【第1.5章始動‼︎】仮面ライダーアクロス With Legend Heroes   作:カオス箱

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宝探しゲームその③です。
前回に引き続いてコメディパートが続きます。
1.5章にはいってからアクロスへの変身がまだ1回もないというふざけた状況ですが、どうか許していただきたいです。

AMOREのほうに注力してたりアンデラに夢中になってたりしてたせいで結構間が空いてしまいました。ほんと申し訳ないです。




それはそうと、本日でアクロス&ハーメルン活動5周年を迎えました。
まさかこんなに長く続ける羽目になろうとは思わなかったぜ。自分の予想以上の遅筆っぷりに驚いてます。
…………全然話進んでなくてすみません。
これからも本作とわたくしをよろしくお願いいたします。


とりあえず本編GO!!


第53話 宝探しゲーム②:些細にして致命的な敗因

 

 

 

 宝探しゲーム開始から45分経過

 剣道場付近

 Aチーム(逢瀬瞬・九瀬川ハル・白上フブキ・ラプラス・ダークネス・天馬咲希・剣持刀也)

 

 

 

「…………大丈夫なんだろうか」

 

 剣道場を後にしながら、ふと瞬はそんなことを呟いた。

 

「なになに、どうしたのさ瞬くんや」

「いや、あの剣道部の人……日向とかいったっけ。ラプラスの角ぶっ刺さってたけど大丈夫なのかなって」 

 

 先程、瞬達は剣道場にて剣道部員達相手に大立ち回りをやらされていた。その結果、ラプラスの角がぶっ刺さるという大事故で剣道部主将・日向に勝利してしまったのだ。

 角、かなり鋭利だったように見えるし、結構大胆に額貫いていたと思うのだが、本当に大丈夫なんだろうか。取り乱して剣道場飛び出しちゃったけど、生きてるんだろうか。仮面ライダーが人殺しとか笑えないどころじゃないのだが。

 

 が、そんな瞬の心配はどこ吹く風。

 フブキは瞬の肩に手を置きながら、まあまあとなだめてくる。

 

「大丈夫だよ、ちょこせんせーあたりに任せてりゃなんとかなるって」

「あの吾輩もできれば保健室に行きたいんですけど」

「それくらい唾つけとけば治りますよ、ほら」

 

 ハルはそう言うと、自分の指を舐めて唾で浸し、それをラプラスの折れた角の断面に塗りたくる。

 ラプラスが唾を塗られながら何とも言えない恥ずかしげな声を出しているのだが、これ大丈夫なやつなんだろうか。

 そうしてハルは、角の断面同士を綺麗に接触させる。

 すると、

 

「あ、くっついた」

「お前の身体どうなってんだよ」

 

 ……もうツッコむだけ無駄に思えてきた。

 

「そういえばなんだけど」

「ん、咲希さんどうしました? 」

 

 咲希はそう言うと、チラリと後方に目をやる。

 そこには、瞬達から少し離れた辺りを遠慮がちについてくる陽菜多に姿があった。

 出会った時からそうだったが、パーカーのフードを目深く被っている為、顔もよく確認できていない。恥ずかしがり屋だったりするのだろうか。

 

「陽菜多くん……だったかな。ずっとあんな感じだから、何とかしてあげたいとは思ってるんだけどね」

「そうだよな……よしっ」

 

 咲希の話を聞いた瞬は、陽菜多の方へと近づいてゆく。

 すると、陽菜多はびくりと大きく身体を震わせた。

 ――ひょっとして苦手判定おりたりしてるのだろうか? だとしたらちょっとショックかもしれない。

 

 だが、その程度で臆する瞬ではない。

 ひとりだけいつまでも皆の輪の外というのは、なんだかんだ言って瞬からしても居心地が悪い。どうにかしてやるべきだろう。

 

「さっきからずっと黙り込んでるけど、具合とか悪かったりするのか? それとも人と関わるのが苦手だったり――」

「あっ……」

 

 そう言いながら、瞬が陽菜多の肩に手を回したその時。

 はらりと、陽菜多が目深く被っていたフードがずり落ちて脱げてしまった。

 

「…………な」

 

 瞬は。

 露となった陽菜多の顔を見て、呆気に取られていた。

 

「あ……………………ああ」

 

 さらりとした、青みががかった銀髪。

 美少女と見紛うほどの可憐な容貌。

 

 瞬だけでなく、ハルやフブキ、この場にいる全員が、露となった陽菜多の顔をまじまじと覗き込んでいる。

 だが、そんなことはどうでもよかった。

 

