【第1.5章始動‼︎】仮面ライダーアクロス With Legend Heroes 作:カオス箱
今回は半分くらいバルジVS灰司だぞ。主人公活躍しろよ……
エボルトオリジオンに変身したバルジと、仮面ライダーシーカーに変身した灰司。
結論から言うと、その戦力差は歴然としていた。
《GIGANT BLASTER》
「死ねええええええええええええええええええええええええええええええええっ!! 」
シーカーは銀色の大型機関銃・ギガントブラスターを召喚すると、即座に全弾をエボルトオリジオンに向かってぶちまける。
生身の人間ならば、蜂の巣どころか跡形もなくなるほどの横殴りの銃弾の雨が、エボルトオリジオンに正面から降り注ぐ。しかし、エボルトオリジオンは銃弾の雨の中を悠々と歩きながら、真正面からシーカーに接近してくる。
「効かねえのがわからないのか? やっぱ復讐するような奴って頭悪いんだな」
シーカーの無力さを嗤いながら、エボルトオリジオンはギガントブラスターに触れる。
瞬間。
ベキョベキョバコバコバコンッ!!!!!!!!!!! と激しい音を立てて、まるでティッシュを丸めるかのようにギガントブラスターがひしゃげ、ぐしゃぐしゃの鉄塊となってしまった。
「くっ……やはり……」
「そのまま死ねっ‼ 」
エボルトオリジオンはそう叫びながら、無造作に腕を振るう。
なんてことのない薙ぎ払い。たったそれだけで、シーカーの身体はまるで新幹線のように真横に吹っ飛んだ。
腰のデザイアドライバーが粉々に粉砕されたことでシーカーの変身が解除され、灰司は生身をさらけ出しながらコンクリート塀に激突する。
灰司が衝突したことによりコンクリート塀は崩れ、瓦礫の下に灰司の姿が埋もれてゆく。
「今のでベルトは破壊されたはずだ。さ、次はどいつで来る? 」
「舐めんンじゃねぇっ‼ 」
《DRIVE! TYPE NEXT! 》
瓦礫に埋もれた灰司を挑発するエボルトオリジオン。
直後、その声に呼応するように、ダークドライブに変身した灰司が瓦礫の下から姿を現す。
「はああああああああああああああああああああああああああっ!! 」
身体のあちこちに乗っかった瓦礫を跳ねのけながら、ダークドライブの右ストレートがエボルトオリジオンに迫る。
エボルトオリジオンは軽く手を突き出すだけでパンチの軌道を逸らすと、がら空きになったダークドライブの胴体に左の拳を勢いよく突き出す。
「がはっ……!! 」
「言ったはずだぜ、効かねえってな」
「黙れっ……お前だけは俺が殺さなきゃダメなんだっ……!! 」
腹部に強烈な一撃を受けたダークドライブは、よろよろと数歩後ろに引き下がる。しかし、心にともした憎悪の炎を糧に、彼はその場に踏ん張る。
エボルトオリジオン――バルジはその姿を嘲笑いながら、ダークドライブの頭部に向かって手を伸ばす。
「痛みは一瞬だ。ブラックホールで頭を消し飛ばしてやるよ」
「吹き飛ぶのはテメエの方だっ!! 」
《ネクスト! 》
エボルトオリジオンの手がダークドライブの頭に触れる直前、ダークドライブはドシフトブレスのイグナイターを押して必殺技を発動する。
すると、ダークドライブの両手に漆黒のタイヤ状のオーラのようなものが浮かび上がる。
「吹き飛べクソ野郎っ‼ 」
ダークドライブがそう叫ぶと同時に、タイヤ型のオーラを纏った拳がエボルトオリジオンの胴体に突き刺さった。
ダークドライブの一撃を至近距離で受けたエボルトオリジオンは、身体のあちこちからスパークを吐き出しながらのけぞる。いくら規格外のラスボスの力を持っているといえども、至近距離から必殺技を受ければ多少はダメージが通るのは当然といえよう。
「やりやがったなお前……死にぞこないの雑魚の分際で、俺様に噛みついてんじゃあねえってのっ!! 」
