もしエル キャラコメンタリー!   作:天星

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暗躍編

「はいどうも皆さんこんにちは! かのんです!

 第37回キャラコメンタリー始めます!

 ……良かった、ちゃんと間に合ったよ」

 

「暗躍編だ。

 リューネ初登場の回でもあるな」

 

「そーいえばそうだったね。

 それじゃ、VTRスタート!」

 

 

 

 

 

  時は少し遡る。

 

  舞島の街を、1人の少女が歩いていた。

  いや、少女なんて呼び方は相応しくないだろう。外見は人間の少女に見えるというだけであり、その本質はもっと悍ましいものだ。

 

  彼女の風貌は異様なものだった。

  どこかの学校の制服の上から白衣を身に纏い、肩からはショルダーポーチを下げている。ここまでは普通だ。

  ポーチについているドクロの飾りと頭の2本の角のようなものは……少々人目を引くがまあ問題ない。

  異様なのは、身体のあちこちに巻かれた包帯。ミイラのように全身に巻いているというわけではないが、だからこそ逆に痛々しさを醸し出している。

 

 

 

「筆者による精一杯の外見描写だ。無駄に凝ってるな」

 

「漫画だと1コマで済みそうな描写だね。

 コメンタリー中はアニメを見てるっていう設定の私たちにも省略できる描写だよ」

 

 

 

 

 『……おじさん。たい焼き1つちょうだい』

 『はいよっ、何味にします?』

 『何味があるの?』

 『あんこにチョコに抹茶に……』

 『……面倒くさい。全部1コずつ……』

 

 

「買い物の時だけは礼儀正しい……と言うか普通の受け答えをするようだな」

 

「このヒトもとい悪魔の性格なら笑い声を上げながら強盗するとか普通に有り得そうだけど……ここだけは筋を通してるのか、それとも殺しちゃったら2度と買えなくなる事を理解してるのか……」

 

「狂ったキャラってのは妙な所でキッチリしてたりするからな。

 理由までは分からないがこいつなりのこだわりなんだろう」

 

 

 

 

 『おいおやじ、たい焼きくれ! 抹茶とスーパーあんこ!』

 『コラ、順番を抜かすな!』

 『うっせーな。アツアツの奴よこせよ!』

 

 

 

「終わったな。このパセリ達」

 

「惜しい人を亡くしたね」

 

「ああ。来世だったら顔見知りにはなってもいいかもな。

 地獄で魂を浄化されるはずだし」

 

「今世が全否定されてるね……」

 

 

 

 

 ブスリ

 

 『は、はぁっ!? 自分を刺した!?』

 

  刺された……と言うか刺した本人も痛みは感じているようだ。傷を押さえながらうめき声を上げ、しかしどこか恍惚とした表情を浮かべていた。

 

 『……面倒くさい。悪魔なのに人殺しもできないなんて。

  でももうすぐ、もうすぐだ。その時は千倍で返してやる。

  アハッハッハッハッハッ!』

 『な、何だコイツ!? に、逃げろ!!』

 

 

「うわ~、痛そう」

 

「『悪魔なのに人殺しもできない』という台詞は原作からの引用だ。

 単純に自重しただけの台詞とも取れるが……それだとリューネが意外と常識人になってしまってつまらないから『本当に制限されている』という前提で設定を練ってみたようだ」

 

 

  今の彼女は、一般人に直接危害を加える事はできない。

  正統悪魔社の術士によってある暗示がかけられているからだ。

 

  その内容は『一般人に殺意を抱いた場合、攻撃対象を自分に変換する』というものだ。

  殺人事件が発生したら大騒ぎになるが、自傷行為をするサイコパスが居るくらいならギリギリセーフという判断だろう。

  そんな判断のおかげでどれだけの事件を回避できたのかは……彼女の傷の量を見れば後は語るまでも無かろう。

 

 

「……こんな感じの」

 

「わぁ、サイコパスだね」

 

「傷だらけな所を見ると1回2回では全然懲りていないようだな。

 紛れもなく狂人もとい狂悪魔だな」

 

 

 

 

  たい焼きが焼きあがるのを待っていると電子音が鳴り響いた。

  彼女の持っている通信端末が呼び出し音を鳴らしているようだ。

 

 『はい、リューネ』

 『……はぁ? 付近のヴィンテージの安否確認?』

 『一週間前に確認したけど、無事でしたよ?

