ご無沙汰してます(4ヶ月ぶり)
ようやく種明かしです。
「君は誰なんだ?」
突如としてイサムは彩にその言葉を発した。
「何言ってるのイサムくん。私は私だよ〜。まん丸お山に彩りを! Pastel Palettesのふわふわピンク担当! 丸山彩でーす♪」
それに対して彩は「イエイ!」という自前効果音と共に持ち前の決め台詞とポージングを披露した。
しかし、そんな様子を見てもイサムは変わらなかった。
「も〜、イサムくんってば変な事言うよね。私はどこからどう見ても丸山彩だよ?」
「でもさ、なんか……違うんだよね」
「む〜……。何が違うの……?」
煮え切らないイサムの反応に、彩は不満を露わにする。
「何点かあるんだけど、まずさ……いつもと見てるところが違ったんたんだよね。例えば牛のぬいぐるみの時……どういう理由て興味を持ったの?」
「え? あの牛さん面白かったじゃん! ほら乳ついてたし」
「はいそこ」
彩の発言にイサムが指摘した。
「彩の基準で言うと多分そういう所には最初に目を付けないと思うんだよね。それよりもまず『可愛い』とかそう言うのを見ると思う」
イサムの判断ポイントとして最初に上げたのは『彩が何かを見た時に「面白い」を優先する可能性は低い』という事。そもそも彩は「可愛い」や「映え」等に重きを置くことが多い。
「それは流石に偏見過ぎない? 私だって面白いもの好きなんだけどな〜?」
「じゃあ2つ目の推測。キラプリの時、俺が前に2人で撮ったって言った時……なんか覚えてなさげだったよね? あれはどういうこと?」
「も〜、そんなこと? 私だって人間なんだしちょっと記憶が抜けることあるでしょ?」
「う〜ん、彩がそういう事忘れるとは思えないんだけどな〜。それに……最後に盛る時、結構早めに完成させていたけど……」
「よくキラプリに行ってるから手慣れてるんだよ」
彩はそう返答するが、イサムは合点が行かないと言わんばかりに彼女を見た。
「彩はいつも『あーがいいかこーがいいか』って時間ギリギリまで悩んでるから、あっさりと決めたのは今回が初めてなんだよね」
「……ねえ、流石に疑い過ぎじゃない? 幾らイサムくんでも私、怒るよ?」
その推測に彩は遂に苛立ちのような雰囲気を出していた。
しかし、イサムは変わらずに彩を真っ直ぐに見つめていた。
「まあ、他にも確認したい事はあるけど……とりあえず彩は俺と会った時、万が一の為に合言葉を決めてるんだよなぁ〜。君が彩なら覚えてるよね?」
「も……勿論だよ!」
「じゃあ行くよ? 『まん丸お山に』?」
「『彩りを』でしょ?」
「ぶっぶー。正解はまん丸お山に輝きをでした」
「え〜!? そんなの引っ掛け問題じゃん!」
「あ、それと……実は合言葉を決めてるのも嘘だよ?」
「……え?」
「さっきから振り回されてばっかりだね。因みにさっきの嘘もまた嘘だって言ったら……どっちを信じる?」
イサムのハッタリに振り回されて彩は冷や汗を流していた。一方、イサムは決定打を得たように「してやったり」という表情をしていた。
「はあ〜、流石イサムくん。彩ちゃんの事になると敵わないなぁ〜」
その時、遂に彩の姿をした人物は深く息をつき「あ〜あ」と遠くを見ていた。
「それで? 君は誰なの……って言いたいところだけど、何となく検討はつくんだよね」
「へえ〜、あたしが誰かもう見破ってるんだ?」
「見破ったって言うよりあくまで推測だけどな。……日菜でしょ? 君」
そう言うと彩……改め日菜はニヤッと笑いながらイサムの方を向いた。
「へえ〜。そこまでバレてたなんてね〜。
でもなんであたしだって思ったのかな?」
「仮に変装だとしたら1番背丈が近いのは日菜だし、何よりここまで雰囲気近づけられるとしたら日菜か千聖さんくらいだからね。麻弥さんとイヴちゃんは純粋だからウソとかつけなさそうだし」
「ふーん。それはあたしと千聖ちゃんがよく嘘をついてるって言いたいのかな〜」
「演技の賜物とでも捉えといてよ。
ただ、1つまだ分からないことがあるんだよね」
若干不服そうに日菜は言い放つがイサムはそれを適当にあしらった。しかし、イサムにはまだ解けていない謎があった。それは……
「今の日菜は彩のコスプレしてる訳じゃなよね。ウィッグを付けてる訳じゃなさそうだし」
「うん。正真正銘、丸山彩だよ〜」
「一体それどんなトリック使ってんの?」
何を聞いてものらりくらりと受け流す日菜に訝しむイサム。そんな中、イサムのスマホにある人物から着信が入った。
