アイズ「違います。好きになった人がたまたまショタだったんです」 作:鉤森
落ち着け…ソレだけ同志がいるんだ、喜ばしいじゃないですか…!
という訳で、次話をとりあえず投稿しました。上手くいけば今日中にもう一話行きます。
何か甘いの足りない…そして長い。まあ初恋の話だし是非もないネ(今回はどっちもロリショタという罠)
沢山のお気に入り、評価、感想をありがとうございます。すごく励みになってます。
もっと甘くしたいので、僭越ながら応援よろしくお願いいたします。
「…私の好きな人について、詳しく教えろ?」
「せやせや!納得いく説明聞かせぇやアイズたん!」
太陽が落ちるかの如き爆弾発言で幕を閉じた、宴会翌日の朝の事だ。集団を前にしての一大告白の羞恥を隠すために行ったヤケ食いの影響で胃もたれ気味のアイズが、一杯ばかりのスープで朝食を済ませた直後、三人の人影が詰め寄ってきた。
無論、昨夜直後に失神した三人組である(内一名は一柱だが)。特に特攻したら
そんな三人組の要求に、アイズはジト眼で睨みつけながら返す。
「…イヤです。絶対迷惑かけるじゃないですか、彼に。」
「そ、そんな…!あ、実は嘘だったんじゃ!?ベートさんの告白が嫌すぎて、回避するための嘘だったんじゃないですか!?」
「なんつーコトを口走ってやがる雑魚エルフがァ!?」
にべもなく断られたことに狼狽するも、舞い降りた天啓に、思わず希望を見出して声を弾ませるレフィーヤ。汚物が如き扱いに当然ながら食ってかかるベートだったが、冷静に考えてみれば、そっちの方がまだ希望があるのでは?という考えも過り、人知れず壮絶な葛藤が始まりそうになる。
だがそうは問屋が卸さない。レフィーヤの発言に、不機嫌さを増してアイズが首を振る。
「嘘なんかじゃないです。私は…その、彼が好きです。何度でも言えます。」
「ぐぼぁあッ!?」
「昨日のベートさんがゴメンなのは事実ですが。」
「ぎゃぶぅッ!?」
「ベートさんが死んだ!?」
「え、エゲつないでアイズたん…!」
一切の慈悲もなくバッサリと希望を切り捨てられた上に、トドメの追撃に血反吐を吐いたベートが床に沈んだ。その容赦のなさにショック以上に震える一人と一柱だったが、見ればロキもまた膝が笑っている。彼女は「人間の嘘がわかる」という神の性質が、まさかこれほど呪わしく思える日がこようとは思ってもいなかった。
しかしアイズはまだ止まらない。見れば全身でややもじもじとしながら、頬には薄く朱が差している。普段であれば愛らしさのあまり三者三様悶絶必須の仕草なのだが、一人と一柱、ついでに床に伏した一人には、今はそれがとてつもなく恐ろしい怪物の捕食シーンにさえ思えた。
そして、
「何度だって言えるには、言えるけど…恥ずかしいものは恥ずかしい。それに、その…
多分
しかも
今度こそ、三つの屍が食堂の床に転がった。完全に沈黙した三人組は魂が抜けたように白くなり、自力で回復する見込みは薄そうなほどに燃え尽きているのが素人目にも見て取れた。周囲で事の成り行きを黙ってみていたファミリアの面々があまりの惨状に思わず同情するのも無理からぬことであり、気付けば皆、無意識のうちに合掌していた(仏教徒ではないハズだが)。
一方、ようやく沈黙した三人にホッと一息つき、安堵のままに立ち去ろうとするアイズだったが…今度こそ、アイズは困惑することになった。
「フィン?」
「まあ恥ずかしいという気持ちは察するし、
出口への行く手を遮るのはフィン・ディムナ。彼と同じ種族である
何故フィンが?場違いにも思える登場に困惑するアイズを余所に、フィンは言葉を続けた。
「アイズ、君は「ロキ・ファミリア」の幹部だ。それは決して軽い立場とは言えない…つまり、団長としては無視できない事柄だ。向こうの人柄やファミリアもわからないというのは流石に容認しかねる。
それに君の立場で自由に恋愛をするなとまでは言うつもりもないが、これは君の為にも聞いておかなくてはいけない。」
「私の為…?」
「そうだとも。お前がその彼が好きだというならば、きっと我々から見ても信用できる人物だろう。故に邪魔をするつもりは毛頭ない。だが…。」
「ホレ、関係が進めば色々ありえるじゃろ。結婚とか。」
「けっ…!?」
ようやく言葉と話の流れに理解が及び、アイズの顔が朱が差したなどというレベルではなく、薔薇のような鮮やかな赤味に染まっていく。突如として湧き上がる想像に頬が知らず緩み、胸を満たす温かな多幸感は想像を絶するものがあった。
