、諦めません」
誰かが諦めてしまえばおしまいなのだ。
折角ここまで来たのに。
マークさんやみなさんの力をかりて、クロムさんを殺すという未来も変えたのに。
「お前が諦めようと諦めなかろうと、俺はお前の大切な仲間を殺すぞ」
「や、やめ……て!」
「選ばせてやるよ。
この俺と同化すれば、仲間の命は助けてやる。断れば、皆殺しだ」
「く……!」
たとえ従ったとしても……ギムレーの性格では……
「よ、よせ……!ルフレ!」
「だ、駄目だよ!そんな言葉、信じちゃダメ!!」
「さあ、選べよ。仲間を助けるために、俺と共に神となるか?」
「誰が、あなたの言うことなんて……」
「やれやれ…手間をかけさせてくれる。けどな、結果は同じ事だ。
暴れる獲物を食い殺すよりも、無抵抗な獲物の方が楽…
そう思って譲歩してやっただけだ。食い殺すことには変わりはない!」
その言葉と同時に足元から暗闇が私を引きずり込もうとする。
「あああああああっ!!!!」
「ルフレ―――――――っ!!」
体力がなくなっている今、それに逆らえることもできず、私は飲み込まれ――
気が付けば暗闇の中にいた。
「……こ、ここは?」
目の前には闇の力を纏ったギムレー。
「ここは神の意志の内部。お前は俺の一部となった。
さて、虫けらどもには死んでもらうぞ。
お前の決断がそうさせた。悪いが、奴らは死ぬ」
「そうは……そうはさせません!」
私は持ったままだったトロンの書を構える。
「まだ刃向かうのか?面倒な奴……先に消えるか?」
私が攻撃する前にギムレーが私に攻撃する。
まともに体力のない私が避けることも耐えることもできず……
あたりに暗闇が広がった。
「闇……やみ……このまま……おわれ……ません…
いや……せいいっぱい、やりました……どうしよ……うも、ない……
……なにもみえません。……なにもきこえません。
……なにも、かん……じません……」
段々意識が沈んでいく。
深い海に溺れ沈んでいくかのように。
――こんなところで倒れてると風邪ひくぞ?
声が聞こえた。
ああ、初めてクロムさんと会ったときにかけてくれた言葉だ。
これはなんというのだろうか。
でも、声は……
「イーリス……さ、ん……?」
でも仮に彼だとしてもなぜここにいるのだろうか?
その答えは次の彼の言葉で否定された。
――残念、俺はお前が言った人物じゃないよ。なぁ、耳を傾けてごらん。
「?」
……ら……るな!
……きら……るな!……めるな!
「……?こえ……?」
……ら……るな!……らめるな!
あきらめるな!諦めるな、ルフレ!
俺との約束……約束はどうなる!?
私はこの声を知っている。
「声……この声は……クロムさん!約束……私は……!」
「くそ……!完全に取り込んだはずが!
……人間! またしてもお前か!!なぜそうまでして邪魔をするか、虫けらが!」
みんなの声が聞こえた。
私を心配する声が。
「私はお母様を信じます。何が起きても、ずっと…」
「母さん…! あなたは僕の目標なんだ。だから…戻ってきて…!」
そして娘と息子の声も聞こえた。
「みんな……」
私は立ち上がる。
みんなの声が私に力をくれる。
「やめろ…!耳障りだ!やめろ!
無力な……矮小な! 脆弱な! この虫けら共がああああああっ!」
「来い、ルフレ!お前はそんな邪竜と同じなのか!?違うだろう!
お前と俺は互いの半身…一心同体なはずだろ!」
「クロムさん……!
