もしエル キャラコメンタリー!   作:天星

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日常編 かのんの挑戦状 コアクマの奮闘

「……ねえ桂馬くん」

 

「何だ?」

 

「たまには桂馬くんがタイトルコールしてよ。

 ずっと私がやってるとマンネリになっちゃうよ」

 

「そういうものか? まぁやってもいいが……」

 

(……おいお前たち)

 

「あれ? メルさんどうしたの?」

 

(既にカメラ回ってるようだぞ?)

 

「え? あ、ホントだ!!

 え、えっと、み、皆さんこんにちは!

 第……えっと、何回目だっけ!?」

 

「第5回だ。

 第5回キャラクターコメンタリー、始めるぞ」

 

「あ、ありがと……桂馬くん」

 

 

「今回の内容は日常回だ。

 攻略編と比べると短篇なんで2本まとめてやるぞ」

 

「よろしく!」

 

「概要説明としては……まずはゲーム回か。

 原作やアニメでチラッと出てきた『かのんを題材にしたゲーム』の話だな」

 

「アニメ版第一期では突然挟まれたCMに『かのんの挑戦状』

 原作の過去編の現在編……ややこしいね。とにかく21巻では『クレセント☆ステージ』

 以上2つのタイトルが確認できるよ。ハードはどっちもPFPみたい」

 

「『かのんの挑戦状』に関してはタイトルしか触れられていないのでどんなゲームは全く分からない。

 パッケージに『セカイがあぶない』とか書いてあるんで実はオーソドックスなRPGである可能性も0ではない」

 

「アイドルがパッケージに居る時点でオーソドックスではないと思うんだけど……」

 

「……まぁ、とにかく内容は不明だ。

 それに対して『クレセント☆ステージ』はゲーム画面が1コマだけだが確認できるし、10年前の僕からの評価も一応聞ける。

 こちらもハッキリとは断定できないが、多分音ゲー、リズムゲームの類だろう。

 そして、10年分のハードの進化があるにも関わらずクソゲー扱いされていた。評価が高くなるならともかく、低くなるという事はグラフィックの進化などの見てくれに惑わされない評価を下せたらしい。流石は10年前の僕だな」

 

「クソゲーかぁ……何か嫌だな」

 

「歌自体は良かったとも言っているがな」

 

「ふ~ん。今の桂馬くんは私の歌はどう思う?」

 

「………………そう言えば、まともに聞いた事は無かったな」

 

「あれっ? そ、そうだっけ!?」

 

「正確には無いわけではないんだが……本当に数える程しか無いぞ?

 普段の駆け魂狩りでもしっかりと聞こえる距離で聞いた事はほぼ無いし、カラオケに一緒に入った事は何回もあってもお前が歌う事はほぼ無かったし、ライブも1回しか行ってないな」

 

「……確かに。桂馬くんにじっくりと聴かせた事ってあんまり無かったかも。

 今度たっぷりと聴かせてあげるね!」

 

「……まぁ、楽しみにしておこう。

 そういうわけで、『クソゲーが作られそうになるのを阻止する』という話になったようだ」

 

「それじゃ、VTRスタート!」

 

 

 

 『ふははははは!! ついに、ついに駆け魂に追われる事無く教室でゲームができるぞ!!』

 『おーい、うるさいぞオタメガ』

 『フッ、貴様のような現実(リアル)女にはこの僕の喜びが理解できないだろうな』

 『別に理解しなくたって良いですよ~だ。オタメガの気持ちなんてね』

 

 

「ずっと駆け魂狩りしてたもんね……久しぶりのお休みか」

 

「日常回を挟む事はシャッフルの前から決まっていた事だが……その理由はまさしくその『お休み』の為らしい。

 2週間連続で攻略させてたからせめてものお詫びだとか。

 全く、そんな事を気にするならもっと早めに手を打ってほしかったな」

 

「麻美さんの攻略は後回しにできなかったからなぁ……」

 

 

 

 『も~、神様ったら。

  ごめんなさいねちひろさん』

 

 

「この台詞だが、実は何名かの読者の皆さんに突っ込まれている。

 エルシィは人前では神様呼びしないんじゃないかって」

 

「あれ? どうだったっけ……」

 

「筆者としても寝耳に水だったようだ。

 調べようかとも思ったようだが……かなり面倒なんで断念したようだ。

 一応意味は通じるし、本作独自の設定だ! と開き直ったらしい」

 

「う~ん、26巻分の調査かぁ……大変そうではあるね」

 

