報告
今回のストーリーの繋がってる話をわかりやすいように関連ストーリーのサブタイトルを変更しました
前回のあらすじ
「君の○は。」
以上。
「イサムさん、それ……あらすじになってないんじゃ……」
「いや、でもこれ詳しく説明してたら日が暮れるって。とりあえず詳しく知りたい方は前回のストーリーを閲覧してください」
「しれっと宣伝挟みましたね……」
「そんなことより本編に戻らないと……」
「ああ……」
イサムと日菜(麻弥)の視線の先では、イヴ(彩)が彩(日菜)にすごい顔で迫っており、麻弥(千聖)は溜息をつき、千聖(イヴ)はオロオロしていた。
「日菜ちゃん! イサムくんに何したの!? 変なことしてないよね!?」
「も〜。心配しなくてもちゃんと彩ちゃんとイサムくんがいつもしてそうな事をしただけだよ〜?」
「いつもしてそうなことって何!? ま……まさかキスとかしたんじゃ……」
「あ、やっとけば良かったかな〜?」
「ダメ! 幾ら私の体でもそれは絶対許さないから!!」
「とりあえず2人とも、一旦そこまでにして……熱っ!」
イヴ(彩)と彩(日菜)は口論を始めており、イサムでは割り込めないようになっていた。しかも、両者の視線の間に手を突っ込もうものなら火傷仕掛ける始末である。
「と、とにかく! 今は何とかして元に戻る方法を探しましょう!」
一旦は日菜(麻弥)が仕切り直してくれた事で何とかその場は落ち着いた。
「それにしてもどうすんの? これ」
「やっぱり……もう一度同じことを……」
「彩ちゃん、それは危険が高いわ」
各々が考えを言い合っている中、またしても彩(日菜)だけは黙りを決めていた。
「うーん、こういうのって意外なことがきっかけになったりするんじゃない?」
「それはどんな事ですか!?」
そんな彩(日菜)の言葉に千聖(イヴ)が問いかけた。
「例えば……」
「白雪姫みたいに誰かのキスとか?」
ニヤリと笑いながら彩(日菜)が口にしたのは爆弾を投下するような言葉だった。
……主にイヴ(彩)に。
そして瞬時にイサムは確信した。
あ、これ明らかにからかったら面白そうって思ってるわ……と。
「日菜ちゃん……今はふざけてる場合じゃ……」
「そ、そうだよ! それにそんなことぜったい許さないって言ったよね!?」
「あたしは至って真面目だよー?」
彩(日菜)はそう言うが、明らかに悪巧みをする様な表情でありそれを察したイサムは密かに背を向けて歩き出していた。
「と、言うわけでイサムくん! 試しにあたし達でやってみようか!」
イサムは「やっぱりそう来たか……」とため息を着く。
「大丈夫大丈夫! あたしは今彩ちゃんの身体な訳だし!」
「ぜっんぜん大丈夫じゃなーい!」
イサムへと迫ろうとする彩(日菜)、そしてそんな彩(日菜)を全力で止めようとするイヴ(彩)。
「(……この展開で1番俺が取るべき行動は……
ま、決まってるよねぇ……)」
イサムはこの時、何かを決した。
そして……
全力で走り出した。
「あ、イサムくんが逃げた!」
「日菜ちゃん! 今回ばかりはほんとにダメーッ!」
イサムを追いかけて走り出す彩(日菜)、そんな彼女を追いかけるイヴ(彩)。そして、千聖たち3人も後を追った。
それから彼らは人通りを越え、歩道橋の元へと到達しようとしていた。
「まてーーー!!」
「あれ? 彩の身体なのにやけに速くない!?」
今の日菜は彩の身体のはずなのだが、やけに足が速い。このままでは追いつかれてしまう。
そんな時……
「待ってーー!」
後方からものすごいスピードで追いかけてきたのはイヴ(彩)だった。
イヴの身体能力故かその精神力故か、こちらも物凄いスピードで差を縮めてきた。
自体は混戦を極め、最早徒競走のような状態になっていた。
歩道橋を上り距離を取ろうとするも、彩(日菜)との距離が縮まらない。
「て、なんで日菜はそこまでこだわるのこれに!」
「だって面白そうだもん!」
「それだけ!?」
「うん!」