はい、クロムさん。私は……あなたの背中を守ります!」
私はギムレーに立ち向かう。
――さぁ、仲間のもとへ……
声が聞こえたと思ったとたん、暗闇がはれる。
そこは元いた場所で、周りにみんながいた。
「ギムレーに立ち向かう人の子たちよ。あなたたちに、もう一度起き上がる力を…」
あたりに光が満ち、身体の傷が消えた。
これなら戦える。
「気をつけなさい。ギムレーのしもべたちは尽きることなく襲って来るでしょう。
ですが、人の力のみではギムレーは倒せません…
【覚醒の儀】を行いし者が倒せば、ギムレーは眠りにつくでしょう」
「俺が倒す、それしかない」
「ルフレ。あなたが倒し、その身を捧げれば…ギムレーは永遠に滅ぶでしょう」
「………」
「決めるのは、あなたたち二人です」
でも私はもう決まった。
これ以上、被害を出さないためにも。
「モドレ…ワガ…モトヘ…」
「……」
「ギムレー!すべてに決着をつけさせてもらうぞ!!」
「ズニ…ノルナ…イマワ…シキ…セイオウ…ノ…コ…」
私たちは皆の支援を受けながらギムレーへと向く。
負けられない。
「戦局を変えます!」
あたりに華が散ったように、私はトロンで攻撃する。
クロムさんも援護をして、
「グ…グ…」
ギムレーは膝をつく。
「ギムレーは力を失った…今が好機だ!
ルフレ、俺に任せろ!俺が奴を倒す!!」
ギムレーが倒れたのか、ギムレーのしもべは召喚されず数は減らされた。
ルキナやレイン、皆がこちらを見ていた。
だけど、私はきちんと聞こえた。
――これで、ようやく俺は……解放される。
あの時聞こえた声は、ギムレーと覚醒する前の彼だったのだろうか。
ギムレーとして蘇り、自分を失ってしまった、本来私もそうなるはずだった結末。
もう、解放して、長い眠りにつかせてもいいのではないのか?
「クロムさん」
どすんと私はありったけの力を込めてクロムさんをルキナの方へ押し倒す。
急な行動にクロムさんはよろめき座ってしまう。
その隙に――私は自分の魔力を集める。
「ルフレ!?まさか、お前…!」
「キ…サマ…ナニ…ヲ…?」
「あなたが私自身だってこと…今は感謝してます。
こうして、大切な人たちのために自分の命を使えるんですから」
「ナ…ナニ…ヲ…!」
「あなたのしたことは許せませんがあなたは私自身でもあるんです。
だから…一緒に行ってあげます…」
私は溜めていた魔力をギムレーに充てる。
ギムレーは悲鳴をあげる――ともに、身体から紫色の魔力が、抜けていく。
「ダガ……ダマ…マダダ……!」
倒したはずの、とどめを刺したのに、ギムレーは消えない。
確かにギムレーも私も、力を尽きているのに。
段々と力が入らずに私は膝をつく。
「お母様っ!!」
「母さん!」
「ルフレ!」
ルキナが、レインが、クロムさんが私のもとへと来る。
なぜ消えない?まだ足りないとでもいうのだろうか?
だめだ、クロムさんがファルシオンを構えようとする。
「――もう大丈夫だ、後は俺がやる」
そんなクロムを止めたのは、マークさんだった。
「マーク!?お前は始まりの山にいたんじゃ…」
「ま、そうだけど今はそんなことどうでもいい」
「え、あの人は…」
ルキナの動揺が、もちろん周りにも聞こえる。
「イー、リスさん?」
「え?」
「マークさんの人格の一人…」
イーリスさんはギムレーの方を向く。
手には虹色に輝く剣――アルカンシェルを持って。
「キ…サマ……!ソノ剣ハ……!」
「かつて自分も使ってたから知ってんだろ、この剣」
「ナゼ……キサマガ……!」
「どういうことだ?」
「この剣は、ファルシオンと対なすもの。
ファルシオンがナーガの牙で作られたものなら、これはギムレーの牙で作られたものだ」
「ギムレーの牙だと…!?」
「これで―――補える」
イーリスさんは剣を構える。
「ぁ」