  何度も電波飛ばすの面ど……嫌なんですけど』

 『……はぁ、私、幹部なんだよ?

  何でそんなお守りみたいな事をしなくちゃ……』

 『あ~、もううるさい。分かった分かった。

  点呼取ればいーんでしょ。取れば』

 

  リューネはドクロの飾りのボタンを適当に押す。

  面倒とか言っていた割には簡単な動作で電波は発信された。

 

 『はぁ、全員異常無しでしょ。っていうかそう答えなさい。

  そうじゃないと私の仕事が増えるから』

 

 

 

「この辺の台詞も原作とは地味に変えているようだ。

 筆者が独断と偏見でリューネのキャラを掘り下げて、それっぽい台詞を並べたようだな」

 

「何というか……凄く面倒臭がりな印象を受けるね」

 

「興味を持った事ならとことん追求するだろうが、そうでない事は手を着けようとしない。

 そんな性格だろうと判断したようだな」

 

 

 

 『……あれ? こいつまだ返信してないじゃん。

  一体誰? フィ……文字化けしてる。こんな奴居たっけな。

  ……そこそこ近い。遠かったら誰かに押しつけられたのに。

  仕方ない。行ってみようか』

 

 

「筆者はフィなんとかさんの名前を呼ぶ気は一切無いらしい」

 

「いや、何回か出てたからね? ハクアさんの台詞とかノーラさんの台詞で」

 

「ちなみに、一応原作ではちゃんと名前を呼ばれているようだ」

 

「……筆者さんの謎のこだわりが出たね……」

 

 

 

 『……この家かな?』

 

  彼女の視線の先には1軒の民家があった。どこにでもあるような平凡な家だ。

  実は洋菓子店になっているとか、道場が併設されているとか、そんな事は一切無い普通の家だ。

  自分に余計な仕事をさせた愚か者の顔を見てやろうと地面に降り立った時、センサーから応答があった。

 

 『……あれ? 何だ。ちゃんと返事できるじゃん。

  せっかく来たのに……』

 

 

 

「この地の文に対して違和感を覚えることができたなら神のみファンだな。

 そして元ネタまで分かったら若木先生のファンだな」

 

「洋菓子店は『なのは洋菓子店のいい仕事』、道場は『聖結晶アルバトロス』の主人公の家だね。

 そして桂馬くんの家はカフェが併設されてるね」

 

「家と何かがくっついてるのは原作者の趣味なんだろうな。

 『ねじの人々』や『キングオブアイドル』は例外だが……そもそも自宅が出てきてないから仕方ないな」

 

 

 

 

 『……とりあえずコレ食べよ。ちょっと買い過ぎたかな』

 

  更に動くのも面倒なのだろう。近くの段差に腰かけてのんびり食べる事にしたらしい。

  その姿だけを見ればただの可愛らしい少女にしか見えない。何か怪我が多い事と、変な角が付いてる事を除けばどこかにありそうな風景だ。

 

  ……そんな何の警戒もしていなさそうに見えた少女が、どこかの歌姫と違って突然の『不意打ち』に反応できたのは、やはり彼女が歴戦の悪魔であったからであろう。

 

 

 

「突然私がディスられてる……」

 

「お前、一応ただの一般人だからな? 不意打ちに対処とか普通はできないからな?」

 

「つまり2度目を味わいたくなかったらリューネさん並になれと。なるほど」

 

「やめい!!」

 

 

 

  ガキィィンという金属音が響き渡る。

  襲撃者の持つ鎌による一撃をリューネがカッターにより防いだ音だ。

 

 『……一撃で仕留めるつもりだったのじゃがな』

 『ハァ、だから安否確認なんて面倒だって言ったのに。

  ま、これはこれでいいか』

 

  リューネは襲撃者の姿を確認する。

  その身に纏っているのは駆け魂隊の証である羽衣、油で汚れたボロボロの白衣。

  装飾の一部は欠損しているものの刃の部分は鋭く研ぎ澄まされている証の鎌。

  そして、特に隠されても居ないその素顔。

 

 

 

「念のため言っておくが、リューネは安否確認が面倒だとは言っていたがこういう理由で面倒だとは一言も言っていない。

 当然、本人も全く想定していなかったようだ」

 

「リューネさんらしい……のかなぁ?」

 

「多分な」

 

 

 

 『……リミュエル。まさか人間界にいるとはね』

 『私の事を知っているのか』

 『まあね。こんな所で会えるとは思ってなかったけど』

 『会いたかったとでも言う気か?』

 『ここのところ退屈でさ。悪魔なのに暴れられないってどう思う?