その様子を驚きながらも、微笑ましく見守る保護者達。ひとしきりもじもじとしていたアイズは、ようやく落ち着きを取り戻し、向き直った。
「わかりました。でも、長いですよ。」
「望むところだとも。」
「それに、面白い話でもきっとないです。」
「それはワシらが決めることだ。」
「じゃあ…。」
「皆、申し訳ないが着席してくれ。興味がない者は幹部を除き、退室を許可しよう。…ああ、あとそろそろそこの三人を起こす必要があるな。ティオネ、頼めるかい?」
「お任せください団長!ホラ起きろやオラァ!」
「結局また死にそうだねー、特にベートが。」
漸く、長い長いざわめきが纏まり、皆が笑いながら着席していく。
死に瀕した三人も無事(とは言い難いが)生還し、並んで着席していった。その様子を見届け…やはり少し恥ずかしいなと思いながらも、
「じゃあ、聞いてください。」
その邂逅を、その想いを口にした。
星が落ちるような、燃え盛る恋の話を。
**************
「えっと…コホン。——食うか?」
そういって差し出された、真っ赤なジャガ丸くんが全ての始まりだった。
**************
数年、もういっそ十年にも届きそうなほど昔の話だ。今よりもずっと「強さ」というものに固執していた私は、絶えず自分の身体を苛め抜く日々を送っていた。
何度も心配をかけた。何度も怒られた。それでも、私は止まることが出来なかった。そんな発想も頭になかった。
…だって。
だって私の隣には、「英雄」が現れてはくれなかったから。父のような、「英雄」が。
だから焦っていた。ずっと考え続けていた。どうすればもっと早く、より大きな「強さ」を得られるのかを。どうすれば…「英雄」になれるのかを。
そうやって考えて、むしゃくしゃしながら毎日を生きていて———「剣姫」と呼ばれるようになっても一向に「英雄」に近づけている気がせず、強くなった実感がわかず。何が足りないのか、必要なのかを自問自答し続けるようになった。
そんな時だ。オーバーワークも苛烈を極め、疲れて宛てもなく都市を歩いていると…鼻腔を擽る、食欲を非常に刺激される匂いが漂ってきた。
「…あ……。」
途端に主張し始めた激しい空腹感に促されるまま、私は視線を巡らし、匂いを辿った。路地を進み、人込みを離れ…少し歩くいていくと、入り組んだ路地の隅に小さな屋台があった。
刺激的な香りは間違いなくそこから漂ってきている。見れば店主らしき人物が大粒の汗を垂らしながらも、少し離れた位置からでも聞こえるほどいい音を立てて、何かを揚げていた。
暴力的だった。
空腹感はピークもピーク、そこにきてこの匂い、この音。ふんだんに用いられた香辛料の香りと香ばしい衣の織り成す芳しさときたら、一瞬「強さ」とか「英雄」とか完全に吹き飛ばすだけの威力があった。しかも私は、これ見よがしに屋台の屋根から垂れさがる「垂れ幕」にある文字を見逃さなかった。
———「ジャガ丸くん、揚げたてです」。
もう駄目だった。好物の文字までぶら下げられてしまったら、もう買わずにはいられない。フラフラとした足取りで屋台へと歩み寄っていく私は、店主の「いらっしゃい」という言葉に対して返事もそこそこに、財布を取り出そうとする。
そう、したの、だが。
「あ、れ…?」
財布は、なかった。あまりの衝撃に、頭の中が全て漂白されていった。
財布がない。落とした?忘れた?どっちでもいい、結果が変わらないなら…今、ジャガ丸くんを買えないのなら、どちらでも同じだ。
深い絶望に、泣きそうなほど心が折れたのがわかった。
「…あの…なんでも、な———」
「ハイ、お待ちどうさま。」
震える声で、なんでもない、そう告げようとしたところで、大きな包み紙が差し出された。
思わず反射的に受け取った私の顔に、ふわりと当たるおいしそうな湯気。視線を落とせば、袋一杯に収められたジャガ丸くんがあった。待ち望んだ歓喜の声を上げるように、空腹を告げる虫の声が大きな音を立てる。
思わず目を見開く私の前には、小さな店主が微笑みを浮かべて立っていた。
「お熱いうちにどうぞ。」
「…でも、私…。」
「今日はいいよ、感謝の気持ちってことで。」
感謝。はて、この彼に何かしただろうか?思い当たる節は見当たらないが、いい加減限界だった私は言われるがままにまずは一つ、プレーンなジャガ丸くんを頬張る。
おいしい。それは、今まで口にしたジャガ丸くんの中でも一番と断言できるほど、丁寧な仕事を施された味わいだった。止まらず、私は次々にジャガ丸くんを口に頬張っていく。