「ほざいてろ、今日がテメエの命日になるんだよっ‼ 」
バキィッ!!!!!!!!!!! と激しい音を立てて、エボルトオリジオンとダークドライブの拳がぶつかり合う。
しかし、両者ともに拮抗していたように見えたのはほんの一瞬で、ピキピキピキピキッ‼ とおとをたてながらダークドライブの拳、もといスーツにヒビが入り始める。
「
「ぐっ………………このぉっ………………!! 」
エボルトオリジオンの常軌を逸したパワーに、ボロボロになってゆくダークドライブのスーツ。複眼は既に砕け、腰のベルトからは警告音とスパークが飛び散り、今にもダークドライブの力は失われようとしている。
このままでは、変身が維持できくなる。生身でエボルトオリジオンの攻撃を受ければ、たとえ灰司が万全の状態であろうとも、即死は免れないだろう。
「くっ……なら次はコイツだっ‼ 」
ダークドライブではもう対抗できないと判断した灰司は、咄嗟に拳を引っ込めて後方に跳躍する。ボロボロだったダークドライブのスーツは、灰司が地面に着地すると同時に、ボロボロになって崩れ去ってゆく。
急に灰司が拳を引っ込めたことで、エボルトオリジオンは勢い余って目の前の地面を思いっ切り殴り飛ばしてしまう。
その衝撃で周囲の土が根こそぎ吹っ飛び、局所的な土砂災害が発生する。
「往生際悪いなあ、正義の味方ってやつは。さ、どうせ次のベルトに乗り換えてるんだろう? 」
視界が土埃で覆われる中、エボルトオリジオンは土埃の向こう側に声を投げる。すると、それに答えるように、土埃越しに複眼が金色に発光する。
その直後、
《チェーン………ナウ! 》
土埃の壁を突き破って黄金の鎖が飛び出し、エボルトオリジオンの四肢に絡みつく。
その鎖の伸びてきた方向には、黄金の魔法使い――仮面ライダーソーサラーに変身した灰司が立っていた。
エボルトオリジオンは左腕を咄嗟に引くことで鎖を回避すると、極小のブラックホールを生成してその鎖を消し飛ばし、左腕の自由だけは死守する。
「チッ、一本逃したかっ……だが両足は封じた!! この隙に叩き込んでやる!! 」
「お次は魔法使いってか!! だが効かないんだよねェッ!! 」
バルジは唯一自由が利く左腕を前に突き出すと、手のひらから極太の光線を発射する。
見るからに禍々しいその光線を前にしたソーサラーは、回避行動をとらずに、右手の指に填めたリングを腰のベルトにかざす。
《リフレクト……ナウ! 》
すると、ベルトから音声が鳴ると同時に、ソーサラーの前に黄金に輝く盾が出現し、エボルトオリジオンの放った光線を跳ね返してしまった。
「何ィッ⁉ 」
「消し飛べッ、テメエ自身の攻撃でっ‼ 」
ソーサラーがそう吐き捨てた直後。
跳ね返された光線が、エボルトオリジオンの全身をくまなく焼いた。
バルジ――本名・
彼は生まれながらの異常者であった。
なにか悲劇的な出来事だとか、悪に走らざるを得なかった事情だとか、そういう類のものは一切存在しない。
ただ、その精神の在り方がヒトとして間違っていた。
物心がつく頃には、彼は破綻していた。
人の不幸を笑い、他者の絶望を好み、破滅と崩壊を尊ぶ。
普通ならば、単なる終末論者や破滅諭者で済んだのかもしれない。
だが彼には、それを自らの手で作り上げてしまえるだけの力と頭脳があった。それこそが、宇宙最大の不幸であった。
そして。
念のために言っておくが、彼は別に滅ぼしたくて滅ぼしたわけではない。
世界が滅んだ余波で、彼自身も死んでしまったが、満足のいく結果だった。
転生しても、彼の性質は変わることはなかった。
前世の記憶を思い出した直後に、今世での家族をバラバラにしてムカデ人間にした。
話しかけてきた可愛いクラスメイトは、鶏や豚とまぜこぜにされて泣きわめきながら死んでいった。
自身に逆らった奴らは、全員ミンチにされた上でひとつの肉団子になった。
