「こんにちは、
気がつくと、目の前に天使がいた。
白い翼、物憂げな表情。
まさしく天使。
ここはどこだろう。
ってか、目の前の人、どこかで見たことあるような…?
「『このすば』、というライトノベルを知っていますか?」
「えっ!?」
「私は……ありきたりな言葉で現すと【神】にあたります。この姿は、あなたが馴染みやすい姿として、象っているに過ぎません」
あっ!!
そうだ、思いだした!
このすばの、アクアの仕事を継いだ天使だ!
「えっ、じゃあアレですか!?俺、転生できるとか!?」
「端的に言えばそうです」
「やったあ!え、チート能力ありますよね!?」
「……あります」
「やったあ!」
「……………そろそろ本題に入りますね」
「アッハイ」
天使……の、形をとった神様は上を向いた。
そういえばこの空間も見たことがある。
アニメのこのすばで、転生する人達がやってくる空間だ。
床が白と黒のチェックだもん。
「実は今、『このすば』の世界に危機が訪れています」
「きき?」
「はい。二次創作は知っていますか?」
「はい、漫画や小説なんかである、実在するネタを元に作られたオリジナルストーリーですね」
「『このすば』にも、数々の二次創作が存在するのをご存知ですか?」
「よく読んでます」
いろいろやってるよね。
カズマさんが居ないのとか、オリジナルのキャラがカズマと行動するやつとか。
「今や、複数に渡る二次創作。そのせいで、違う次元の───二次元という意味で───狭間が歪み、『このすば』の世界が正しい運命を辿らなくなってしまったのです」
「……ん、どういう意味ですか?」
「この先、正しい『このすば』が作られなくなるかも知れません。アクアが死ぬだけでカズマは復活できなくなりますし、めぐみんが上級魔法を覚えるかも知れません」
「それは……まさか……そんなことが……」
「そこで、あなたには『このすば』の世界へ飛び、その運命を正しい方向へ矯正して欲しいのです」
転生。
夢にまでみた転生だ。
しかも、憧れたこのすばの世界へ。
これは断る理由などないだろう。
「わかりました。やってみます」
「ありがとうございます」
「じゃあチート能力ください」
「ああ……そんな話もありましたね。では、このカタログの中から一つ選んでください。普通のチート能力よりも少し強くしてあります」
「わーいやったあ」
これはオタクとして心踊る。
じっくり選んでおきたいよね。
ドラゴン使いになるとか……《ノートゥング》?あ、魔剣グラムのことか。
「あの……次のライトノベルの矯正にも行かなきゃいけないので、早めに出来ませんか……?」
「あっ、すみません。じゃあ……あ、コレよさそう。この《太陽化》ってヤツで」
「わかりました。では飛ばします。よろしいですか?」
「大丈夫です!」
「では、あなたの行く先に、良い運命のあらんことを───────!!!」
◇
「……つお……ここは……?」
ああそうか。
俺は転生したんだっけか。
都会のガス臭いものではない、新鮮な風が肺に流れ込む。
さてと、使命を果たすために頑張りますか!
………………ん?んー?あれ?
「使命って……なんだっけ……?」