さっきから震えているレインが、ようやく声をあげた。
「ま……待って……待ってください、師匠!いえ、ルフレさん!!」
レインが立ち上がりイーリスさんに向けた言葉は、私たちを驚愕するものだった。
~ファインSIDE~
どうやら父さんのもつ剣――アルカンシェルでみんなが戦うところまで転移してくれたみたいだ。
あたりを見ればギムレーのしもべ達が無限にも現れてくる。
近くにいるエメリナ様とソルラさんの手にはリザーブのほかリカバーやリライブロー、マジックシールドなど持っていた。
「たくさんいますが…だいぶ押しておりますね。どうしますか父上」
ホーク兄さんが父さんに話しかけたのを聞いた。
「父上?」
しかし返事がないのをホーク兄さんが聞き返し、やはり近くにいたセレナ姉さんは父さん?と言った。
その時、転移する前の胸騒ぎが実現したかのように――
「ギムレーが力を失った」
はっと見ればルフレさんとクロムさんの連携でギムレーを倒すのを見た。
父さんの顔は私の位置では見えない。
けれど、さっきの声が、いつも会っているマーク父さんじゃなくて、でも他の人格の父さんでもなくて。
「マークさん?」
母さんも、兄さんも、姉さんも――いや、みんな父さんの変異に気が付いた。
「ホーク」
「なんでしょうか」
「ユグドラシルに返す日は遠のくかもしれん。が、俺は戻ってくるつもりだから待ってろ」
「……父上」
それはまるで死地に行く者の言葉。
そして父さんは私たちの方をみた。
「ティアモ。俺はちゃんとここに戻ってくるつもりだ。どうなろうとも、俺の世界はここなんだ」
その顔を、見た時――急に頭痛がした。
思い返すはこの、過去に来る前の記憶。
ああ、なんでこんなに私は思い出したのだろう。
「別れは、言わない」
そういって父さんは走って行った。
ルフレさんがギムレーを倒したところへ。
「ま、まって…待ってください、父さん!」
声はもう届かない。
姉さんが私の名前を呼ぶ。
けれど、止まらなかった。
「父さんが、死んじゃう…いや…せっかく思い出したのに…助けたいって約束したのに…」
涙が止まらなかった。
~イーリスSIDE~
別れは言わない。
それは決めていた。
だって俺は死に行くわけじゃない。
ここに戻ってくるつもりだ。
あいつがギムレーをとどめを刺したのを見た時――あいつの覚悟を知った。
だから、俺は――
「――もう大丈夫だ、後は俺がやる」
俺はクロムを止め、前へと出る。
「マーク!?お前は始まりの山にいたんじゃ…」
「ま、そうだけど今はそんなことどうでもいい」
「え、あの人は…」
ルキナの動揺が、もちろん周りのやつらのも聞こえる。
「イー、リスさん?」
「え?」
「マークさんの人格の一人…」
あいつの言葉を聞きながら俺はギムレーの方を向く。
手には虹色に輝く剣――アルカンシェルを持って。
「キ…サマ……!ソノ剣ハ……!」
「かつて自分も使ってたから知ってんだろ、この剣」
「ナゼ……キサマガ……!」
「どういうことだ?」
「この剣は、ファルシオンと対なすもの。
ファルシオンがナーガの牙で作られたものなら、これはギムレーの牙で作られたものだ」
「ギムレーの牙だと…!?」
「これで―――補える」
この剣の由来はすでに知っていた。
なんたって代々伝わる代物だからな。
剣を構えたところで後ろから声が聞こえた。
「ま……待って……待ってください、師匠!いえ、ルフレさん!!」
それはレインの声だった。
師匠、そして名。おそらく記憶を戻したのだろう。
「ルフレ、だと…」
「ナ……!」
クロムもギムレーも驚愕していた。
この現象は、俺が今まで隠していた真実を出せば納得がいく結果だ。
「レインは、俺の〝本当の名前”を知っていたか」
「その…だって、僕は…あなたから剣を教わったから…」
「どういうことだ!?」
