【第1.5章始動‼︎】仮面ライダーアクロス With Legend Heroes 作:カオス箱
■前回のあらすじ
灰司の元に一人の少女が訪ねてきた。
彼女の名は行江飛鳥。彼女もまた、バルジによって住んでいた世界を失った被害者だ。
彼女は灰司に「バルジに攫われた姉を助けて欲しい」と頼み込むが、灰司に拒否されてしまい、今度は瞬に頼むことにする。
同じ頃、古城の元にもとある堕天使達が助けを求めにきていた。
都内某所、とある廃ビル。
そのワンフロアは、酷い有様だった。
壁はぶち抜かれ、床には剣で斬りつけたかのような痕。窓という窓はぶち抜かれ、備え付けのデスクはバラバラに破壊されている。十五の夜でもここまでならないだろうというレベルで、完膚なきまでに荒らされていた。
そんな部屋のど真ん中、唯一無事だったデスクの上に、バルジは腰掛けていた。
「なにこの荒れよう……アンタ一体何やらかしたのよ? 」
「聞くまでも無いだろ。大方の予想はつく」
エレベーターから出てきたリイラとレドは、部屋の惨状を目の当たりにして、驚きと呆れの混じったような声をあげる。
同僚の来訪に気づいたバルジは、いつものようにケラケラと下品な笑みを浮かべながら、2人を迎える。
「いやあ
「……だろうな。この部屋の様子を見りゃあわかるっての。いいから詳細プリーズ」
バルジの事を一方的に嫌っているレドは、バルジに冷たくそう言い放つ。
が、バルジは他人の心が分からないので、レドの態度を意に介さず、いつものように馴れ馴れしく語り始める。
「俺様さー、あのダークライダー君にイガリマの特典台無しにされちゃったんだよね。だからちょいとムカムカして、実験で憂さ晴らししてたワケよ」
「お前でもムカつく時があるんだな。知らなかった」
「レド、おめーは俺様をなんだと思ってんだ。人並みの心の機微は有してるはずだぞ」
いや嘘つけ、とレドは突っ込んだ。
コイツに人並みの心の機微があったら、間違いなくここまで破綻してないだろう。レド自身も極悪人の部類だが、バルジに比べたら遥かにマシだという自負はある。それくらい、目の前の男はイカれているのだ。
「で、その後どうなったの? なんとなく予想はついてるけど、どうすならバルジ自身の口から言って欲しいかなー私は」
「オッケー、リイラちゃんの熱い言葉に答えちゃうぜっ☆ まあなんだ、イライラして
「自業自得じゃねーか馬鹿野郎」
それを聞いたレドがもっともなツッコミを入れる。
「あの
「……ろくな事にならない気がする」
「そう? 最高だと思うけど」
「やっぱお前らイかれてるよ」
狂人どもに囲まれたレドは、早くも頭痛を感じていた。
バルジがヘマしたというのを笠原から聞いて、いつもの仕返しとして馬鹿にしてやろうと思ったのが間違いだった。こうなるんだったら顔出さなきゃよかった。
そんな感じにレドが1人で後悔していると、突然バルジは、何かを思いついたような声を上げた。
「…………いい事考えた」
ぞくりと、レドに悪寒が走る。
バルジの目は、ギラギラ輝いていた。
天統市内某所。
謎の堕天使3人組の来訪を受けた古城と雪菜は、とりあえず近くの公園で彼らの話を聞くことにした。
彼らの名はカラワーナにドーナシークにミットルテ。明らかに何かを警戒しているようなそぶりを見せていたり、古城の素性を知った上で来ていたりと、どうやら相当訳ありなようだ。
「つまり……自分達は仕事でこっちにきたけど、怪物に襲われて捕まっていた。そしてリーダーがまだ捕まったままだから助けてほしいと」
「はい」
「知っての通り、我々堕天使は悪魔とは敵対関係にある。だから悪魔達に助けを求めることはできないし……そもそも、任務に失敗した我々を上が許してくれるかどうかも……」
「……どうする? 」
「うーん……」
雪菜と共に悩む古城。
はっきり言うと、古城さ彼女達をあんまり信用できない。かといってこうも熱心に頼まれてしまった以上、拒否するのもほっとくのもなんだかバツが悪い。
「本当は自分達でなんとかしたい。しかし、私達ではどうしてもアイツに勝てないの」
