私が霧島です   作:アサルトゲーマー

3 / 10
戦艦レシピ回してたら三連発で神通ちゃんが出たのでむしゃくしゃして書いた。
今は空母レシピ回している。


3 ありがとう!スーパーソニック霧島マン!

 知ってる人は知っている。知らない人は全く知らない情報。

 

 艦娘とは基本怪力である。そして体も頑丈である。ついでに反応速度も速い。それは大型艦になるほど顕著になる。

 艦娘ならみんな知っている。私は今知った。

 どうやって知ったかって?

 

「流石だな、霧島」

 

 今実際に天龍とガチの打ち合いをしたからである。

 

 

 

 

 事の始まりは二日前。天龍へ傷が癒えたらまた演習でもしましょうと言い放ってしまった事が発端だった。

 怪我自体はなぜか大したことはなかったので早めに退院できた。そして天龍にそのまま演習場に連れて行かれたのだ。血の気の塊かなんかかコイツ。

 とりあえず天龍に一言断ってから演習場で体を慣らす意味合いを込めて動いてみる。

 

「…あれ」

「どうした?」

 

 違和感がある。霧島の記憶にあるような滑らかな動きが出来ないというか、深海棲艦化していた時のような動きができないのだ。 

 今の私を例えるなら水にぬれたアンパンマンとか、格闘のできないTPSとか、そんな感じの頼りない存在だ。

 何かが多いのか、何かが足りないのか。それは分からない。

 試しに眼鏡を外してみたが変化はなし。やっぱバイド化してて身体能力が上がってたのかな。

 

「慣らしはそろそろ止めにしようぜ。オレ、もうウズウズして堪んねーよ」

 

 メガネを外した私を見て準備が完了したと見たのか、天龍が急かす。

 まあこれ以上おあずけするのも気分が悪いので、正面に対峙した。

 天龍は剣を構えてこちらを見据える。対する私は連装砲込みで腕六本。阿修羅(アスラ)か私は。

 向こうは挑戦的な笑みを浮かべて構えを執った。ここはアレだな、戦艦としてびしっとカッコいいとこ見せましょ。

 

「掛かって来なさい、天龍」

 

 

 

 

 

 

──────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 天龍が霧島とぶつかりあった時に感じたことは、違和感だった。

 

「おらぁ!」

 

 体が触れ合うような超接近戦。振った剣は連装砲の装甲部で弾かれる。弾いた後に連装砲が襲い掛かるが天龍は半身となって軽くいなした。確かに防御は正確ではあるが、その防御から先の行動が今一つキレがない。

 比叡から記憶が穴だらけだということはそれとなく聞いて居たのでその影響かと思い、天龍は一旦距離を置いて霧島に話しかける。

 

「なあ霧島…お前、それで本気か?」

「……」

 

 霧島は答えなかった。本気を出せないのか、出したくないのかは分からない。

 だがそれは天龍にとって関係なかった。

 

「ハッ…本気出したくねーんなら、出したくなるまでボコってやるよ!」

 

 天龍は宣言通り霧島に急接近しラッシュを仕掛ける。手数は剣一本に対して連装砲が四つ。リーチなどを考慮に入れなければ1対4だ。軽巡と戦艦の性能差から考えても天龍が勝てる要素など無い。それが普通。多くの人はそう思うだろう。

 だが押していたのは天龍で、霧島は防戦を余儀なくされていた。

 それもそのはず。天龍はフェイントや素手、回避を織り交ぜた攻撃をしているのに対し霧島はただ四つの連装砲で対処するだけ。天龍は霧島が反撃しようとする絶妙のタイミングで剣をガードに滑り込ませて、攻撃に使おうと思っていた連装砲は防御に回らざるを得ない状況を作る。

 一瞬の隙を衝いた天龍の一閃が、二段構えのガードをすり抜けた。それは霧島の頬に当たり、体制を大きく崩す。

 天龍は再び距離を置いて霧島に向き直る。

 期待はずれか?天龍はそう思った。

 

「どうした?そんなんじゃ金剛型の名が泣くぜ?」

「…私は」

 

