駄文短編集   作:完全怠惰宣言

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黒子主人公最強系ドリームチーム無双がかきたかったんです


黒子のバスケ~ORIGINS・ZERO~

帝光中学校バスケットボール部、部員数は100を超え 全中3連覇を誇る超強豪校。

その輝かしい歴史の中でも特に「最強」と呼ばれ、10年に1人の天才が5人同時にいた世代は「キセキの世代」と呼ばれている。

しかし、世間には認知されていない”2つ”の噂があった。

 

誰も知らない、試合記録も無い、にもかかわらず、天才5人が一目置いていた選手、「幻の6人目(シックスマン)」と呼ばれる存在がいた。

 

”彼ら”の才能にいち早く気づき、”彼ら”の才能を引き出した誰しもが憧れを抱いた最良の選手「始まりの0人目(オリジン・ゼロ)」と呼ばれる存在がいたことを。

 

 

 

桃井 さつき。

帝光バスケ部元マネージャーで、「キセキの世代」の同期。

容姿端麗でFカップの巨乳(いまだ成長中)の持ち主、人懐っこく明るい性格故に異性同性問わず友達も多い。

帝光入学時からバスケ部マネージャーを務め、参謀役としてキセキの世代の躍進に一役買っていた。

一方で帝光の理念には染まっておらず、”バスケとは楽しみ、楽しむモノ”という考え方である。

情報収集、そしてそこから各選手の特性を見極める能力に長け、相手選手の成長傾向までも分析し対抗策を練るため、相手の策を事前に封殺してしまう。

そんな、スポーツという分野においてどこからも喉から手か出る程に求められている彼女は現在学生であれば皆が悩む岐路に立たされていた。

 

「・・・・高校、どうしよう」

 

彼女のマネージメント能力の高さを見込みスポーツ推薦枠を削ってまで彼女を欲する高校が毎日の如く帝光中学校に訪れていた。

事実、彼女の能力は一定水準に達している選手を多く有していれば間違いなく全国へと行ける選手へと成長させられることはもちろん、試合運びを有利に進めることすら可能であったからである。

夏休みが明けてから、様々な高校が彼女の説得に学校に来ているが彼女の心に響くことはなかった。

 

「(全中からこっちどうしてもスポーツが楽しく感じられないのよね)」

 

彼女は全中優勝以降なぜかスポーツ全般を楽しく感じられなくなっていたのである。

それ以前に3年生となってからもしかしたらそうであったかもしれない。

勝利を義務付けられていた当時は考えていなかったが、バスケから離れて以降ずっと悩んでいたのである。

チームとして体を成していなかったにもかかわらず優勝してしまったあの時、彼女の中に残っていた何かが音を立てて切れたようであった。

それ以来、「帝光バスケ部」に係る全てから逃げていた彼女の重いため息が今日も廊下に響いた。

 

 

後に彼女はこう語っている。

いつも通り聞き流すはずだったその場所で”あの人”に再会できたからこそ、あの決断をすることができたと。

 

 

 

【あ、オレ今日は勧誘行けないからさ代わりに行ってきてよ】

 

【あぁ、ふざけんな。”あそこ”は手前が担当のはずだろうが】

 

【そうなんだけどさ、オレが行くと怪しまれるからさ。悪いけど行ってきてよ】

 

【・・・はぁ、仕方がない】

 

【ありがとう、それじゃ【日よってんじゃねえよ、一緒に行くぞ】イ~ヤ~だ~】

 

 

 

数時間前の会話を思い出しながら不機嫌そうに舌打ちしている見るからにガラの悪い少年は、待ち人が来るまで隣の相棒のオドオドした姿を思い出してまたイライラのゲージを貯めていた。

 

「つうか、お前何にビクビクしてんだよ」

 

そういうと着ているパーカーのフードを目深に被っていた相棒は体を一瞬だけビクつかせると恐る恐るフードの下から顔をのぞかせる。

 

「・・・・・コウハイコワイ・・・・・」

 

そうまるで片言のように喋ると再びフードで顔を隠そうとしていた。

 