「そんな時に、第四真祖の噂話を耳にした。我々三代勢力の間でも、あんたの事は結構噂になってるっすから……噂通りなら、アイツからレイナーレ様を取り返す力になってくれるかもしれない。だからこうしてやって来たんだ」
「あの方は我らの大切なリーダーなのだ……頼む、この通りだ! 」
古城があまりにも優柔不断なもんだから、とうとうドーナシーク達は土下座までしだした。
突然の土下座に、古城と雪菜は呆気に取られている。
よく見ると、彼らの手は震えていた。きっと彼らは、恥を忍んで、藁にもすがる思いで古城の元に来たのだろう。それほどまでにレイナーレに身を案じているのだ。
それを蹴る事は、古城達にはどうしてもできなかった。
「……ここまで本気でたのまれちまったらよ、拒否権ないようなもんだろ。いいよ、協力してやる」
「先輩がやるならば、私もです。皆さんの力になります」
結局、古城の善性が怠さに勝ってしまった。
古城がその気ならと、雪菜も頼みを引き受ける。
古城達にはどうしても、彼らをほっとくことができなかった。それほどまでの嘆きだったのだ。
「……で、どうするんだ? 手掛かりとかあったら助かるんだけどな」
「そういえば……わたしが戦線に駆り出される少し前に、あのクソ野郎——バルジだったか。アイツ、人間の女の子連れてきてたわ。あの様子だと、彼女もわたし達みたいに
にされてるかも」
「その可能性はあるっすね。うちの総督も大概マッドだけど、アイツはそれ以上だ。アレに他人への情なんかない、ただ“自分が楽しいか“どうかしかの尺度しか無い根っからのサイコ野朗っす」
「きっとバルジは、その少女を使って何か事を起こすに違いない。アイツもレイナーレ様もその現場にきっと現れるはずだ」
堕天使達の話を聞いた古城は考えこむ。
要は向こうのアクション次第。根っからイかれているが故に常人にはその思考を理解しきれず、こちらから先手を打つ事が困難な相手だ。
後手に回らざるを得ない、圧倒的に不利な状況。果たして、どうすべきなのだろうか。
「……思ったよりキツイな」
「ええ。互いに最新の注意を払うべきでしょう」
「その方がいい。相手は兎に角話が通じない」
古城達の言葉にドーナシークが頷く。
そして、彼からの忠告がその後に続いた。
「いいか、もしバルジと退治したら、絶対に奴と対話しようとするな。するだけ無駄だ。そして自分の大事なモノには意識を集中させておくんだ。アイツは兎に角他人を苦しませることに関しては天才の域、アキレス腱を少しでも見せればそこから嬲り殺しにされかねないのだからな」
場所は変わって逢瀬家。
紆余曲折あって、飛鳥の境遇を話す事になった倫吾。
彼は、バルジが飛鳥の世界を滅ぼした事、その上更に飛鳥の姉すらも実験に使うべく拉致したことも、包み隠さず話した。
瞬達は、それを静かに聞いていた。
「なるほどな……ギフトメイカーの奴等、どれだけの被害を出せば気が済むんだ」
「家族も友達も奪っておいて、その上でお姉さんまで奪うつもりなの……許せない」
倫吾の話を聞いた瞬の声は、怒りで震えていた。
普段ふざけまくっているネプテューヌでさえも、飛鳥の境遇を聞いて、バルジに怒りを露わにしている。
「面目無いっす……
正座したままの倫吾が、申し訳なさそうにそう口にする。
自分達の力不足が招いた結果がこの場にいるが故に、倫吾はそれに腹が立っているのだ。
もちろん、瞬は倫吾を責めても何にもならないことも理解しているのだが、レイは違うようで、あからさまに倫吾を責め立てるような眼差しを向けている。
「ところで飛鳥ちゃん、お姉さんの手がかりとか無いの? 」
「ううん」
唯の言葉に、飛鳥は首を横に振る。彼女はもう飛鳥を助けるつもり満々のようだ。
飛鳥は、瞬の服の裾を一層強く握りしめながら、倫吾に自らの決意を告げる。
「兎に角、わたしはお姉ちゃんが見つかるまで帰らない。ここに居座ってやる」
「……嘘だろ、また居候増えるの? どいつもこいつも、うちを迷子センターかなんかと勘違いしてないか? 」
今更ながら、我が家に幼女ばっかり集まってくる現状にツッコミを入れる瞬。
