Dream Palette   作:キズカナ

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どもども、カナさんです!

まず一言…こっちの作品ほったらかしててすみませんでした!
本当すみません!あ、石投げないで!
というかすっかり忘れられてたと思ってたけど意外と覚えてくれてた人いて嬉しくなりました。
それでは前置きもここまでにして本編どうぞ。



悩む少女

 

 

 某日。とある芸能事務所の練習スタジオでは、丸山彩が所属しているPastel*Palettesの練習が行われていた。数日ぶりに全員の予定が一致し、5人揃っての大切な特訓日となっていた。

 のだが…

 

「しゅわ~しゅわ~氷のダイヤに揺れながらそっと~」

「ちょちょ、ちょっと!彩さんまた走ってますよ!」

 

 練習開始からこんなことが続いていた。最初のうちはちゃんと皆の音が合わさり、順調な滑り出しだったのだがどういう訳か曲が進むにつれて彩の歌が駆け足になってしまい、他の4人もそれにつられそうになって音がバラバラになっていた。

 

「彩さん、どうしたんですか?今日ちょっと変ですよ?」

「あたしもそう思うな~。いつもの彩ちゃんのドジっぷりは面白いんだけど今日のはるんって来ないんだよね~。」

 

 ドラムの麻弥やギターの日菜にこう言われて、まるで叱られた後の子犬のようにへこんでいた。

 

「アヤさん…もしかして何か悩み事でもあるんですか?」

「へっ?いや…悩み事なんてないけど…。」

 

 本人がそう言うものの、目が泳いでいたりどことなく無理をしているように見えた為、他のメンバーは普通でないことはすぐにわかった。

 

「とりあえず今日の練習は終わりにしましょう。これ以上やっても意味がないわ。」

「うっ…。」

 

 千聖の厳しい言葉に何も言えずにその場で更に彩は落ち込んでしまった。

 

「はあ…。」

 

 深くため息をつく中で彩はあの時のことを思い出していた。

 

(あの子…イサムくんと恋人同士なのかな…。)

 

 あの子とは以前イサムが駅前のクレープ屋さん前で一緒にいた女の子のことである。その時彩が見たのはまるで恋人同士のように距離が近く、それを見た時からその事を思い出す度に胸が痛むのだった。

 

(結局その後イサムくんと会うことも無かったし…それに…なんだろう、このモヤモヤ…。)

 

「彩ちゃん、ちょっといいかしら?」

 

 練習スタジオを出ようとした時、千聖が呼び止めた。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 千聖の誘いで来たのはとあるカフェだった。外の椅子に腰かけた2人は注文した品が来ると会話を再開した。

 

「ち、千聖ちゃん…話って何?」

「単刀直入に聞くわ。彩ちゃんは彼のことをどう思ってるの?」

「えっ?」

 

 千聖の質問に彩は一瞬動揺してしまう。

 

「どう思ってるって…なんでそんなこと…?」

「見ればわかるわ。今のあなたは彼のことで悩んでいる。大方、彼と何かあってその事を抱えてるんでしょ?」

「千聖ちゃん…凄いね…。」

「当たり前よ。伊達に女優なんてやってないわ。」

 

 流石は若手女優と言ったところか彩の表情と雰囲気だけで彼女の全てを読み取っていた。

 

「それでどうなのかしら?」

「えっと…それが私にもよくわからないんだ…。」

「……そう。」

 

 「よくわからない」。その言葉に対して千聖は特に何も言わずに注文した紅茶を飲んでいた。

 

「何も言わないの…?」

「ええ。私にはそんな経験は無いけれどお芝居をしていれば大体理由はわかるわ。だから無闇に答えを出して良いものじゃないことくらい理解出来るのよ。」

「…………ねえ、千聖ちゃん。」

「何かしら?」

「やっぱりこの気持ちって…『そういうこと』なのかな?」

「・・・・・・・・・」

 

 彩の問いに対して千聖は黙りこむ。

 