 

 ()()()()()()()()()()()()

 ()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 否、正確には思い出したというべきか。

 

 

「お前…………もしかして」

 

 瞬がそう言いかけた時。

 陽菜多は一目散にその場から逃げ出した。

 

「あ、ちょっと…………! 」

「おい待てッ、陽菜多ッ! 」

 

 行動は一瞬だった。

 瞬は皆を置き去りにして、慌てて逃げ出した陽菜多の後を追う。

 陽菜多は脱げたフードを再び目深く被りながら、校舎の中へと逃げてゆく。

 

(待てよ、俺はお前ともう一度話が――)

 

 それは瞬と陽菜多、両者にとって驚愕の再会。

 ――そして、その過去を知る者は、もうひとりいる。

 

 

 

 


 

 

 

 東校舎―西校舎間渡り廊下 

 Dチーム(諸星唯・欠望アラタ・夏色まつり・兎田ぺこら・椎名唯華・星乃一歌・山風)

 

 

 結論から言うと、チャラオ・ツェペリVS星乃一歌のギター対決は、一歌に軍配があがった。

 素人目からすればどちらも素晴らしい演奏だったのだが、流石現役バンドガールというべきか。厳正なる審査の末、一歌が勝利を勝ち取ったのだ。

 

 かくして、チャラオからぬいぐるみをゲットしたアラタ達Dチームは、次のぬいぐるみをゲットすべく校舎内を練り歩いていた。

 

「へくちっ」

 

 しばらくして。

 先頭を切って渡り廊下を歩いていた唯は、小さくくしゃみをした。

 

「なんだよ風邪か? 」

「いやぁ…………なんだか懐かしい気配がした気がしてさ」

「普通この流れだと噂話とかにならないかな? 」

 

 噂話をしているタイミングでくしゃみするというならばわかるが、懐かしい気配でくしゃみってなんなんだろうか。アラタには唯の言ってることがわからない。

 

「それにしても助かったよ一歌ちゃん。さっすがバンド女子、やっるう! 」

「即興にしては上手くやれたほうかな」

「これは…………負けてられないな」

 

 まつりに褒められて少し照れている一歌と、対抗意識を燃やし始める椎名。

 ゲームがはじまってそろそろ1時間が経過し、他人同士だった各チームにも少しずつ絆がはぐくまれ始めている。きっと他のチームも同じだろう。

 このゲームを通して、新たな絆が生まれる。

 そう思いながら、アラタはとある教室のドアを開ける。

 

「家庭科室――か」

 

 彼らが次に足を踏み入れたのは、家庭科室だった。

 シンクやIHの併設されたテーブルがずらりと並んでいる、その最奥。

 

 そこに、フードを目深く被った小柄な少女が座っていた。

 中学生ぐらいだろうか。

 

 ――だが、アラタにとってそんなことはどうでもよかった。

 問題は別のところにある。

 何故ならば、その少女は。

 

原賀(はらが)…………胡桃(くるみ)? 」

 

 そう。

 《《とある少年の運命の人のひとり》にして、超高燃費(はらぺこ)体質の女子中学生。

 世界観が思いっきりずれまくった世界の住人が、当たり前のようにそこに居た。

 

「ん、なんであたしの名前知ってんだ? 」

「ん、アラタどしたの? 知り合い? 」

「な、なんでもないなんでもない」

 

 要らぬ誤解が発生しているので、アラタは慌ててそれを払拭する。

 予想外の人物との遭遇に、思わず転生者としての素が出てしまったみたいだ。

 

 

 それにしてもこの世界、節操がなさすぎる。いったいどれだけの物語クロスオーバーさせる(くっつける)つもりなんだろうか?

 もしこの世界を作った神様がいるのならば、そいつは度を越した欲張り野郎に違いない。

 アラタはこの世界に転生してから随分立つの、最近はやたらと知ってる作品のキャラに出くわしまくるせいで胃もたれ気味だ。

 頼むからこれ以上カオスにしないでほしい。

 

「で、今度のお相手は君ってことでいいんだよね? 今度は何をするのかな」

 

 胡桃にそう訊ねるまつり。

 そこに、

 

「愚問だなッ‼ ここに彼女と俺がいるということが何を意味するのか、まさか分からないと申すのかいッ!!!!? 」

 

 ガタンッ、と音を立てて天井の板が外れたかと思いきや、そこから白いコック帽とコックコートを身に付けた少年が降りてきた。

 