「答えは、これか」
俺は今まで外さなかった右手の手袋を外す。
そこにあったのは、あの忌まわしき邪痕。
ギムレーの紋章。
「俺の名前はルフレ。ファウダーが探してた本来の邪竜の器。
お前は二つばかり見逃していたんだよ。一つはこの世界の〝ルフレ”の周囲の状況。
そして――お前がこの世界に来た時の〝ルフレ”の持ち物だ」
「ナ……ダンダト……」
「お前はその器の人生ぐらい記憶で読み取れるだろ。だったらわかるさ。
そいつが、最愛の人に贈った物を」
「!!マサカ…!」
「俺がティアモに送った指輪。あれには母が俺のためにくれたものだ。
――邪竜として目覚めないように、虹の降る山にある神竜ナーガの祭壇で祈ってな。
そのためか、少しは力が宿っていたらしくな、お前がこの世界に来た時――俺はこの指輪に守られた。
代わりにこいつにいったのは申し訳なかったがな」
俺はアルカンシェルをギムレーに向ける。
もう、話すことはない。
あったとしても、それは今話すべきではない。
「あいつは心を、俺は肉体を。今消滅させてやるよ、ギムレー!」
俺はギムレーにとどめを刺す。
「ア…アァァァァ……!」
とどめを刺されたギムレーは後退りするが――それもわずかで消えていった。
それと同時に俺自身も、段々と身体から魔力が抜けていき透けてくる。
「マーク! ルフレ!」
「…ありがとう、クロムさん…ありがとう、みなさん…
また…会いたいですね…イーリス、さん…」
「じゃあな、別れは言わない」
「待て、駄目だ!!」
段々と体は透け、気が付けば―ー俺は意識を手放した。
~クロムSIDE~
俺たちは始まりの山にいた。
残された感情。
「…戦いは終わった。邪竜ギムレーは消滅した。
もう邪竜が人々を脅かすことはない。
ここまでついて来てくれた皆にはどれほど感謝しても足りない。
そして、ルフレ…マーク…あいつらが、この世界を救ってくれた。
俺たちのために…自分の命を犠牲にして…」
マークが言ったように。
マークは肉体を、ルフレは心を。
マークは自分の体を消滅し、ルフレは体は残ったものの心を失った。
「ルフレさん…マークさん…ぐすっ…わたしたちのために…」
「泣くな、リズ。あいつらは必ず戻ってくる。
神竜ナーガは言っていた。人の思いが強ければ生き残れると…
あいつらは生きている…絶対に、生きているんだ。
俺は何年かかろうと…ルフレが目覚めるのを待ち、マークを探す…」
山を下りた後に見たのは綺麗な夕焼けだった。
みんなが、ルフレとマークの事を言っていた。
「俺は戦災の復興に全力を尽くす。イーリスだけではなく、すべての国々の。
あいつらが残してくれた平和を…この手で守り通して見せる。
いつか…ルフレが目覚め、マークが戻ってきた時、笑って迎えられるように…
ルフレ…マーク…どこかで聞いてくれているか?
みんな、お前たちを望んでいる。またいろんな話をしたいんだ。
いつか…また会おう……」
* * *
~ルフレSIDE~
イーリスさんがギムレーをとどめを刺し消滅した時――
私も段々と意識がなくたって行った。
ああ、これが死なのだろうか。
けれど、気が付いたら暗闇。
自分の姿だけがわかる。
どこに行けばいいのだろうか?
このまま真っ直ぐにいけばいいのだろうか。
「そっちは違うぞ」
後ろから声が聞こえた。
この声は…イーリスさん?
後ろを振り返ってみれば…そこにいたのは見覚えのある人物だった。
闇の魔力に包まれてない、ギムレーだった。
だが、その姿は…虹の降る山で会ったイーリスさんの精神状態と同じ姿で――
「お前が帰る場所はあっち」
「あなたは……」
彼は指差す方へ行ってもらいたいようだが…。
「あなたはどうするんですか?」
「俺?俺は……このままギムレーと消滅するさ」
「えっ?」
目の前にいるのはギムレーではない?