「ふっざけんな、ちゃんと喋れ、顔を隠すな、オドオドするな、不審者かお前は」

 

「でもさ”マコちゃん”、あいつらマジでヤバイんだって。具体的に言うと髪の色が日本人離れした奴らがヤバイんだって」

 

進路指導室内では二人の少年が騒いでいた。

その声は外には漏れていなかったが、進路指導の教員は眉を顰めて咳払いをすることで二人に注意を促す。

しかし、教員としてもこうして”卒業生”が訪れてくれるのはうれしい限りであった。

彼が昔を懐かしんでいるとドアをノックする音が聞こえてきた。

 

「3年の桃井です、入ります」

 

「あぁ、桃井さん待っていたよ、入りたまえ」

 

 

進路指導に教員の声を合図に彼らが待っていた少女が入ってきた。

 

「3年の桃井です、本日はお忙しいところご足労いただきありがとうございました」

 

そう断りを入れて今日の相手に目を向けた彼女の先には予想だにしなかった存在が座っていた。

 

「初めまして、だな。東洪(とうこう)大学付属湘南高校男子バスケ部主将”花宮(はなみや) (まこと)”だ。こっちの馬鹿は知っているだろう」

 

まず挨拶をしたのは彼女も知っていた存在。

「キセキの世代」のあまりに突出した才能の前にかすんでしまった「無冠の五将(むかんのごしょう)」と呼ばれていた悲劇の天才の一人だった。

彼を知る者からは「バスケットにもっとも不誠実な男」と、彼を”よく”知る者からは「バスケットにもっとも裏切られてきた男」と評価される不遇の天才。

悪童(あくどう)」の異名を持つPG「花宮 真」が太々しく座っていた。

そして、そんな彼に親指で指さされた隣の人物は意を決したかのようにフードを取った。

 

「よぅ、久しぶり。あんま元気そうじゃねえな」

 

その笑顔を見たとき、彼女の頭にはかつての光景が思い出されていた。

 

 

【いいか。お前は”セイジ”とは違うけど”いい目”を持っている】

 

【”いい目”、ですか?】

 

【そう、だから自信もってガンガン意見だしていけ】

 

【????、えっと、頑張ります?】

 

【よぅし。あとさ、”笑え”。女の子がそんなしみったれた顔してんじゃないよ】

 

 

あの日、相談した時のいたずらっ子のような笑顔が。

 

 

【泣くなよ、お前のせいじゃないから】

 

【でも、先輩のオーバーワークに気づけてたのに監督に言えませんでした】

 

【オレが黙らせたんだからオレのせいだしょ、だからもう泣き止めよな】

 

 

あの日、自分のせいで故障させ、選手リストから外されたにも関わらず困り顔で笑いながら頭を撫でてくれた温もりが。

 

 

【先輩どうしよう、このままみんなが楽しくないバスケをつづけていくことになっちゃったら・・・・・】

 

【一人で抱え込むなよ、オレも何か考えるから】

 

 

全中前、キセキの皆がバラバラになっていくのを止められずに泣きながら相談した時に抱きしめてくれた暖かさが思い出されていった。

 

 

「つき・・・・しろ・・・先輩?」

 

「あ、何、寝ボケ?どうしたよ”さつき”」

 

そこには、会いたくて会いたくて、でも会わせる顔がないと思い悩んでいた存在が、あの時の同じ困った笑みを浮かべて座っていたのだった。

 

 

 

「改めまして、東洪大学付属湘南高校男子バスケ部副将”月白(つきしろ) 空梧(くうご)”です、今回は貴重なお時間をいただき、また学生の自分たちに大人と同じ舞台で交渉させていただける機会をいただき誠にありがとうございます」

 

会わなくなってから丸一年たった月白先輩は相変わらずの女顔で、それを気にしているにもかかわらず肩を超える長さまで綺麗に伸ばされた黒髪に目が行ってしまう。それでいてスポーツ選手とは思えない細身の体が余計に性別詐称に拍車をかけていた。

