八剣って、それはないでしょう! 作:ばうえもん
噛ませ犬な聖騎士は今日も頑張って生きてます。
「えっ!?」
「ん?」
夕闇迫る時刻、王都の市場を行き交う人々の間からその様な声が聞こえた。
道端で立ち止まる二人の男を迷惑そうな表情で眺めた通行人達だったが、二人が発する謎の圧力に当てられ動きを止める。
普段は人々が奏でる喧騒で満ちる王都の路地、同じ顔した少年達の間に満ちる緊縛感を感じて野次馬達は想像逞しく二人関係を推察する。兄弟だろうか?
剣呑な空気から二人の関係は決して良いものではないのだろう。
そんななか騒ぎに気付いたのか警邏中の騎士の一団が駆け付けて来た。
そして異様な雰囲気の二人を窘めるべく声を掛けた騎士はかたまった。
「おい、今のピリピリした王都で揉め事なんか起こしたら要らぬ嫌疑を掛けられるぞって、お前ストライプか? 何時迷宮都市から来たんだよ…お前双子だったのか?」
「あー、悪いけどそのストライプっての多分あっちだから」
「…失敬」
固唾をのんで成り行きを見守っていた周囲になんとも言えない気不味い空気が蔓延する。気勢をそがれたのか剣呑な気配を収めた斥候職らしき男に今度こそ久しぶりだなと聖騎士バウエンは声を掛けるのであった。
噛ませ犬な聖騎士は今日も頑張って生きてます。
久しぶりに迷宮都市時代の知り合いに会ったら二人に増えていたでゴザル
よく見たら同じ顔でも表情とかに違いが結構出ているから区別は付くんだけど。
その知り合いのそっくりさんは『ヨウォーコ・スィマァー』と名乗っている。この世界で稀に聞く日本語崩した響きは召喚勇者の子孫だろうか?
そういえばストライプも地球で縞模様って意味だっけか、この二人案外同じ血筋かもしれんな。
さて、近くの警備隊の詰め所を借りて話しをした所、ストライプの方が一方的に相手を警戒した結果相対したヨウォーコ・スィマァーも当てられて臨戦態勢になったそうだ。
ストライプは迷宮都市でも割と警戒マックスって感じだったし誰かに追われてたりするのかね?
誤解?も解けたのか二人は情報交換をしているんだが…
ホウホウ、ムーノ領から来たのか。今のムーノ領ってどんな感じかね? ペンドラゴン士爵に会った事があるんだ、だとすると俺が公都で会う前かな。
一言で言うとヤバイ? あー、うん、チームペンドラゴンってその頃から強かったんだね。でもそれが分かる君もそこそこ出来るよね。
入れ違いでセーリュー伯爵領へ行ってたからムーノ領の現状はわからないか、その後はレッセウ伯爵領方面から王都、この後は迷宮都市目指してね
でっ、ストライプは何時から王都に居るんだよ? 数カ月前にヤバイ奴に目を付けられたから逃げて来た?お前何したんだよ?
はあ、人違いらしいって…「お前かー!!」
ダラダラと汗をかくヨウォーコ・スィマァーにふと目を向け、俺と同じ結論に至ったのか彼の襟首を掴み叫ぶストライプ、お前気付いて警戒してたんじゃないんかい!!
とりまこんな場所で騒ぎを起こされるのも迷惑なので二人を引きはがしてストライプを落ち着かせる
んで、なんでそのヤバイ奴とやらに目を付けられる事になったんだ?
「いや、ちょっと俺がムーノ領に居た時にねぐらにしていた廃棄された砦跡を譲ってくれって頼まれたんだがな、ぶっちゃけ俺の物でもない場所を自分より強い奴に譲れって言われちゃ抵抗出来んだろ。相手の意思はともかく実力差を理解出来る俺にしてみれば脅迫と変わらんわ」
「んでちょっとムカついたんで嫌がらせに拾って面倒見ていた奴隷込みで渡した」
「ああ、そういや俺に最初に声を掛けてきたのも身綺麗にしていたけど奴隷だったな。つまりその奴隷がお前に会いたかったんじゃないのか?」
「ん~、あの姉妹にゃ特に悪さとかしてないし恨まれる筋合いはないと思うんだが」
「それじゃ奴隷を押し付けられた主人の方かね、その奴隷に何か問題があったんだろ」
「ああ、俺は別に気にならないんだが姉の方が器量が悪くてな、あと妹は忌色だったな」
「それって要するに意趣返しに質の悪い奴隷をお押し付けたって事だろ、やっぱり要らんから返そうってはらか?」
「住むところがあったから面倒みれたけど、今は旅するのに邪魔だから要らんな」
「お前にしてみればそうなるか。俺も自分の面倒みるので精いっぱいだからわからんでもないな」
オイコラ!どっかで聞いた話じゃないか!!
これ確実にペンドラゴン士爵とルルさん姉妹の事だろ、しかし俺の記憶と違うって事は書籍ともwebとも違う第三のルートか?
そういやエイプリルフールif短編とかあったし、ループ説もあったよな。そう考えるとこの世界も派生の一つか?
「今は王都に居るそうだな。下手に出会ったら面倒事になるしさっさと迷宮都市へ向かうか」
「そうだな、理由も分かったし俺も戻るか。一緒に来るか? 案内するぞ」
「なんか巻き込んで悪いな。お貴族様が今更奴隷の一人や二人面倒見きれないなんて言ってきてもそういう取引だったから突っぱねるけどな」
そう言いながら俺を置いて二人は出ていった。
……はっ!? 逃げられた!!
地味に別連載とリンクしています。
ダーク横島の対神呪法やメニューシステムはこのルートで得ています。