いや、むしろあのギムレーの内部にいた時に聞こえた声―ー
「あなたはもしかして…ギムレーに覚醒させられた…」
「そ。俺自身も驚きさ。まだ自我が残ってたなんてな。あいつを殺したところで俺自身が消えたと思ったんだが」
「あいつ?」
「未来のお前だよ」
そうだ、今まで私はギムレーと同一だと思っていた。
けれど違うなら…未来には私がいるんだ。
「ま、もうこれで終わりだ。クロムと…最愛の人を殺した奴には消滅がお似合いなのさ。
さ、帰りな。お前の仲間のもとへ」
彼は歩き出した。
私が行こうとした先を。
きっと、これが彼の最期だろう。
私は…彼を解放できたのだと。
なら、私は行こう。
彼が教えてくれた道を。
ずっと歩いた。
本当にこの道であっているのだろうか。
悩んでいるときに――
「こっちであってる」
「えっ」
前からクロムさんが歩いて来た。
けれど彼は私の知っているクロムさんではない気がした。
「その通りだ。俺はお前のクロムではない。俺はこれからあいつを向かえに行くんだ」
「あ……」
「ルキナとレインのこと、頼んだ」
そういって彼は通り過ぎた。
そうだ、私が歩んできた道は元々彼が歩んできた道。
あのクロムさんの半身は彼なのだろう。
私は再び歩き出す。
途中で彼の仲間と会う。
みんな、彼を向かえにいくのだと言った。
最後の前にティアモさんと会った。
彼女は微笑んで、
「あの人を迎えないと」
そう言って私を通り過ぎた。
ずっと歩いていると、最後の人と会った。
瓜二つの人物――未来の私だった。
「大丈夫ですよ」
彼女は私の手を握った。
「あなたはもう一人ではありません。みなさんがいますから」
「ありがとうございます」
「ふふ、ルキナとレインの事、お願いしますね」
「もちろんです。私の…もう一人の子どもたちですもの」
「ありがとう、私も向かえに行かないと。きっと今頃迷子なってるんだから。
方向音痴の〝兄さん”には、やっぱり私やティアモさん、クロムさんがいないと駄目なんだから」
そう言って彼女は通り過ぎた。
ああ、そういえばルキナもファインも言っていた。
あの世界の私と彼は兄妹だと。
――ああ、ようやく来てくれたんだ。
「え?」
歩いているときにそこにいたのは誰か。
顔も見えないし、姿も見えない。
暗闇のせいだろうか。
――ここが最後。あっちに行けば君は帰れる。
「あの…あなたは?」
――僕?僕は…案内人だよ。
案内人?どこかできいたような…。
「あの…」
――大丈夫だよ、今頃みんなに捕まって連れられているから。
――方向音痴なのは重症だね、知ってたけれど。
どうやら彼は無事?に仲間に捕まったようだ。
私は…ただ、行くべきだと感じた。
後ろで彼が手を振っていた気がした。
――さようなら、プリズム。僕の……大切な子孫。君の未来に幸あれ。
歩いているうちに、暗闇がはれていく気がした。
段々視界が広がって――
「いたっ」
目が覚めるとベットの上。
いつの間に落ちていたのだろうか?
と首を傾げようにも動かない。
あれ、と思っているうちに周囲がどこなのかわかった。
イーリスに使っている自分の部屋でもなく、天幕のなかでもない。
普通の一軒家の中だ。
「なに暴れているんだ」
「暴れてないですー」
むすっとして〝私”は答える。
ああ、これは…
「全く…必要なものは持ったか?」
「昨日のうちにまとめたから大丈夫よ。兄さんこそどうなのよ」
「全部まとめてあるから大丈夫だ」
私と彼は…家からでる。
その家は…虹の降る山にあった家。
イーリスさんが言ってた生家。
どうやら視界は見れるようで彼を見る。
ああ、髪はすこしぼさぼさだけどそれはあのとき見たイーリスさんだった。
対して私は…同じようにぼさぼさだ。
まぁこれはこれでまとまっているのだが…、普段まとめているから違和感がある。
二人で家を出て、どこに行くか、と話し合い。ペレジアには行きたくないと行ってたり。
それなのに、気が付いたら彼の姿がなくなってた。
「あの方向音痴!!」
ひたすら探したのに、見つからなくて…。
そしてやって来たクロムさんと会った場所。
「とりあえずこの先の町で情報収集かな…やっぱり私にはこの髪型あってないし…髪ゴムも外すか…」
前寄ったときに物好きな女の子に髪をまとめられてしまったのだ。
それが、今の私の髪型。
そして町が近づいた時――
「!?」
ずしん、と重荷がかかった。
ああ、これはギムレーがこの世界来た時の――
「あ……頭が……痛い……」
その場に倒れてしまった私。
ああ、思い出した。
失っていた記憶が。
「ルフレ……にい……さん……」
そうして私は自分の名前を忘れ―ーギムレーの器の名前、そして最後につぶやいた名で私は自分の名がルフレだと思い込んでいた…。
「う……」
今度は本当に目が覚めたらしい。
外は明るかった。
周囲を見渡せばそこが私が使用している部屋だと気が付いた。
起き上がってみるが特に違和感もない。
ああ、帰って来たんだなと思った。
帰り道を教えてくれた、彼らに感謝しながら私は着替えた。
そして私はすぐにクロムさんのもとへと行く。
ちょうどお昼頃でみな食事をとっているのだろうか?