見る間に袋を空にしていく私を眺めながら、やはり店主は嬉しそうに笑っていた。ホッと一息つくと、後から滲むように羞恥心がこみ上げてきて、私は顔が熱くなるのを感じた。
「あの…。」
「うん?」
「まず、ありがとうございます。ジャガ丸くん…すごくおいしかったです。」
「そっか…うん、うん。こちらこそありがとう。」
「それで、なんですが。」
「うん?」
「なにが感謝なんでしょうか。ごめんなさい、私は…あなたを覚えていません…。」
先程の言葉が気にかかり、思い出そうと必死に記憶を呼び起こそうとするも、目の前の店主に該当する記憶は存在しなかった。そもそも私の記憶の中に小人族の存在など団長であるフィンくらいしか存在していない。故に、ここまでご馳走になった相手への罪悪感に締め付けられながらも、そのことを素直に告白した。
だがそんな私の言葉に、店主は「あー…」という短い声と共に、苦笑いを浮かべると———
「いや、混乱させてゴメン。初対面だよ。」
「…え?」
罪悪感など余所に、出てきた言葉はそんな、思いもよらないものだった。
思わず呆けた私。しかし、次ぐ言葉には呆けてなどいられなかった。
「見た所、君は相当に腕のたつ冒険者に思える。だから「感謝」したんだよ。戦えない俺達に代わって、いつも前に出て剣を振るってくれる君に、君たちに。」
「———ッ!!」
何気ない感謝の言葉に、満たされた幸せな気分が一転、ズクンと大きく胸を抉られたような痛みを覚えた。ある意味で、それは私が一番に恐れていたことばだったからだ。
違う、そうじゃない。私が感謝なんかされる謂れはない。感謝なんかしないでほしい。満足してはいけないから、そんな温かい言葉で私を絆さないでほしい。
だって、私は———、
「弱い。」
「……え?」
「私は、腕も未熟。強さも足りない「弱い人間」のまま。何が足りないのか、その答えだってわかっていない。あなたに感謝される謂れはない。そんな資格、ない。」
最低だと思った。おいしいものを無償で貰い、感謝されて吐き出していい言葉ではないとおもった。
だが言わなくては行けなかった。譲るわけにはいかなかった。これは決意だと自分に言い聞かせる。たとえ目の前の店主を怒らせても、悲しませても、これだけは言わなくてはいけないと思った。私は自らの意思で、呪いのような言葉を吐き出していた。
だから全てを吐きだし、俯く。とても目を合わせられない。店主の沈黙が、酷く恐ろしいものに思えた。どんな罵声も同情も覚悟して、情けなく受け止めるつもりだった。
「いいや、感謝するよ。」
「————………。」
覚悟は決めていた。だからこそ…今度こそ、何も言えなかった。
覚悟していたものとは別の、店主の言葉は続く。
「俺は、
「後悔はないさ。さっきも言ったが無駄に終わったわけじゃないし、この仕事も気に入りだしてる。その意義を俺は、俺達はもう見つけてるから、この道に立てていることへの感謝はあっても、後悔はない。」
「———でも未練がないわけじゃない。」
聞き入っていた。こちらを見つめる店主の…少年の瞳が、あまりにも美しく映っていた。
神ならぬ身であっても、容易く理解できた。真実だと。そう訴えかけるだけの誠実さが、そこにはあった。
「もっと努力出来ていたら違ったのだろうか。もっと才能があれば叶った夢なのだろうか。もっと工夫を凝らしていれば…もっと足掻きに足掻いていれば、俺も誰かの前に立てたのか。誰かの隣に立てたのか。そう思うときは、今でも多い。
「だから君に感謝するし、尊敬する。いくらでも応援するし、こんな程度の困難ならいくらでも手助けするよ。君は前に進めた人だ。誰かのために、剣を振るう人だ。きっと恐怖も苦痛もあったのに、君はそれを成している。」
「俺は
そこまで言った所で、先程まで小さかった少年が、とても大きく、眩しいものに変わっていった。何も言えない私を余所に、店主は一度、手元に視線を落とすと…一つの、個包装用と思しき包みを、目の前に差し出してきた。
ジャガ丸くんだった。それも赤く、強い香辛料の香りを放つ、今までのものとは違うタイプのものだ。
「さしあたっての追加サービス。団長も俺達も大好きな至高の一品をどうぞ。
えっと…コホン。—————食うか?」
その言葉に促されるまま、私は包みを受け取り、赤くて刺激的な様相のジャガ丸くんにかぶりついた。
ざくりとした心地よい衣の触感、渾然一体となった香りの調和と爆発。ホクリとした芋の触感の先から、トロリと流れ込むソースが舌を突き刺し辛————。
ン?辛?