「だ、誰ッ⁉ 」

「2年12組飯塚食人(いいづかくろうど)。食育委員長だッ‼ この並びを見てまだわからないというのかお前たちはッ!!!!? 」

 

 何故天井裏から出てきたとか、わからないのかと問われてもなんのことかわかんねーんだよとか、色々突っ込みたいところはある。

 が、雰囲気がそうさせない。

 有無を言わさない程の何かが胡桃と食人から発せられているのを、唯は感じ取っていた。

 

 そんな中、ひとりアラタは考える。

 メンバー内での唯一の転生者――原作知識を有する者として考える。

 原賀胡桃、飯塚食人。この両者に共通するものといえば――

 

「…………大食い対決、だろ」

「惜しい。確かにいい点はついてるが…………正確には()()()()()()

 

 食人はそう言うと、背後のテーブルを覆っていたカバーを勢いよく外す。

 

 カバーの下から姿を現したのは、山もりの焼きそばパンだった。

 基本的にクソマズい開王学園の学食において、数少ないアタリ食品。それ故に、昼休みのたびに希少な安牌を取り合うゴリゴリの争奪戦が繰り広げられている――というのは、この学園における周知の事実だ。

 

「あのさあ、前フリはいいからさっさと始めてくれないか。こちとら腹が減りすぎてイライラしてんだって」

「食欲旺盛なのは良いことだが、俺達一応仕事やってるわけだからさ。お金貰う分はしっかりしてもらわないと」

「…………チッ」

 

 腹の音を豪勢に鳴らしまくながら食人に抗議する胡桃。どうやらさっさと早食い対決に入りたいようだ。

 食人にたしなめられた胡桃は、ため息をつきながらアラタ達の方を向き直る。

 そして、

 

「全員でかかってきなよ――まあ、アタシらに勝てるワケないと思うけどさ」

 

 得物を前にした猛獣の如き鋭い眼光を、まっすぐに浴びせてきた。

 

「…………」

 

 原作知識を有するアラタだからこそ分かる。

 常人では勝負にならない。この二人に“食”で勝つには同レベルの怪物が必要になる。

 

 本来ならば即サレンダーするべきなのだろうが――アラタは違った。

 焼きそばパンの山の前の椅子に座ると、アラタば不敵な笑みを浮かべる。

 

「…………お前らは致命的なミスを犯したぞ」

「何? 」

 

 アラタの言葉に怪訝そうな顔をする胡桃。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 そう言ったアラタの隣には、いつの間にか一歌が腰を下ろしていた。

 ――その目には、途轍もない闘志のようなものが宿っていた。

 迫力だけならば、ギター対決の時以上のようにも感じる。

 

「皆、行くぞ」

「おっけーだよ」

「朝寝坊してご飯抜いてたから丁度いいや」

 

 唯やまつり、他のメンバー達も着席する。

 彼女達は胡桃達を恐れてはいなかった。

 形容するならば、勇敢なる戦士。

 その気迫を感じ取った食人は、歓喜交じりの声をあげる。

 

「…………ふふふふふふっ、面白い! 折角の対決なんだっ、腹はち切れるまで喰いまくってドカ食い気絶部と行こうじゃないかッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 」

「焼きそばパンなら別腹ッ!! わたしに焼きそばパンで挑んだことを後悔させてあげるッ!! 」

 

 

 そう。

 星乃一歌に対して焼きそばパンで挑むということ。

 それこそが、食人たちの最大の敗因となる。

 

 

 


 

 

 南校舎1階廊下

 

 

 

 瞬達が宝探しゲームに熱中している中。

 裁場整一(さいばせいいち)は、壁に寄りかかりながら缶コーヒーをちびちびと飲んでいた。

 

 フリーの武装探偵である裁場が何故ここにいるのかというと、平たく言うと依頼を受けたからだ。

 ホロライブ・にじさんじのライバー達が多数参加するこのゲーム。一応タレントである彼彼女達の安全は最大限保障されなければならず、そのための会場警備員といて呼ばれたのが裁場だった。

 本日は、裁場以外にも何人かの武偵が雇われて警備を担っている。

 彼らに課せられた任務は、イベント存続を妨げかねない脅威を秘密裏に排除すること。

 そのために、裁場は目を光らせ続けていた。

 

 

 ――そのセンサーに、引っかかった不届き者がひとり。

 

 

 とある教室の前。

 鼻歌を口ずさみながら手元の人形をいじくっている女性がいた。

 

 彼女はイベントの関係者ではない。

 事前に手渡された仕掛人・プレイヤーのリストには、彼女は載っていない。

 そして、この海王学園の生徒ですらない。

 

 ――では、彼女は何者なのだ?