「それは貴方が考えなきゃいけないことよ。」

「そう…なのかな?」

「それともう1つ…その気持ちは今の貴方には少し…いえ、かなり危険なものかもしれないわね。」

「えっ…?」

「いい?今の貴方はもう『ただの丸山彩』じゃないの。その事はわかるかしら?」

「ちょ…ちょっと待って!?意味がわからないよ!」

 

 千聖の言葉に思わず声を上げた。彩は突然言われたただ事ではないという言葉に理解が追いついていなかった。その様子を見た千聖は小さくため息をついた。

 

「彩ちゃん、その気持ちを持つことは絶対ダメとは言わないわ。それでも今の貴方の状況でその気持ちを持つと言うことは大きな責任がついてしまうの。」

「責任……?」

「そう。今の貴方はアイドル。今の世間からは『Pastel*Palettesの丸山彩』という印象の方が強いの。……ここまで言えばわかるかしら?」

 

 そう言われ、彩は千聖の言葉の意味に気づいた。自分がイサムに対して抱いてる気持ち、そして千聖の言葉の真相に。

 

(そうだったんだ…。これって『そういうこと』だったんだ…。)

 

 思う度に大きくなる彼の存在。ふとした時に脳裏に浮かぶ姿。そして、突然起きた気持ちのモヤモヤ。理解した瞬間にそれらの理由が判明した。

 

 

 

 

 

 

 丸山彩は…佐倉イサムに恋をしていたからだ。

 

 

 

 とはいってもいつ、どのタイミングで彼の事が気になり始めたのか、何故そこまで彼を思うようになったのかはわからない。なぜなら今までその気持ちのことを意識していなかったからだ。

 気がつけば彼の事が気になり、彼を思っていた。恋というものはそういったものではないだろうか。

 

(私は…イサムくんのことが…。)

 

 改めて確認すると彩はやはり恥ずかしくなっていた。無理もないだろう。今まで夢に向かって一途に頑張っていた為、恋といったものとは無縁だったのだ。急に慣れろと言われても無茶を言うなというものだ。

 

(でももしかしたらイサムくんはあの子と……そう思うとやっぱり…。)

「彩ちゃん?」

「ふぇ!?」

 

 考え事をしていた彩は突然千聖に呼ばれて拍子抜けな声を出してしまった。

 

「どうしたの?さっきから…。」

「ううん…千聖ちゃんに言われたことを考え直してて…。」

「そう…。それで彩ちゃんはどうしたいのかしら?」

「どうしたい…って言われても…。」

「アイドルとして生きていく為にはスキャンダルは死活問題よ。私達の事務所は恋愛禁止と断言されていないけれどマスコミはお構いなしにそういったものをネタにしようと狙っているわ。

 アイドルは夢を、憧れを与える存在。そんな人が誰かのものになると思うとファンの人がどう思うかわかるでしょう?」

 

 千聖の言葉を聞き、彩は再び暗い表情をした。

 彩は誰かに夢や憧れを与える…そんなアイドルになりたかった。彼女の尊敬するあゆみというアイドルのような存在に。そして彼女はその夢を歩み続けている。故にそれを捨てるという選択肢は取りたくない。だが、そうするとイサムとはどうなるのだろう?彼女にとってイサムは夢へ進む自分の背中を押してくれた大切な存在であり、今またその関係の上を行こうとしている存在でもある。

 夢か、恋か。

 彩にとってそれはどちらも捨てることが出来ない大切なもの。この選択は重すぎるものだった。

 

(私は…どうすればいいんだろう…。)

 

 その後、とても思い詰めていたのか千聖の話が耳に入らず、注文していたケーキも味を感じなくなっていた。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 2日後、彩はレッスンが休みだった為、1人ショッピングモールを歩いていた。

 

(結局…あれから何も答えが出なかった…。

 せっかく掴んだアイドルの夢は諦めたくない。でもイサムくんと離れるのも嫌だ。

 私はどうしたら…。)

 

