適当な場所に座って冒険者カードを覗く。
スキルの欄には……あ、これは読むのは止めておこう。
このすばにルーンナイトのキャラは出てきていない。
今ここでルーンナイトのスキルをおっぴろげにしてしまえば、それこそ運命が変わってしまうだろう。
「とりあえずは片手剣スキル……と、あとは」
あったコレコレ、《太陽化》。
アニメに習って、スキルの名前を上からなぞる。
なぞった文字の、《片手剣スキル:必要スキルポイント1》と《太陽化:必要スキルポイント5》が光った。
それを確認して、人の横顔が描かれたマークに親指を押し付け……。
「おおおー……」
DNAに、元から無かったものが組み込まれた。
どうしてそれがわかるのかは知らん。
直感で、それが最初からあった個性のように扱い方がわかるのだ。
─────しゅぼっ
……?
胸の内に、なにか炎の様なものが宿った感覚。
スキルカードを見ると、《太陽化》から線が伸び、《初級太陽魔法:必要ポイント1》の文字。
ぱぱっと習得、DNAぱきぱき。
おおおー…。
「さあ、これがなんなのかを知るためにも、まずはクエストだ」
クエストボードには、一撃熊の討伐、グリフォンとマンティコアの討伐……見事に高難易度ばっかり。
あ、雪精の討伐みっけ。赤の印が押されていて、そのクエストはもう挑戦者がいることがわかる。
……んー、コレあれか。
2巻、『厨二病でも魔女がしたい!』の、冬将軍前か。
ふむ、ならば…おう、あったあった。
牧場をおそう白狼の群れの討伐、百万エリス。
チートがある今なら行ける。
フレアってきっと遠距離魔法だろうし、腕試し程度に行ってもいいんじゃないだろうか……あれっ、もしかしてこれ、フラグ?
「決まりましたか?では、白狼の群れの討伐……ええ!?白狼!?」
「無理だったら逃げます。見る限り、討伐失敗のペナルティは無いようですし」
「は、はぁ……」
「さっき魔法を覚えたんです。大丈夫、遠距離なんで逃げられると思います」
「わ、わかりました。では、こちらが地図になります。あの、無事で帰ってきてくださいね?ようやくまともな人が冒険者になったので、あなたを亡くすのは惜しいです」
「頑張ります」
意気揚々と外に出る。
びゅうと風が吹いた。
肌寒い風も、心地よく感じる。
さあ、行こうか!
◇
丸腰で外に出たことを後悔している。
なぜって?それは───
「ゲコォ」
「目の前にカエルがいるからだよ!」
なんで?冬眠してるんじゃなかったの?
剣の一つでも借りておけばよかった!
魔力をもう使うはめになるとは!
「うおおおお!こっちくんな!」
はい、来た道を引き返すように全力疾走。
後ろから響くズシンズシンという音が、カエルとの距離を知らせてくれる。
「ええい、ままよ!『フレア』!」
ボシュウッ!!
振り向いた俺の手から放たれた火球はカエルの眉間にひゅるひゅると向かうと……
ぼんっ!!
乾いた空気を震わせる、大きな爆発音と共に爆発したのだった。
焼いた鶏肉を思わせる香ばしい匂いが鼻をくすぐる。
死んだか確認しようと思ったけど、どうしてだろう、視界が暗い。
頭が思い。
だるい。
ねむい。
ああ、これが魔力喪失か───
───どうやら俺は、初めての魔法と言うことで魔力をうまく扱えず、あの一撃に全ての魔力を使いきってしまったらしい。
思わず膝をつく。
次に体が前向きに、俺はうつ伏せの状態で雪に顔を埋めるのだった。