 

「――何をしている」

「!! 」

「ここは関係者以外立入禁止のはずだ。もう一度問うぞ、ここで何をしている」

「そういう貴方こそ関係者に見えませんけど? 」

「その手に持っている者は何だ? ぬいぐるみ……ではないな。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 裁場は少女が手に持っているぬいぐるみたちを指差して、その不自然性を指摘する。

 すると少女は、笑みを浮かべながらも、どこか苛立ち気味に裁場を突き放そうとする。

 

「邪魔しないでよ。ちょっとお掃除してあげただけなのに」

「誤魔化すのもいい加減にしたらどうだ? さっきから全然隠せてないんだよ、敵意がな! 」

 

 少女のはぐらかしを踏み越え、裁場が事実を突きつける。

 瞬間。

 少女の浮かべている笑みが、ゾッとするようなものに切り替わった。

 

《KAKUSEI PAPETTO》

 

 彼女が本性を現すと同時に、しゅるしゅると、無数の糸が彼女の身体にまとわりつき、オリジオン態へと変貌してゆく。

 それは、犬や猫、ライオンに羊と、様々な動物のぬいぐるみがごちゃ混ぜに入り交ざったぬいぐるみのキメラとでもいうような姿をした怪人だった。

 パペットオリジオン。

 それが少女の正体だった。

 

「姿を現したな、オリジオンッ!! 」

「残念。もうすこしスマートに行きたかったのだけど、こうなったら予定変更です。趣味じゃないですけど、貴方も私のコレクションに加えて差し上げましょう」

 

 パペットオリジオンはそう言うと、ふわりと後方に跳躍しながら、両の手のひらから糸のようなものを飛ばしてくる。

 裁場は素早く一歩後ろに下がって糸を回避すると、即座にクロスドライバーを腰に装着し、バックルにユナイトライドアーツを装填する。

 

「変身ッ!! 」

《CROSS OVER! 仮面ライダーユナイトッ!! 》

 

 変身しながら跳躍してパペットオリジオンの背後に回り込み、腰のホルスターからフュージョンマグナムを抜いて銃口を突きつける。

 

「おー怖っ、女の子にそんな物騒なもん向けるとかサイテーなんですけどっ‼ 」

「残念だが俺は男女平等主義者でな、オリジオンは男女その他関係なくぶち抜くって決めているんだ」

「へー、じゃあ死ねっ‼ 」

 

 罵倒と共に飛び出したパペットオリジオンの拳をユナイトは軽く打ち払うと、反対側の手に持ったフュージョンマグナムの銃口を彼女の胸元に押し当て、容赦なくその引き金を引く。

 すると、ババババババババババッ!!!!!! と激しい閃光と硝煙がまき散らされると共に、パペットオリジオンの身体が大きく吹っ飛んでゆく。そのままパペットオリジオンは控室の廊下から屋外まで放り出され、近くの木の幹にしがみつきながらよろよろと立ち上がる。

 そこに、ユナイトがフュージョンマグナムの銃口を突きつけながらゆっくりと歩みよってくる、

 そして、問い詰める。

 

「答えろ、ここで何をしていた? 」

「答えるわけないじゃん、あんたみたいなクソ野郎に。これはわたしとあの子だけの問題なんだから――さあっ‼ 」

「ふんっ‼ 」

 

 パペットオリジオンはキレながら、両手から糸のようなものを飛ばしてきた。

 しかしそれらは、ユナイトの精密射撃で次々と撃ち払われてゆく。

 

「その程度の小細工は効かないぞ」

 

 糸をすべて撃ち払ったユナイトは、続けてパペットオリジオンを撃つ。

 しかし、パペットオリジオンは糸を素早く伸ばして自身の前方に盾を展開し、光弾を受け止めてしまう。光弾とまともに相殺出来てしまうあたり、どうやら彼女の操る糸は見た目以上の強度を有しているようだ。

 

「銃は効かないか……ならばそれをぶった切るまでだッ!! 」

《LEGEND LINK!! Fight your destiny, awaken, warrior! LINK BLADE!》》

 

 銃撃は効果がないと判断したユナイトは、ブレイドライドアーツをドライバーに装填しリンクブレイドにフォームチェンジする。どうやら瞬から事前にライドアーツを借りていたようだ。

 変身した姿はアクロス・リンクブレイドと似てはいるが、複眼の色や形、アンダースーツがユナイトの者に変化している。

 ユナイトはリンクブレイドの拡張武装である、ブレイラウザーに似た片手剣・偽聖剣クロスラウザーを手に持つと、それを以てパペットオリジオンの糸の盾を切り裂こうとする。

 

