そろそろシリアス展開ぬけれるかな?
私たちのライブまで後1週間になった。最近はパスパレメンバーの皆との仲も良くなってきたと思う。
「チサトさん!ハグハグ~!」
「ちょっとイヴちゃん…。」
千聖ちゃんも皆と打ち解けてきて五人揃うことが楽しくなってきた。後はいっぱい練習して本番に備えるだけ!
なんだけど…
「…………どうしよう。」
私にはまだライブまでにどうしてもやらなきゃいけない事があった。
ライブのチケットをある人に渡さなきゃいけなかった。本当ならこういったことはやっちゃ駄目なんだけど私はどうしても見てもらいたい人がいた。多分その人がいなかったら途中で挫折してたかもしれない。だからどうしてもといって必死でスタッフの人に頭を下げて特別にチケットを貰った。
でも…。
(まだ既読ついてない…。)
最後に会って以来、連絡は途絶えたままだった。
こっちからメッセージを入れていたものの2週間前から音沙汰が無く運良く会うことも出来ない日々が続いていた。
「どーしたのー?」
「ひうっ!?」
スマホを見ている私に日菜ちゃんがスマホを除き混むように話しかけてきた為、私は慌ててスマホをポケットにしまった。
「あははっ!さっきの彩ちゃんの反応面白かったよー。」
「日菜ちゃん!?」
いつものように私をからかってくる。でもいやな気持ちにならない…というよりそれが日菜ちゃんだしちょっとしたコミュニケーションみたいでちょっと楽しくなってる自分もいた。
「またエゴサしてたの?」
「えっと…そうかな?」
「へ~。ところで聞きたいんだけどイサムくんって誰?」
「えっ?」
日菜ちゃんの言葉に私は動揺してしまった。それよりなんで日菜ちゃんが…?
「えっと…何で?」
「さっきからずーっと彩ちゃんスマホ見てて私が後ろいても気づかなかったから覗いてみたらそれ見えちゃったから?」
「もしかして…見てた…?」
「うん、さっきからずっと。」
「うっ…。」
まさか日菜ちゃんが見ていたなんて…。そう思っている横で日菜ちゃんは「彩ちゃーん?」と顔を覗きこんできた。
「ねえ日菜ちゃん、1つ聞いても良いかな?」
「何~?」
「例えばさ、会いたいんだけど避けられてる気がする人がいたとしたらさ、どうしたらいいと思うかな?」
私がそう聞くと日菜ちゃんは首を傾げながら間髪入れずに答えた。
「会いに行けば良いんじゃない?」
「え?」
「だってさ、会いたいなら会えば良いじゃん。」
「でも…もしかしたら私、気に触るようなことしたかもしれないし…。」
「でもさ何かあったなら直接話してみたら良いと思うんだけどなー。それに自分の好きな人が離れていくのならこっちから行かないとるんってことにならないじゃん?」
「日菜ちゃん…。」
日菜ちゃんの言葉を聞いてわたしは思った。
イサムくんはあの時どうして悲しそうな顔をしていたのか、苦しそうな顔をしていたのかわからない。そんな顔をしたのは私があの時のことを話してからだ。本人に聞けば良い…って言うのは本人が嫌がるなら無理強いはしない方が良いかもしれない。でも…私はイサムくんとの関係をこのままにしたくない。私が前に進めたのはイサムくんが背中を押してくれたからでもある。
それに私はイサムくんに…私達のライブを見て欲しい。
「わかったよ。日菜ちゃん、ありがとう。」
「うん。」
日菜ちゃんは満面の笑みで私を見た。そして…
「後さ~そのイサムくんって彩ちゃんの恋人?」
「こっ…!?えっ?恋人!?」
「なんか前にその画面見てた時の彩ちゃんはるんって感じしてたし。」
「ち…違うよ~!!」
そう言われて若干焦ってしまった私とさらにニヤニヤする日菜ちゃん。でもこの時の私の心の奥にある思いの正体が何なのかわかってなかった。
◆ ◆ ◆ ◆
スマホを見るとネット記事の殆どにパスパレの情報が載っていた。と、いうのも今度パスパレは再びライブをやることが確定し、その為の日時や会場も決まったので事務所が詳細を発表したからだ。
そう言う俺はライブに行く訳ではない。まずライブの為のチケットは買ってないし何より彼女と最後に会ってから全く連絡をとってない…というのも取る勇気がないだけの話なんだろう。何しろこっちから応援しておいて勝手に自分重ねて不安になっておかしなこと口走っただけの話だ。あからさまにおかしい奴である。
「どうしようか…。」
「どうした、お前帰らないのか?」
「あ、いや帰るよ。」
アキラに言われて俺は教室を出た。そして靴箱を抜けると何やら校門の近くに3、4人の男子がたむろっていた。その真ん中にはピンクの髪の少女が…
ん?ピンクの髪?
