9月2日 (月よう日)
今日から二学期です。
二学期は、遠足や運動会もあるのでたのしみです。
朝礼で、校長先生から、だれもびょうきやけがをせず夏休みをすごせましたね、とほめられました。
だれもちこくしなかったのもえらいってほめてもらっていると、立花先生がちこくして校長先生におこられてました。学校にくるとちゅうで、高い木からおりられなくなったネコをたすけていたんだって。
おうちにかえってママにはなしたら、「響さんらしいデス」ってうれしそうでした。
ちこくしたのにうれしそうなんてヘンじゃないの? ってママにたずねたら、律花もそのうち分かるデスよって言われました。
さいきん、よく同じことを言われるような気がします。
どうすれば、はやく分かれるようになるのかな?
9月5日 (木よう日)
今朝、テレビをみていたら、マリアさんが出てきてびっくりしました。
なんかとってもゆうめいなシェフさんと『こんやく』したんだって。
こんやくしたってことは、けっこんしておよめさんになるってことなんだよね?
けっこんしきとかによばれるのかしら、とドキドキしたんだけど、ママとパパは二人でなんだかむずかしい顔をしてます。
「こんどはだいじょうぶデスかね?」ってママが言ってたのが気になったんだけど、学校に行く時間だったのでくわしくきけませんでした。
学校でも、マリアさんのはなしでおおさわぎでした。
マリアさんは歌手でもゆうめいだけど、テレビのコマーシャルでもひっぱりだこなんだって。
くうきせいじょうきのコマーシャルにでたときは、その商品がバカうれしたってパパが言ってました。クラスの男子もよく給食を食べて、「しかもおいしい!」ってマネしてるし。
そんな大人気のマリアさんは、わたしがようちえんのときにフケイさんかんで来たことがあるそうです。
わたしはよくおぼえてないけど、大さわぎになったみたい。
秋の運動会にこっそりきてくれないかな、なんておもったけど、こんやくしたらむりだろうなきっと。
9月9日 (月よう日)
今朝のテレビにもマリアさんが出ていました。なんか『こんやく』をかいしょうしたんだって。
テレビの中の人は大さわぎで、きっと学校でも大さわぎなんだろうなあってわたしが思っていると、パパとママはまたむずかしい顔をしてました。
学校にいったら、やっぱり大さわぎで、おとなしいのは詩音ちゃんくらい?
そして家に帰ったらマリアさんがいたので、わたしは一日で二回びっくりです。
「おかえりなさい、律花」ってマリアさんは頭をなでてくれたけど、なんか元気がありません。
やっぱり『こんやく』をかいしょうしたからかな?
そう聞いてみようかな、と思ったら、マリアさんはママにぶつぶつ言ってます。
「…わたしに料理させないなら、わたしよりおいしい料理を作ってくれなきゃ!」
なんかおこっているみたいです。
「マリアはりそうが高すぎデスよ」ってママが言うと、パパは「このばあいは、高いってよりヘンなんじゃないか?」って小声で言ってました。
そんなマリアさんは、パパの作った料理やおつまみをモリモリ食べてました。
「あーもうー、おいしいな、ちくしょう」
そしてお酒もたくさんのんだみたい。
わたしがまだねる時間にもなってないのに、ぐーぐーとテーブルでねてしまいました。
ママはそっとマリアさんの体に毛布をかけていました。
なんかよくわからないけど、大人ってたいへんなんだなあって思いました。
9月13日 (金よう日)
今日は立花先生のたんじょう日なので、詩音ちゃんの家でみんなでおいわいパーティをしました。
ママといっしょにとびきり大きなチーズケーキをやきました。
詩音ちゃんとクリスさんは、こっちもおおきなチョコケーキです。
それと、学校ではわたせなかったので、詩音ちゃんといっしょにおこづかいを出し合ってかったプレゼントをわたしました。
立花先生はプレゼントをあけると、すぐにサクランボのヘアピンをつけてくれました。
「ありがと~! 先生、かんげきだよ!」
立花先生は、わたしと詩音ちゃんをぎゅっとだききしめて、
「二人とも、ほんとうよい子だね~。わたしの家の子どもにならない?」
ってきいてきました。
すると「おまえバカもやすみやすみいえ!」ってクリスさんがおこって、ママも「だいじな一人むすめをあげられるはずないデス!」って大きな声を出します。