自分を倒そうとしてきた勇敢なる若者は、自我を奪われ、守るべき命を嬉々として狩る殺人マシンとして使い潰された。
そうこうしているうちに、その世界は滅亡した。前世と全く同じである。
気の向くままに
そうして壊れてしまった
「お前、俺の仲間にならないか? 」
「………………誰だ? 」
「俺達はギフトメイカー。後に世界を支配する者だ」
バルジ以外の生命が途絶えたはずの世界で、彼に語り掛けてくる声があった。
興味本位でバルジが振り返ると、そこには邪悪な顔をした壮年の男――ティーダが立っていた。
顔を一目見ただけで、バルジは理解した。目の前の男は、自分の同類だと。
「最高だぜ、その話乗ってやんよ」
バルジは少し考えた後、ティーダの話を快諾した。
ここならばいくらでも地獄が見られる。ここでなら自由に滅茶苦茶にできる。
ギフトメイカーという場所は、バルジにとってはまさに天国だった。なんせ、いくらでも世界を滅茶苦茶にできるし、その上同好の士までいるのだ。
仲間を得たバルジは、水を得た魚のように、より一層実験に精を出すようになった。その結果、数多の世界が滅亡していった。
しかし、バルジはそれを気に留めることはない。悔いることもしない。
同情の余地などない、最低最悪の天災。
人間社会に決して適合することのないバグ。
それこそがバルジという存在なのだ。
故に、彼は何としてもここで殺さなくてはいけない。
生まれながらにして、すべての世界の天敵。
今宵、彼の命運は尽きることとなる。
現在
「ハァッ……………ハァ………………」
ソーサラーはその場に膝をついていた。
元より満身創痍の身の上、それを度外視して多数のライダーの力を使い潰すつもりで、全力で行使しているのだ。今こうしている時も、少し気を抜いてしまうと、魔力で生成した鎖が維持できずに霧散してしまいそうなのを、必死に押しとどめている。
そして、
「………………今のは効いたぞ」
自分で放ったビームをモロにくらったエボルトオリジオンも、ソーサラー同様に地面に膝をついていた。
ソーサラーの疲労に加え、ビームが直撃したとも相まって、エボルトオリジオンの両足と右腕を縛り付けている鎖は今にも千切れそうなほどに劣化している。少しでも力を籠めれば簡単に引きちぎることができそうなのだが、そのための力がない。
(まだこの特典を使いこなせてねえのもあるが、まさかここまで苦戦させられるとはなァ……クソッ、最悪な気分だ……! )
苦痛に顔をゆがませながら、エボルトオリジオンは唯一鎖の巻き付いていない左腕を使って、右腕と両足に巻き付いている鎖を引きちぎる。
すると、ずっと戦いを静観していたリイラが、ケラケラと嗤いながらバルジのほうへと近づいてきた。
「ばーるじぃ、なんか思ったより苦戦してるようだけど、もしかして猫の手も借りたい気分だったりするかしらぁ? 」
「そ、そうですよっ! ここはこのレイラちゃんにお任せくださいっ‼ ご主人様の為に身も心も投げ出す、それがクソ雑魚奴隷メイドの本会ですからっ‼ 」
「邪魔するんじゃねえっ‼ 」
《ライトニング……ナウ! 》
レイラ共々助太刀に入ろうとしたリイラだったが、横やりを良しとしないソーサラーが、彼女達に向かって電撃を飛ばしてきた。
「レイラ、盾になりなさい」
「了解しましたお嬢さまっががっがあががががががががあがががっ⁉ 」
ソーサラーの放った電撃を、リイラはレイラを盾にすることで回避した。肉親の情や仲間意識が微塵も感じられない光景だが、誰もそのことに対して指摘しない。
凄まじい威力の電撃を隅々にくらったレイラは、用済みと言わんばかりにその場になげすてられる。その姿は、もはやボロ雑巾という言葉が生温く感じるほどに痛ましくなっていた。
にもかかわらず、レイラは全身から血と煙を吹き出しながら立ち上がる。