 霧島が俯いたまま何かを口ごもる。

 しばしの無言。

 そして次に顔を上げた時、天龍は感心したように息を吐いた。

 

「ほぉ…いいカオになったじゃねぇか」

「申し訳ありませんでした、天龍」 

 

 その瞳はギラギラとした戦意に満ちている。それは霧島の、天龍のよく知るもう一つの姿。戦闘狂の貌だった。

 

「本気で行かせていただきます」

 

 

 

 

 

──────────

 

 

 

 

 私の中で何かスイッチのようなものが入った。最初の方は天龍強すぎワロタとか考えていたけど、今はそんなふざけた感想なんて出てこない。

 体から違和感のようなものが消えた。今なら何でもできそうな気がするのはきっと気のせいなんかじゃない。

 私の中の私、霧島が語りかけてくるのだ。

 

『敵を舐めるな、自らを驕るな』

『お前は勝つ。私が勝たせる』

 

 きっと私は天龍を軽巡だと侮って、どこか気を抜いてしまっていたのだろう。だから一方的にボコられて致命打となりうる一撃を喰らってしまったのだ。

 それを私が叱咤する。

 そして天龍の強さに私の心は萎びてしまった。圧倒的な経験の差がそこにはあったのだ。

 それを私が奮起する。

 

 私の体に力がみなぎる。不思議な力が加わる。

 再び天龍を見る。なんだか視界が広がり、世界が変わって見えた。

 

「ほぉ…いいカオになったじゃねぇか」

 

 感心したような、安心したような。不思議な顔をした天龍。

 なるほど、天龍はあんな事を言いながら私を心配していてくれたのか。悪い事したな。

 

「申し訳ありませんでした、天龍」

 

 こういうときの謝罪はアレだよな。思いっきりパンチ食らわせてやればいいんだ。ほら、ヤーさんが借りを返しにカチコミかけるのってお礼参りって言うじゃん?

 

「本気で行かせていただきます」

 

 さぁ、ちからみなぎる、おれが相手だ天龍!

 水柱を立てながら天龍に急接近し、右の連装砲をぶつける。当然天龍にいなされるがこっちはまだ三つも連装砲があるんだ!

 と思ったがしかしそこは流石天龍。飽和攻撃を仕掛けようとするとスルスルと間合いから抜けながら反撃してくる。

 いくら手数で勝ってるとはいえ、圧倒的な経験の差がそこにあった。このまま戦いは平行線へと突入していく…。

 

 と思ったその時不思議なことが起こった!

 

 天龍の反撃を防御しようとしたところ、連装砲が緩やかなターンを描く舐めるような動きをしたのだ。弾くのではなく、流す動きで天龍の動きを明後日の方向に逸らす。

 

『この動きを覚えてください』

 

 『私』の声が聞こえた。なるほど、天龍はいきなり流された剣の勢いに振り回されてつんのめっている。これは好機だ。

 フフフ、さっき散々ボコってくれたからな。手加減なしだぜ。やられたらやり返す!三倍返しだ!

 まずは半身になって手を大きく開く大扇拳をお見舞いする。頭を上から下に叩きつけられた天龍は苦悶の声を漏らした。

 次に相手を掬い上げる南昇拳をお見舞いする。大きく手を開いたまま腕を逆回転させて遠心力を利用する。凄まじい勢いの手の甲は天龍の腹に当たり、二メートルほど浮かした。

 フィニッシュはビートナックルだ。全身のバネを使った全力の拳。落ちてくる天龍の正中線を確実に狙ったそれは、絶大な威力を持って打ち込まれた。

 

 天龍は艤装の破片らしきものを散らしながら吹っ飛び、大きな水柱を立てて水面下に沈む。勝ったッ!第三部(かん)

 

 …あれ?これまずくね?考えてみりゃこっちは戦艦でむこうは軽巡だ。装甲の厚さでいえばこっちが当然上。

 早い話、戦車VS軽装甲車両みたいなもんだ。軽装甲車両の攻撃を受けても戦車は装甲が凹む程度で済むが、戦車の突撃(チャージ)でも食らえばむこうはスクラップである。

 やっべー!手加減とか完全に頭から抜けてた!天龍=強敵みたいな方程式が出来てたから全力でぶん殴ってしまったぞ!