「わかってるよ、じょうだんだってば~」
立花先生はわらって手をふっていたけど、あとで未来さんにもおこられたみたい。
パーティには調姉さんとマリアさんもきて、とってもにぎやかです。
弦十郎おじさんの手品もたのしかったけど、調姉さんがヨーヨーをりょう手でクルクルと回してたのはとくにすごかったです。
とってもたのしいパーティでした。
9月15日 (日よう日)
今日は詩音ちゃんと九音くんとわたしの三人で、パパの職場へあそびにいきました。
前にきたときより、なんか広くてしずかです。どうして? ってパパにきいたら、日ようでお休みなので、ふだんより人は少ないんだって。
パパにつれられて、前にはみられなかったばしょをたくさん見せてもらいました。
大きなおふろにでっかいプール、ゲームセンターまであってびっくりです。
コンビニまであって、パパがなにかおかいものをしているあいだに、九音くんにかたをたたかれました。
「エルフナインちゃんのところへいこう」
わたしはあんまりいい気分じゃないんだけれど、詩音ちゃんもいくというのでついていきました。
「たぶんこっちだとおもうんだけど…」
って九音くんがあるいていくと、前みたいにキーボードのついたでっかいとびらがありました。
九音くんがやっさいもっさい! ってたたこうとしたら、スッとひらいてエルフナインちゃんが立っています。
「きょうはみなさんできてくれたんですね。こちらへどうぞ」
エルフナインちゃんにあんないされてへやに入ると、この間見た赤オニさんに、青いオニさんもならんで立っていたので、わたしはヒザがガクガクふるえてなきそうになっちゃいました。
「律花さん、だいじょうぶですよ。こちらはミカです」ってエルフナインちゃんが言ってくれるけど、「ますたーのおきゃくさんはたべたりしないゾ」赤オニのミカさんのツメはやっぱりおっかないです。
「そしてこちらはガリィです」
エルフナインちゃんが青オニの人をしょうかいして、青オニの人も「ガリィちゃんですよ」とあいさつしてくれたとたん、九音くんが大こうふんです。
「うおーーーがりぃ!? まるすくりーげ? ぱんつぁーくんすと!?」
「…なにいってるのかしら、この子?」
わたしもなにをいっているのかさっぱりわかりませんでした。
そのあと、みんなでまるいテーブルにすわっておちゃをのみました。
あまいココアはおいしかったけど、なんだかねむくなってきちゃいました。
「ああ、そこで横になってもいいですよ」
エルフナインちゃんにいわれて、おへやのすみのソファーにゴロンと横になりました。
そのままウトウトしていると、三人が何かしゃべっているのが聞こえます。
「ほう。まだチビすけのぶんざいでいきていたか」
「キサマこそな、このイカズゴケ」
「ふっ、えいゆうはしなないんですよ」
「おまえはだまってろ、さんした!」
「ひ、ひどい…」
なんかみんなしておっかない声で、こうやっておもいだして書いているけど、いみふめいです。
なにをはなしてたんだろ?
そして、わたしが目をあけると、しらないおばさんがわたしのかみの毛をなでていました。
なんか左の目にくろいがんたいをしてました。
しらない人とはお話をしちゃいけないって先生からもいわれてたけど、とってもやさしそうなえがおです。
「あなたが切歌のむすめですか」
って、ママの名前をいってました。だから、ママのことしっているんですか? ってきいたら、「ええ、とてもよく」だって。
ママの知り合いならお話してもだいじょうぶだとおもって、いろいろとお話しました。
がっこうのこと、ともだちのこと、もちろんママや調姉さん、マリアさんのこともたくさん。
そうしたら、またねむなくってきちゃって、おばさんがひざまくらしてくれました。
「いつでもあなたたちのことをみまもっていますよ」
ニコニコしながらおばさんはわたしの頭をなでてくれて、詩音ちゃんにかたをゆすられて目をさましたらもういませんでした。
「おばさんは?」とエルフナインちゃんや詩音ちゃんにきいても首をふってました。
もしかしてゆめだったのかしら?
そのあと、パパがおむかえにきて、エルフナインちゃんのところから帰りました。
なんかミカさんとガリィさんを見て、パパが「ひっ」と声を上げていたのは、ちょっとかっこわるかったです。