「ヨータ。無理はしなくて良いからな?」
「大丈夫ですよダクネスさん。それに、計画が進んでしまったんです、今更後に引けません。ダクネスさんも、無理せずに下がっていいですからね」
苦くて渋くて全ッッッッッ然美味しくない魔力回復薬をしこたま飲まされた後、俺は平原でダクネスと話していた。
「……ヨータはもう気づいているようだから言うが、私も貴族の端くれ。怯える民を捨てて逃げることなんて出来ない」
「そう、ですか。だったら、失敗できませんね」
「ああ、そうだな。……ところでヨータ、先程から顔が歪んでいるのだが、まだ口の中が苦いのか?先程ギルド職員にオレンジジュースを貰ってきたのだが」
「飲みます。2リットルくらい飲みます。うう、苦い……」
手渡されたオレンジジュースをごっくごく飲む。
なんでアクアとめぐみんは飲まないのに俺は飲むんだよ。
チクショウメ。
……作戦はこうだ。
デストロイヤーが接近してきたら、俺が『初級太陽魔法』に含まれていた魔法ってかスキルでバリアを張る。
デストロイヤーが足止めを喰らっているところにアクアが結界を破り、そこにめぐみんとウィズが爆裂魔法を撃ち込む。
振り替えって冒険者たちに声をかける。
「みなさん、準備は良いですか!」
「おうよ!」
「任せな!」
一連の流れを通すにはまず俺が成功させなきゃいけない。
そのため、俺の両手両足に鎖がついており、その先にはメチャクチャに重たい鉛が数個。
そして、俺を数十人の重装備冒険者が支えてくれる。
魔力は回復しきった。
しばらく待っていると、地平線の先に何かの先端が見えた。
「来たぞーっ!」
それは、誰が叫んだのだろうか。
「『クリエイト・アースゴーレム』!」
クリエイターと呼ばれる職業の人達が、地面からゴーレムを作り出す。
ゴーレムは一斉にダクネスの後ろ、つまり俺の後ろへと整列した。
……そしてその時には、機動要塞デストロイヤーはもう全貌が見えていた。
「でけえ!それに予想以上に
「行きます!『太陽化』ッ!!」
心の奥で
いける。
我なら、やれる!
「『貴様ら!行くぞ!『ソーラーガード』ッ!!』」
腕をクロスさせると、太陽の光を受けて我の眼前を薄
「ヨータの後ろにつけ!」
「「おおっ!」」
最初にダクネスが我の背中を支える。
その後ろからずしずしと重みが加わり、冒険者達も後ろについたのが分かる。
「くるぞーっ!」
デストロイヤーからうぃぃぃいいという機械的な音が聞こえる。
ドシュウ、という音が鳴った瞬間、デストロイヤーはその巨体を浮かせた。
信じられない速度で迫ってくる。
シスターやアクアが『保険』と念入りに何重も設置してくれた結界が次々に割られていく。
最後の一枚、アクアの結界が割れた。
「「「「『ぐうううっ!』」」」」
その瞬間、両腕のバリアにデストロイヤーがぶつかる。
割れはしない、けれど、重い!
じり、じりと体が後方に持ってかれる。
「『セイクリッド・ブレイクスペル』!」
アクセル側から魔法が飛んでくる。
デストロイヤーの結界はガラスのように砕け散り、デストロイヤーの本体がバリアにぶつかってきた。
ソーラーガード。
魔力を消費して太陽の光を集め、高密度になった光で障壁を作る、なんちゃって
「『デストロイヤーの結界が、割れた!』」
デストロイヤーの結界は【魔法】に対して効果を発揮する。
つまり、今まで俺たちが受け止めていたのはデストロイヤーの結界のみ。
「まだか、まだなのか!?」
「『持ちこたえろ!脚が壊されるまで、全力で踏ん張れ!!!!』」
冒険者が叫んだ。
遠くから詠唱が聴こえてくる。
「『パワード』!」
後方のプリーストによる支援魔法。
背中が押される。
つんのめりそうだった姿勢が元に戻り、徐々に前のめりになっていく。
「「「「「「『うおおおおおおおおおおっ!!』」」」」」」
「「『エクスプロージョン』───!」」
視界の端を、まばゆい光が突き進んで行く。
それはそのままデストロイヤーの脚に着地。
直撃を受けた隣の脚が膨れ上がり───え、となりの?───
───我たちの真横で、大爆発を起こした。
「ぶわあああああ!」
「ゴメンナサイ忘れてましたぁぁぁぁああ!」
「てめええええ!」
軽装の俺はもちろん、鎧を着込んだ冒険者が蟻のように吹き飛ぶ。
鉛の遠心力のせいで他よりも遠くに飛ばされた俺が見たのは、アクセルに入るギリギリで勢いを無くしたデストロイヤーが警報を鳴らす姿だった。
『この機体は、機動を停止致しました。この機体は、機動を停止致しました。排熱、及び機動エネルギーの消費ができなくなっています。搭乗員は速やかに、この機体から離れ、避難してください。この機体は……』
「ほらみた事か!お前って奴は、一つ役に立つと二つ足を引っ張らなきゃ気が済まないのか!」
「待って!ねえ待って!これ、私のせいじゃ無いからっ!私、今回はまだなにもしてない!」
そして、デストロイヤー潜入作戦の始まりでもあった。