 急いで天龍を水面から引っ張り出す。ゲホゲホと咳をしてるから少なくとも死んではなさそうだ。良かった。

 

「ごめんなさい天龍!つい熱くなってしまって…」

「い…いや。本気で来いって言ったのはオレだ。気にすんな」

 

 気にすんなと言いつつも目は泳いでいる。気にしてるんですね、分かります。

 しかし、演習にかかわらず天龍を見た感じ大破させてしまった。これは後で提督に怒られるなー。ははは。そういえば修復っていくら掛かるんだろ?まあオーダーメイド品っぽいし100万くらいするかもね♪

 …あー、空っていいよなぁ。あの雲ドーナツに見えてすっごく美味しそうだ。

 現実逃避しようとして見た空はすっごく綺麗だった。

 

「流石だな、霧島」

「えっ?」

「オレを殴るときに戸惑いが見られなかった。これが戦艦の強さなんだな」

「……」

 

 違うんです。何も考えていなかっただけなんです。だからこれ以上心をえぐらないでぇ!

 

 

 

 

──────────

 

 

 

 

 

 霧島は当然叱られていた。まずは提督に。次に龍田に。とどめに姉妹である。

 

「で、申し開きはある?」

「ありません…」

 

 現在霧島は正座をさせられている。

 病み上がりでありながら天龍と演習し、相手をボコにするというとんでもないことをやらかしたのだ。

 演習だけならともかく、他の姉妹に迷惑をかけた上に病院送り(ドック入り)。金剛姉妹の対応も予想できた範疇だろう。

 

「喧嘩したいなら私を誘ってくれれば良かったのになー?」

「ヒエイ、その発想はおかしいネ」

 

 比叡はチラチラと霧島に視線を送っている。金剛は呆れたようにため息を吐いた。

 

「榛名も!全力でお相手します!」

「アレー?ハルナはまだまともだと思ってたデース…」

 

 榛名の力強い発言に金剛は死んだ目で紅茶を口に含む。

 思いがけない所で姉妹のアホっぷりを垣間見た金剛の心情とはどんなものだったのだろうか。

 

「で、どーしてテンリューをぼろぼろにしちゃったんデスか、キリシマ?」

「ええっと。天龍と戦っている内につい熱くなってしまって、気が付いたときには…」

「Oh…」

 

 金剛は頭を抱えた。前々から戦闘狂としての貌がチラ見えしていたからまさかとは思っていたけど、本当にそうだったとは。

 自分もそうであったら楽だったのにな。そう考えた時、金剛の中で「何か」が切れた。決定的な「何か」が。

 しかし、その切れた「何か」を知るのは金剛を含め、まだ少し先の事である。




・ありがとう!スーパーソニック~
ソニックブラストマンとかいうパンチングゲームで、市民を救うとかけてくれるセリフ。3パンでいろいろ解決しちゃうヒーロー。ターミネーターっぽいロボとかアルマゲドンみてーな隕石とかビジュアル的にヤバい敵が出てくる。

・バイド
R-TYPEシリーズで登場する生物だろーが鉱物だろーがプログラムだろーが感染する謎のウイルスっぽい存在。汚染されることをバイド化と呼び、バイド化したものはバイドを増やすために働き続ける。

・アスラ
アスラズラースに登場する六本腕の神様。娘を奪われていつも怒ってる。怒り過ぎてオラオラで他の神殺しちゃったり地球救っちゃったりと凄い奴。

・さぁ、ちからみなぎる、おれが相手だ!
ミスティックアークというゲームに収録されている超かっこいい通常戦闘曲。へんな名前のBGMがあり、有名どころに「ヘイ、たたかってるぜ!」とかいう超わかりやすい戦闘曲がある。

・大扇拳&南昇拳&ビートナックル
GODHANDとかいうバ神ゲーに登場する格闘技。三つ繋げて使うとすごくカッコいい。ぶっちゃけこの小説の戦闘はコレの影響を多大に受けている。サイコじじいマジいい加減にしろよ!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。