Realizeの初ライブが終わり、2日がたった。
彼らのライブは無事に幕を閉じ、KINGDOMのライブも全体的に成功したと言っても良い物となった。ただ初めてのライブである事もあり、MCは多少滑ることや他のバンドに比べてあまり盛り上がりが薄いと思う所もあったが、マスターからは「初めてなんてそんなもんよ! もし失敗だと思ってるんなら……人間は失敗と成功を繰り返して成長するものって事、しっかり覚えておきなさい!」と喝を入れられた。
そして、
「おーい?生きてますか〜?これ何本ですか〜?」
「…………うん、脈はあるな。」
「いや2人ともなにしてるの?」
「「それはこっちのセリフだよ!!」」
目の前で手を降ったり、脈を測り出したりしてる2人に対して素朴な疑問を抱くが逆にその2人からツッコミ返されてしまった。
「で?この間からやたらボケっとしてるけどどうしたんだ?」
「うーん…。ちょっと考え事をね。」
「えっ…?何何?悩み事?」
「いや、悩みではない。……あ、それより次教室移動だけど?行かなくてもいいの?」
「「だからお前(あんた)を呼んでたんだよ!!」」
その時の2人の圧は思わず仰け反ってしまう程だったとか。
「てかなんでミチルはここにいるの? 隣のクラスじゃ……」
「……あ」
◆ ◆ ◆ ◆
日は変わり、イサムはCiRCLEでアルバイトをしていた。
「新規イベント?」
まりなの口から発された言葉をイサムがオウム返しで尋ねた。
「そう!今度ウチでやることになったんだ〜。」
「それで俺も手伝いに加わるってことですか?」
「そうそう!」
「わかりました。まず何をやったら良いんですか?」
そう聞くとまりなは「そうだなぁ…。」と悩んだ後に1枚の紙を取り出し、イサムに渡した。
「イサムくんにはこのチケット分けをして貰おうかな?大人用と学生用の2種類があるからこれを分別して、どっちが何枚あるか記録して欲しいんだ。」
「わかりました。」
彼に割り当てられたのは比較的楽な仕事だった。まりなから箱を受け取り、イサムは作業に取り掛かり始めた。
「にしてもまた急ですね。そもそもこれってなんのイベントなんですか?」
「そういえばイサムくんには説明してなかったね。実はこの間からオーナーと話し合って決めたんだけどこの間やったガールズバンドパーティーって覚えてるかな?」
「あれですか?」
ガールズバンドパーティーとはこのCiRCLEがオープンして間もなく、イサムがアルバイトを始めてからも間もない時に開催されたイベントである。元々イサムはまりなが目をつけていたバンドにイベント出演の交渉を命じられるはずだったのだが、そこに現れたPoppin’Partyの面々がそれを手伝ってくれた為、予想よりも上手くことが運んだらしい。
「その時のステージを見て、『ライブやりたい!』って意見を沢山貰ってさ〜。せっかくだし今度ウチで新規イベントやってみないかって提案されたの。」
「へえ〜。でどんなことやるんですか?」
「今回は前回募集したバンドの他にも何組か募集して大きなライブにしようと思ってるんだ。」
「わー大変そー…。」
これから起こるであろう出来事を予測したイサムは乾いた声でそう返した。
「それでなんだけど、イサムくんにはみんなへのアンケートをお願いしたいの。」
「あーはいはい……ん?今なんと?」
「君にはイベント出場者のみんなにアンケートをとって貰うよ。」
(大変そうな役割キターッ!)