  合法的に暴れられるせっかくのチャンスだ。私の退屈しのぎに付き合ってもらうよ』

 『……噂に違わぬ狂人のようじゃな。お前がリューネか』

 『うん、まあね。さぁ、はじめよっか。コロシアイを!』

 

 

 

「というわけで筆者が苦手だと散々言っているバトルシーンだな。

 ……まぁ、ほぼカットされてたが」

 

「結局の所、どっちの方が強いんだろうね?」

 

「筆者の想定ではとりあえず互角という事にして、その上で色々と理屈を付けてうやむやにしているな。

 どっちも負けるイメージができないとか何とか」

 

「どっちも『凄そうな人』ってだけで、結局何も分かってないもんね……」

 

「そういうコトだ」

 

 

 

  一方その頃、地区長から降格した某悪魔……ハクアも暗躍していた。

  与えられたナノマシンの解析を終えて羽衣を修復し終えた彼女は指示された場所へと赴いていたのだ。

  なお、ナノマシンには案の定勝手に行動ログを漏らすようなウィルスが仕込まれていた。どう対処すべきかはかなり迷ったようだが、ナノマシンを完全に初期化することで対処したようだ。あっさりと対処してしまうと逆に怪しまれる可能性もあるが、このくらいは中古のパソコンを買う人の一部が普通に行うような行為なのでわざわざ注意される事も無いだろう。

 

 『外から見た時は普通の民家に見えてたけど、すっごく嫌な感じの魔力を感じる。

  少なくとも旧地獄に関係するものがあると見て間違いないでしょうね』

 

 

「ハクアの暗躍だな。

 原作ではバッサリとカットされていた所だ」

 

「あくまでも原作はラブコメだもんね。

 それに、こんなシーンを書くよりもいきなり帰還した方がインパクトが強くなるから演出的にもカットして当然だね」

 

「本作の場合は地獄からの脱出がかなり穏便だったし、ピンチに乱入みたいなのも厳しかったんで頑張って妄想して書いてみたようだ。

 多分こんな感じだったんだろうな……と」

 

 

 

 『旧地獄の復活……? あれ? でもそれだけなら女神の力を取り除くだけでも……

  ……この魔力量の数値、境界壁に穴を空けられる最低魔力じゃなかったかしら?

  って事は天界にでも攻め込む気?

  ……違う。大規模な戦闘を行う準備はあんまりしてなさそう。ターゲットは人間界って事?

  えっと、旧悪魔が封印されているのは地獄のグレダ東砦だったはず。あの場所の座標は……流石に覚えてないわよ!

  ……あったあった。地獄におけるその座標って事は人間界基準だと……日本の…………この町の近辺ね。

  ……ああ、この座標か。地図は……ココか。って言うか桂木が通ってる学校の目と鼻の先じゃないの。

  これだけ探れれば十分かな? いや、もっと……』

 

 

 

「本当に雑な妄想で組み立てて適当にやっている。

 詳細に書く事なんて不可能だからな。まぁこんなもんだろう」

 

「この辺の話は本筋とは全く関係ないから全然手がかりが無いね。

 自由に想像できるっていう事でもあるけど」

 

 

 

  戦いを続けていたら不意に呼び出し音が鳴った。

 

 『出ぬのか?』

 『……せっかく面白くなってきてたのに。一体誰?』

 

 『はい、リューネ』

 『……は? 侵入者? 一体どこのどいつ?

