もしエル キャラコメンタリー!   作:天星

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8月31日の出来事

「はいどうも皆さんこんにちは! かのんです!

 第21回キャラコメンタリー始めます!」

 

「8月31日。つまり夏休みの最終日だ。

 まぁ、その日が週末の直前だったらもう少し延長されるが」

 

「今回はそんな事はなかったみたいだけどね。それじゃ、VTRスタート!」

 

 

 

 『いや、おかしいだろ!! ちょっと前には夏休みに入ったんで1000時間プレイできるとか言ってたはずなのに!!!

  って、こうしちゃいられない。今日だけでもゲームを可能な限り消化……』

 『神様~! 一緒に遊びませんか~!!』

 『ふんっ!!』

 

 

 

「おお~、鮮やかな手つきで梱包していくね」

 

「梱包作業は慣れているからな。ゲームで」

 

「一体どんなゲームしてたの……?」

 

 

 

 『何か凄い物音がしたけど、どうかしたの?』

 『おお中川、丁度いい所に。

  この荷物を玄関まで運ぶのを手伝ってくれないか?』

 『フムギュー!!』

 『……うん。分かった』

 『フムギュー!?』

 

 

 

「結構重たい荷物だったけど、原作ではどうしてたんだっけ? 1人だけだと運べないと思うけど」

 

「その場に放置された後、梱包した次の次のコマでは既にトラックで運ばれているようだ。

 トラック早すぎとか、暴れる荷物に業者は疑問に思わなかったのかとか、そういう事は訊いてはいけないのだろう。きっと」

 

 

 

 『この辺でいいか。助かったぞ』

 『ところで、エルシィさんは一体全体何をやらかしたの?』

 『僕の残された神聖なるゲームタイムを妨害しようとしてきたからな!!』

 『……そういう事か。昼食は部屋に持って行くね』

 『昼くらい抜いても全く問題ないが』

 『いやいや、身体を壊したら元も子もないでしょ』

 『……気が向いたら食べておく』

 『気が向かなくても食べてほしいよ……』

 

 

「……この頃から僕の体調を気遣うとかいう夫婦っぽい事をやってたんだな」

 

「許嫁だから! っていうのも勿論あるけど、私だったら恋愛してなくてもそのくらいの気遣いはできた……と思いたいよ。

 夏休み最終日くらいはのんびり楽しく過ごしたいっていう気持ちは凄く良く分かるし」

 

「それもそうか? そうかもな。ありがとな、かのん」

 

 

 

 

 『ご、ごめんください……』

 『……じゃ、接客は任せた』

 『ちょっ、桂馬くん!?』

 

 

「……面倒くさい女神様が来た時の桂馬くんの気持ちは凄く良く分かるけど、丸投げはどうかと思うよ?」

 

「うぐっ、そうだな……決してお前に責任があったわけでもないしな。

 次の機会があれば気をつけるとしよう」

 

 

 

 

 『ま、待て! まずは落ち着いて……』

 『問答無用! このクズ! アホ! バカ!!』

 

  桂馬くんと、そして何故かハクアさんが飛び出してきた。

  いつの間に家に居たんだろう? エルシィさんが招き入れたんだろうか?

 

 『……西原さん、あの方は実は従妹とか、あるいは姉とか、そういう類の方では無いですよね?』

 『う、うん。少なくとも親戚の類ではないよ』

 『では遠慮なく。この浮気者が!!』

 『えっ? ちょっ!?』

 

 

「ディアナ的にはこれでアウトなんだな。『家に他人の女性が居る』時点でアウトらしいな」

 

「私は寛大な妻だからアレくらいは浮気に入らないよ!

 って言おうかと思ったけど、普通に浮気でも何でもないよねこれ」

 

 

 

 『桂木さん! 何をしているのですか!!