話を聞いてるだけでも大変そうなのにそれに加えてより負荷が大きそうな仕事を任されたイサムは喜んで良いのか分からなくなりそうになっていた。
「あ、それと当日はステージの照明や音の調整の係頼んでもいいかな?それとこれも…」
「モースキニシテクダサイ…」
気が遠くなりそうな仕事量がふりかかりイサムは一瞬目の前が灰色になりかけた。
「こーんにちわー!」
「おっ!噂をすれば!ほら、イサムくんも来て来て!」
いつものように上司に振り回されながらイサムはカウンターに向かった。
「いらっしゃーい!」
「まりなさん、イサムさん、こんにちわ〜!」
「いらっしゃいませ〜。」
「・・・・・・・・」
「……えっと…どうされました?」
じっとこちらを見てくるたえに対して思わず声をかけた。
「Realizeの人ですか〜?」
「いやそんなy〇utuberの人ですかみたいな言い方しなくても…」
「おたえちゃん、Realizeって…何?」
「バンドの人だよ。この間、イサムさんをKINGDOMで見たんだ。」
「「「「「えっ!?」」」」」
たえの言葉にその場にいたたえとイサム以外の人物が驚きの声を上げていた。
「イサムくんバンドやってたの?」
「すごーい!バンドマンなんですか!?」
「いや君たちもだよね!?」
「ほら、証拠写真がこちら。」
「しれっと見せるの止めて!?」
今日も忙しくなりそうだなぁ……。心の中でそう思いつつも、頬を叩き今日も仕事に励むのだった。
「すげ…。いつからバンドやってたんですか?」
「スリーピースバンドなんですね。」
「ねーどうして私に教えてくれなかったのー?」
それよりも先にこの場の収束が先か…。そうイサムは心の中で呟き直した。
◆ ◆ ◆ ◆
時は過ぎ、イベント開催間近となった。
この日は事前チェックとして1組1組が自分たちのバンドが最高のパフォーマンスが出来るように音響、照明、ステージの立ち位置等の最終確認を行っていた。
「Roseliaさん、ライトや音響の方は大丈夫ですか?」
「そうね。もう少しライトを抑えて貰えないかしら?」
「わかりました。」
今回参加したいと言ってきたのは前回参加したPoppin’Party、Afterglow、Pastel✱Palettes、Roselia、ハロー、ハッピーワールドの5組に加えて、新たに3組のバンドが参加することになった。照明、音響はイサムがやることになりどのグループもパフォーマンスが違う為ライトの角度など1つ1つを頭に叩き込まなければならない。
「イサムくん、ちょっと休憩しよっか。」
「はい…。じゃあちょっと行ってきます…。」
1度スタジオから出て近くのベンチに腰をかけた。これまでの疲れからか少しウトウトしてしまい思わず顔を思いっきり叩いた。
「イサムくん?大丈夫?」
「……うにゅ…ふぇ!?彩!?」
半開きの目を開くとそこには自分を覗き込むように見ている彩がいた。
「これ飲む?」
そう言いながら缶コーヒーを手渡された。それを受け取り1口飲むと少しだけ気持ちが落ち着いたように感じた。
それを見た彩はそっと自分の隣に座った。
(なんか…変な感じだなぁ…)
横目でイサムは彩を見た。こうして2人ので横並びになることは多々あったが、なんだかいつもと違うような気がした。というのもいつもはプライベートな丸山彩だったが今隣にいるのはアイドルの丸山彩だった。いつものふわふわな髪は2つに纏められており、服装もステージでよく見る衣装だった。
普段は子犬のようなこの子がここまで華やかになるなんてなぁ…。と思っているとその視線に気づいたのか彩がこっちに視線を向けた。
「どうしたの?私に何かついてる?」
「いや、なんでもない…。」
とりあえず持っていたコーヒーを思いっきり飲み干し、気持ちを落ち着けた。
「ねえ彩、1つ聞いていい?」
「何?」
「彩はさ、バンドやってて楽しい?」
「うん!大変だけど楽しいよ!」
「あのさ…今日見てて思ったんだけどさ…」
一息着きながらイサムは話を続けた。
「ポピパもアフグロもパスパレも他のバンドの子たちも……みんなステージに上がってる時は楽しそうだった。なんか…ここにみんなの夢があるって感じだった。
だからなんだか…ステージ見てるとさ、楽しくなったんだ。」
「そっか。」
そんなイサムの言葉を彩は静かに聞いていた。
「それ…で…」
そこでイサムの言葉は途絶えた。不思議に思った彩は隣を見るとイサムはその場で寝てしまっていた。
「イサムくん?」
すぅすぅと寝息を立てて眠る彼を見た彩だったが、イサムがバランスを崩したのか彼の体が彩の方に倒れ込んできた。頭が彩の肩に乗っかるような体勢になり、一瞬動揺してしまうもののイサムの寝顔を見た彩は何も言わずにそのまま彼を見ながら微笑んでいた。
「次のリハまでまだ10分あるかぁ…。じゃあ時間が来たら起こしてあげるね。」
彩にとってこの10分は長いようであっという間な時間だった。
久びさにイチャコラさせれたぜ。褒めてくれよな。←貪欲
やっぱり彩ちゃんを可愛く書くのは楽しいです。
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