「イサムくん! このクレープも美味しいよ〜! はい!」
「いや、ちょっと彩? 近い近い……」
今俺は、彩と放課後デート的な事をやっている。というのも、突然呼び出され「久しぶりだし2人で放課後デートしよっ!」と提案された。まあ最近彩はアイドル活動略してアイ〇ツに精を出していたし、俺もKINGDOMでのライブに向けて頑張っていたから中々会えない日が続いていたのでいい機会かもしれない。
それにしても……
「なんか距離近くない?」
「えへへ〜、最近会えなくて寂しかったからつい……」
「そっか……」
なんか今日の彩は変な感じがするのは気のせいか……?
とりあえず、なんでこうなってるのか……。
それは……。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
〇月□日、今日も快晴。なんて事ない普通の日。
バンド練習は各々の予定が合わず個人練習という事に。とりあえず家に帰って、ギターのチューニングと譜面の確認でもしとこうかな……と思っていると突然、スマホがブルブルと震えた。どうやらマナーモードにしたつもりがバイブモードになっていたらしい。
「えっと……彩から?」
その内容は「これから会えないかな? 放課後デートしよっ!」とのこと。
彩とは最近会えない代わりにメッセージアプリでの通話やメールのみのやり取りになっていた。今日は特に個人的な用事も無いので了承の意を伝えるとすぐに待ち合わせ場所についての情報が来た。相変わらず返答が早い。
「さて、行きますか」
スマホをポケットにしまうと鞄を担ぎ、教室を後にした。
指定の場所は駅前の噴水付近だった。そこに行くと既に彩は待っており、俺に気がつくと駆け足で向かってきた。
「イサムく〜ん! 久しぶりっ!」
と思ったらそのまま俺の腰に抱きついてきた。
「いやちょっと彩!? 待って待って!!」
直ぐさま彩を引き離し、周りを確認した。幸いこの時間は人が多く無いのでさっきのは大丈夫だと信じたい。
「どうしたの?」
「どうしたのじゃないよ! 彩、自分がアイドルだって自覚ある!? もし問題になったらどうするの!?」
「え〜! 久しぶりに会えたんだしイサムくんの事肌で感じたいもん! それに、私たちの事務所は恋愛NGって訳じゃないし!」
「いやいやそういう問題じゃないでしょ! パパラッチなんかに掴まれるとある事無い事好き勝手に書かれるんだから!」
「は〜い」
これに関しては千聖さんからも口酸っぱく成程言われている。恐らく彩の方にも忠告は行き届いてる筈だが……。
「兎に角、まずは何か変装グッズ買ってくよ」
と、言うことで先ずは身近のファッションショップに行き、変装出来そうなものを探す。定番所と言えばサングラスや帽子だろう。しかし、サングラスは帰って目立つ可能性もあるからな……。
「ねぇねぇ、これ良くない?」
彩が持ってきたのは……星型のサングラス。予想的中と言うべきか案の定と言うべきか……。
「うん、それパーティーグッズだから返って目立つよね?」
「え〜、面白いと思ったんだけどなぁ」
「とりあえずそれは返してこよっか」
ちぇ〜と口をしぼめながら元にあった場所にサングラスを返却した。
とりあえず目立たないように唾が大きめの黒い帽子を購入した。これで目元は隠れるだろうしなんとかなる筈。
「それで、今日はどこに行くつもり?」
その後、何処へ行くか2人で話し合った所ショッピングモールに行くことになった。
先ずは雑貨屋さんに向かい、店内のグッズを見て回った。
「イサムくん、これ面白くない?」
「……牛のぬいぐるみ? あ、でも可愛いかも」
そのぬいぐるみは牛がくたっと寝そべっているもので、牛の瞳も気だるそうではあるがそれがまた愛嬌になっている。
「それもそうなんだけどさ〜。ほら、この牛さん乳ついてるよ!」
「あ、ホントだ」
「乳の着いた牛のぬいぐるみって珍しいよね〜! 私、なんかr………おっと」
着眼点そこなんだ……と思いつつ、確かに面白いなと感じた。ただ、お値段が4000円と中々な物だったので今回は渋々その場をおさらばせざるを得無かったとさ。
次に出向いたのはゲームセンター。正直人が多そうな場所は避けたかったのだが彩がどうしてもと聞かなかった為、俺から絶対に離れないという条件の元行動している。
「ほらほら!こっちだよー!」
彩に誘われるがままに向かったのはキラプリ。そういえば前にも一緒に撮った事あったなぁ。
中に入り、以前と同じように写真を撮っていく。前よりも写真写りは良くなってる気がするが詳しいことは分からない。
「そう言えば前にもこうやってキラプリ撮った事あったよね」
「え? うん、そうだね!」
彩は「そんなこともあったね〜」と思い出したかのように画面を操作していく。相変わらずこういう盛り方というか写真の見せ方については手馴れているなぁ。
「よし、これでバッチリ! イサムくん、どうかな?」
「……え? うん、いいと思うよ」
俺がそう言うと直ぐさま決定のボタンを押し筐体の外に出る。出てきた写真は……まあ女の子らしいと言うかなんというか。ただ盛り方を熟知しているか手に取ると改めて彩の完璧過ぎる技術に驚くばかりだ。