自称女神、記憶喪失幼女に続いて家(というか世界)なき子ときたもんだ。ほっとけないのだが、流石にこれ以上抱えたら家計的にキツくなる。一体どうしたものか。
かくなる上は、早いこと解決して姉妹揃って帰ってもらう他無い。
「やってやるよ……こうなりゃやるしかねえっ! 俺がお前の姉ちゃんを絶対に見つけてやるから! 」
「おお、いつもに増してやる気に満ちてるねえ瞬! なら私も頑張っちゃうから! 」
半ば自棄になって頼みを承諾してしまった瞬。それを聞いた時の飛鳥の表情の明るさといったら、なんとも目が眩みそうなほどのものであった。
その頃、土手の上では。
「つ、か、れ、た……」
ジャージ姿の
アラタより先を走っていた大鳳と山風は、アラタが膝をついたのを見て、呆れたように息を吐く。
「だらし無いわね。せっかく私が付き合ってあげてるんだから、もっと頑張りなさいよ」
「いやお前らのペースが早すぎるんだよ……っ! 元軍人と普通の高校生じゃ明らかにスタミナとかに差があるだろっ⁉︎ 」
「それくらい叫べるならまだ平気でしょ……ほら頑張って。アラタがやるって言い出したんだから、そう簡単に投げ出しちゃダメだよ」
大鳳も山風も冷たかった。可愛い顔してとんだスパルタである。
かつて オリジオンに大鳳が襲われた際、アラタは何も出来なかった。その無力感からアラタは、自分も強くなろうと決心したのだが、勢いでフィフティに特訓を申し入れたのが運の尽き。アラタは連日ハードなトレーニングをこなす羽目になっていた。
今もその真っ最中だ。
今日はフィフティが不在なため、自主練として体力作りのための走り込みをしている。
で、同居人である元艦娘の大鳳と山風も一緒にやらないかと誘った結果がこれだ。引退したとはいえど艦娘、普通の人間よりは鍛えられている。アラタは彼女達の走るペースについていくので精一杯だった。
「ちょっと休憩しない……? さすがにやべえよ……」
「いやまだいけるでしょ。瞬は池袋で半日近く戦いまくってたんだし、アラタもいけるよ、多分」
「基準がおかしいの
「ほら立って、まだまだ走るわよ」
「勘弁してくれ……」
大鳳に無理矢理立ち上がらせられながら弱音を吐くアラタ。
大鳳を守る為に強くなりたいと願っているくせに、今の自分じゃ彼女以下だ。アラタは自らの弱さを痛感し、情けなく思う。
そこに、
「ア………………アア…………」
「なに、あれ」
山風が指差した先。
そこには、虚な目をした少女がふらふらと歩いている姿があった。顔はやつれており、
少女の異様な様子に、周囲の人達は引き気味だった。道を歩いていた大学生のカップルや草野球をしていた男達、はてには土手の下で汚らしく遊んでいた土方まで、誰も彼もが少女を遠巻きに見ている。
「なんやあいつ、せっかくおっさんと糞遊びしていたのに……嫌だねぇ(興醒め)」
「あれ大丈夫なのかよ……通報とかするべきかな? 」
「てかなんなウ○コ臭くない? 近くの土方、臭ってない? 」
「何あの子……クスリかなんかやってんのか? 」
「いやでも高校生くらいよね? あの歳でそれはないと思う……」
少女の姿を見た大学生くらいのカップルがそう口にする。
すると、
「ああああああああああああああああああああああああああああああああッ‼︎ 」
《KAKUSEI LAMA》
少女は喉が潰れるような勢いで絶叫した。
それと共に、少女の全身にジッパーが現れて一斉に開いてゆくとともに、そこから炎を吹き出しはじめる。
「あれって……」
「間違いない、オリジオンだ! 」
「ドコイニルウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウッ‼︎ 」
全身をくまなく炎に包まれた少女が叫ぶと同時に、彼女の全身にまとわりついていた炎が残らず弾け飛ぶ。
炎の下から現れたのは、背中にさまざまな武器を背負い、薄手の鎧を着た怪人だった。変身時の音声から、便宜上ラーマオリジオンと呼称すべきだろうか。
オリジオンを目の当たりにした周囲の人達は一斉に逃げ出す。
「うわああああああああっ⁉︎ 」
