「はいどうも皆さんこんにちは! かのんです!
第35回キャラコメンタリー始めます!」
「勇気の女神編だ。
そろそろ終わりが見えてきたな」
「そうだねぇ……最後まで精一杯頑張るよ。
それでは、VTRスタート!」
……地獄……
取調室に連行されると、人間界のドラマでよくあるみたいに質問する悪魔と机を挟んで向かい合わせに座らされた。
ドラマとは違うのは、どういうわけか私ともう1人の他に4人も悪魔が居る事。そのうち2人は私のすぐ隣に立っていて、あとは唯一の出口である扉の前と質問役のすぐ側に立っている。
まるで脱走や反逆を警戒しているかのような配置ね。実際そうなんでしょうけど。
『重ねて申し上げますが、これは取り調べではありません。気軽にお答え下さい』
『私に答えられる事であれば、なんなりと』
「ある意味ドラマで見ることがある展開だね」
「僕はドラマにはそこまで詳しくないんだが……まぁ、ゲームでもしばしばある展開だな。
選択肢を1つ間違えるだけでバッドエンド直行だ」
「……具体的な内容は聞かないでおくよ」
『何か、ご自分の身に思い当たる事はありませんか?』
『……いいえ、特にはありません』
『そうですか……
……あなたが入国した際に提出した活動ログを拝見させていただきました。
見たところ特におかしな所は無かった』
『それは何よりです』
『はい。なので、写しではなくオリジナルの活動ログを提出して下さい』
『えっ、オリジナル……ですか?』
『はい。何か問題でも?』
『いや、あの、問題といいますか……提出済みの写しではダメなのですか?』
『はい。念のため確認させて頂きます』
『……はぁ、分かりました。見せた方が話が早いでしょう。どうぞご覧下さい』
『拝見させて頂き……
……ハクア殿? これはどういう事ですか?』
『だから見せたくなかったんですよ……
本当に申し訳ありません。雷撃魔法の練習をしていたらちょっと制御に失敗しまして。
それで……ご覧の有様となっております』
「自分のミスでログが焼失したという筋書きにしたわけだな」
「見せられないものはしょうがないもんね。
本当はオリジナルのログを書き換えられたら一番良かったんだろうけど……原作でもやってなかったんだから無理なんだろうと判断したみたいだよ」
「魔法の制御をちょっと失敗しただけで壊れるほどヤワな代物なのかという疑問はあるが……
ヴィンテージの連中もこれ以上追求する意味も無いんで『まぁそんな事もあるか』と納得したようだ」
……人間界……
タイムリミットは残り少ないらしい。可能な限り早く歩美を(多分マルスを)攻略して、メルクリウスの攻略に備えるとしよう。
何、心配する事は無いさ。歩美の好感度は十分足りている。あとはきっかけさえ与えてやれば攻略は完了したも同然だ。
昨日は少々のんびり過ごした分、積極的に進めていくとしよう。
『……ホントに大丈夫かな? そうやって自信満々に言われると何か不安になってくるんだけど』
『どういう理屈だ』
「見事にフラグだね」
「綺麗なフラグだな。
まぁ、結局あっさり片付いたけどな」
「……波乱があった事は間違い無いけどね」
『か、桂木……』
『ん?
どうしたんだい?』
『……ちょっと、2人だけで話がある。一緒に来て』
『…………分かった。エルシィ、先に教室に行っててくれ』
『……了解しました。では、また後で』
「女神モードのエルシィは口調と仕草だけはキリッとしてるからお前がやると栄えるな」
「そ、そうかな? そ、そういうコト言われると何かテレるね」
「普段あれだけ積極的なくせに直球の褒め言葉には弱いんだな」
「…………!
そ、そうだよ! 直球の褒め言葉は怖いな~、凄く怖いな~」
「……まんじゅう怖いの真似か?」
「そそそそんな事無いよ! あ~、怖いな~」
「……とりあえず次行くか」
屋上へ移動する。
この時、屋上への道は僕が案内していたので歩美よりも数歩先を歩いているのは自然な流れだ。歩きながら会話って空気でも無かったしな。
で、僕が先に屋上に入って、少し進んでから後ろに居る歩美の方を振り返る。これも自然な事だろう。
だが……その振り向いた瞬間に刃が喉元に突きつけられているのは決して自然な事ではないだろう。
これは……どういう状況だ?