  そのくらい自分で対処しなさいよ』

 『……へぇ。なかなか面白そうな相手っぽいね

  分かった。殺すのは勘弁してあげる』

 『は? あんたの事に決まってるでしょ。

  じゃ、今から行くから』

 

 『そういうわけだから、ちょっと行ってくる』

 『黙って見送るとでも?』

 『私を殺そうとするって事は正義の味方って事でしょ? なら確実に見送るよ』

 

  そう言うとリューネは持っていたカッターを遠くに放り投げてから全速力で飛び立った。

 

 

 

「原作でも出てきたカッター型使い魔だな。

 戦いをうやむやにして終わらせる良い道具だったとか何とか」

 

「この後のモノローグで『放っといたら数週間か数日で町が滅ぶ』って書いてあるんだけど……そこまで凶暴だったの? アレ」

 

「リューネの使い魔ならそのくらい凶暴でもおかしくはないな」

 

「わー、リューネさん凄いなー」

 

 

 

  ……ハクア合流後……

 

 『心配しながら駆けつけてみたら……どーして女の子に囲まれて楽しそうにしてやがったのよ!!』

 『……成り行きだ』

 『成り行きだったね』

 『少々信じがたいですが成り行きです』

 『どんな成り行きよ!!』

 

 

「ハクアさんの合流シーン、原作ではあんなにカッコよかったのに……」

 

「穏便な展開の弊害だな。

 まぁ、ハクアだから仕方ない」

 

「……筆者さん、ハクアさんの事嫌いなのかな……?」

 

  ※

 可も不可もなく。

 

 

 

 『無意識の身体強化を結構前から使っていたようだぞ?

  魔力も理力も、確実にお前の力になっている。

  と言うか、そうでもなければ武道家とアイドルがまともに戦えるわけが無いだろう』

 『確かにそうかもしれないけど……』

 『無意識でもそれだけの効果がある。意識してしっかりと使えばより高度な事も可能になる。

  今夜にでも理力制御の手ほどきをしてやろう』

 『えっと……あ、ありがとう?』

 

 

 

「魔力と理力って凄いなー」

 

「そーだねー。

 でも、やっぱり私の素の実力はフツーだったって事だね!」

 

「(……強化してなくても木をヘシ折ってた気がするんだが……まぁ、本作じゃなくて原作だし、魔力使ってた可能性は十分あるから気にしないでおくか)」

 

 

 

 『何を他人事のような顔をしているのだ我が宿主よ。

  お前にも付き合ってもらうぞ』

 『はっ? 僕が? どうして』

 『私1人で理力を運用するよりも協力できた方が効率が良いし楽だからな』

 『おいおい、ゲーマーに戦えっていうのか?』

 『ギャルゲーでもたまにあるじゃないか。ガリ勉野郎のはずなのに戦いになると魔法を使い出す超能力者が』

 『……確かに』

 

 

「……あのさ、そんなゲームあるの?」

 

「ん? ああ。あるぞ」

 

  ※

 当時の後書きでも言ったけど元ネタは『ときめきメモリアル』シリーズ。

 FFのパロディっぽい戦闘がほぼ毎回存在するらしい。

 高校に入学してから勉強しかしてないようなガリ勉野郎が謎の魔法で不良やシカ、サメ等を鮮やかに撃退していく。

 ヒドい時には電話を掛ける余裕すら無い程の病気の時にもそれを行う。

 ……この高校生、本当に人間だろうか?

 

「……まぁ、こんな感じだ」

 

「へ、へぇ……」

 

「こういうのがあったからこそ、僕を戦闘に参加させる口実が作りやすかったとの事だ」

 

 

 

 

  ……情報交換中……

 

 『……そんな事があったのか。随分と大変だったみたいだな』

 『ホントよ! どうしてこんな目に遭うのかって何度思った事か!

  でも、無事で帰ってこれたから良かったと思っておくわ。

  それより、そっちもそっちで大変だったみたいね』

 『お前ほどじゃないさ。命の危険は……ほぼ無かったからな』

 『にしても、宿主がお前って、どうやったらそんな結論に辿り着くのよ……』

 『僕には絶対に出せない答えだったな。かのんのおかげだ』

 『そう言えば、中川さんがお前の元攻略対象だったっていうの初耳なんだけど?』

 『確かに言ってなかったな。そもそも言う必要も無い事だし』

 『私が聞いてれば『記憶操作対象の例外ルール』くらいは教えてたかもしれないわね』

 『それは駆け魂隊の中では共通の認識なのか……』

 『実際にどうなるかは場合によるだろうけど、協力者(バディー)の記憶が奪われない可能性を指摘するくらいはできたと思うわよ』

 『やっぱりエルシィはバグ魔だな。

  だが、知らなかったからこそここまでの関係性を築けた。過程はどうあれ結果は間違っていなかったんだろう』

 

 

「……エルシィさんが協力者で良かったよ」

 

「ハクアなら間違いなく記憶操作の有無を伝えてただろうな」

 

「エルシィさんありがとう! ずっとポンコツのままで居てね!」

 

「いや、多少は改善してくれないと困るんだが。

 家が消し飛ぶ危険があるから」

 

 

 (にこにこ~)

 『…………』

 (にこにこ~)

 『…………』

 (にこにこ~)

 『…………

  ……おい、さっきから何なんだ?』

 『何でもないよ~』

 

 

「ここからは私のターンだね!

