Virtual Battle Simulation 作:シィロ
更新遅くなり申し訳ないです!
今回で切り良く終わるはずが、久々の執筆で思ってたペースで書けなかったのと、どうにか区切りのいい所まで書けたので中編として投稿する運びとなりました。
文字数もそんなに多くはありませんが、何卒よろしくお願いします。
どこからかカタカタと規則正しい音が聞こえてくる。
ゆっくり目を開けると、視界一杯に真っ白な天井が広がっていた。
ここはどこだろう?
記憶を遡ろうとするが、ここにいる理由から自分が何者であるのかさえ分からない。
唯一残っている記憶は、ポニーテールの少女の姿だけだった。
あの子はいったい誰なんだろう?
ぼんやりと考えてると、先ほどまで聞こえていた音が消えていた。
不思議に思って起き上がろうとするが、身動きが取れない。
どうやらベッドに縛り付けられてるようだ。
どうにか動かせる頭を起こすと、円柱型の身体が見え、腹に当たる部分が開き中からコードが這い出ていた。
視線でコードを辿ると、ベッドの横に置かれているPCに繋がっていて、モニターの陰から全身真っ黒な人影がこちらの様子を伺っていた。
『だれ…?』
僕の声に応えるように人影が手を振ると、モニターの陰に隠れ、またカタカタと規則正しい音が聞こえだした。この音はどうやら彼がキーボードを叩いている音だったらしい。
縛り付けられてるが窮屈ではないのと身体全体が気だるいのもあって、起き上がるのは諦めて大人しくなされるままにすることにして天井を眺めていると、部屋のドアが開き何かがぞろぞろと入ってきた。
見ると、僕と同じ大小様々な円柱型のロボットがベットを取り囲んでいた。
『おきた?おきた?』
『ビリビリドーン!だいじょぶ?』
『しんいり、おきた!』
大量のロボットたちから声をかけられて鬱陶しい。耳を塞ぎたくなるが腕の自由も効かない。助けを求めるように人影がいるモニターの方を見るが。
『しんいり、きおく、ない?』
『不具合?』
ロボットたちに何か伝えている最中らしく、助け舟を出してくれる様子はない。
『ロボ子さん、こうじょう、いった?』
『じゅんび、する?』
『たんとう、じゅんびずみ』
『りかいりかい』
騒ぎは収まるどころかどんどん数が増え、今では廊下にまでロボットがたむろしている状況だ。
僕は諦めて、この騒がしさが収まるか、このロボットたちが出ていくまで心を無にして耐えることにした。
ここは病室か何かじゃないのか、全く。
『ちくわだいみょうじん』
『だれだいまの』
『だれだいまの』
おい誰だよ今の。ちくわ大明神ってなんだよ。
***
「ここも……あそこにも……屋上にも見張りがいる……。予想してたよりいっぱいいるなぁ」
ろぼさー工場から少し離れた石柱の陰から様子をうかがいながら、ロボ子は一人ごちる。
工場はフェンスに囲われ、敷地内はろぼさー工場本館が中央に鎮座し、周りには資材庫や廃材庫、電気を供給する発電機などが配置されている。
その各施設の出入り口、施設同士をつなぐ通路、さらには屋上にまで赤黒ろぼさーが配備され、各施設を見回る赤黒ろぼさーまでいる始末。
ロボ子の予想を上回るペースで生み出されているようだ。
「施設の裏側ならワンチャンいけるかな……よし!」
事前に起動していたバーチャルバトルシミュレーションの転送機能でドローンを呼び出す。
そして新たに習得したスキルを宣言する。
「ファンスキル、ろぼさー!」
『Fan Skill<ろぼさー>。承認しました』
システムアナウンスと同時に、1体の小柄なろぼさーが呼び出される。
『はろーぼー!』
「はろーぼー、今日はよろしくね」
ファンスキルとはその名の通り、ファンの力を借りるスキル。
ファンとの結びつきの強さやファンたちの能力によって出来ることの幅は無限に広がるが、こと戦闘においてはサポートに徹したスキルだ。