もしかしたらと思って背伸びして見るとそこにいたのは…。
「えっと…ちょっと待って…。」
◆ ◆ ◆ ◆
「風島高校ってここだよね?」
レッスンが終わってそのまま私は彼を探しに来た。もちろん彼の家の場所は知らないし彼と連絡もとれない。どうしたら会えるんだろうか…と考えた結果彼がいそうな場所は…彼の通う高校『風島高校』しか思い付かなかった。とりあえず携帯のマップ機能を使ってここまで来たけど…どうやって入ろうかな。多分この付近で待ってれば出てくるだろうししばらく待ってようと思って校門の近くにいた。
「あれ?君誰か待ってるの?」
この学校の人と思われる男の子が声をかけてきたそれも2、3人のメンバーで。
「いえ、私は大丈夫なのでご心配無く…。」
そう言えば大丈夫だと思って言ったんだけど…。
「もしかして彼氏待ちか?そいつの名前は?」
「それよりちょっと遊びに行かねえか?いい店知ってるぞ?」
「え!?いえ、私は…」
どういう訳かこの人達は全然話を聞いてくれなかった。
「それにしてもこの人どっかで見たことあるな。」
「何だ?お前知り合いか?」
「いやそうじゃなくてどっかで…。」
何かまずいことになってきちゃった?と思っていたら…。
「ちょっとごめん、通るよ。」
「あ…。」
そこに1人の男の子が来た。その人物は
「何だ佐倉、お前もナンパか?止めとけ止めとけ。ナンパって言うのは僕みたいなイケメンじゃないと…」
「とりあえず走るよ。」
「えっ?えっ!?」
イサムくんは私の手を引いて真っ先に学校の外に走り出した。
後ろでさっきの人たちが何か騒いでいたけどイサムくんは走るのに精一杯で私はこの状況が…
最初に会ったときみたいでちょっとドキドキしてた。
◆ ◆ ◆ ◆
「イサム!お前俺に鞄だけ持たせて走るな!」
さっきの連中から逃げるように走って行ったことによりなんとか危機を免れた。そして後から来たアキラには俺が「ちょっと持ってて」と鞄を渡したままだったので追いかけて来たらしい。
「ごめん…はぁ…はぁ…。」
「お前な…俺が追いかけなかったら明日どうやって教科書持ってくるつもりだ。」
「でもアキラなら追いかけてきてくれるかなと思って…。」
「それは計画的なものと考えていいんだな?」
アキラは半睨みで問い詰める。あー…これどうしようか。
「まーまー。どうどうどう…」
「俺は馬か!」
「あの…。」
こんなやり取りをしてる中で彩が口を開いた。
「あ、ごめん。」
「ううん。大丈夫だよ。仲良いんだね。」
「ただの腐れ縁だ。」
「安心して、アキラは見ての通りツンデレだから素直じゃないだけだし。」
「誰がツンデレだ!?」
「まあまあ、怒ってばかりだと血圧高くなるよ?」
「誰のせいだと思ってる!?」
「あのさ…イサムくん。少し良いかな?」
彩がそう言い始めるとアキラは俺と彩を見てなにかを察したかのように俺の肩に手を置いてそのまま帰っていった。
「彩?」
「イサムくん…これ良かったら見にきて欲しいんだけど…。」
「えっ?」
彩が渡してきた封筒を受け取り中を確認した。そこには…。
「ライブのチケット?」
「うん。イサムくんにはどうしてもきて欲しいから。」
「これを渡す為に学校まで?」
「うん。本当は2週間前にも連絡してたんだけど…。」
「え?連絡してたの?」
「え?来てないの?」
両者の会話に食い違いが発生しとりあえず俺はメッセージアプリを開いてみる。すると確かに連絡は入っていたのだがどういうわけか通知が鳴っていなかった。
「えっ?これどうなってるの?」
「もしかして…イサムくん通知オフにしてたとか?」
そう言われ設定のところを開くと彩の言う通り通知がオフになっていた。
「えっと…気づかなくてごめん…。」
「大丈夫だよ…?むしろ…なんか安心したかも…。」
「えっ?」
「だってこの間のこともあるし…もしかしたら私…何か怒らせるようなことしたのかなって思って…。」
「あ…」
そういえばあの時勢いで変なこと言っちゃったんだった…。
「彩、その事はこっちこそごめん。前に夢を応援するようなこと言ったのに…。」
「ううん。あのさ…イサムくんあの時何かあったの?」
彩はこちらを覗き混むように見てきた。
「……大したことじゃないよ。ただ…あんなこと言っておきながら心のどこかでは彩が羨ましかったのかな?」
「えっ?」
「実は俺さ、自分の夢わからなくなってるんだよ。自分が何をしたいのか。どうなりたいのか。昔はあったと思うんだけどそれも砕けちゃって途中で捨てちゃったから。だから夢を諦めないで前に進み続けてる彩に…嫉妬してたんだと思う。」
「・・・・・・・・」
「そんなこと言ってもおかしいよね。本気で努力してなかった癖に厳しい言葉を浴びせられて勝手に悪いようにしたのは俺なのに。俺は彩と違って誰かの心を動かせるような努力もしてないのにみっともないことばっか言って「そんなことないよ」…え?」
俺の前に立つと彼女はまっすぐと俺の顔を見て話を続けた。
「私はイサムくんに勇気をもらった。それって心が動いたってことでしょ?だからイサムくんはおかしくなんかない。それに…イサムくんがあの時励ましてくれなかったら私は諦めてたかもしれない。だからイサムくんはみっともなくない!」
「彩?」
「それに夢が無いならさ…一緒に探さない?もしイサムくんが本当にやりたいことが見つかったらさ…私も応援するから。イサムくんみたいに。」
彩…。
「それにこのライブ、イサムくんにはどうしてもきて欲しいの。君が支えてくれた私の最初のライブだから。」
「……うん。わかった。きっと見に行く。」
「ありがとうっ!」
満面の笑みを向けてくる。また俺はこの子の笑顔に、この子の優しさに救われてしまった。
手に渡された1枚のライブチケット。このチケットはきっと今後忘れる事が出来ないものとなるかもしれない。でも今はそれが何故か嬉しく感じた。
やっぱり俺は…
「それじゃイサムくん!今日一緒に帰ろ!」
君に会えて良かった。
次回『パスパレボリューションず』
投稿ペース空いちゃってすみません。新生活始まって学校も始まり勉強にゲームにと予定は多いのに時間が足りないものでして…。
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@kanata_kizuna