そんな僕の困惑を他所に歩美は……いや、歩美ではない誰かが口を開く。
『答えろ。貴様は何者だ?』
「マルスだったらこんくらい直球で来るんじゃないかなとの事だ」
「原作でもデートの時に『武器の一つは持って行け』って言うくらい武闘派だもんね……
何か怪しい人が居るってだけでこれくらいはやりそうだよ」
「分かりやすいキャラは書くのが楽だったらしい。
道理だな」
『僕が都市伝説について調べていた事に何か問題でもあるのか?』
『……は? ど、どういう意味だ?』
『だから、『ユピテルの姉妹』だろ?
この舞島の街に居るらしい神様の名前らしい。
……噂レベルの存在だがな』
こんな感じで『女神を調査していた』わけではなく『胡散臭い都市伝説を調べていた』という体に持ち込んでおく。
きっとアレだ。そのユピテルの姉妹は恋愛の神様で、6箇所くらいある祠を巡ると恋愛成就のご利益があるんだろう。きっと。
「モノローグの最後がすっごい雑だね」
「後半はその場ででっちあげた設定だからな。
攻略中に事情を明かす進行はできないわけじゃないが、結構キツい。
だから万が一の時に誤魔化す手段くらいは考えてある。
……本作では関係ない仮定だが、七香や栞、ちひろに女神が居たらこうやって誤魔化す事になってたな」
『ちょっと待って。
流石に都合良すぎない?
桂木が探してる女神が私の中に居るって。
本当は最初から知ってたんじゃないの?』
「鋭いな。流石は知将だ」
「本作では知将誕生の流れが差し替えられてたから誕生はしてないはずなんだけどね……」
「勉学に関してはアホだが、恋愛とかに関する機転はかなり効く方だと判断したようだ。
『断定』ではなく『疑惑』の段階だし、これくらいはできても全く不自然じゃないな」
『……仮に、知っていたとしたら、何か問題があるのか?』
『本当に知ってたの!?』
『仮にだよ。
というか、さっきの……何て呼べば良いんだ? さっきのアレがユピテルの姉妹だという事が初耳なんだが』
『……ホントに?』
『本当だ。と言って結局相手を信じるか信じないかという話になる。それだとあまり意味は無いだろう?
何が気がかりなのか、何が問題なのか。ゆっくりとでいいから話してみてくれないか?』
『……分かった』
「歩美の感情の状態を冷静に見極めてルート修正を試みているな」
「打算アリでの恋愛でも意外とどうにかなるっていうのは散々言ってきたわけだけど、避けるに越したことは無いもんねぇ……」
「場合によっては詰みかねないな。
完全に詰むという事はそうそう無いが、神託の事を考えると速度が要求されている。
実質詰みならいくらでも発生しかねんな」
『歩美のその懸念は……半分ほど正しい』
『……どういう、意味?』
『その推理は概ね正しい。僕は歩美に女神が居ると踏んで近づいた』
『じょ、冗談だよね? そうだよね?』
『…………』
『何か言ってよ。ねぇってば!』
『……隠し通すつもりだったんだがなぁ。まさか漏れるとは思ってなかったよ』
『う、嘘だ! ヒドいよ桂木! 今日はエイプリルフールじゃないんだよ!
だから……早くネタばらししてよ』
『この言葉を撤回する気は無い。それが、紛れもない真実だからだ』
『……あ、分かった。これは夢だね。きっとそうだ。そうに違いない』
『……酷なようだが現実逃避はその辺にしてくれ。次の話に進めないから』
『次の話? これ以上何を話すの?
だって、全部嘘だったんでしょ? 私を好きだって言った事も、全部全部!!』
『……そんなわけが無いだろう』
『えっ?』
『ああ。認めよう。最初は女神が目当てだったさ。
でも、君と一緒に過ごすのは楽しかった。ずっと一緒に居たいと、そう思えた。
始まりは決して誇れるものじゃあない。でも、だからといってそれからの事が全部嘘だったなんて事にはしたくない。
君はどうなんだ? 今までの事は嘘だったか本当だったか、決めるのは、君だ』
『……何それ。ズルい。ズルいよ。
そんなの……本当だったに決まってるじゃん!