「ハクア相手に『この人、神様!!』と紹介してる場面とか、母さんと会話してる時に『神…にーさまに……』と言い直してる場面とかは見つけたけどな」

 

「ハクアさんはエルシィさんが悪魔だって知ってるから兄として紹介したらややこしくなりそう。

 やっぱりちゃんと意識して使い分けてたんじゃないの?」

 

「そうだったとしても、筆者は全く意識せずに書いてしまっている。

 今更全部チェックして直すのは面倒すぎる」

 

「う~ん……」

 

 

 

 『エリーがたまに口に出す姫様って誰かな~って。エリーに訊いてもはぐらかされちゃうんだよね』

 『だからって何故僕に訊く?』

 『だって、アンタってあの子に『神様』って呼ばれてるじゃん。

  だから何か知ってるんじゃないかな~って』

 『……悪いが僕も知らん。他校の友達とかそんなんじゃないのか?』

 『なるほどね。それならまあ納得……

 『神様~! 姫様が替わってほしいそうです!!』

 

 

「……私が電話してた頃、こんなやりとりがあったんだね……」

 

「適当に誤魔化したと思ったらエルシィの奴がやらかしやがった」

 

「何ていうか……ゴメン。メールで十分だったね」

 

「まあしょうがない。これを予想しろというのは流石に無茶だ」

 

 

 

 『あ、うん。ゲームの事で相談したい事があるの』

 『ほぅ?』

 『今度、私を題材にしたゲームを作るらしいの。

  だから、何かアドバイスとかあれば聞きたいかなって』

 

 

「・ノウハウを持った会社を選ぶ事。

 ・ファンが求めるようなゲームを作れ。

 この2点だったっけ」

 

「『ちゃんとした会社に作ってもらえ』は原作で10年前の僕が言っていた事だ。

 そのまんま……ではないが、参考にさせてもらったとか」

 

「『ちゃんとした物が作れる人に頼む』っていうのはある意味究極の答えだよね」

 

「まあな。だからこそ『ノウハウがある』という条件を入れたわけだが。

 ……そう言えば、結局ゲーム開発は進んでるのか?」

 

「そう言えば全然進んでない……桂馬くん、今度良い会社教えてよ。

 と言うか、直接交渉に参加するくらいでも大丈夫じゃないかな……?」

 

「…………僕が直接口出ししようとすると面倒な事になりそうなんだよな。原作の夏休み最終日的な意味で」

 

「……ああ、アレかぁ」

 

「あくまでも方向性とか良い会社をアドバイスするくらいが妥当だろう」

 

「……分かった。じゃあ今度岡田さんに説明してね」

 

「ああ。

 ……ん? いやいや待て待て。僕から聞いてお前が言うんじゃないのか!?」

 

「だって、どうせもうしばらくしたら結婚するために岡田さんにも相談しないといけないから。そのついでにね。

 スキャンダルの対策は初動が大事だからね!」

 

「スキャンダルを起こす気満々の奴が言うなよ!!」

 

 

 

 『最近仲良くなった()()が居るんですけど、その友達にお世話になりっぱなしで。

  だから、少しでも恩返ししておきたいんです。か……あの人、凄くゲームが好きなので少しでも良いゲームをプレゼントできたらなって。

  私ができる事なんてたかが知れてるかもしれませんけどね』

 『お友達? いつの間に?』

 『学校でちょっと色々ありまして』

 『ふぅん、なるほどね。そういう事なら彼氏に良いゲームをプレゼントしてあげましょう』

 『は……え? あの、彼氏じゃないですよ?』

 『あら、そうだった? 何となくそんな気がしたんだけど、気のせいだったかしらね』

 

 

「岡田さん鋭いな。半ば見破ってたのか」

 

「対外的な立場は『友達』、別に『彼氏』ではない。許嫁だから。

 うん、私嘘吐いてない!」

 

「彼氏じゃない理由はそっちなのか……

 それよりも僕がお前に好意を向けていなかったからで十分だろう」

 

「そりゃそうだけど……あれ?