その相手は麻弥だった。
「はいもしもし」
『イサムくん、単当直入に要件を言うわ。
そこに日菜ちゃ……コホン、彩ちゃんはいるかしら?』
「……えっと、麻弥さん? なんで千聖さんみたいな喋り方してんの?」
『それより先に私の質問に答えて頂戴』
「その強引な進め方……、なんか千聖さんっぽいね。日菜はここにいるよ。見た目は彩だけど」
『そう……分かっているなら話は早いわ。はあ……とりあえず暫く日菜ちゃんとそこで待っててくれるかしら?』
「良いけど一体何がどうなって『プッ』あ、切った」
イサムが質問する前に麻弥?は電話を切った。そんな様子に「なんか訳ありみたいだけどなんでいっつも肝心な事説明してくれないのかなあの人は」と不満を零していた。
「イサえもーーん!! 助けてーーー!!」
「誰が青色の耳なし猫型ロボットじゃ」
その後、2人の元にパスパレの残りの面々が現れたと思ったらイヴは泣きながらイサムへと抱きついた。
「ようやく……見つけたわよ、日菜ちゃん」
「探すのも一苦労ですよ……」
「千里の道も一歩からとは言いますが……流石に疲れました……」
上から麻弥、日菜、千聖……なのだが、どこか様子がおかしい。
麻弥は千聖のように振舞っているし、日菜も麻弥のような仕草がみられ、千聖はなんだか「ブシドー!」って感じになってる。
そしてイヴは……
「でもちゃんと私じゃ無いって見抜いててくれて良かったよぉぉ!! もし気づかれてなかったらわたし自信無くしちゃいそうで……」
「あははっ! 彩ちゃん、本物じゃないって気づいて貰えて泣いてるよ〜!」
「元はと言えば日菜ちゃんが勝手に飛び出すから!」
イヴはやけにイサムに抱きつくし、そんな様子を彩(日菜)は面白そうに笑っている。
「ん? 今イヴちゃんのこと、彩って言った?」
さっきから感じていた違和感。そして各々の名前と見た目が一致しない事。それらを踏まえてイサムは「もしや」という表情を浮かべた。
「ええ、私たちは……」
「
「あーなるほどそーゆーことね完全に理解した」
「その言い方は分かってない人の言い方よ」
麻弥(???)によるカミングアウトにイサムの思考は数秒間停止。そのコンマ数秒間、彼の頭の中には広大な銀河が展開されていた。
「とりあえず事の経緯の説明お願いしてもいい? ……えっと……麻弥さん?」
「私は千聖よ」
「ジブンはこっちです」
「ややこしいな……」
麻弥に説明を求めるとそれは千聖で、一方で日菜が麻弥だと主張する。
イサムの思考が混乱する最中、麻弥(千聖)はこれまでの経緯について触れた。
Pastel*Palettesが所属するアイドル事務所の一室、今日もまた彩たちがレッスンに励んでいた。
「それじゃあ今日はちょっと早いけどここまでにしましょうか」
麻弥の一声によって、他の4人は頷きスタジオの片付けや清掃へと取り掛かり始めた。
「(思ったより早く終われたし今日はイサムくんに連絡してみようかな〜。最近レッスンやお仕事増えて会えることが少なくなってたし、デートとか出来たら嬉しいな〜)」
そんな中、彩の頭の中はイサムのことでいっぱいになっていた。
どちらも学業がある上に、彩はアイドルのレッスンや芸能の仕事もあり、イサムもまたバンドの練習がありどちらも中々会えずにいたのだから無理もないだろう。
「あ〜やちゃん!」
そんな彩に後ろから飛びつく少女が1人、氷川日菜だ。
「これからイサムくんと会うの?」
「ひ、日菜ちゃん!? べっ、別にそういう事じゃ……」
「え〜? す〜っごく楽しそうな顔してたのに〜」
何時ものように彩から面白そうな気配を感じたのか日菜はそう言った。
「それにしても彩ちゃんってイサムくん関わると凄く面白くなるよね〜」
「え? 私そんなにわかりやすい……?」
「うん!」
日菜の言葉に彩は「嘘でしょ!?」とばかりに壁紙で自分の表情を見ていた。そんな中、日菜は何か考え事ていた。
「もう、2人ともおしゃべりばかりしてないで早く片付けをして頂戴」
千聖から注意を受けて、2人はスタジオの清掃を再開した。
日菜と彩はそれぞれモップを持ち、千聖達が集まっている所へ向かっていた。
スタジオの掃除が終わり、5人は着替えて帰宅しようとしていた。
途中、トイレに行っていた他の4人から遅れて合流。全員揃ったところでスタジオを後にしようと足を進めていた。
その時だった。
「あっ……」
彩が階段から足を踏み外し、その勢いで前方に倒れ込む。