  家族や親戚なら許容しますが、それ以外の女性との接触は禁止です!!』

 『なっ、ディアナか!? イタタタタ! 耳を引っ張るな!!』

 『えっ、え? だ、誰なのお前?』

 『わ、私は……この人の許嫁です!!』

 『『はぁ!?』』

 

 

 

「……ディアナさん。この私の前で許嫁だなんて……ホント良い度胸だね」

 

「お、おーいかのん。落ち着け」

 

「何言ってるの? 私は落ち着いてるよ。うふふふふ」

 

「……止めるべきだろうか? いやでも相手がディアナだから別に放っといても……」

 

(まあ待て。相手は姉様だ。いくら歌姫と言えど正面から戦うのはお勧めしない。

 協力者を募るか、あるいは奇襲をかけるかした方が良いだろう」

 

「うん分かった!」

 

「おいっ!?」

 

 

 

  ディアナさん、嘘は良くないよ。

  色々と言いたい事はあるけど、収拾をつけないとダメっぽい。一旦黙らせた方が良さそうだ。

  えっと、確かこの辺に……あったあった。これって悪魔や女神に効くのかな。まあ死にはしないだろう。非殺傷用の筈だし。

  えいっ!

 

 ズバヂィィッ!!

 

 『熱っ!?』『痛っ!?』

 

 

「……お前が強行手段取るって、実は結構怒ってたんだな」

 

「うん! それはもう怒ってたよ!

 ハクアさんに関しては……ただの八つ当たりだけどね」

 

「この時は若干だが素が出てたんだな。

 この時に気付く……のは流石に厳しいか」

 

「う~ん……映像を確認すると一瞬だけ私の笑顔が凍りついてるね」

 

「それしかボロを出してなかったのか……

 いや、それだけとはいえお前にボロを出させたディアナの方を評価するべきなのか……?」

 

 

 

 

 

  ……色々と情報交換中……

 

「う~ん。この辺はちょっとコメントできる事が無さそうだね」

 

「原作読者なら既に知っているであろう知識を整理してるだけだからな。

 おまけに、僕もお前も一緒に居たから今更話す事も無い」

 

「……とりあえず、巻きで進めちゃおっか」

 

 

 

 

 

  これでハクアさんとディアナさんとの顔合わせは一段落したかな。こういう話題は疲れるよ。

  ようやく一息つける……なんて思っていたら厄介事が飛び込んできた。

 

 『た、たたた大変です神様!!』

 

 

 

「チッ、生きていたか」

 

「いや、勝手に殺しちゃダメだよ!?」

 

「安心しろ。冗談だ。

 箱からの脱出マジック(物理)は方法さえ思いつけば一瞬でできるはずだから閃くまでこれだけ時間がかかったって事だな」

 

「いや、もしかすると結界なんて使わずに本当に力技だけで開けた可能性も……」

 

「……エルシィだから有り得るな。エルシィだから」

 

 

 

 『どうした?』

 『はいっ! つい先ほど法治省からの通信が来まして……』

 『内容は?』

 『はい! えっと、新しい地区長が……』

 『ハァイ♪

  おやぁ? エルシィだけじゃなくてハクアも居るのね。

  新しい地区長様の歓迎会の準備でもしてくれたのかしらぁ?』

 『どういう事!? ここの担当はシャリィだったはずよ!?』

 

 

「中間管理職ノーラの登場だ」

 

「中間管理職って……いや、確かにそうなのかも?

 あれ? でも地区長って管理職……?」

 

「……前任の地区長のシャリィから何の指示も無かった事を考えると『管理する』役職とは言い難いな。

 ただの中間職か」

 

「そういう定義でいいのかな? と言うかそういう名前の役職は実在してるの……?」

 

「さぁなぁ。

 この後ノーラからも何の指示も無かった事を考えると地区長の権力はほぼ0に等しい事が伺える。

 それでも昇進には違い無いから次の昇進に繋がるし、単純に給料とかも上がってるんだろうな」

 

「地区長って何なんだろうね……」

 

「ハクアみたいに学校の成績が良かっただけの新卒の学生がいきなり就けるようなポストだ。

 大した物であるはずがない」

 

「酷い言われようだね……」

 

  ※

 なんて考察をしてみたけど、エルシィが298年ほど箒さんと付き合いがある(≒掃除係として働いてた)事を考えると学校で勉強しながら働くのは地獄では割と一般的なのかも。

 だからハクアが学生の頃から駆け魂隊の関連組織でインターンシップ的な事をしていても不自然ではありませんね。

 もしそうなら、地区長の地位の凄さはインターンシップで働いてた超優秀な学生がそのまま就職して就けるくらい! となりますね。あれ? それでも大したこと無いような……

 新地獄と人間界は違うのだから単純な比較はできませんが……結局その程度の価値なのではないかと。

 