 桂馬くん、今、好意を向けて()()()()()からって……」

 

「っ! き、気のせいじゃないか?」

 

「そうかなぁ……?」

 

 

 

 

 『ねーねー、姫様って誰なの?』

 『だから、僕も知らんと言ってるだろ』

 『いや、さっき電話で長話してたじゃん。知らないって事は無いでしょ』

 『……よくは知らないという意味だ。

  確か親戚の一人でエルシィにそんな風に呼ばれてた奴が居た気がするが……

  僕は現実(リアル)女なんて興味なかったからよくは知らない』

 

 

「……ゴメン。電話すぐ切るべきだったね」

 

「いや、姫様からの指名が入った時点で手遅れだろう。

 とりあえずアレだ。エルシィのせいだ」

 

「大体エルシィさんのせいになっちゃうね……」

 

 

 『ふーん、向こうはオタメガの事知ってたの?』

 『らしいな。ったく、どこで目を付けられたんだか』

 『さっき他校の人とか言ってなかった?』

 『忘れてただけだ』

 『う~ん……まいっか。そういう事で』

 『神様! お昼食べましょ!

  今日も姫様の手作りのお弁当ですよ!!』

 

 

「エルシィさんホント何やってるの!?」

 

「エルシィだからなぁ……」

 

「うぅぅ……私の行動って裏目に出てたんだね。ホントゴメン」

 

「だからお前が謝る必要はない。エルシィのせいだから」

 

 

 『あらかのん、今日もお弁当なの? しかも手作りの』

 『はい、最近ちょっと頑張ってみてます』

 『へぇ、彼氏にでもあげる気?』

 『いやだから、彼氏なんて居ませんってば』

 『そう? 何か気になるのよね……』

 『彼氏ではないですけど、作ってあげたい人が居るのは事実ですね』

 『やっぱりそうだったの。男の人? 女の人?』

 『お、男の人で、ついでに同年代ですけど……彼氏とかじゃないですよ?』

 『本当に?』

 『はい、ホントです。私が彼女だなんて言ってもあの人にとっても迷惑ですし』

 『アイドルが彼女で迷惑なんて、随分と贅沢な人ね』

 『そうかもしれませんね。

  でも、それでも大切な人です。そう、例えるなら家族みたいな感じです』

 『家族……ねぇ』

 『はい』

 

 

「家族(許嫁)!」

 

「言うと思ったよ! お前の中で自分の立ち位置は徹頭徹尾許嫁なんだな……」

 

「勿論実際に許嫁じゃない事は分かってるけど、『時間と秘密の共有』を有効活用しようとしてた事は確かだよ。

 最終的にどういう風に持っていくかはあんまり考えてなかったけど……」

 

「……まぁ、大したもんだよ。

 いつの間にかお前が隣に居るのが自然な状態になってるからな」

 

「作戦成功って感じかな」

 

「フン」

 

 

 

 『御社では、他社よりも優れた最高のゲームが作れると断言できますか?』

 『最高のゲームを? そりゃモチロンですよ! ハッハッハッ』

 『大層な自信ですね。何か根拠でも?』

 『根拠もなにも、あの中川かのんちゃんが出るゲームが最高のゲームにならない訳が無いでしょう!』

 

 

「……この担当者、フザケてるな。

 こんな奴蹴って正解だ」

 

「筆者さんとしても『ムカつく担当者』を頑張って書いたらしいよ。

 『クレセント☆ステージ』がクソゲーだったらしいから、無理のない範囲でなるべく無能感を出したかったみたい」

 

 

 

 『少々よろしいでしょうか?』

 『……え? はい、何ですか?』

 『さっきあなたはこう言ってましたよね? 『あの中川かのんが出るゲームなら最高のゲームになる』と』

 『そ、そうですね。言いました』

 『では、その『中川かのん』について、あなたはちゃんと理解していますか?』

 『り、りかい?』

 『はい、理解です。

  そこまで言い切るからには当然知ってますよね? 私の身長体重血液型誕生日。ファンなら余裕ですよね』

 

 

「……おまえ、えげつないな」

 

「お、岡田さんの指示だよ! 私の案じゃないよ!!」

 

「…………身長161cm、体重45kg、血液型AB型、誕生日は3月3日だな」

 

「え〝っ、な、何で知ってるの……?」

 

「僕が攻略ヒロインのパラメータを忘れる訳が無いだろ。

 尤も、僕がお前を攻略した当時のものだから変化があるかもしれんが」

 

「そ、そっか……桂馬くんがパラメータ気にしないわけないよね」

 

「覚えやすい誕生日すら答えられないこの担当者は間違いなくアウトだな。

 本当によくやってくれた。これでこの世に出るクソゲーが1つ減る」

 

「うん……ち、ちなみにだけど、他のパラメータって……まさかスリーサイズとかも……」

 

「……そこまでは知らな……」

 

「嘘吐いたら桂馬くんからキスを貰うよ」

 