「なんだあいつ⁉︎ と、とにかく逃げようこれ明らかにやb
声がひとつ、途切れた。
オリジオンが背負っていた槍を、草野球をしていた男性のうちの一人に向かってぶん投げたのだ。
男性は断末魔を上げる間すらなく、槍が当たった顎から上が跡形もなく吹き飛んだ。
ぐらりと、頭がなくなった男性の死体がその場に倒れる。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ‼︎‼︎ 」
悲鳴があがる。
日常が崩れ去り、阿鼻叫喚の地獄が生まれる。
「くそっ……どうすりゃいいんだよ……! 」
「アラタ無理だって! 瞬を呼ぶしかないよ! 」
山風と大鳳に引っ張られるがまま、アラタはその場から逃げ出す。
しかし不幸なことに、アラタ達はラーマオリジオンの次の標的として選ばれてしまった。
オリジオンは口から凄まじい熱波を吐き出し、逃げていたアラタ達の背中にそれをぶち当てて吹き飛ばす。
「がっ……熱っ⁉︎ 」
「ぐう…………」
背中に一撃をくらったアラタ達は、地面にぶっ倒される。
内臓が押し出されそうになる程の衝撃に襲われ、背中には、ジリジリと肌を焦がすような痛みが纏わりついている。
ラーマオリジオンは言語化し難い唸り声をあげながら、背中に背負っていた剣を手に持つと、倒れたアラタ達に向かって斬りかかろうとする。
「嘘だろ——」
その時だった。
「とりゃアッ‼︎ 」
「ドコブリャッ⁉︎ 」
突然、横から誰かが飛び蹴りをオリジオンにぶち込んだ。
そして、ラーマオリジオンを蹴り倒した人物が、アラタ達の前に姿を現す。
「なんだ、お前らか」
「灰司……⁉︎ 」
それは無束灰司だった。
「邪魔だ退け、俺が片付けてやる」
《DESIRE DRIVER ENTRY》
灰司はそう言ってアラタ達を押し除けてラーマオリジオンの前に立つと、黒い楕円形のドライバーを腰に装着する。その中央には、黄色いコアがはめられている。
そして灰司は襲いかかってきたラーマオリジオンの剣を避けながら、ドライバー右部に黄色いバックルを装填し、そのレバーを引く。
《SET WARNING》
「変身」
《WOULD YOU LIKE A CUSTOM SELECTION! GIGANT BRASSTER! 》
「目障りだ、手っ取り早く片付けてやる」
バックルを頭部から生えた鹿の角と、建設重機を模したアーマーの目立つ仮面ライダーに変身した。その手には、大きな銃火器——ギガントブラスターが握られている。
「仮面ライダーシーカー……目標を殲滅する」
シーカーに変身した灰司は、ギガントブラスターを連射する。
しかしラーマオリジオンは、背中に背負った薙刀を手に持つと、それを勢いよく振り回して銃撃を弾いてゆく。薙刀と大剣の二刀流だ。
「随分と器用だな! 」
ズバババババババッ‼︎ と、絶え間なくシーカーのギガントブラスターが火を噴く。
ラーマオリジオンは取り回しが難しいはずの薙刀と大剣を軽々と扱いながら、ギガントブラスターの掃射をいなしてゆく。彼女には未だに一発も命中してはいない。
「ならばこっちだっ! 」
《GIGANT HAMMER》
銃撃を容易くいなしてしまったオリジオンに対して、業を燃やしたシーカーは、右側のパワードビルダーバックルに装填していたギガントブラスターバックルを外し、代わりに左側のギガントコンテナバックルから新たな小型バックルを取り出して、パワードビルダーバックルに装填する。
すると、シーカーの手からギガントブラスターが消え、代わりに巨大な青いギガントハンマーが出現する。
「ドコダアアアアアアアアアッ‼︎ 」
「喧しいんだよ少しは黙れっ! 」
薙刀と剣を振り回しながら叫びまくるラーマオリジオンに、シーカーはキレながらギガントハンマーをぶつける。
ギガントハンマーでぶっ叩かれたラーマオリジオンは、骨が砕けるような音を鳴らしながら土手の上から転がり落ちる。
「はあああああああああああああッ‼︎ 」
土手から転がり落ち切って立ちあがろうとしたラーマオリジオンだが、そこにすかさず、シーカーがギガントハンマーを振り下ろしながら飛びかかってきた。