 全力で挑ませてもらうよ!!」

 

「この辺から本性を露にしたんだったな」

 

「ちょっと桂馬くん、その言い方だと何か悪口に聞こえるんだけど?」

 

「……あながち間違いでもないような」

 

「ちょっと!!」

 

 

 

 『あ、桂馬くん。口元にご飯粒付いてるよ』

 『っっ!? か、かのん……正気か?』

 『……実際やってみると結構恥ずかしいね、これ』

 『……どこから計算尽くだったんだ?』

 『席を隣にしたのは故意だし、笑顔で見守ってたのも故意だけど、さっきのはアドリブだよ』

 『いや、笑顔で見守ってただけで十分計算尽く……いや、違うのか。

  いつもの事だが、美味いぞ。ありがとな』

 『うん!』

 

 

 

「けーまくん! また今度やろうね♪」

 

「アレは約束してやるような事ではないと思うんだが……」

 

「えっ? じゃあ無断でいつでもやっていいという事に……」

 

「やめい!」

 

 

 

 『正統悪魔社の目的は『旧地獄の復活』らしいわ。

  旧地獄の信奉者の集団なんだから当たり前と言えば当たり前だけどね』

 『復活と言っても何をする気だ? 革命でも起こすのか?』

 『もっと単純な話よ。

  女神の封印の事は当然知ってるわよね?』

 『当たり前だ』

 『そりゃそうよね。女神はここに居るんだから。

  当時の女神の力っていうのは本当に凄まじかったみたいでね、女神が居なくなった後も封印の力はまだかなり残ってる。少なくとも内部からこじ開けるのは厳しいでしょうね。

  ……肉体を捨てて脆弱な魂だけの存在になれば話は別だけど』

 『手段を選ばず抜け出そうとした連中は駆け魂になった……と』

 『そゆこと。そして、辛抱強い連中はかつての悪魔の力を残した状態で封印されている。

  数日前に現れた魂度(レベル)4か、それ以上の大物がね』

 

 

 

「この辺は原作を基にした筆者の独自解釈だな」

 

「原作では確か宿主も無しにレベル4以上の駆け魂が大量に居たんだよね。

 あそこは……一応人間界だったのかな?」

 

「さぁな。実は半分くらい地獄だった可能性もある。

 まぁとにかく、『力を失った人間界の駆け魂』と『力を保持している悪魔』を両立する為にこんな設定にしてみたそうだ」

 

 

 

 『現地を見てみないと断定はできないが、人間界の側からグレダ東砦を再封印してやれば概ね問題ないだろう。

  瘴気に満ちた冥界での作業よりはずっと簡単だ。我々が人柱になる必要すら無い。

  封印作業自体は10分もかからないだろう』

 『そんな簡単でいいのか?』

 

 

「どうやら女神は人柱になる必要は無いらしい。

 原作の女神編の最中には筆者がかなり気にしていた要素だな」

 

「それっぽい理屈を上手くでっちあげてるね。

 もしも原作で女神がまた人柱になってたならどうなってたんだろうね?」

 

「女神の影響を受けてなかったちひろか、あるいは女神の影響を受ける前からフラグが立っていた天理がメインヒロインになって進行する事になるだろうと想像したようだ」

 

  ※

 ちひろメインの二次創作を書いて、天理メインのものも書こうとしたけど結局断念したという。

 天理メインって書きにくいんだよ!!