 

 

 

 

 『フ、フン、まあいいわ。それより、ここは私の地区なんだからサッサと自分の地区に帰りなさいよ地区長さん?』

 『有事の時に出しゃばるならともかく、平時で地区長が他の地区に立入禁止になる何てルールは存在しないけど……』

 『何? 逆らう気?』

 『……他の地区に居座ってるってのも褒められた事じゃないのは確かね。今日は帰るわ』

 『あら? 珍しく聞き分けが良いわね。何か悪い物でも食べた?』

 『別に、間違ったことは言ってないと思っただけよ。じゃあねエルシィ』

 

  ハクアは帰るのか。天界関係の話が一段落した所だから丁度いいな。

  さて、次はどうやってノーラを追い返すか。テキトーにあしらえば帰ってくれるか?

  と、そんな事を考えていたらこんな言葉が投げかけられた。

 

 『ホラ、何ボサッとしてんの。協力者(バディー)であるあんたも早く帰んなさい』

 『…………え?』

 

  ……かのんに、そんな言葉が投げかけられた。

 

 

 

「ノーラさんの誤解の場面だね」

 

「本来だったらノーラが来る事が分かった時点でお前の存在を隠すべきだったんだろうな。

 まぁ、今回は不可能だったが」

 

「初めてこの首輪に感謝したよ。

 一般人には見えないみたいだし、お風呂で首を洗う時は微妙に変形してくれるんで本格的に邪魔だと思った事は無かったけど……それでも何か邪魔だったんだよね」

 

「ん? そうか、一般人に見えてなかったのかそれ」

 

「うん。だって、私と同じアクセサリーを桂馬くんが着けてたらクラスで大騒ぎになるじゃん」

 

「……それもそうか」

 

  ※

 ギロチン首輪は物騒なだけじゃなくて普通に邪魔になる気がしますが……ひとまずこんな解釈をしてみました。

 一般人からは見えない機能は原作だったらあってもなくても大丈夫そうな設定ですが……もし普通に見えるならみなみ編であっこと斎藤の噂話に『妹を飼っている』と『いや、逆に妹に飼われている』みたいなのが追加されそうですね。可能なら見えないようにしておいた方が無難でしょう。

 

 

 

 『あ、すみません。ボーッとしてました。ハクアちゃん、帰ろっか』

 『え? いやいや、ちょ、ええっ?』

 『(ここは話を適当に合わせて!!)』

 『え、ええ……帰りましょうか』

 

 

 

「ナイスな機転だったと言っておこう」

 

「ならご褒美が欲しいな~♪」

 

「僕から褒められたぞ? やったな」

 

「うぅ、それで満足できるくらいには嬉しいから困る。

 あんな事やこんな事を頼んでみたいのに!」

 

「そうかそうか。じゃあ次行くぞ」

 

「例えばキスして欲しいとか! また一緒に寝てほしいとか!」

 

「例えんでいい!」

 

 

 

 

 『…………あ、そう言えばさ』

 『何?』

 『ハクアさんの協力者ってどんな人なの?』

 『…………できれば、訊かないで』

 『あ、うん』

 

 

 

「いや~、あの優等生のハクアさんの協力者か。きっと白馬の似合う王子様みたいな人だね!」

 

「そうだな。あのハクアの協力者だ。その辺の女子の理想を詰め込んだような凄い奴に違い無い!」

 

「…………桂馬くんのコメントを受けて私の理想を言ってみようかと思ったけど、どう考えても桂馬くんにしかならないからいいや」

 

「僕に出会う前は別の理想があったと思うんだが……」

 

「そんなの忘れたね!!」

 

「そ、そうか」

 

 

 

 

 『……しっかしあんた達、本気で愛し合ってたのね。あの時は出まかせだと思ってたわ』

 『ん? 何の話だ?』

 『何って、あんたとそこの娘よ。

  駆け魂を出した後、ちゃんと記憶操作を受けてるハズなのにあんたの家に居るって事は、私が見つける前からその関係だったって事でしょ?』

 『っ!?』

 

 

 

「原作でもこんな感じのやりとりは欲しかった……というのは筆者の我侭か」

 

