平成最後の投稿です!
「皆さん、本日は来てくださりありがとうございました!これからも私達、Pastel*palettesをよろしくお願いします!
それでは…」
「「「「「Pastel*palettesでした!」」」」」
ライブが終わり、観客達はそれぞれ会場を後にしていた。俺とアキラもライブが終わると帰路についていた。
「ふう…。なんか疲れたなー。」
「だろうな。お前横で結構テンション上がってたしな。」
「え?そんなに上がってた?」
「ああ。」
ヤバい、全然気がつかなかった。まあ、なんかあのステージ見てるとなんだか不思議と気持ちが軽くなったし……これも彼女達の成せる業ってとこかな?
「結構いい感じだったよね。あの5人。」
「まあ悪くは無いんじゃないか。」
「素直じゃないなー。『そうだな』って言えばいいのに。」
「あのな…。」
「後さ…、俺今まで夢って何だろうってずっと考えてた。」
俺が話始めるとアキラは黙って話を聞いてくれた。
「結局さ、俺の夢がなんなのかまだ正確にはわからないし、それが出来たとしても追い続けることが正しいことなのかもわかってないんだ。
でも、夢を追いかけるのって…なんか凄く熱くなる気がする。途中で残酷なこと言われたり理不尽なことが起きて嫌になるかもしれないけど。それでも本気でその夢を叶えたいって思うのが…叶えたい夢が好きならさ、きっとどれだけ苦しくても前に進めると思うんだ。」
夢があったとしても皆その夢にたどり着ける訳ではない。叶えられることもあれば挫折する人だっている。『努力は必ず実る』と言うけれど現実はそんなに甘くない。どれだけ努力を続けたとしても元から高い才能を持つ人には及ばない何てことはよくあることだ。
それでも馬鹿みたいに努力して、愚直に夢を追いかけて、どれだけ否定されても残酷な現実に押されても……彼女は諦めようとしなかった。
それは彼女が本気で叶えたい夢だったから。誰かの光になる、そんな自分になりたかったから。
そして………
彼女は何よりもアイドルが好きだったから。
それで気づいたんだ。
俺に必要だったものは才能でも運でも称賛の声でもない。
それを本気で『好きだ』と思えることだって。
「だからさ、もう1回探してみようと思うんだ。俺が本気でやりたいこと、本当に好きなものを。」
俺もそろそろ前に進まなきゃいけない。
彼女に追いつく為に。そして俺自身の為に。
「ま、頑張れよ。」
「うん。」
周りが暗くてよくわからなかったけどアキラも笑ってた気がした。
「そういえばさ…何でアキラはライブに来てたの?」
さっきまでの話とは反れるがこれが結構謎だった。一応パスパレのことは俺が話をしていたから知ってるのはわかるけどアキラの口からその話が出ることはなかった。それにまずアキラはライブとかに行くような雰囲気は無かったと思うけど何より変装までしていたんだ。意外と隠れパスパレファンだったとかかな?
「・・・・・・・・」
「アキラ?」
「……なんだ。」
「もしかして…隠れパスパレファンだったとか?」
「そんなわけないだろ。」
「じゃあ何で来てたの?」
俺が質問攻めしているとアキラはため息をついて軽く話始めた。
「…………あるやつからのツテでな。」
「あるやつ?」
「それについては触れるな。」
「じゃあ変装してたのは?」
「俺は絶対行かないと言ったからな。だが別の奴が行けとうるくてな、あそこまでいかないと言った以上見に行ったことがバレると後がめんどくさいからな。」
「喧嘩したけど娘の晴れ舞台は見に行きたいと思ってる素直になれないお父さんかな?」
「誰がだ!大体俺はな、どうしてもと言うから仕方なく…」
「相変わらずツンデレだよね~。」
「だから誰がツンデレだ!」
こんなやり取りをしながら俺たちは帰っていた。
アキラの言ってたあるやつってのは気になるけど……まあ、反応が面白いから良いかな?
◆ ◆ ◆ ◆
「ありがとうございましたー!」
次の日、学校が終わり俺は『CiRCLE』でいつものようにバイトをしていた。
さっきまで仲の良さそうな6人組の男女がスタジオを使っていて唯一の男子が次の予約をいれていた。スタジオを出る前に白髪の子に「やまぶきベーカリーよってこ~。」って乗っかられて「わかったから乗っかるのはやめろ」ってやり取りしていた。そして他の4人の女の子は苦笑いしながら彼らと帰っていった。なんかいいねああいうの。
「まりなさん、僕2番スタジオの掃除行ってきます。」
「うん。あ、それとその後頼みたいことがあるんだけど良いかな?」
「はい!僕が出来ることなら喜んで。」
「……なんかイサムくん、雰囲気変わったね。」
まりなさんが俺のことを見ながらこう言った。その顔はどことなく成長した子どもを見る母親のような……ってこの例えはなんか変かな?