後方にいた千聖が彩を掴み引き留めようとするが倒れ込む勢いに負けてしまい、そのまま前方にいた日菜、麻弥、イヴを巻き込み5人は勢い良く階段から転げ落ちてしまった。
「い……いたた……」
「み、皆さん大丈夫ですか……?」
「うう……、みんなごめんね?」
「彩ちゃん……もっと気をつけて歩きなさい? そのうち怪我するわよ?」
「でも千聖ちゃんも……ん?」
そんな中、各々は違和感を感じた。
自分の口から発される自分じゃない聞き覚えのある声。髪の長さや胸部の感覚などの異質感。
そして何より……
自分が目の前にいるという状況。
「え? え? え!?」
「ジ……ジブンがもう1人!?」
「な……なんだか胸元が重いような……」
突然の状況に困惑する5人。自分の体を触ったり、目の前にいる自分自身を見つめたりなど反応はそれぞれだった。
「ねえねえ! あたしって今誰なの?」
「え? ジ……ジブンは麻弥です!」
「へえ〜」
「も……もしかして私の体にいるのって……」
「あたしだよ!」
「彩ちゃん! 今は騒いでる時じゃ……」
「千聖ちゃん、私はこっちだよ!」
「え? イヴちゃん……?」
「ワタシはこっちです!」
どうやら現在、
彩→イヴ
日菜→彩
千聖→麻弥
麻弥→日菜
イヴ→千聖
というように、精神が入れ替わっているようだった。
勿論、5人は信じられないと思ったが現にその現象が起きている以上信じるしかないのもまた事実。
「つまりあたし彩ちゃんになれたんだ! おもしろーい!」
「彩ちゃん、何度も言うけどはしゃいでる場合じゃ無いのよ」
「だから私はこっちだよ!」
そんな現状に麻弥(千聖)は「やりにくいわね……」と零し頭を抱えた。
「と、とにかく! 今は元に戻る方法を探しましょう!」
「そうだね!」
「恐らく……階段から転げ落ちて頭か何処かを強く打ったのが原因かしら?」
「でしたら……やはりもう一度同じようにするのがテキセツでしょうか?」
「どうでしょう……。確実に戻れる保証はありませんが……」
「そうね。下手に同じことをしても怪我をして終わりよ」
「じゃ……じゃあどうすれば……
……ってあれ? 私……えっと、日菜ちゃん?」
そんな中、イヴ(彩)は自分の体……もとい彩(日菜)がいなくなっているのに気がついた。
「皆! 日菜ちゃんがいない!」
「「「ええ!?」」」
「不味いわね……。日菜ちゃんはこの状況を楽しんでいるから何かしてしまう前に見つけないと」
「さ、探さないと! 私のあらぬ噂が!!」
「とりあえず二手に別れましょう! 私と麻弥ちゃんは商店街側、彩ちゃんとイヴちゃんは学校側に行って!」
「うん!」「分かりました!」
突然の出来事に驚愕する一同。
しかし、こうなったら探すしかないと行動を開始したのだった。
「……というのが全てよ」
「嘘だろ?」
「なら試してみる? そこにいるイヴちゃんは彩ちゃんだけど……」
「いや、信じるけどさ……」
先程からイサムの腰にしがみついてるイヴ……もとい彩。流石のイサムもイヴが親しい相手とはいえ、男性にこんなことをするとは思えない事や先程の彩……もとい日菜の様子から信じるしか無かった。
「それでみんなは日菜を追ってきた……と」
「連絡しようにも……皆違うスマホでしたし……ジブンのスマホを千聖さんが持っていてくれて助かりました……」
偶然、麻弥(千聖)と日菜(麻弥)で行動していた為、千聖が麻弥のスマホを使ってイサムに連絡を取れた。
そのおかげもあり、こうして無事に合流出来たとの事。
「まあ、お疲れ様です。…………それで」
「皆、これからどうするの?」
「「「「「え?」」」」」
「いや、入れ替わったままで生活できるの?」
イサムの一言で……パスパレの5人は忘れていた重要事項を思い出した。
そう、これからどうするか。
どうやって元に戻るか……。
「「待ちなさーい!」」
「
「そんなの許さないわ!」
というわけでこのまま行くと9000字超えるので中編となりました。
今回の謎解き(?)はいかがでしたでしょうか? 彩の判断基準とかは完全に私の考察と独断と偏見です、ハイ。
この展開予測出来た人は是非名乗り出てください笑
それでは次回、後編でお会いしましょう。
今度こそ、今度こそ早めに投稿致しますので是非高評価、コメントなどよろしくお願いします。
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