互いに挨拶を済ませると、ロボ子はろぼさーをドローンの上に載せた。
「今から君をコイツに載せて飛ばすから、君はコイツの上から工場を見てほしいの。いける?」
『おまかせ!』
ろぼさーはキリっと眉をあげ敬礼し、首にかけてた手錠の片側をドローンに装着する。
「それじゃ、いっくよー!」
「さー!」
4つのプロペラが急速に回転し、その機体とろぼさーが宙へ浮かび一直線に工場上空を目指して滑翔する。
同時にロボ子はもう一つのスキルを宣言する。
「ファンスキル、感覚共有!」
宣言と同時にロボ子とろぼさーの視覚、聴覚がリンクし、ロボ子の視界には高速で流れる地上が映し出される。
吹きすさぶような風の音から、かなりの速度で飛行していることがわかる。
ろぼさーが工場の方へ視線を変えたのか、視界にろぼさー工場が映し出される。
屋上に待機していた赤黒ろぼさーの何体かはこちらに気づいたようだが特に何をするわけもなく、じっとこちらを凝視していた。
まもなくドローンがろぼさー工場上空に到着し、リンクしたロボ子の視界に俯瞰したろぼさー工場の映像が映る。
しかしそこには、同じように侵入者に目を光らせている赤黒ろぼさーたちが徘徊していた。
「うーん……。やっぱり裏側もダメだね、どうしよう……」
眉をひそめ次の手を考えるロボ子の視界に、小さな光が灯った。
視界の中央、正確には工場屋上の赤黒ろぼさーのイナズマ型アンテナが点滅していた。
「何……?」
『サー!』
「ぴぃ!?」
ろぼさー越しに赤黒ろぼさーの叫びが響き、強烈な光が視界を白く塗りつぶした。
同時に全身に強い痺れを感じロボ子は思わず膝をつく。ロボ子の頭の上に体力ゲージが表示され、そのバーを少し削った。
ろぼさーと感覚共有していた視界は完全にブラックアウトしていた。
急いで感覚共有を切り工場を見ると、ドローンは電撃にやられてプロペラを止め、載っていたろぼさーは気絶している。
一瞬で状況を判断したロボ子の行動は早かった。
「戻っておいで!」
一言命じると、ろぼさーの体が輝き光の粒子となって散り、残されたドローンは重力に惹かれ、工場裏へ落下していく。
散った光の粒子はロボ子の目の前に飛来し、再び集まってろぼさーへ姿を変えた。頭上のゲージは半分ほど削れ色は緑から黄色へ変わっていた。
「大丈夫!?」
心配そうな表情で声をかけると、ろぼさーはうっすらと目を開いた。
「だいじょぶ~」
そう答えるが、体の至る所に焦げ跡があり、頭のアンテナは不安定に明滅していた。
目立った外傷はないが、攻撃は電撃。見た目よりも内側にダメージが来ているだろう。
「ありがとね、ゆっくり休んで。おつろぼ」
「おつろぼ~」
別れの言葉を告げると、ろぼさーは再び光の粒子となって散ってホームへ舞って行った。
戻ればまた実体化し、ロボ子が『パパ』と呼ぶ人物のもとへ行くだろう。そうすればメンテを受けて、また元気になるはずだ。
念の為、メッセージアプリを起動し、メッセージを打ち込んでいると、工場の方から何かがひしゃげる音と、数秒遅れてけたたましいサイレンの音が鳴り響いてきた。
ロボ子が工場の方を見ると、工場裏から黒煙が立ち上り、見える範囲には赤黒ろぼさーの姿は無かった。
恐らくドローンの落下で小規模だが火災が発生したのだろう。その消火活動に全赤黒ろぼさーが集まっているのだ。
「今のうちに!」
チャンスは今しかないと悟ったロボ子は、メッセージを送信するや否や全力疾走で工場へ向かうのだった。
次回は戦闘多め & ロボ子さん以外の方も出る予定です!!
更新日は来週土日を予定しております!
2020/1/7 更新
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