「はあああああああああああああっ! 」

「っ…………‼ 」

 

 ユナイトの思惑通り、糸の盾は容易く切断された。

 そのままユナイトは、盾を失って動揺するパペットオリジオンにクロスラウザーによる刺突をお見舞いする。

 腹部を剣先で突かれたパペットオリジオンは、苦悶の表情を浮かべながらも、両手から大量の糸をのばして球状にし、それをユナイトに叩きつけて反撃する。

 光弾をまともに通さない強度の糸、それが球の形をとって質量兵器としてユナイトに牙を剥く。

 ユナイトの視界いっぱいに広がって迫りくる大玉。

 しかし。

 

「わかっているはずだ、お前の糸は俺の敵ではないっ! 」

 

 一閃。

 ひと刹那の間に振りぬかれたユナイトの一撃が、巨大な糸玉をいとも容易く両断してしまった。

 両断された糸玉は、ズドンっ! と大きな地響きを立てながら地面に落ちる。そして、それを目にしたパペットオリジオンは目に見えて狼狽えだす。

 

「トドメだっ! 」

 

 その隙を、ユナイトが見逃すはずがなかった。

 地面を強く蹴り、クロスラウザーの一突きでとどめを刺そうと、一気に距離を詰める。

 

 

「このわたしがっ…………‼ 」

「お前の野望はここで潰えるっ! 大人しく罪を償えっ! 」

 

 ユナイトの剣先が、パペットオリジオンを刺し貫く。

 ――その寸前。

 

 

 

「ざーんねーんでしたっ☆ 」

「!! 」

 

 突如として、パペットオリジオンの肉体が無数の糸となって分散した。

 標的を失って空を貫くユナイトの刃。

 それを嘲笑うかのように、どこからかパペットオリジオンの声がする。

 

 

「怪人を倒さんと威勢よく戦いを挑んだ仮面ライダー。だけどだけどっ、貫こうとしたそれは糸で作られた分身だった……ってね」

「っ! どこだっ⁉ 」

 

 直後。

 バヒュンッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! と、目にもとまらぬ速さでユナイトの四肢にパペットオリジオンの糸が絡みついた。

 

「なっ…………この速さっ、先ほどまでとは段違いだっ…………‼ 」

 

 手首足首に絡みついた糸は、着々とその面積を増してユナイトの体表を覆わんとしてくる。

 ユナイトは糸を振りほどこうとするが、なぜか身体に力が入らない。糸に覆われた箇所から、どんどん身体の力が抜けてゆく。まるでそこだけ神経が無くなってしまったかのようだ。

 そうこうしているうちに、首から下のほとんどが糸に埋もれてしまった。

 ぐぐぐ、となんとか首を上にあげるユナイト。

 その視界には、木箱に腰掛けながら此方を見下すパペットオリジオンの姿があった。

 

「仮面ライダーも大したことないんですね、とんだ拍子抜けです」

「いつの間に分身を――そうか」

 

 最初から分身だった場合を除くと、戦いの最中でパペットオリジオンが分身と入れ替わるタイミングはひとつしかない。

 あの糸玉を作った時だ。

 ユナイトの視界を覆うほどの大きな糸玉。それを目くらましとして利用し、糸で作った分身と入れ替わっていたのだ。

 そう考えているうちに、ユナイトの顎にパペットオリジオンの糸が巻き付き始めた。

 既に首から下の感覚はなくなっている。

 完全に詰んでいる(チェックメイト)

 

「なにを……する気だ……? 」

「安心してください、命までは取りませんよ」

 

 しゅるりと。

 ユナイトの複眼に糸が絡む。

 

 

 

 

「ただ、陽菜多君へのプレゼントのひとつになってもらうだけですから」

 

 

 

 

 その言葉を耳にしたのを最後に、ユナイトの意識は途絶えた。

 

 

 

 

 

 




まさかの奴が出てきてしまいました。

出すべきかどうかちょっと悩んだのですが、もっとクロスオーバーらしいことやらねば&せっかくの早食い対決ならコイツ出すしかねえ! と思って出しました。
後々恋太郎にも出てもらわないとですね。
…………気が重いなあ。



さて、後半のユナイトVSパペットオリジオンから分かる通り、次回から本格的にバトル色に染まっていくと思います。皆さん大変お待たせいたしました。ようやくドンパチが始まりますよ!
さあ、サバイバルの始まりだ!
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