 

「それと、今更ですが呼び捨ては何かとまずいので”桃井さん”と呼ばせてもらうけど、遅くなりましたが全中三連覇おめでとう」

 

そういって先輩が見せてくれた笑顔は相変わらず暖かな人に安心感を与えるような笑顔だった。

 

「早速ですが、本題に入らせてもらおうか。桃井さつき、推薦もやれないし新設校だから設備だけは新しい僅か3人しかいないうちの部にお前の力をくれ」

 

月白先輩の久しぶりの癒しオーラに充てられていて忘れかけていたけど、隣に座っているあからさまに態度が悪い花宮さんの言葉で現状に戻されてしまった。

 

「花宮君、先ほども私から言わせてもらった通りだがもう一度言わせてもらおう。この申し出を受けるメリットが彼女には一切ない。それは解っている上でその発言でいいんだね」

 

そう隣の進路指導の先生が威嚇するような目つきで花宮さんを睨みつける。

 

「そうっすね、今言ったことはオレらの正直な現状ですし、下手したら3年間を棒に振るようなもんでしょうけど彼女の能力(ちから)を誰よりも把握し、彼女に与えられる最高の環境を整えられるのはうちの学校以外ありえないって考えてますけど」

 

以降、花宮さんが押していく形で進む会話は先生に申し訳ないけど花宮さんが押しているようにしか見なかった。

正直、先輩に会えてうれしかったけど、先生の言う通り私へのメリットが無さすぎるこの交渉に早々に見切りをつけて断ろうと思った。

 

「申し訳ありませんが今回は「桃井さん、今バスケは“楽しい”ですか?」

 

断りを入れようとしたその時、月白先輩が今一番聞かれたくない質問を投げかけてきた。

そのせいで言葉が詰まってしまった。そしてその言葉を切欠に私の中に押し留めていた黒いモヤモヤした感情が流れ出してきた。

 

「オレが帝光を転校して、リハビリもしながらだけど皆の試合は見に行っていた。その中で最後のあの大会は見ていて正直反吐が出そうなくらいだった」

 

「”個人技を優先させた”ように見せていたけど”あいつら”だったからこそチームとしての体面を保てていたけど正直あれはいったい何だったんだ」

 

「真田のおっさんはコーチとしては一流だったけど、あの人とチームを潰したと学校は考えてないっしょ」

 

月白先輩の言葉が目を背けていた現実を突きつけていく。

私はいつからかマネージャーとして一番大切な裏方としてチームを纏める仕事を放棄していたと言われているようで涙が出てきた。

 

「だからさ、”さつき”は”キセキの世代”っていう括りが嫌いになったんだろ」

 

そう言って私を真剣に見つめる先輩の瞳を見たとき、私は何も言えなくなってしまった。

それから数分間、誰も一言もしゃべらないまま時間だけが過ぎていく中で突然先輩が話し始めた。

 

「今後の展望ですが、既に目ぼしい新人は既に確保しました。”白金監督”と”真田コーチ”もうちの学校への移籍が決まりました」

 

「・・・・・・えっ?」

 

「桃井さんをうちが欲している理由は、先ほど彼女が来る前にお話しした通りです。彼女のマネージメント能力があればシステム化された部活動なんぞ敵ではありません」

 

「そして、今話をしている中でもう一つ彼女を欲する理由が出来ました」

 

そう言って真剣な眼差しで私を見てくる月白先輩から目を離せなくなり、次の言葉で私の人生は決められてしまった。

 

「桃井さん、”うち”ならお前が嫌いな”キセキの世代”を潰せる」

 

そう言って今日一番の笑顔を魅せてくれる月白先輩の顔から目が離せなくなっていくのを自覚した。

 

「”さつき”、楽しいバスケ一緒にしよう」

 

 

四月、真新しい制服に袖を通して私は新たな場所で生活を始めていた。

 

「まってたよ、”さつき”」

「お世話になります、”シロ先輩”」

 

桃井さつき、私の戦いが幕を開けた。

 

 

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