「それはそれでどんな思考してんだアンタ!?」
そろそろ底をつきそうな体力で階段を駆け上がる。
彩(日菜)もまたイサムを追いかけていた。そして彼女の体力はまだまだ余裕そうだ。
これは……さすがにヤバいかも。
イサムがそう覚悟を決めた時……
「つ、捕まえたっ!」
そう声を上げたのは……彩(日菜)を追っていたイヴ(彩)。彼女は既に彩(日菜)の後ろに回り込んでおり、その腕を掴んでいた。しかし、その表情は悪魔か、ゾンビか……今をときめくアイドルがしていいものでは無かった。
そして、そんなイヴ(彩)のは既に息を切らしており、足はフラついていた。
さて、そうなるとこの後どうなるか……皆さんはお分かりだろうか……。
「あっ……」
イヴ(彩)は盛大に体制を崩し、後方に倒れ込んだ。彼女に腕を掴まれていた彩(日菜)もまた、引き込まれるように体制を崩し……
「「きゃああああああああああああああ!!!!!!」」
そのまま2人は階段から転げ落ちた。
「や……やっと追いついたわ……」
「あ……あの〜」
「マヤさん?」
「彩さんたち……なんかこっちに落ちてきてませんか……?」
「……へ?」
千聖たちが驚くのも束の間、転げ落ちてきた2人に巻き込まれ……そのまま衝突。
それを上から見ていたイサムは「凄い漫画みたいな展開だな〜」と唖然していたが、とりあえず彼女たちの様子を見に行く。
「みんな〜、大丈夫?」
「いたたた……」
「皆さん、お怪我は無いですか?!」
「な……何とか平気です……」
「あたしも大丈夫!」
「もう彩ちゃんに日菜ちゃん! ……ってあれ?」
上から喋ったのは彩、イヴ、麻弥、日菜、千聖の順。
それぞれ喋り方も雰囲気もこれまでのように一致していた……。
つまり……
「「「「「も、戻ったぁぁぁぁぁ!!」」」」」
どうやら先程の衝撃によって元の肉体に精神が戻ったようだ。
それぞれが自分の身体の感触に安堵を感じ、互いに喜びを分かちあっていた。
「えーっと……これで一安心なのかな?」
「やったよイサムくぅぅぅぅん!!!」
「あ、これ間違いなく彩だ」
状況を理解しようとするイサムに感極まった彩が抱きついた。
「戻っちゃったか〜。あたし的にはちょっと残念かな〜」
そんな中、嬉しい半面先程までの状況を楽しんでいた日菜が言葉を零した。
「日〜菜〜ちゃ〜ん〜!!」
そんな日菜に今回ばかりは我慢の限界だったのか彩は鬼のような形相で迫っていた。
しかし、そんな状況ですら「彩ちゃんの顔おもしろーい」と流してしまう辺り流石日菜とでも言うべきか……。
「まーでも今日は楽しかったよ、イサムくん!」
「こっちとしてはちょっとアレだったけどね」
「ふーん。じゃあまた面白そうなことあったら遊びに行くね!」
「じゃあお姉ちゃんがおうちで待ってるからあたし帰るね〜」と日菜は早足で帰って行った。後方からの千聖の静止にも気付かずに。
「全く……日菜ちゃんったら……」
「まあ……すっかり日も暮れちゃいましたしジブン達も帰りましょうか」
「そうですね!」
そうして、イサム達はその場で解散。
彩に関してはイサムから離れようとせず「家まで送っていく」と言うことで話が着いた。その際に、他の3人も送って行くべきかという事を提案したが、千聖達は「どうぞお気になさらずに」と返すばかりだったとか。
〇 〇 〇 〇 〇
「にしてもなんだったんだろうね今日」
彩と共に歩きながらイサムは呟いた。
一方の彩は腕からは離れてくれたものの、ずっと手を握ったままだった。
「……ねえ、イサムくん」
「ん?」
「日菜ちゃんに……何もされなかった?」
「え? いやただ遊んだだけだけど」
「……何したの?」
「えーっと……ゲーセン行ったり、ウインドウショッピングしたり……とか?」
「ふーん」
イサムがそう言うと彩の手を握る力が強くなる。
「ねえ……」
「ん?」
「今度のお休みの日、予定空けといてね」
「え?」
「日菜ちゃんにした事、私にもしてもらうから」