振り下ろされたギガントハンマーは地面にぶつかるなり、周囲に凄まじい衝撃波を撒き散らし、オリジオンの身体を吹き飛ばす。
そしてその衝撃は、土手の上にいたアラタ達にまで伝わってきた。
「うわあっ⁉︎ 」
「山風捕まれっ! 」
そして土手の下。
剣を取り落としたラーマオリジオンは、残った薙刀を片手に、ハンマーを構えたシーカーに突撃してゆく。
「どりゃああああっ! 」
「‼︎ 」
薙刀の刀身に炎を纏わせながら突撃してきたラーマオリジオンに対して、シーカーはギガントハンマーで迎え討つ。
空気を切り裂きながら振り回されるギガントハンマー。それに対して、咄嗟に薙刀を体の前に突き出し、身を守ろうとするラーマオリジオン。
しかし、細い薙刀ではハンマーを防ぐことはできず、ハンマーの勢いに押され、オリジオンの手から薙刀が溢れ落ちる。
そして。
ドゴオオッ‼︎ という鈍い音と共に、ラーマオリジオンの胴体にギガントハンマーがめり込み、その身体を猛烈な勢いで吹っ飛ばした。
「グギャアアアアアアッ‼︎⁉︎ 」
吹っ飛ばされたラーマオリジオンは悲鳴を上げながら、川の対岸へと飛んでゆく。
そして遠く遠くへ飛んでゆき——見えなくなってしまった。見事なまでの場外ホームランだ。これでは逃してしまったも同然だ。
「クソッ、やり過ぎたか……コイツはパワーがあり過ぎる。使用は控えるべきだな」
予想以上にやり過ぎて結果的にオリジオンを逃してしまった灰司は、舌打ちをしながらシーカーの変身を解く。
そしてそのまま立ち去ろうとするが、ひとつの声がする。
「待てよ灰司っ! 」
灰司が振り返ると、先程の戦いを見ていたアラタが、土手の上から駆け降りてきていた。
「お前……本当に仮面ライダーだったんだな……」
「だからどうした」
「無事でよかった。池袋でいなくなったきりだったから、皆心配してたんだぞ」
「余計なお世話だ。そもそもお前らに接触したのはアクロスの監視の為。別に俺は、お前らに対して友情だの絆だのといったものは感じてない」
「なに……? 」
同級生として心配していたアラタに、灰司は冷たくそう言い放つ。
それにはアラタもむっとしてしまう。
「そして俺は転生者が嫌いだ。だから俺に関わるな、そして邪魔するな。それだけは覚えておけ」
それだけ言うと、灰司はポケットから錠前の用なものを取り出し、そのロックを外す。
すると、その錠前は急速に変形し、一台のバイクとなる。
灰司はヘルメットを被ってそのバイクに跨ると、そのまま颯爽と走り去ってしまった。
一人残されたアラタの元に、遅れて大鳳達が土手の上からやってくる。
「なに話していたの? 」
「…………なんでもねーし。結構薄情なんだな、アイツ」
去り行くバイクを見つめながら、アラタはそう呟いた。
川を渡った先にある、とある無人の公園。
シーカーに吹っ飛ばされたラーマオリジオンは、そこに倒れていた。
「ア、アア………………」
ぐぐぐ、と力を入れて、身体を起こす。
オリジオン化によって頑丈になっているとはいえ、流石に野球ボールみたいに吹っ飛ばされたら相当なダメージになる。
ヨロヨロと立ち上がったラーマオリジオンは、身体のあちこちから断続的に火を噴きながら歩き出す。
「アア…………ドコニイルノ…………」
噴き出す炎の量は次第に増えてゆき、ついにオリジオンは変身を保てずに、近くの木に手をついて地面に膝をつく。
「はあ、はあ…………」
ラーマオリジオンに変身していたのは、薄紫色の髪の少女だった。
顔はやつれ、瞳は
血を流しながら立ち上がり、幾度となく繰り返された嘆きを口にする。
「ああ…………飛鳥、どこに居るの……お姉ちゃんを置いていかないで……ここにいるよぉ、ここにいるヨォ……‼︎ 」
彼女の名は
行江飛鳥の姉にして、たった一人残された家族。
そして、バルジの
久々に一万文字切ってる……嘘だろ?
さて、このエピソードはどのくらいかかるかなー。
よかったら評価・感想などよろしくね。
趣味第一で書いてるけど励みになりますので。
次回 或る復讐者のパーソナリティ