「お嬢さまに怪我がなくてよかったですっ……げほぼえっ‼ 」
「血を吐くな服が汚れる」
「ぶがっ」
吐血しながらリイラに駆け寄るレイラだったが、服が吐血で汚れることを嫌ったリイラによって、思いっきり殴り倒される。
そして、血を流しながら地面で痙攣しているレイラをいないものとしながら、リイラはエボルトオリジオンに尋ねる。
「で、どうするの? 助太刀とか必要? 」
「いいや………………お前らには他の連中の相手をしてもらうさ。ほら見ろ、来やがったぜ」
エボルトオリジオンはそう言いながら、リイラ達の背後に視線を向ける。
そこには。
「ごめん、遅くなった」
「余計なお世話かもしれないけど、助太刀に来たよ」
黒髪の少年と金髪の少女。
逢瀬瞬と諸星唯がいた。
「馬鹿で間抜けな
「テメエみたいなサイコ野郎になるくらいなら馬鹿で結構だよ」
エボルトオリジオンの見下すような発言を軽く受け流す瞬。その目はエボルトオリジオン――バルジを見てはいない。
彼が見ているのは、倒すべき敵ではなく助けるべき命だ。
行江薫と行江飛鳥。
何もかもを失い、最後に残ったひとかけらすらも遊び半分で奪われようとしているとある姉妹を、彼は救いに来た。
「………………何しに来た?」
「復讐の邪魔をするつもりはない。俺は飛鳥達を助けに来ただけだ」
「うん、どの道ギフトメイカーは許せないから」
ソーサラー――灰司の言葉に、瞬と唯はそう答える。
新たにやってきたヒーロー達に煩わしさを感じたエボルトオリジオンは、その排除をレイラ達に押し付ける。
「ガングニール、レイラ。お邪魔虫の相手は任せるぜ」
「了解しましたご主人様っ♡ ご主人様の邪魔をするわるーい人たちはぁ、レイラちゃんが全力全霊で抹殺しまーすっ♡」
「フゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ……! 」
「っ………………! 」
瞬達の目の前に現れたのは、昼間よりもさらに痛々しい姿と化したレイラだった。
モノクロのメイド服を頭部からの流血で赤く染め、目の焦点は微塵もあってはいない。その様子は、まるで危ないクスリかなにかでもやっているかのようにしか見えず、敵とはいえども、瞬も唯も憐みの眼差しを向けずにはいられなかった。
「せっかくのお遊びだ、盛大にやろうぜ? 」
「飛鳥ちゃん達をどこにやったの⁉ 」
「ああ、あの死にぞこないのクソガキ? それなら、今お前の首をぶった斬ろうとしてるけど? 」
「⁉ 」
エボルトオリジオンにそう言われて咄嗟に振りむく唯。
そこには、今まさに薙刀をぶん回そうとしているラーマオリジオンが居た。
「唯っ! 」
「っ! 」
瞬と唯は互いに別々の方向に転がり、薙刀を回避する。
「唯は飛鳥達をっ‼ 俺はレイラ達をどうにかする! 」
「わかってる! 」
そしてそのまま、ふたりは反対方向に走り出す。
瞬はレイラとガングニールオリジオンの方に。唯はラーマオリジオンとシータオリジオンの方に。
「さあかかってこいっ‼ 」
「これはもしかして……もしかしてだけどっ、レイラちゃん、本気出さなきゃいけない感じですかぁ? 」
「どうせお前はじきに壊れる。なら最後の祭りくらい盛大にやってやったほうがいいさ。思う存分暴れてやりな」
息を切らしながら、エボルトオリジオンはレイラにそう告げる。
それを聞いたレイラは頬を紅潮させながら、空元気を極めた返事と共に瞬の前へと跳躍する。
「はああああああああああああああああああああああいっ♡ レイラちゃん、壊れまああああああああああああああああああああああああああああすぅっ☆ 」
《KAKUSEI ALTAIR》
レイラが声を張り上げると同時に、ブチブチと、彼女の額の血管が音を立てて千切れ、そこから鮮血が流れ出る。