嘘になんてしたくないよ!!』
『……そうか。良かった。
すまなかったな。そして……ありがとう』
「歩美の感情としては僕を疑いたくはなかったんだろうな。
信じていたかった。けど疑わざるを得ない。
もし歩美に女神が居なくて一人きりだったり、居たとしてもメルクリウスとかだったなら一人で悶々としていただろうな」
「マルスさんが強硬手段を取ってくれたおかげで展開が大分早くなったんだね。
そうじゃなかったら数日かかってても不思議じゃないよ」
「歩美にマルスが来たのはぶっちゃけただの消去法だったが……結構マッチしてくれたようだ」
『つかぬ事を訊くが、ついさっき私にした話は嘘だったのか?』
『そういう事になるな。マルスだったな? すまなかった』
『……歩美が許すなら、別に構わないさ。
しかし……どうして私を探していたのだ?』
『そうだな……その件に関しては結に説明してもらうのが一番良さそうだな』
『え、結まで関わってるの? どういう事!?』
『結自身は一般人だが、訳あって事情の一部を話した。
信用できる話し手という意味でも、適任だろう』
『信用って……確かにちょっと信用できないけどさ……』
『それが当然の反応だ。まずは結から話を聞いてみてくれ。
その後で、気が済むまで蹴り飛ばしてくれればいいさ』
『蹴らないわよ!!』
『アハハ……
ん~、もうHR始まってる時間だな。行ってらっしゃい』
『あ、ホントだ……って桂木はどうするの?』
『HRなんてどうせ大した話しないだろ?
仲良く教室に帰って目立つものヤだし、ここでのんびりサボってるさ』
『た、確かに悪目立ちするでしょうね……
まぁ、桂木だし大丈夫か。じゃあね!』
「後で蹴られるかと思ったが……少なくとも本編が終わるまでは一切蹴られなかったな」
「そう言えばそうだったね……思い返してみれば原作でも最初の応援の時を除けばちひろさん絡みの時しか蹴ってなかったね。
自分の事に関しては意外と自制が効いてるみたい」
「本作ではちひろは本当にただの部外者で居てくれたからな。こういう意味でも助かったな」
※
完結後の時間では桂馬が改めて歩美を振る展開になってるはずなのでその時には蹴られてそう。
……一方、地獄……
『降格……ですか』
『ええ。以前のあなたの失態も考えると妥当な所でしょう』
公安に言い渡された私の処分は、『地区長からの降格』だった。
ショックを受けなかったわけではないけど……またヒラ悪魔の立場でイチから学び直すっていう意味ではむしろ有難いのかもしれない。
それに、エルシィを見ているとよく分かるけど、駆け魂狩りの成績と悪魔の能力は必ずしも比例はしない。そんな環境で昇進や降格を一喜一憂するのは疲れるだけだ。
そう、思うことにしておくわ。決してショックだったわけじゃないんだから!
……2~3日分のログデータ紛失だけにしては重い処分だと思うけど、以前駆け魂を取り逃してクビになりかけた事を考えるとまだマシだと思っておきましょう。
「ハクア、降格なんてしてたのか」
「そう言えばそんな話を本人から……あれ? 聞かされてない気がする」
「何かヤベー奴に捕まったとか、ヴィンテージのアジトに潜入したとかは聞いたな。
コレを言わなかったのは……単に恥ずかしかったからだろうな」
「う~ん……結局地区長ってどの程度の地位なんだろう。
ヴィンテージはわざわざここら一帯の地区長を独占しようとしてたわけだけど、そこまでやる価値があったのかなぁ……?」
「……地獄の階級システムは謎だらけだな」
『あ、少々お待ち下さい』
『……まだ、何か?』
『あなたは羽衣のログ記録の機能を破損していたでしょう?