「あっ! このクレーンゲームの景品面白くない?」
再び彩に手を引かれてクレーンゲームのコーナーへと足を運ぶ。やれやれ、今日の彩はなんだか1段と積極的だなぁ……と思わず笑みを零してしまいそうだ。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「あっ! あのクレープ屋さん気になってたんだ〜。イサムくんっ! 食べていこうよ!」
「え? この間千聖さんからライブも近いし甘いものは無闇に与えるなって釘刺されたんじゃ無かったの?」
「大丈夫大丈夫! あ、日菜ちゃんにこの間教えて貰ったんだけど……クレープってゼロカロリーなんだよ?」
わー、なんだろ。凄く嫌な予感しかしない。
「まず、クレープのフルーツってビタミンやミネラルも豊富だし実質野菜に近いから身体に良い。次にクレープの生地は薄く伸ばして焼くから熱と圧力によってカロリーは消滅するからゼロカロリーなんだ!」
「へえ〜、じゃあクリームは?」
「クリームは固める時に冷やすからその温度にカロリーは耐えられずに消滅するし、白いものは大体ゼロカロリーなんだよ!」
「要するにカロリーはウイルスみたいなものだと?」
「うん!」
「んな訳あるか!」
流石に暴論が過ぎるぞと心でツッコミを入れる。どこぞのお笑い芸人さんじゃ無いんだから。
「まあ、ちゃんと運動するし大丈夫だよ〜」
「……はぁ、何か言われても知らないからね」
そのまま溜息をつきながら彩の我儘に付き合う事に。クレープ屋のワゴンで俺はスフレココアクレープ、彩はいちごバナナクレープを注文してベンチに座って食べることに。
「う〜ん、ずっごい美味しい!」
「まあ、女の子がよく甘いものは正義なんて言ってるのがわかる気がする」
「イサムくんっ! そのマシュマロクレープもひと口ちょうだい!」
「えっ? まあ良いけど……」
彩にクレープを差し出すとそのままかぶりついた。
「う〜ん! マシュマロがトロッとしてて美味しい〜!」
声や表情から本当に美味しいのが伝わってくる。本当にこの子は素直と言うか純粋と言うか……。
「ほら、イサムくん! このクレープも美味しいよ〜」
「えっ……ちょ……彩、近い近い……」
彩は顔を近づけてクレープを突き出してきた。この子、自分の顔がいい事自覚してやってる?……いや、それは無いか彩だし。
言われるがままに彩のクレープもひと口頂くと口の中でクリームとバナナの甘みといちごの程よい酸味が口に広がった。
「あ、美味しい」
「でしょ〜? えっと……日菜ちゃん的に言うと『るんっ♪』って感じだね!」
「……だね〜。あ……彩、口にクリームついてるよ」
そのまま彩の頬に着いたクリームを指で拭き取った。のはいいが、このクリームどうしようか……。
うん、仕方ない。
そのまま指に着いたクレームを舐め、その手はちゃんとハンカチで拭き取った。
「えっ……えっと……」
「えー……その……ご馳走様?」
その言葉を思わず口にしてしまった事で俺は少しこっ恥ずかしくなる。しかし、頬を赤くして口をモゴモゴしていた。
「も〜、そう言うのずるいよ〜」
「ど……どうしたの?」
「へ? な、何でもないよ〜」
それからクレープを食べた後はモールの庭園を散策して写真を撮ったり、色んなお店を周ったりと楽しい時間を過ごした。
今日の彩は久しぶりに会ったからか何時もよりテンションが高く、何時もより我儘な気がしたがそれはそれでありかもしれない。
そして気がつけば時間は5時30分を過ぎ、店内のBGMも少し変わり始めた。
やれやれ、遊んでる時間があっという間に過ぎてしまうこの現象はどうにかならないものだろうか。
「ん〜! 遊んだ遊んだ〜!」
背筋を伸ばすように両手を高く上げる彩の姿を見ながら俺は彼女の顔を見た。
「イサムくんっ! 今日はありがとうねっ!」
「いやいや久しぶりだしね〜」
「うんっ! またいっぱい楽しい事したいね〜!」
さて、彩も満足してくれたみたいだしこれまでの穴埋めという訳では無いが彼女を笑顔に出来て良かった。その姿を見れて俺も役得ってもんだ。
と、言いたい所だけど。まだそう結論づける訳にも行かない。
やっぱり本人の口から直接確かめる以外に
「ねぇ、彩」
「ん〜? どうしたの〜?」
俺は軽い足取りで前を進む彩を呼び止め、1つの質問をした。
「君は、本当に彩なの?」
前回投稿日→2022年1月1日
今日→2023年3月10日
久しぶりだなぁ! 元気してたかぁ!?
はい、という訳で474日ぶりの投稿となりまぁす。きずかなです。
久しぶりの今回、ほのぼのの甘々恋愛小説家だと思った?
残念!実は色々と謎を作って見ました!
さて、イサムくんと一緒にデートしていた彩ですが……皆さん、何か感じたことはありますか?まあ、多分分かりにくいんじゃないかな〜とは思いますけど……。逆にわかったらまじで凄いです。
果たしてイサムの言葉の真意は何なのか、是非とも予想しつつ次回まで首を長くしてお待ちください。
次回は早めに更新するよ〜。
多分。
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次回もお楽しみに!