 考え事をしていて前を見て歩いていなかった為か、彼女は誰かとぶつかってしまった。

 

「いって~。どこ見て歩いてんだこのアマ。」

「あっ…ご…ごめんなさい…。」

「おいおい、服にソフトクリームついたじゃねえかよ。こりゃクリーニング代貰わねえとな~。」

「えっと…その…。」

「オラさっさと払えよ。それともこの服買い直してくれるか?5000円もしたんだぞ?」

「あっ…ごめんなさ…」

「それともなんだ?その体で払ってくれてもいいんだぞ?」

 

 威圧してくるガラの悪い高身長の男に対して彩はただ怯えることしか出来なかった。

 

「…すみません…それは…出来ません…」

「出来ない?お前ぶつかって来たくせによくそんなこと言えたな?あ?」

「でも…」

「最近のガキは教育が行き渡ってねえみたいだな!」

 

 壁に突き飛ばされた彩は背中を押さえながら恐怖に震えていた。目の前にいるガラの悪い男が今度は何をしてくるかわからない。

 

(イサムくん…イサムくんっ!)

 

 ここにいるはずもない人物の名前を心で叫ぶ。だが、イサムが今どこで何をしているかわからない。

 

「ダメ親の代わりに俺が教育しといてやるか…」

「そこまでにしときや。」

 

 男の魔の手が伸びそうだった時、知らない1人の少女がそこに現れた。

 

「あ?なんだこのガキ?」

「ガキって…お前の方がガキやろ、精神年齢的な意味で。」

「なんだとてめえ?」

「というか女の子に手を上げるって男としてどうなん?その辺わからんところ見ると再教育が必要なのお前の方とちゃうか?」

「てめえ偉そうに…何様のつもりだ!」

「ウチか?ただのしがない女子高生やけど?」

 

 関西弁で強気に喋る少女に対して男は痺れを切らしたのか…

 

「てめえにも再教育が必要みたいだなぁ!」

 

 殴りかかった。

 しかし…

 

「遅いわ!」

 

 男の腕を掴むとその勢いを利用して男を投げ飛ばした。

 

「痛え~。このガキ…舐めやがっ…」

 

 再び襲いかかろうとした男だが、目の前の光景に思わず声を止めてしまった。

 何故なら…

 

「さて…このままやるんならこれぶつけた後で警察呼ぶけどええか?」

 

 中に空き缶とかペットボトルとか入って重さが増していると思われる金属製のゴミ箱を華奢な女の子が余裕で持ち上げていたからだ。

 

「す…すみませんでしたぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 目の前の光景に恐怖した男は一目散に逃げ出した。

 

「…あほくさ。」

 

 つまらないものを見たかのような声で呟くとゴミ箱を適当な場所に戻し、彩の元に近づいた。

 

「ごめんな~。ウチちょっと力強ーてな、気にしとるんやけど治らへんで…。大丈夫?」

「えっ…?うん…。」

「ん…あんたもしかして…。イサムと一瞬におった子か?」

「えっ…?イサムくんのこと知ってるんですか?」

「知っとるも何もしょっちゅう顔合わすわ。いや~まさかこんな形で会えるとは思わへんかったわ~。」

「そ…そうなんだ…。」

「それに多分やけどパスパレの子よな?」

「えっ!?知ってるんですか?」

「ホンマかいな!まさかとは思うてたけど同一人物か…。」

 

 彩の目の前で衝撃を受けている少女は驚いていたが、「そや!」と再び彩に向き直った。

 

「ウチの名前は野方ミチル。よろしくな!」

 

 こうして、丸山彩と野方ミチルは出会うのだった。

 

 

 

 

 





今回、イサムくんの出番はありません。因みに彩が襲われていた時、オリ主はバイト真っ最中です。主人公(物語的な意味で)仕事しろ。

そして今日から仮面ライダージオウの映画公開ですね。勿論見に行きますよ!オーマフォームとマッハの活躍が楽しみだ!

コメントや高評価くださるととても嬉しいです!

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@kanata_kizuna
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