こちらで補充用のナノマシンを用意したので時間がある時に使用して下さい』
『分かりました』
「この辺は独自設定が入ってるな。
羽衣さんの正体は微小なナノマシンという設定がある。
その羽衣さんが破損した時はどうするか。壊れた部分を入れ替えればいいな。
起動していないナノマシンだから粉末状になっているだろう。ビン詰めでいいか。
……こんな感じだそうだ」
「地獄の技術ってホント凄いね……」
「少しくらい人間界に技術を漏らしてほしいものだ。
連中が本気を出せばゲームの中に入れるハードを作るくらい楽勝だろう!」
「そこっ!? う~ん……平和な技術に使われてるっていう意味では良い事なのかな」
『神様、どこへ向かうのですか?』
『お前、昨日の占術世界での事覚えているか?』
『……そりゃあ概ね覚えていますが、どれの事でしょうか?』
『あの黒い靄の発生時の事だ。
ある1点から広がって行ったのに気付いたか?』
『……言われてみればそうだった気がしないでもないです』
『少なくとも僕の目にはそう見えた。
で、その発生源っぽい所があの『一本岩』だ』
『一本岩? ああ、あの岩はそう呼ばれてるのですね?』
「原作の一本岩のイベントだな。
原作では僕はほぼ自力で気付いていたようだが……本作だと栞の絡みも薄いし、校章関係の話をするのも面倒なんでサクサク進めている。
アポロが怪我を負っていないことにより成功したショートカットだな」
「この岩は原作者の若木先生も言ってたね。
『YU-NO』を意識して序盤から用意してたって」
「元ネタの三角山は一本岩と比べて大分鋭いし、徒歩で濡れずに来れる立地だったりと色々と違うけどな。
あっちの世界の一本岩がどんな役割を果たしていたのかは……諸君らの目で確認してくれ」
『……魔力を感じます』
『何だと?』
『新悪魔や姫様のものとは違う、禍々しい魔力。
あの岩の……向こう側? そんな感じの場所から魔力を感じるのです』
『向こう側? 地下って事か?』
『地下とも違うような……上手く表現できませんが、『向こう側』です』
『少々リスクは高いが……行ってみるか。
エルシィ、あそこ潜れるか?』
『潜れるかと問われれば潜れますが……』
『どうした? 何か問題でも?』
『……もう少し近付いてみましょう』
『……これは、結界ですね』
『結界だと?』
『はい。この空洞の少し奥に感知用の結界が張ってあるようです。
理力による結界であれば完全に掌握できますが……残念ながらこれは魔力結界ですね』
『まぁ、そりゃそうだろうな』
『なので、多少誤魔化すくらいしかできそうにないです』
『そうか……って、誤魔化すくらいならできるのか!?』
『当然です。結界は私の得意分野ですからね』
「『ミネルヴァが結界を感知できないわけが無いだろ!』という事でこの辺のイベントも差し替えだ。
原作でも言ってたように地下に大量の悪魔が居るだとか僕には関係ないルートだしな」
「急ぐ理由が明確になったってだけのイベントだったもんね。
何かヤバいっていう事が分かるだけで十分か」
「本作の場合はアポロから具体的に警告されてたんで、『何かヤバい』すらも不要と言えば不要だな」
……その頃 学校……
『結、今時間ある?』
『構いませんが、何でしょう?』
『……女神の事について、聞かせて欲しい事があるの』
『…………部室へ行きましょう。あそこなら誰も居ないでしょうから』
「僕の助言通りに結の所に行ったみたいだな」
「そして私が近くで透明化してのんびり観察してるよ。
こうやって第三者にイベントを託すのは何気に初めてかな?」
「強いて言うなら美生の駆け魂攻略の時は結が主役だったな。
僕が側に居たが」
「干渉できない状態でのイベントは初めてだね。いざとなったら飛び出してたけども」
『……歩美さん。彼に何をされたのかといった事は訊ねないでおきます。
また、彼を許しなさいとも言いません。
しかし、どうか理解してあげてください。彼には彼なりの信念があったのでしょうから』
『……言われなくたって、そのくらい分かってるよ』
『そうでしたか。余計なお世話でしたね。
知りたいことは分かりましたか?』
『……うん。ありがと。行ってくるよ』
『良い顔になりましたね。
また何かあれば相談に乗りますから、遠慮なく相談して下さいね』
『うん! じゃあね!!』
「結は有能なカウンセラーになれそうだな」
「原作ではただの箱入り娘だったり男装女子だったりしたのに……どうしてこうも王道の主人公っぽくなってるのかな……」
「筆者の趣味と言ってしまえばそれまでだが……
理論的に分析するのであれば、結はお嬢様である事を除けば常識人だ。原作の尖った個性を本作では削っており、『お嬢様』すらも脱却しようとしている。
それに加えて軽音編でちょくちょく登場し、美生編で大活躍する事で現状の掘り下げが行われた。
その結果、新たなキャラクターとして確立されたわけだな」
「……ある意味私と似たようなものかな?」
「かもな」
『……中川さん。いらっしゃるのでしょう? 出てきてください』
『居るけど……よく気付いたね』
っっ!? ほ、本当にいらっしゃるのですか!?
