駄文短編集   作:完全怠惰宣言

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死蔵予定供養③


海賊物語~だが生きている!!~

原典の歴史通り、自身の恩人の妻を忙殺された光月おでんとその部下である9人のサムライは憎き敵、黒炭オロチを討たんと討ち入りを決行。

しかし、結果は無惨にも敗北と言う形で幕を閉じた。

 

「ふん、釜茹でか」

「あぁ、しかしただの釜茹でじゃねぇ。たっぷりの油で光月の人間には地獄を見てもらうぞ」

 

カイドウとオロチが城にて宴会を行っているその時、アセビはとある牢の前にいた。

 

「キシシシシ、不様ですね」

「・・・・、童。何しに来た」

 

そこには血だらけで壁に背をつけそれでも前を見つめる光月おでんの姿があった。

 

「一族郎党、本気になって探しだし根絶やしにしていればあんな化物が産まれなかったのに」

「それは、黒炭の残党のことか」

 

おでんの言葉に無言で首を横に振るうアセビ。

 

「オロチのことです」

 

おでんは自身を真っ直ぐ見据え、まるで熱を帯びていない瞳で見つめるアセビに、自身の子とそう変わらぬ年齢の子供の発する何かに冷や汗が流れていることに気が付かないでいた。

 

「“あれ”はこの国が産んだ憎みの化物です。“黒炭”と言うだけで迫害され殺され罪人とされ、そう言った怨み辛みが黒く濁った怨念が形となった存在、それこそが“黒炭オロチ”です」

 

アセビの語る言葉におでんは顔を背けることしか出来なかった。

 

「奴は“光月家”が憎いのではありません。光月が頂点に有ることを良しとし、光月の名に媚びへつらうこの国が、“ワノ国”そのものが憎いのです」

 

おでんは解っていた。

黒炭が受けてきた迫害、その悲惨さ凄惨さ。

それらを理解したつもりでいた。

 

「奴は躊躇しない、迷わない、目もくれない。奴にとってこの国への復讐は正当なものでその為なら、自分以外の存在がどうなろうと構わないのだから」

 

アセビから発せられる言葉におでんは口を閉じることしか出来なかった。

実際、アセビの言う通りであったのだから。

 

「あれは“ワノ国”が造り出し、あんたが自分勝手に外海で遊んでたせいで完成した概念と復讐の化物だ」

 

そう言い切るとアセビは踵を返して牢から遠ざかっていく。

ただ1枚の紙を牢に残して。

 

「乗ってくると思うか?」

 

カイドウの元へと歩くアセビ、そんなアセビを待っていたのかキングが柱に寄りかかっていた。

 

「乗りますよ、おでんは甘い男だから。家族を盾にされたら必ず乗ってきます」

「ふん、既にババアとジジイは対処済みだ」

「ふふふ、さようならオロチ」

 

それから、アセビは処刑当日までヤマトとずっと一緒にいた。

百獣海賊団の団員たちと一緒に船を出して船の上で生活して、ヤマトも楽しそうにしていた。

そして処刑当日、ヤマトは朝からぐっすりと眠っていた。

 

「流石に、あれだけ遊べば子供のヤマトなら体力尽きて今日は寝てるだろう」

「お嬢の方が片付いたら行くぞ。そろそろ時間だ」

 

クィーンに連れられ、おでんと赤鞘の処刑場が見える屋敷に移動するアセビ。

アセビは百獣海賊団にて毎日、キングやカイドウに遊ばれたことで能力者として既にモリアを超えた状態にあった。

おでんが油で満たされた鍋に飛び込み、赤鞘たちを乗せた板を支え、オロチが指定した刻限となった。

しかし、確実に光月家を滅ぼしたいオロチは銃殺に切り替えた。

おでんは赤鞘を乗せた板を放り投げ、赤鞘を逃がした。

おでんの見栄を聞き届け、カイドウが発砲する。

おでんの上には自身が放り投げた板が迫り影を作り出し、そして意識を失ったおでんは鍋の中に消えていった。

筈であった。

おでんに板の影がかかりどこからも見えなくなったとキングから合図があった。

そして、アセビは自身の能力を発動し、アセビの影が部屋いっぱいに広がる。

 

渡影門(トカゲート)

 

影に手を突っ込むアセビ、何かを探すように影を弄る。

すると苦痛に顔をゆがめ捜し物を見つけたアセビは影から何かを引っ張り出そうとしていた。

 

「クィーンさん助けて、こいつ重い」

「ムハハハハハ、お前からしたら大男だもんな」

 

そう言うとクィーンはアセビに近づき、アセビを引っ張り上げる。

クィーンの力が加わったことで影からアセビの手が引き抜かれる。

アセビの手には先程、油に消えたはずのおでんが握られていた。

 

時は進み、炎に包まれる城にて役目は終えたと言う顔をして自身の最期を待つおでんの妻トキ。

 

「いやぁ、よかったよかった間に合ったようで」

 

聞いたことのない子供の声に意識がさかれたその時、身体を拘束され布を口許に覆われてしまい、徐々に意識を失っていくトキ。

 

「クィーンさん、流石に人妻はダメですよ」

「はぁ!?べ、べつにぃ、タイプの美人だなぁ。とか世間的には未亡人なんだからぁ。とか考えてねぇからな!!」

「欲望だだ漏れでウケる」

 

数年後、鬼ヶ島領内。

アセビは自身に宛がわれた研究室を目指して歩いていた。

 

「お、アセビの旦那お疲れ様です!!」

「「「「お疲れ様です!!」」」」

「うぃす、ちゃっす、ちーす。お疲れさん」

 

能力を使用しなくても一般の戦闘員程度なら余裕で快勝出来るようになったアセビは百獣海賊団の中で確固たる地位を築いていた。

基本的に戦闘面しか役に立たない者が多い中、内政に携われるというだけで百獣海賊団にとって無くてはならない存在になってしまうのだが。

 

「今日も大荷物っすね、研究は順調ッスか?」

「まぁ、順調かな?コレが終わればカイドウさんも少しは楽しくなるかもだしな」

 

アセビの言葉に盛大にハテナマークを浮かべる戦闘員たちをよそにアセビはスタスタと歩いて行った。

研究室の扉の前に立つとアセビは能力を発動させる。

 

「渡影門」

 

扉といっても実際は開きもしない壁のような物でアセビの能力が無いと中には入れない様にしてあるのだが。

能力を発動し、部屋の中に入る。

そこは研究室と全く違う療養室の様な有様となっていた。

 

「よっと、ほら足りない物とか色々持ってきましたよ“トキ”さん」

 

そこには白衣を着て様々な計器を悉に観察しているトキがいた。

 

「有り難うございますアセビ殿、ほらあなたもお礼を言ってください」

 

トキに言葉をかけられ暗がりの中から現れた男にアセビは笑みを深める。

 

「どうです、クィーンさんの自慢の機械鎧(オートメイル)は」

「うむ、まるで自分の脚の様な感覚だ。素晴らしい技術だな」

「起きてから半年も満たない期間で以前以上の動きを手に入れられるあんたがスゴいんですよ“おでん”殿」

 

暗がりから現れた大男。

火傷で使い物にならなくなった脚は、クィーンが造り上げた機械の脚となっておりそれを十全に使いこなし以前よりも激しく動けるようになっていた。

 

「おう、童!!おでんはないのか。オレはおでんが食いたいぞ」

「今日は頼まれた材料持ってきましたか勝手に作ってください。後でカイドウさん来ますからそれに併せてくれると有り難いですが」

 

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