頬を膨らませながらそう呟く彩に、イサムは「別に大したことしてないんだけど」と困惑。
それでも尚、納得のしない彩は更に強い力でイサムの手を握った。
「あー、わかったわかった。とりあえず今度の日曜にショッピングモールね!」
「うん!」
諾すると彩は途端に上機嫌になりイサムは「相変わらずわかりやすいなぁ……」と心の中で静かに呟いた。
〇 〇 〇 〇 〇
その夜、氷川家では……
「〜〜〜♪」
日菜はアイスキャンデーを食べながら、上機嫌でソファーに座っていた。
「あら、今日は随分とご機嫌なのね」
そんな日菜の様子を見て紗夜は言った。
「うん! すっごくるんっ♪ってする事があったからね!」
「まさかとは思うけど……パスパレの皆さんに迷惑かけて無いわよね?」
日菜の様子を見て、紗夜の頭にはひとつの不安がよぎった。経験上、こういう時の日菜はいつもよからぬ事を考えている。もし、丸山さんや白鷺さん達に迷惑をかけてるようなら明日謝りに行かなければ……と覚悟を決めてしまう程には……。
「うーん……彩ちゃん達も面白いけど……それと同じくらいるんっ♪ってしてるんだよね〜」
アイスキャンデーの棒を口から出しながら日菜はそう呟いた。
紗夜にはその言葉の真意は分からなかったが……まあ、嫌な予感がしたようなしてないような……らしい。
「(彩ちゃんの身体で生活出来たのは面白かったけど、イサムくんも彩ちゃんが関わるとすっごくるんってするな〜。今度もうちょっとせめてみよっかな♪)」
紗夜曰く、その日の日菜は凄く小悪魔みたいな感じをしてたが……なんだかいつもと違うようにも見えた……とさ。
〇 〇 〇 〇 〇
その後日。
「ほら〜、もっとしっかり走って〜」
「はぁ……はぁ……なんで私が……」
彩はあの日以降、2キロ太っていたらしい。
理由は単純明白。日菜が彩の身体にいた時に気に入ったスイーツを殆ど食べていたからだ。しかし、あの日あれだけ走ってまだ2キロ残っていたとなるとどれだけ食べていたのやら……。
と、言うわけで今2人揃ってランニング中である。
「ほら、ちゃんと体重戻さないと千聖さんが悪魔モードフェーズIIIになっちゃうよ〜」
「そんなスタンプで契約しそうな悪魔嫌だよ! というかこればかりは私悪くないよね!? 明らかに悪いのは日菜ちゃんだよね!?」
「一応俺からも弁解したよ? そしたら……」
『そう。じゃあ日菜ちゃんにもオシオキしないとダメね。
それと……イサムくんにもちゃんと責任は取って貰うわよ? しっかり彩ちゃんを減量するように監視して頂戴。甘やかしちゃだめよ?
え? 『俺とばっちりじゃん』ですって? つべこべ言わずにやりなさい』
「って圧力かけられてさ
生物に例えるとカマキリだなありゃ」
イサムは軽く愚痴を零すと再び彩をやる気づけた。
「も〜、そろそろ休憩……」
「ほら、ゴールまで後ちょっとだから頑張ろ?」
「……じゃあ何か飲み物頂戴」
「じゃあ……はい」
イサムは肩にかけていた水筒のコップに謎の液体を注ぎ彩に渡した。彩はその液体をすぐさま飲み……
「うっ……、ちょっと苦い……。なにこれ……」
「え? 身体にいい野菜ぶち込んでミキサーで混ぜた100パーセントオーガニックのジュース。一応レモン入れたから飲みやすい筈だけど」
「甘み……全然ないよ……」
「……トマト入れるべきだったかな」
せっかくの飲み物もこの有様であり、彩はいじけ始めた。
「彩〜、今度のお休み一緒にショッピング行く?」
「……行く」
「よし、じゃあ頑張ろう」
こうして何とか彩のモチベーションを保ちつつ、この後目標体重まで減量することに成功した……とさ。
はい、長らく続いたパスパレ入れ替わり編も今回でおしまいです。
きずかな先生の来世にご期待ください。
ちなみにこの小説のヒロインは彩です。誰がなんと言おうと彩なんです。
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