辛…辛…、辛……、辛……。
———辛ッ!!!?
「~~~~~~~~~~~~~~~ッッ!?」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!?」
仰け反り、倒れ、のたうち回る。放り投げたジャガ丸くんを見事キャッチした店主が驚きながら駆け寄ってきたが、それどころではなかった。
熱い。辛い。というか痛い。鼻を突き抜ける香りに涙が止まらない。頭の中が煮えたぎるように沸騰するのが実感できる。胃の腑に落ちた熱が溶けた鉛のように熱く重たい。毒?いいや、そんな生易しいモノではない。
これは地獄だ。地獄の具現だ。
「このアホンダラ———!!」
「ぐほぉあっ!?あ、姉君様…!?」
「ちょっと留守にしてたら、食わせたの!ソレ!一般人にはまだ早いと言ったでしょうが…!」
「いや美味しいし元気でそうかなって…。」
「いいから牛乳割ポーション持ってこい!飲ませろ、痙攣してるぞ!」
「い、イエッサー!」
なんだか新たな乱入者も増えて大変賑やかになっているが、全てがどうでもよかった。
短い、余りにも短い今までの人生が駆け巡る。ああ、皆の顔が過ぎ去っていく。ごめんなさい、私はここまでかもしれません。色々心配かけましたけど、どうか店主さんを許して、あげ———
『アイズ。』
忘れもしない声が聞こえた。意識がはっきりとして、生への執着が蘇ってくるのがわかった。
もう聞けないと諦めかけた声だ。急いで眼を開けば、そこには心配そうに私を覗き込んで、白いドリンクを飲ませてくれる少年の顔があった。
和む口の中の痛みに周囲を見渡すが、声の主の、ずっと会いたかった人の姿はない。だが…声は、消えてなかった。
『いつかお前だけの英雄に、巡り合えるといいな。』
———あ———。
声はそれだけ言うと、残響も残さず消えていった。茹だった脳が急速に冷えていき、今まで噛み合わなかった何かがカチリと音を立てて嵌った気がした。
ただの、幻聴だったのかもしれない。だがもしかすると、何かの奇跡だったのかもしれない。その解釈は自由だ、だが私は…きっと、後者である気がした。そのほうが、きっと素敵だから。
霞む視界がはっきりして、少年の顔がハッキリしてくると、私は弱々しく手を伸ばしていた。
そして、尋ねていた。
「私は…「英雄」に、なれますか…?」
その質問に安堵の表情から驚いた少年は、やがて伸ばしたその手を握り…穏やかな笑みと共に、答えた。
そう。それは私の得た答えを肯定するもの。知らぬ間に摩耗した「願い」を、照らし出した光。
「もうなってるよ、君は。」
温かい。胸の内から湧き上がる気持ちが、身体の隅々まで行き渡っていく。
そう、私は「
ずっと見落としていた。知らない間に置き去りにしかけていた。それを、今、取り戻した。
「君はとっくに、誰かを守れる「英雄」だ。」
涙と一緒に、笑みが零れた。感じた事のない気持ちが…いや、どこか懐かしい気持ちが、身体の奥底から湧き上がってくる。でもまずは…彼のように、この溢れ出る「感謝」を捧げよう。
「ありがとう、ございます。私は…アイズです。「ロキ・ファミリア」の、アイズ・ヴァレンシュタインです。本当に、本当に…ありがとうございました。」
「…どういたしまして。俺は白野。キシナミ・白野…「アンリマユ・ファミリア」だ。これからもどうか御贔屓に、アイズ。」
ありがとう、白野。
あなたのおかげで私は英雄になれました。なっていたのかもしれないけど、きっと正しくなれました。
背中にいる人たちを思い出せました。剣を振るう理由を、足を動かす想いを思い出せました。
だからもっと強くなります。なって見せます。きっとなれます。後ろにいる
だから、どうかあなたを守らせてください。あなたと共にいさせてください。
私の帰りを…どうかずっと、待っていてください。
私の愛しい、白野。
**************
「…という、コトがあった。あれから数年経っても、気持ちは変わっていません。私はずっと…彼が好きなままです。」