とりあえず、執務室へと訪れノックする。
「誰だ?」
「クロムさん」
「!」
呼んで、扉を開こうとして、でも向こうから開いた。
「ルフレ…!」
「おはようございます。もう、お昼ですね」
クロムさんは黙って私を抱きしめて、
「お前が目覚めてくれて、よかった…」
途中で様子を見に来たレインとルキナがやってきて。
その日、イーリス王都はにぎわった。
私が目が覚めたのは、ギムレーが消滅して一週間後のことだった。
だが、マークさんの行方はまだわからないとのことだった。
本編終了と共に、ルフレ(プリズム)の帰還です。
さて、ここで一度、本編では出せないと思われる設定をあげておこう思います。
長いのでご注意を。
・邪竜ギムレーについて
書き始めは覚醒の公式設定資料を持っていなかったので、どういった存在なのかかんがえました。
その結果、実はもともと神竜族と考えました。
これはうろ覚えでしたが、暗黒竜や紋章にでてくるガトーやチェイニーも神竜族だった気がしたので、
もう一人増えてもいっかー的に考えて、ギムレーはもともと神竜族と決めました。
(実際ガトーやチェイニーが神竜族でなくてもまあいいかと思っている)
チキは神竜族の王女という感じだったけれど、王族じゃない神竜族もいると考えたですがね。
なお、設定裏では暗黒竜・紋章時代でのギムレーはちゃんと正常で、マムクートとしての力を捨て
ガトーと同じように武器、魔導書で戦うスタイルにしてあります。
そしてなぜ邪竜になったかというと、人の負の気に犯された…というか邪教あたりが世界の滅亡こそが救いだの考えて、
囚われたギムレーさんを呪術やらなんやらで狂わせた…そしてその結果が邪竜化しちゃったという設定です。
ちなみに狂う直前に呪術込で女呪術師たちに(R-18)的なことをされた結果、ギムレーの子孫ができたとい認識です。
ちなみに暗黒竜・紋章時代では表に出ず、裏でこそこそやっているつもりで、
イーリスとは一応面識あります。
が、マルスやチキとは面識ありません。
・マイユニの関係
ずっと男マイユニが隠してただけで、実際は男の方がルフレで兄、女の方がプリズムで妹となっております。
そして器としてギムレーの邪痕を持って生まれたのがルフレの方で、プリズムにはありませんでした。
二人の母は教団から脱出し、イーリスの山奥に隠れ住みます。
それが虹の降る山で、ある日もしかしたら…と思い母は頂上まて上り持っていた指輪に祈りを込めていました。
その祈りが通じたのかは不明だが、そのおかげで少し力を宿り未来から来たギムレーの影響をルフレは受けずに済みました。
しかしその反動で双子の妹でもあったプリズムにギムレーの心が流れてしまった…ということです。
プリズムはギムレーの心に耐えず記憶を失うのですが、ギムレーの名前がもともとルフレであること、
最後に兄の名を呼んだことにより自分がルフレという名だと思ってしまいます。
対してルフレの方はというと、イーリスが最初から記憶を制していたわけではないです。
当時は自分の名前がルフレであること、そして出会った人にルフレという同一の名前をもつ人物がいたから別の名を名乗ろうとしました。
その時表に出ていたのがマークのため、そのまま名前をマークと名乗り、その時イーリスはマークのもつ不安定を察し、
自分の名前がルフレだと封じました。
決定的なのはマルスと名乗るルキナと会ったときですね。
なにかあるだろうと…。
それ以外は記憶は共通しているのでマークでも紋章時代の出来事は覚えています。
・レインとファインについて
二人は姉たちと一緒にいましたが過去へ渡る際にはぐれてしまいます。
偶然にも時の神殿に訪れ、なにやかんやで過去に渡ります。
記憶を失ったのはギムレーの仕業です。
なお、この出来事はのちに書かせていただこうと思っていますのでこれ以上は追及しません。
二人はちゃんと記憶を取り戻しました。
・結局最後どうなってるの?