「……上から86-58-85」

 

「……よく正直に告白してくれたね。

 ご褒美にキスをあげるよ」

 

「止めい!」

 

 ※

 ちなみに、肥満の度合いを示すBMIの数値は17.4。

 18.5~25未満で標準体重と判定されるので、かのんちゃんは少々痩せてますね。アイドルだから当然だけど。

 最下位は栞の16.6。ちょっと痩せすぎで心配ですね。

 攻略ヒロインでのトップは歩美とちひろで同率1位。20.0。と言うかこの2人ってそれぞれの身長と体重が同じみたいです。スリーサイズは違うけど。

 攻略ヒロイン以外では例えば京は20.3です。神のみ世界は全体的に痩せ型の人が多いみたいですね。

 

 

 

 

 『あ、そうそう! 今日学校で面白い事があったんですよ!』

 『へ~、どんな事?』

 『えっとですね、姫様の偽名が決まりました!』

 『……え? 何があったの?』

 

 

「決まった名前は『西原まろん』

 『西原』の元ネタは中川の最初の名字だ」

 

「ちょっと桂馬くん。その言い方だと私がどこかの中川さんと結婚したみたいじゃん!」

 

「親の離婚説もあるが……まあいいや。

 筆者はよく知らないらしいが、かのんの名字は雑誌と単行本で違うらしいな。

 詳しい理由は……原作者のブログに書いてあったはずだ。確か、『真ん中のなかのん』みたいな掛け声の為だったかな?」

 

「本当にそれだけの為だったのかは分からないけど……名字を丸々変えちゃうなんて凄い事するよね……」

 

「ホントだな。

 『まろん』の元ネタは原作のスピンオフである『かのん100%』からだ。

 小さくなったお前が咄嗟に名乗った偽名だったか」

 

「わざわざそんな所から取ってこなくても良かったのに……筆者さんはリサイクルが好きなのかな?」

 

「さぁな~」

 

 

 

 『それじゃ、またな』

 『ちょ、タンマ! 最後に一つだけ!』

 『……一つだけだぞ?』

 『うん。その西原さんとアンタってどういう関係なの?』

 『……従兄弟だが?』

 『そうじゃなくてさ、その……つ、付き合ってたりするのかなって』

 『何だ、そんな事か。

  あいつはただの同居人だ。それ以上でもそれ以下でもない』

 『そう……それならそういう事にしとくわ』

 『しとくって何だよ。まあいいや、じゃあな』

 

 

「……今思えば、ちひろは嫉妬してたんだな」

 

「気付いてなかったのは桂馬くんとエルシィさんくらいだよ……」

 

「ぐっ、否定できんっ!

 だがせめてエルシィと一緒にするのは止めてくれ!」

 

「……否定しきれないからなぁ……

 そう言えば、この時点では桂馬くんにとって私はただの同居人だったんだね」

 

「ああ。そうだな。

 お前に本格的に助けられるのは今後の話だしな」

 

「スタンガンのせいでマイナス評価になってないだけまだマシなのかな……

 ちなみに、今の評価は?」

 

「……まぁ、協力ゲームのパートナーだな」

 

「そっか。支払うもの、ちゃんと考えてる?」

 

「釣り合うものがなぁ……お前もちゃんと考えてくれよ?」

 

「勿論分かってるよ」

 

 

 

 

「あ。ここで一本目が終わったね」

 

「じゃあ次だな。内容は……エルシィのデビルクッキングか」

 

「正確には悪魔じゃないから……ゴッデスクッキング?」

 

「何か語感悪いな。エンジェルクッキングとか」

 

「それだと普通に美味しそうだよ。

 う~ん……ヘヴンクッキング?」

 

「それも美味しそうにも聞こえるが……」

 

「一応エルシィさんの料理は美味しいんだよね? 一応」

 

「食った後が大変だがな。

 まぁ、そういう意味ではピッタリな名前か。

 今回の内容はエルシィのヘヴンクッキングだ」

 

「後は……説明不要だね。それじゃあVTRスタート!」

 

 

 『おはようございます!