もしかしたら居るかもしれないくらいの気持ちだったのですが……』
『えっ』
「結、一体何をやってるんだ……」
「看破された事よりも勘で呟かれた事にビックリだったよ」
「それもどうかと思うけどな」
「だって、師匠だったらきっと勘づいてたし!」
「アレと結を一緒にするんじゃない」
『エリーさんを助けたはずなのにまだ何かしているという事は……何かあったのですか?』
『まぁ、ね』
『……私ごときが口を挟める事ではないかもしれませんが、あまり私の友人の心を乱すような事をするのは止めて頂きたいものです』
『……謝ったくらいじゃ、許される事じゃないんだろうね。
でも、それでも、私たちにはこの選択肢しか無かったんだよ』
『それくらい理解はしています。
ですが……どうか彼女を悲しませるような事はしないで下さい』
『悪いけど、それも保証できない。
この物語がどういう結末を迎えるのか、私には分からないから』
「この時のお前、悲しませる気満々だったんだな」
「トーゼン! 桂馬くんは誰にも渡さないから!」
『……結から聞いたよ。事情』
『そうか』
『……マルスの助け無しでエリーが助かったって事は、他の女神が何とかしたって事だよね?』
『……ああ』
『ユピテルの姉妹は全部で6人居る。
桂木は、他の人にも同じような事をしたの?』
『……今回の件で、僕が何かしたのは歩美を含めて3人だ』
『3股ってわけ? 最低ね』
『否定する気は無い。被害者本人からの言葉なら、尚更な』
『……はぁ、桂木がもっと憎たらしい奴だったら、話は簡単なのに』
『…………』
「嫌いになれたら簡単、か。う~ん……」
「ところで、お前はこういう感想は抱かなかったのか?
嫌われる要素になる自覚はあるんだが」
「いやいや、ずっと桂馬くんの側に居たんだもん。
どんな意図で、どんな思いで行動してきてたのかはある程度は分かってるつもりだよ。
嫌いになるわけが無いじゃん」
「……そうか」
「あれ? 桂馬くん照れてる? このくらいならいつでも言うよ!」
「はいはい。次行くぞ」
『ちょっと待ちなさい』
『な、何かな?』
『私はね、桂木を信じるとは言ったよ?』
『そ、そうだな』
『でもね、この私を騙してくれやがった事はまだ許してないよ?』
『そ、そうなんスか』
『うん。だからね、歯を食いしばりなさいっ!!』
「この後、迂闊にも無防備になった桂馬くんがキスされるんだったね。
歩美さん、どこまで計算づくだったんだろう?」
「筆者の考えとしては途中までは本気で蹴り飛ばすつもりだったらしい。
ただ、直前で思いとどまってキスに変更したとかなんとか。
あいつ、本能で生きてるな……」
「言いたいことは何となく伝わるけどさ、その言い方はどうなのかな?」
……一方 ハクア……
『ふぅ、ようやく人間界に帰ってこれた。
まずはコレの解析からね。ただのナノマシンなら大歓迎だけど……
って、アレ? 何かしらコレ』
「ビン詰にされたナノマシンをボウルに落としたら中から紙が出てきたね」
「中身はドクロウ室長からの手紙のようだな」
「連絡手段がこんな雑な方法で大丈夫だったのかな……?」
「筆者としても迷ったようだが、ヴィンテージの計画発動の時期を正確に把握させておきたかったらしい。
下手すると『舞校祭が終わった後でいいや』となりかねんからな」
「……そう言えばそっか。アポロさんの神託も筆者さんが後で調節できるように日和ってたから正確じゃなかったし」
「原作のように脱獄しながら話すとか無理……と言うか必要が無いのでこうやったようだ。
一応公式にはヴィンテージなドクロウ室長だ。このくらいはやってくれると信じたようだ」
「……ホント、都合のいいキャラクターになってるね」
「さて、これで終わりだな」
「次回はいよいよ叡智の女神編だね」
「それも間違いでは無いんだが……筆者はこうも呼んでいるようだ。
『忍耐の歌姫編』と」
「……えっ、主役って私?」
「メルクリウス復活回である事は間違い無いが、それ以上にお前が主役の回だな」
「え、えっと、それじゃあ……
次回は叡智の女神・忍耐の歌姫編『『叡智』の女神は始まりの刻より神姫の傍らにて眠る』です!
また来週!」