 

 

 

 『まぁ、油断しなければ良いだけの話だ。明日、決着を着けに行くとしよう。

  そろそろお前たちの訓練も始めたい。他に話す事が無いなら始めるぞ』

 

 

「さて、特訓の時間だ」

 

「わーい……喜ぶべきなのかな?」

 

「エルシィに庇われずに済むようになるな」

 

「よっし! 頑張るよ!!」

 

 

 

 『……メル、ちょっと気になったのですが、あなた随分とやる気がありますね。

  いつも面倒臭がりだったはずなのに、どうしてですか?』

 『姉上、そんな事も分からないのか。とても単純な話だ。

  私は、知りたいんだ。理力を得た人間が、魔力を得た人間がどれだけ強くなれるのかを。

  女神にも悪魔にもできない事を実現している、人間の可能性のその先を』

 『……愚問だったようですね。神様と姫様を宜しくお願いします』

 『無論だ。では始めよう。

  まずは自身の理力を感じ取る事から……』

 

 

 

「こういうメルクリウスみたいなキャラは行動の理由が分かりやすいんで書きやすいとか何とか」

 

「女神に魔力は使えない、悪魔に理力は使えない。これは本作の独自設定だったね。

 人間に魔力が使える、っていうのは公式設定。理力は……こっちは独自設定だっけ」

 

「狭間の存在だからこそ強いっていうのはゲームでもよくある設定だ。

 ……と言うか、若木先生の前作も一応そんな感じだったな」

 

 

 

 『これで一通りは完了したか。明日も忙しくなる。そろそろ休むとしようか』

 『ふぅ、やっとか。

  ……かのん、風呂どうする? 先入るか?』

 『もう遅いしなんだったら一緒に入る?』

 『……正気か?』

 『桂馬くん。真顔で返事するのは止めて。せめてもうちょっと反応して』

 

 

 

「自重を放り投げたな……」

 

「何それ美味しいの?」

 

「……さぁ、食べたことは無いな」

 

 

 

 『けーまくーん。ちょっとベッドが壊れちゃったから桂馬くんのベッドで一緒に寝かせてー』

 『何だその棒読みは。ツッコミ所が無数にあるんだが?』

 『何の事かなー』

 『ベッドが壊れるのかとか、床に布団を敷くのではダメなのかとか、ダメだったとしてもエルシィやハクアのベッドではダメなのかとかだな』

 『紛うこと無き正論だね。丁度私も思ってた事だよ。

  私たち気が合うね!』

 

 

 

「いや~、ホント気が合うね。

 私たちはやっぱり相性バツグンだね!!」

 

「あーそーだな」

 

「同意が得られた所で……桂馬くん! 今晩は一緒のベッドで寝よう!

 ほら、気が合うよね!!」

 

「はいはい。構わんぞ」

 

「…………えっ?」

 

 

 

 

 『最後に一つだけ、いいかな』

 『何だ? うわっ』

 

  私は桂馬くんに思いっきり抱きついた。

  こうしてるだけでも幸せだ。できる事ならこのままキスとかもしたいけど、強引に事を進めると本当に怒りを買うだろう。

  このくらいが、今のボーダーラインかな。

 

 『……はぁ、まぁ、このくらいならいいか。

  しっかりと寝ろよ。勿論自分のベッドで』

 『うん。ありがと。それじゃあまた明日。お休み!』

 『ああ。お休み』

 

  顔色一つ変えない……か。桂馬くんはやっぱり手強いな。

  それじゃ、また明日からも、頑張ろうか。

 

 

 

 

「原作の僕はハクアに『押しに弱い』だとか言われていたが、この僕にそんな弱点など存在しない事が良く分かったな!」

 

「そうだね~、私に対しては全然動揺してくれないんだよね。

 受け入れられてるって事だから当然嬉しいんだけど、慌てふためく桂馬くんが見れないのはちょっと残念でもあるかな」

 

「……ちょっと待て、何か勘違いしてないか?」

 

「え? 全然してないよ~」

 

「いや、してるだろ! 絶対してるだろ!

 いいか、僕はそもそも弱点など……」

 

「はいはい。そろそろ締めの時間だよ」

 

 

 

 

「それでは、次回は『女神編"終幕"』です!」

 

「特別編を除けば本当の最終章だな」

 

「って事はコレも次回で終わりかぁ……

 なんだか寂しくなるね」

 

「続編の案だけはあるようだが……書けるかどうかまでは分からん、と言うかほぼ諦めてるからなぁ……」

 

「頑張ってほしいけどね。

 では、また来週~

 ……の前にさ、次のストックってあるの?」

 

「無い!

 ……が、頑張って8割ほど書いたようだ。来週にはほぼ間違いなく間に合うだろう」

 

「そっか……それなら安心だね。

 それでは、また来週!」

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