それに合わせるように、レイラの額からヘソのあたりにかけてジッパーのようなものが出現し、ズズズズズ、と上がってゆく。ずっと生身で戦っていた彼女が、オリジオンとしての姿をさらけ出そうとしているのだ。
心身ともにボロボロになった洗脳メイド少女は、真っ黒なボロボロの軍服を着た怪人へと姿を変えてゆく。顔はまるでテレビの砂嵐のように歪んで判別できず、ボロボロの軍服から覗かせている肌は、様々な漫画や小説のページを切り貼りしたような、不気味な姿となっている。
「ある時は非常な殺し屋、ある時はクソ雑魚奴隷メイド……そんなレイラちゃんの正体はっ!!!!!! 森羅万象をねじ伏せるアルタイルオリジオンなのでしたぁああああああああああっ!!!!!! きゃはっ☆」
どろり、と。
アルタイルオリジオンと化したレイラのこめかみから、赤い血が流れ落ちる。砂嵐と化した顔面から、血が断続的に流れている。
それを目にした瞬は顔をゆがませる。だがそれは、敵意によるものではない。
瞬の中にあるのは憐憫。
何もかもを踏みにじられ続け、こうなってしまうほどに使い潰されてしまった目の前の少女に対する、憐みの感情だった。
「………………それでいいのかよ、お前」
「? 何を言ってるのかさっぱりわからないんですけど? 」
「お前の事情は唯から聞いてるよ、バルジの野郎に操られているんだって。お前が元々はどんな人間だったかは知らないけど、多分、こんなことを嬉々としてやるような奴じゃないんだろ? 」
悲しみと憐みのこもった声で、瞬はアルタイルオリジオン――レイラに語りかける。
本来ならば、何度も自分を殺そうとしてきた相手に対して書けるような言葉ではないことは、瞬自身も理解している。
ただ、部分的ながらも事情を知ってしまった以上、このままレイラを倒しても後味が悪くなる。
瞬はそう思っていた。
たとえ彼女が洗脳される以前からどうしようもない人間だったとしても、自分の意思を奪われて弄ばれているという事実は変わらないし、それを放置するなんてことは絶対にできない。
――そんな我儘を貫き通せる奴こそが、ヒーローなのだ。
「お前を救い出すのは――俺達だっ‼ 」
《CROSS OVER! 思いを、力を、世界を繋げ! 仮面ライダーアクロスっ‼ 》
クロスドライバーにライドアーツをセットし、アクロスに変身する瞬。
それを目にしたアルタイルオリジオンは、サーベルの刃先でコンクリートの地面を軽く。挑発、あるいは宣戦布告。その行為にどんな意図があるのかは、本人達の間でしか知りえない。
そして。
今宵二度目となる因縁の衝突が、生まれた。
「………………帰りたいなぁ」
目の前で繰り広げられている戦闘を前にして、レドはそうぼやいた。
元々レドはバルジのことが嫌いだ。頼んでもいないのに彼の
善に様々な形があるように、悪にも様々な形がある。レドとバルジでは、その相性が致命的に悪いということだ。
いまこうしてここにいるのも、リーダーであるティーダの命令だからに過ぎない。それがなければこんな場所に来ていない。故にレドは、様々な因縁がぶつかり合うこの戦場で、ひとり手持ち無沙汰に観戦を決め込んでいた。
が。
悪党少年の些細な平穏は、ここで終わった。
「………………ったく、正義のヒーローってやつは勘が鋭すぎて嫌になるな」
レドはそう口にしながら振り返る。
そこには。
「ギフトメイカー、お前らに恨みのあるヤツはごまんといるんだ。ここからは俺達も加勢させてもらう」
敵意をむき出しにした眼鏡の男――裁場整一がいた。
否、彼だけではない。
暁古城に姫柊雪菜、カワラーナにミットルテにドーナシーク(あとおまけでGUMI)。瞬達とは別口でギフトメイカーに迫ろうとしていた彼らが、遅ればせながらたどり着いたのだ。
「ユナイト……それに一緒にいるのは、第四真祖にバルジの元モルモットの堕天使か」