当初は消滅するのはルフレだけでした。
しかしゲームやりながら会話とか見ているとあれ、これプリズム心混ざってるって…
と考えて急遽変更。
ルフレは邪竜の器として肉体を、プリズムは入り混じった心として二人で倒したような感じです…。
そのためルフレはそのまま消滅し、プリズムは体だけ残りました。
最後にプリズムはギムレーとなってしまったルフレに帰り道を教えてもらい、途中で彼の仲間と会い、最後に自分自身と会いました。
自分自身を取り戻したので失っていた記憶を取り戻した…ということです。
わかりずらかったらもうしわけありません…。
・結局『アルカンシェル』ってなに?
邪竜化したギムレーが一瞬だけ自我を取り戻した時、自分の牙を抜いて作った剣です。
なぜ虹色に輝くかは本人にもわかりません。
一応、ファルシオンの対でもあります。
・ホークやファイン、セレナがもつ『アルカンシェル』は?
本来の持ち主がいなくなったために色が傾いた物です。
真の持ち主>真の持ち主の血族>真の持ち主が自らの意志で渡した相手>持ち主の仲間>>一般>認めない者
の順になっております。
この場合、 例
マーク>プリズム・ホーク・セレナ・ファイン>イーリスが渡したとある天馬騎士>チキ>一般>屍兵・賊など
となっております。
真の持ち主の場合は虹色に。
真の持ち主の血族・真の持ち主が自らの意志で渡した相手ならば、その時の周囲の状況により色が変化します。
ホーク:シレジア出身(風の賢者フォルセティ・およびイメージカラー)・母(マークの妻)の髪の色が緑に準する。
ファイン:本人とティアモの髪の色に準ずるが、受け取った際の出来事にも準する。
セレナ:継承。当時イーリスの周りには青髪が多かったことに準する(例:マルス)
ただ、真の持ち主が自らの意志で渡した相手の場合は真の持ち主の血族が持つより威力は下がる。
それと、血族なら剣が使えなくても使えるが、受け取った相手の場合は相手が剣を使えなければ使えない。
持ち主の仲間であれば所持は可能であるし使用もかのうだが、ただの鉄の剣と変わらない。あと色も普通の剣とおなじである。
一般なら扱うことのできない。
認めない者の場合は重い・使えない・ぼろぼろになるの三拍そろったものに変化する。
もちろん、実際はそう見えるだけ。
長いですが、アルカンシェルについては大体こんな感じです。
長くなってしまいましたが、ここまでとさせていただきます。
何か気になる点がある場合は教えていただけるとお答えします。
次回は回想メインとなります。
ただ、レイン・ファインの二人か、それともギムレーに覚醒させられた彼の回想か。
そこは決めてないです…。
あとマーク(ルフレ)ですが。
ちゃんと原作通り、戻ってきます。
が、戻ってくる前にひょっこり違う異界に行ってから帰ってくるのか、
それともそのまま帰ってくるかどうしようかと考えています。
なお、ひょっこり異界に行く云々の場合はifの世界と考えております。
(あ、もしかしたら…孫と会ってしまうかもしれない…?)
ただ、私自身、ifをクリアしていないのでどうするかはわかりません。
(進む場合は透魔編となります。また私は暗夜の途中ですな)
まだ考え中ですがもしという方がいらっしゃればメッセージ等でくださると助かります。
長々と申し訳ありません。
それでは。
ちなみに第21話でマーク達はギムレーと会うのですが。
その時ちゃんと迷子を否定していなかったことが一応フラグというか…
気づいた方はいらっしゃいましたか?