「そんなに変わりました?」
「うん。なんか…迷いを振り切ったみたいな感じだね。何か良いことでもあったの?」
「……まあ、ちょっとですかね?」
俺がそう言うとまりなさんはわからないような顔をしていたけどしばらくして少しクスッとしていた。
「そっか。今のキミ、凄くいい顔してるよ?」
「そうですか?」
「うんうん。何があったかは知らないけど前より生き生きしてる。写真とってあげようか?」
「いやいいですよ。なんか恥ずかしいですし。」
「そっかー。残念。」
「というか普通に撮る気満々でしたね。スマホ持ってますし。」
「そんなことよりほら掃除行って行って!まだまだやらなきゃいけないことあるからね~。今日は上がり時間ギリギリまで忙しいよー!」
「わかりました!じゃあ行ってきます!」
まりなさんと話た後、スタジオを掃除したり、まりなさんから渡された書類の整理や備品の点検などやるとこはたくさんあった。でもなんだか楽しかった。
「じゃあ今日はここまでにしようかな。そろそろ閉店時刻だし。」
「はい。」
CiRCLEの戸締まりをして更衣室で制服に着替えているとスマホが鳴った。
『イサムくん、私これからバイト上がりなんだ。今日はお客さんたくさん来たから疲れたよ~。』
彩からだ。実は昨日も家に帰ると連絡が来てたそのまま長いことやり取りをしていた。
『お疲れさま。俺もこれからバイト上がりなんだ。』
『奇遇だね!もしよかったら一緒に帰らない?話したいことあるんだ!』
『わかった。じゃあそっちまで行くから危なくないところで待ってて。』
やり取りを終えると鞄に荷物を入れてCiRCLEを出る。そのまま1つの目的地に向かって歩き出した。
そしてしばらく歩くと目的地にだとりついた。そしてそこにいた1人の少女は俺に気付くと明るい笑顔でこっちに駆け寄ってきた。
「イサムくん!」
「お待たせ。」
満開の笑顔で「大丈夫だよ!」と返す彩。そのまま2人は歩き始めた。他愛もない話をしながら。
2人でここから歩き始めるのはいつぶりだろうか。でもあの時と違うことが1つのある。彩は夢を叶え、俺は未来へと歩き始めた。些細なことかも知れないけど俺にとっては結構大きいものだったりする。この変化は彼女の存在がなければ訪れなかった。だから…
「彩。」
「どうしたの?」
「ありがとね。」
この思いは…これからも絶対に忘れない。
大切な…思い出だから。
「え?ありがとうって何?私何かした?」
「わからないか~。まあそれならそれで面白いから良いかな。」
「なにそれー!」
暗い夜の道を歩いていると雨が降ってきた。確か天気予報では雨は明日だったはずだけど…。
「どうしよう…私傘持ってない…。」
「一応俺折り畳み式なら持ってるけど使う?」
「えっ?でもそれだとイサムくん濡れちゃうよ!?」
「いいよ。俺がそうしたいんだから。」
「……じゃあさ」
彩は傘を受けとって開くと俺との距離を摘めてきた。
「こうすればお互い濡れないね。」
相合い傘というものだろうか。ちょっと恥ずかしいけどなんだか不思議と悪い気はしなかった。
前に言ったけど俺は雨が好きじゃない。濡れるし、もしスマホが水没したら使えなくなるし……何より嫌なことがあると決まって雨が降っていた。
でも今は違う。1人で受けていた雨も隣に君がいるだけで心が軽くなる。だからきっと…いつかは雨が降ってもそんなことも忘れちゃえるようになるかもしれない。
それに…
いつかは俺の中の雨もやむと思うから。
「あ、そう言えば日菜ちゃんが…」
「え?それ本気で?」
街灯が照らす夜の雨が降る道に1つに纏まった2人の影が伸び、その白色の傘は夜道を彩っていた。
最終回っぽい雰囲気ですがまだ最終回ではありません。
とりあえず切りがいいのでここでワンクール終了という感じですね。平成最後の投稿ということで一旦この作品は幕引きになります。
もう一度言いますが最終回と言う訳ではなく『第1部・完』という形です。これからもこの作品は続きます。
次回からは成長したイサムと彩を始めとするそれを取り巻くメンバー達のこれからの物語になります。
これまで読んでくださった皆様、お気に入りや高評価、感想をくださった皆様に感謝しつつ、令和での活動も頑張っていきますので今後ともよろしくお願いします!
後、今回少しだけですがファンサービス入ってるの気付きましたか?私のもう1つの作品も読んでくれてる方ならわかるはずです。
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@kanata_kizuna