「この場に傍観者はいらない。どちらかが全滅するまで止まる気はない、そうだろう? 」
裁場はそう言いながら、ユナイト専用の銃型武装・フュージョンマグナムの銃口を突きつける。
が、レドは特に抵抗することなく、気だるげそうに両手をあげてしまった。
「パスパス、僕は今ちょっと戦えないからね。」
これは事実だ。
一見すると健康体に見えるレドだが、彼は先日の池袋での戦いで、自身の転生特典にもダメージが入っており、オリジオン態を維持することすら困難な状態だ。いくらギフトメイカーといえども、生身で仮面ライダーと戦うなんて無謀な真似をする気はさらさらない。
そんなレドの態度を見て、見下されたと感じたドーナシークが激昂する。
「ふざけているのか⁉ それとも我々のことを馬鹿にしているのか⁉ 」
「代わりの相手ならいるからさ、ほら」
「なんだと……? 」
裁場が怪訝そうに眉をひそめた直後だった。
バシュンッ!! と、白い光の筋が凄まじい速度で飛び出し、裁場の足元に着弾した。
裁場が足元を見ると、地面に人差し指の幅くらいの大きさの穴が開いている。まるで銃弾か何かでも撃ったかのようだ。
再び裁場が顔をあげた時、そこには、先ほどまでいなかったはずの人物が居た。
一見清楚そうに見える黒髪の少女。だが、頬はやつれ、その目は明らかに正気を失っている。そして背中からは、カラスの翼のようなものが生えている。
それが誰なのかを、堕天使達は知っている。
「レイナーレ……さま……⁉ 」
そう。
彼らが探し求めていた大切な人。
堕天使レイナーレ。
バルジによって洗脳され悪の手先と化した少女が、そこにいた。
「わたしが、倒します」
「僕を守れ、そいつらを殺せ。複雑な命令なんて必要ないだろう? 」
「了解しました」
《KAKUSEI SIESTA》
レドの命令を受けたレイナーレは、抑揚のない返事をしながらオリジオンへと変身する。
大量のジッパーに覆われながら彼女が変じたのは、ウサギとカラスが入り混じったような姿をした怪人だった。白い軍服のようなものを身に付け、手には洋弓のようなものを持っている。
シエスタオリジオン。
それがオリジオンとなった彼女の名前だった。
対話による奪還の道は途絶えた。ならば方法はひとつしかない。
「こうなったら戦うしかないっ‼ ぶん殴ってでも目を覚まさせるんだ! 」
「やってやるっす! うちらのリーダーを取り返して見せるっ‼ 」
「ここから先は俺達の
《CROSS OVER! 正義の意志をフュージョライズ! 不撓不屈のウォリアー! 仮面ライダーユナイト! 》
堕天使達は光でできた武器を生成し、雪菜は背中のギターケースから雪霞狼を取り出して構え、古城は眷獣を呼び出す態勢に入る。そして裁場は、クロスドライバーにライドアーツをセットし、ユナイトに変身する。
堕天使に第四真祖、剣巫に仮面ライダー。
傍から見たら寄せ集めにしか見えないパーティーだが、彼らの目的はただ一つ。
――ギフトメイカーという悪に報いを。
「やるなら勝手にやってくれ、どうなろうが知ったこっちゃないからさ」
「元よりそのつもりだ。ここで終わらせてやる」
二度あることは三度ある。
ここでもまた、因縁の衝突が発生しようとしていた。
レイラ/アルタイルオリジオン
■元ネタ:アルタイル(Re:CREATORS)
本名、アステア・ライトレア。
元々捕虜の様な立ち位置だったが故にオリジオン化を許されていなかった彼女だが、死期が近いということで、「せっかくだから」オリジオンに覚醒させられた。
彼女が元来より有していた剣術や重火器の技能と相まって、単騎で高い戦闘能力を発揮することができるのだが、幾度となく行われてきた洗脳の影響で心身ともにボロボロであるため、本来の性能を発揮できていない。
次回 まだ命があるのなら