  あれ? 今日は遅かったですね』

 『うん、目覚まし時計がいつの間にか止まっててね』

 『それは災難でしたね。

  でもご安心下さい! 今日の分のお弁当は私が作っておきました!!』

 『え、ホント? ありがとね』

 

 

「麻美編で生えてきた設定、『かのんが弁当を作っている』の有効活用だな。

 なお、仕事で忙しいはずのかのんにそんな余裕があるかは知らん」

 

「筆者さんの開き直りだね……

 それはさておき……エルシィさんのお弁当かぁ……」

 

「……弁当なのか、あれ。

 何か這いずり回ってるんだが」

 

「……に、日本には踊り食いっていう文化があるらしいよ!」

 

「地獄にあっても不思議じゃないが……はぁ」

 

 

 『あ、勿論姫様の分もお作りして……』

 『ああっ、もうこんな時間だ!

  今日は早いから急いで準備しないと!!

  それじゃあね!!!』

 

 

「…………」

 

「ひゅ~、ふひゅ~」

 

「おい、口笛吹けてないぞ。

 逃げたよな。お前あの状況放置して逃げたよな!!」

 

「いやー。たまたまお仕事が忙しくってねー」

 

「……まぁ、逃げたくなる気持ちも分かるけどな。

 一応あの後コンビニで食料を買ってきてくれたんだろ?」

 

「う、うん。一応ね」

 

 『…………』

 

「……おい、お前一瞬通り過ぎようとしてなかったか?」

 

「♪~、♪~」

 

「今度は口笛吹けてるな」

 

「で、でも、ちゃんと桂馬くんの分の食料は置いてきたし!」

 

「その気遣いをコンビニの時点で発揮して欲しかったんだがな。

 初めから2人分買ってれば1人分を2人で分ける必要も無かっただろうに」

 

「うぅぅ……ごめんなさい」

 

「……はぁ、まぁ過ぎた事を言ってもしょうがないか。次行くぞ次」

 

 

 

 『……あっ、そうだ! 姫様! 私いいこと思いつきましたよ!!』

 『い、一応聞こうかな?』

 『姫様! お料理を教えてください!!』

 

 

「エルシィにしてはまともな判断だな」

 

「そうだね。問題はたった1回のまともな判断じゃ意味は無いって事だね」

 

「完全に同意だ」

 

 

 

 『はいっ、使う卵が分かれば後はらくしょーです!

  私が料理してみます!』

 『うん、頑張って』

 

 

「普通の鶏卵だな。

 考えてみると『卵』と言って普通に伝わるのはある意味異常なのかもな」

 

「一言で卵って言っても色々あるもんね。殻がある卵っていうのは爬虫類と鳥類だけだっけ?」

 

「『殻』の定義にもよるだろうが、基本的にそのはずだ。

 それ以外の卵となると、魚類の卵が一番身近か。イクラとか」

 

「後は……カエルの卵とかも理科や生物の教科書で見かけるよね」

 

「……それはさておき、殻付きの卵を直火ってのは流石に有り得ないんじゃないか?」

 

「殻も割らずにフライパンに乗せてる姿は衝撃だったよ……」

 

「エルシィの言葉を信じるなら地獄では料理が得意だったんだよな……

 これが地獄の日常風景なのか……?」

 

「……地獄だね、紛うこと無く」

 

 

 『これで、こうして、完成っと』

 『おおお! 姫様凄いです!!』

 

 

「……結局、エルシィの手で料理を続けるのは不可能だったか」

 

「時間の制約もあったからね……」

 

 

 

 ドォォォォン

 

 

「……そして、この惨状か」

 

「エルシィさん、一体何をどうしたらここまでヒドい状況にできるんだろう」

 

 

 

 

 

 『長くなったが、結論としては『料理以外の長所で頑張れ』って事だな』

 『……そうですね。分かりました!

  私、頑張ります!!』

 『ああ。頑張れ』

 『はいっ!!』

 

 

「やっぱり桂馬くんは優しいね」

 

「フン、勘違いするな。

 あのまま放っておくとより酷いトラブルになるだけだと判断したまでだ。

 決して励ます為にやったわけじゃない」

 

「でも、他にも選択肢はあったはずだよ。強く叱りつけて何もさせないとか。

 それでもちゃんと励ましたのは桂馬くんに優しさがあったからだよ。

 そういう所も、大好きだよ」

 

「……フン」

 

「私がお仕事に行っちゃった後はこんなステキな展開になってたんだね。

 もうちょっとゆっくり出れば良かっ……」

 

 

 ズドォォォォンン

 

 

「…………」

 

「…………素敵か?」

 

「…………で、では、そろそろ時間なので本日はここまでです!

 次回、『紙の砦に住む少女』は来週お送りします!」

 

「抽選が始まってからの記念すべき第1回目のヒロインだな。

 まぁ、じっくりと見るとしよう」

 

「では、また来週~!」

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