「天理さんの記憶が無くならなかった理由はディアナさんによるバックアップがあったからだったけど……ノーラさんの報告が雑だった可能性も十分あったはずだもんね。

 記憶操作の担当者にありのままを話したら桂馬くんとエルシィさんの手柄になりそうだし」

 

「原作でもその辺は明言されてないから実は本当に記憶操作されてなかった可能性もあるな。

 他の宿主たちはバックアップのおかげで思い出していたが、天理はそもそも操作されてなかったという」

 

「う~ん、流石に完全に操作ナシだったとは思えないけど……桂馬くんとのキスの下りはノータッチだった可能性もあるね」

 

 

 

   ……なんやかんやあってノーラが帰った後……

 

 『なぁ……女神って何人居るんだ?』

 『……天界の住人という意味でならいくらでも居ますが……

  私と同じ境遇の、旧地獄を封じる人柱となったのは私を含めて6人です。

  ウルカヌス、アポロ、ディアナ、ミネルヴァ、マルス、メルクリウス。

  6人で、ユピテルの姉妹と呼ばれていました』

 『おいちょっと待て、男神の名前も含まれてないか?』

 『ああ、簡単な事です。

  あくまで私たちは襲名しただけで、初代とは性別が異なる場合もありますから。

  そもそも、本当の姉妹ではありませんし』

 『紛らわしいな!!

  えっと、とにかくお前込みで6人なんだな?』

 

 

 

「この時点でエルシィさんの正体を察してたんだよね?」

 

「ああ。断定はしていないかったが、80%くらいの確率で女神の誰かだろうと考えていた。

 お前こそ、勘付いてたんじゃないか?」

 

「後からこの話を聞いた後でって事だよね?

 う~ん……もしかしたらそうかもしれないとは思ってたかも。20%くらいかな」

 

「想像できるだけで十分だ。0と100以外の範囲での違いは誤差だ」

 

 

 

 

 『お前なら女神の宿主を見て判断できないか?』

 『どうでしょうね……何か女神の力が使われているならともかく、普通に過ごしている人を見て判断するのは厳しいかと思われます』

 『……本当だろうな、それ』

 『私にも実際に遭遇してみないと分かりませんよ』

 

  実に頼りにならない女神だな……

  運良く見つける事ができたら教えてやるべきか? でも、地獄において女神がどんな風に扱われているのかとか一切不明なんだよな。

  今の地獄と真っ正面からぶつかり合うような事は流石にしないとは思うが……中途半端な情報を与えて変な方向に暴走されたりすると困る。

  …………『女神と名乗る存在』に接触できたら、教えておくか。真偽の判断も兼ねて。

 

 

 

「桂馬くんが、と言うか私たちがエルシィさんの事をディアナさんに言わなかった理由だね」

 

「どこもかしこも信用ならなかったし、特に切迫した状況でもないし、何より面倒事を呼び込みそうで面倒だったからな。

 この辺が妥当なラインだろう」

 

「一番の理由が『面倒だから』だったんだね。

 注意すべきな気がしなくもないけど……確かに私もそんな感じだった気がするよ」

 

 

 

 

  そうして、ディアナ(+天理)は帰って行った。

  女神……かぁ。

 

 『どうかしましたか神様?』

 『……いや、何でもない。

  今日はもう部屋にこもるから、昼食も夕食も要らないと伝えておいてくれ』

 『えっ、ちょっ、神様ぁ!?』

 

 

 

「ここも一応伏線と言えば伏線だな」

 

「文字だと分かり辛いというか伝える気がほぼ無いけど、この時エルシィさんを見ながらモノローグを呟いてるんだね」

 

「ああ。女神っぽい奴を見ながら女神の事を考えてた。

 さっきまであわあわしてたエルシィが僕に声をかけてきたのも僕がエルシィを見つめていたからだ」

 

  ※

 『どうしましたか神様? 私の顔に何か付いてますか?』くらい言わせても良かったかな?

 いや、流石に露骨かなぁ……

 

 

 

 

「これで終わりのようだな。少々短いが、まあ仕方ないか」

 

「それじゃあ次回は『日常回A 軽音楽部の会計騒動』をお送りします!」

 

「お前が軽音部に関わる初めての回だったな」

 

「そうだったね。

 それでは、また来週!」

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