今も褪せない、二人の出逢いの物語。ようやく謳い終えたとばかりに額に浮かんだ汗を拭い、アイズは万感の思いを込めて締めくくった。
無論、感想は人それぞれだ。だがこの想い、この恋に間違いはなかった。それだけは否定をさせないと、アイズは強く思う。きっとこれからも変わらない、あの時よりも強くなれた私こそがその証明なのだから。
そして見渡した食堂の様子に———彼女は眼を丸くした。
率直に言って暗かった。静まり返っていた。あと色々力尽きていた。
「…いや長いとは言ってたが、まさか日が沈むまで話を聞くことになるとはね。」
「ちと見くびっとったかのう…。」
「…Zzz……ながい…むにゃ…。」
「ティオナめ、寝ちゃってるじゃないの…あ、私はよかったと思うわよ?アイズ。ちょっとシンパシー感じたわ。」
「おい、ベートが途中からまた死んでたぞ?」
「いや、しゃーないでしょうコレ…誰だって死にたくなると思うっスよ…?」
「というか麻婆で殺されかけてましたよアイズさん!?眼を覚ましてください、ソレ絶対刷り込みとかの類ですって!」
「アンリ…アンリマユやとぉ…?あの、あの人ォ舐め腐った、チャラけた最弱ニート神の所ン餓鬼に、ウチのアイズたんが誑かされた言うんか…!?上等じゃボケェ、戦争やぁぁぁああああああああああああ!!」
…あれ。可笑しい。悪化してる気がする。
…まあ、いっか。言いたいことは言えたし。
明日、白野に会いに行こう。沢山甘えて、ジャガ丸くんを一緒に食べよう。
はやく明日に、なったらいいな。
「…そういえばアイズ、途中から乱入したのは結局誰なんだい?」
「あれは白野の双子のお姉さん。とっても優しくて、面白いけどしっかりしてる人。」
「小人族?」
「小人族。」
「…よし、一度視察も込めて挨拶に行っておこう。ああ、僕一人でいいからね。」
『
・ざっくりキャラクターマテリアル
キシナミ・白野
年齢18歳、小人族の「アンリマユ・ファミリア」所属。双子の弟の方。
外見は小人族の為に永遠のショタのままであり、二つ下の筈のアイズにはよく抱きしめられたり頬ずりをされている。だが根が面倒見がいいこととアイズという恋人の精神年齢が微妙に低く幼いため、どちらかというと甘えさせている側に立っている。
見た目からは想像できないが、実はがっちりしている。広く状況を見極めて的確な判断を下せる優れた観察眼と決断力を持ち合わせており、非才とはいうが無能ではない。なお、今はその才能を十分に厨房で生かしている。「泰山」の麻婆が好物。あと焼きそばパン。
キシナミ・白夜
年齢18歳、小人族の「アンリマユ・ファミリア」所属。双子の姉の方。
外見は弟同様にエターナルなロリ。因みに名前は「白野」に近しく、後半一文字を読み繋がりで置き換えただけ。ノリと発想が若干弟よりもぶっ飛んでおり、だいたい悪乗りしたりするのは姉の方。引っ張り回すのも姉の方。憎めない姉。
同じくがっちりしているが、一応色々柔らかい。団長の酷評に膝を折らず、実は一発かましてたりする。基本は二人で行動がデフォだが、弟の逢引きは空気を読んで撤退する。でもデバガメはする。「泰山」の麻婆が好物。あとプレミアロールケーキ。
~ある日の出来事「ザビーズ」の由来~
「弟よ。きっと我々の店が流行らないのは、一重に地味だからだと思うんだ。」
「いきなりグサッと来ること言いますね姉君。…じゃあ、どうしたらいいと?」
「いや、個性を作ろうって話だよ。」
「個性を…作る?」
「さしあたって芸名とかどうかと。」
「芸名。」
「案を出そうか。」
「ン———……なら、「フランシスコ・ザビエル」とかどうだろう。」
「どっちが?」
「どっちも。」
「よし、やろう。」
『いらっしゃいませ!「小泰山」店主、二人合わせて「フランシスコ・ザビエル」です!ジャガ丸くん御一ついかがですか!(ビシィ』
『………。』
「やめよう。」
「うん、そうしよう。」
以来、二人はひそやかに「ザビーズ」の通称を獲得した。